はじめてこの本に接したとき思ったのは，「これならウチの会社でもできるかも」ということでした．
その理由として，事例が詳しいとか（立派な世界的会社の先進例もあるのですが，「そうそう，ウチにもあるある」というような例も），ちょっとウチ用にアレンジすればすぐ使えそうなチェックリストがあったりすることもあるのですが，この本が究極の目的としている「チームの心理的ウェルビーイング」こそが「職場のイノベーション」とつながるという主張が，なんだか温ったかくって嬉しかったのでした．
言葉の掛け合いで心のグルーミングをすることは必要なのだ，振り返りにはもちろん時間も手間もかかるが振り返ったほうがその後のパフォーマンスが断然違うのだ，ということなどを，職場の場面ごとに，実証的に一つずつ解き明かしてくれていて，案外日本的な職場の風土ともよく合致しているようにも思えました．
もちろん，「上下関係」とか「飲みニケーション」の復活ではなく，それぞれをきちんと「権限と責任の明確化とフィードバック」，「リラックスしたコミュニケーションの場の提供」とかに置き換えて新しくしなければならないのですが，「日本的職場Ver. 2.0」を考えようとしたとき，インスピレーションの源になる本だと思いました．
ちなみに私は5，6人のいわゆる「部下」をもつ中間管理職です．大きな会社なら，ひとつの「チーム」でしょうね（この本にはチームの適正人数についての記述もあります）．この本，新人でも経営者でも読み応えありますが（「経営陣のチーム」という章もある），私のような木っ端管理職でも動ける領域がある，動けば動いただけ成果があることがあるんだということを示してくれて，その意味でもありがたかったです．
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