父との関係や将来などに悩む普通の高校生ケン(西村賢斗)。春休みを利用し父に会うためにアルゼンチンへ。ところが行きの飛行機で隣の席だったイサ(八束勲)との出会いがきっかけで訪れたブエノスアイレスで事件に巻き込まれる。続く不可解な出来事。イサや彼のマネージャーの佐々木が言うにはケンはマルゴ(境界)の向こうに住む「人ならぬもの」の諍いをおさめる「調停人」候補だという。脅迫もあり戸惑いながらも関わっていくケン。ある日、父が事件に巻き込まれ怪我をする。その事件にはどうも「人ならぬもの」達が関わっているようで――
主人公の一人称で進行。細かい設定の説明、ブエノスアイレスの描写で展開はスロー。展開のはやい物語を好む人はイライラするかもしれません。ですがこれは丁寧に作りこまれた設定上致し方ないかと。
調停という普段身近で使用されないものがこの物語の軸。戦うのでなく双方の落としどころを探るというもの。いかされるのは後半。何気ない描写や会話が鍵。争いの様子を把握しどうやって終わらせるが一番いいか、もし自分ならと考えながら読むと面白いかも。
吸血鬼など「人ならぬもの」が登場。しかし特別な力は前面に出ません。ケンが迷い考え自分なりに決断しようという心の揺れ動きが中心。
ケンが無力だったのが印象的。平凡に過ごしていて突然特別な存在だと告げられ、巻き込まれていくうちに力が覚醒、という展開はありません。いきなり非日常的なモノに関わることになったケンが悩んだり疑ったりするのがなんていうか「人間くさい」です。周囲のクセのあるキャラ達はケンを出し抜いたり丸め込んだり。けど意思は尊重してくれます。「特別」というより対等という感じ。
続刊が出るならケンがどんな風に成長していくか気になるところ。舞台はイギリスになりそうですし。だったら景色などがどう描写されるのかも楽しみ。
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マルゴの調停人 (C・NovelsFantasia き 2-1) 新書 – 2008/7/1
ごくフツーの高校生ケンは、父に会うために訪れたブエノスアイレスで事件に巻き込まれる。どうやら彼は「人ならぬもの」の諍いをおさめる「調停人」候補のようで……。第4回C★NOVELS大賞特別賞受賞作。
- 本の長さ242ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2008/7/1
- ISBN-104125010412
- ISBN-13978-4125010410
登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2008/7/1)
- 発売日 : 2008/7/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 242ページ
- ISBN-10 : 4125010412
- ISBN-13 : 978-4125010410
- Amazon 売れ筋ランキング: - 2,235,205位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,909位C★NOVELS
- - 6,754位SF・ホラー・ファンタジー (本)
- - 120,136位新書
- カスタマーレビュー:
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2010年11月1日に日本でレビュー済み
まず最初に思ったのは、設定が超斬新!
というか、思いついたとしても話の作り手としては中々手を付けたくないであろう設定です(苦笑)
シナリオに生かすのが難しすぎる・・・・・・
しかし、荒削りな感じはするものの、上手くこの1冊に収めたなという感じにはなっています
粗筋としては、
人間と化け物の間でいざこざが起きたときに、そのいざこざを丸く治める調停人という役割を担うことになった主役
しかし、色々と複雑な要因が重なる上に、手助けをしてくれているはずの奴等まで怪しく見えてきて・・・・・・??
冒険している!という感じの王道ファンタジーなノリはありませんが、斬新な設定はかなり生かせています
心情描写も割りと詳しく、主役の葛藤が手に取るように分かります
又、主役が初っ端から大活躍するのではなく、きちんと挫折しているのも良いところ
化け物たちの個性も光っていました。人間には理解できない行動を取る奴等が多く、ゾッとします
世界観やキャラは合格です。非常に癖があって面白い
もう少し掘り下げて欲しいな、と思ったのは主役と共に行動する2人の人物(1名は吸血鬼の子孫)
設定をとりあえずくっ付けた、という感じだけで終わってしまうのです(2巻でも特に掘り下げられずに終わります)
せっかく主役と共に行動するのだから、何かしら背負っているものは欲しいと思いました
個性はあるので、確かに楽しい奴等ではあるのですが・・・・・・
ラノベとしては良作の部類に十分入るシリーズです
Cノベルス系統の中で、これから先注目しておいて損はない作者さんでしょう
というか、思いついたとしても話の作り手としては中々手を付けたくないであろう設定です(苦笑)
シナリオに生かすのが難しすぎる・・・・・・
しかし、荒削りな感じはするものの、上手くこの1冊に収めたなという感じにはなっています
粗筋としては、
人間と化け物の間でいざこざが起きたときに、そのいざこざを丸く治める調停人という役割を担うことになった主役
しかし、色々と複雑な要因が重なる上に、手助けをしてくれているはずの奴等まで怪しく見えてきて・・・・・・??
冒険している!という感じの王道ファンタジーなノリはありませんが、斬新な設定はかなり生かせています
心情描写も割りと詳しく、主役の葛藤が手に取るように分かります
又、主役が初っ端から大活躍するのではなく、きちんと挫折しているのも良いところ
化け物たちの個性も光っていました。人間には理解できない行動を取る奴等が多く、ゾッとします
世界観やキャラは合格です。非常に癖があって面白い
もう少し掘り下げて欲しいな、と思ったのは主役と共に行動する2人の人物(1名は吸血鬼の子孫)
設定をとりあえずくっ付けた、という感じだけで終わってしまうのです(2巻でも特に掘り下げられずに終わります)
せっかく主役と共に行動するのだから、何かしら背負っているものは欲しいと思いました
個性はあるので、確かに楽しい奴等ではあるのですが・・・・・・
ラノベとしては良作の部類に十分入るシリーズです
Cノベルス系統の中で、これから先注目しておいて損はない作者さんでしょう
2008年10月28日に日本でレビュー済み
ぜひぜひ、続編を読みたいデス。ヘナチョコだと思っていた高校生が立派に調停人を勤められるのか?!って話で、今回は序章で力の片鱗っていうか予感を見せてくれたけど、底力というか本当のゾクゾクする力をもっと見せて欲しい。描写がお化けで怖いんだけど、怖いの苦手だけど、次回は化け物同士のいざこざを調停して欲しいなあ。