表紙が醸し出す難解げな印象よりも、ずっと読みやすかったです。
論の組み立て方、記述の仕方は、論文の書き方のお手本のよう! 平明でいて、格調を感じました。
前半では、「福祉国家」の根底には、連帯と承認という2つの価値観あることを、丁寧に立証。
後半では、日本の福祉制度の特徴を、アメリカ、ヨーロッパ、韓国と比較検討して浮かび上がらせます。
わたしは福祉素人ですが、少子高齢化とグローバル化の流れの中で、
いったい福祉はどうなっていくんだろう?ということに興味があり、本書を手に取りました。
長寿ゆえの介護の長期化などを考えると、福祉は誰にとっても他人ごとではない問題のはず!
よく北欧諸国の福祉制度が取り上げられますが、日本が目指すべき方向は、独自に模索する必要がありそうです。
また福祉重視だからといって、単純に、新自由主義を批判するものでは決してなく、
むしろ、雇用調整の面などでは、まだ足りない部分もあるのかもしれない、と逆に考えさせられました。
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連帯と承認: グロ-バル化と個人化のなかの福祉国家 単行本 – 2007/11/20
武川 正吾
(著)
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福祉国家とは何か。それは社会保障による給付や労働政策などによる規制をつうじて市民相互の連帯と承認を実現しようとする場である。グローバル化と個人化にさらされる福祉国家を深く考察するとともに、東アジアを射程に入れた福祉国家論を展開する。
- ISBN-104130501690
- ISBN-13978-4130501699
- 出版社東京大学出版会
- 発売日2007/11/20
- 言語日本語
- 本の長さ262ページ
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商品の説明
出版社からのコメント
年金や医療をめぐる問題など、日頃ニュースを見ているだけでも、「福祉国家」を考えさせられるテーマがとても多いことに気づきます。一般的には社会保障を通して意識させられることの多い福祉国家ですが、さまざまに社会的な規制をかけることによっても、その力を及ぼしていることも忘れてはなりません。本書では、福祉国家とは何なのか、またそれをどのように考えればよいのか、根本に立ち返ってわかりやすく議論を展開していきますが、それとともに福祉国家が直面している現代的課題にも目を向けます。【担当編集者】
登録情報
- 出版社 : 東京大学出版会 (2007/11/20)
- 発売日 : 2007/11/20
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 262ページ
- ISBN-10 : 4130501690
- ISBN-13 : 978-4130501699
- Amazon 売れ筋ランキング: - 647,189位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2008年1月10日に日本でレビュー済み
2023年1月25日に日本でレビュー済み
序章 福祉国家とは何か
I 社会変動と福祉国家
1章 福祉国家と福祉社会の協働
2章 福祉レジーム間のヘゲモニー競争
3章 グローバル化と福祉国家
4章 個人化と福祉国家
II 福祉国家の比較研究――福祉資本主義の3つの世界
5章 日本の福祉国家レジーム
6章 福祉オリエンタリズムの終焉
7章 福祉レジーム論と東アジア世界
8章 福祉国家形成の国際環境
終章 市民権の構造転換
I 社会変動と福祉国家
1章 福祉国家と福祉社会の協働
2章 福祉レジーム間のヘゲモニー競争
3章 グローバル化と福祉国家
4章 個人化と福祉国家
II 福祉国家の比較研究――福祉資本主義の3つの世界
5章 日本の福祉国家レジーム
6章 福祉オリエンタリズムの終焉
7章 福祉レジーム論と東アジア世界
8章 福祉国家形成の国際環境
終章 市民権の構造転換
2011年1月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
1930年代、イギリスがナチス・ドイツの全体主義に対して福祉国家を提唱して以来、資本主義経済国にとって福祉は不可欠の政策になった。自由主義経済は際限のない格差を生み、国民統合が維持できないからである。今日「福祉国家」を論ずることは国家論そのものである。
「福祉」の概念は広い。自由主義経済の富の分配によって生じる格差を緩和することが福祉であるとするならば、男女雇用機会均等も地域振興の公共事業も福祉の一部である。アメリカでは公的年金や公的医療保険は貧弱であるが、独占の排除や、性別年齢による雇用差別に対する規制は厳しい。それが市場経済を尊重するアメリカの福祉の方法なのである。
にもかかわらず最近福祉政策に対する風当たりが強い。福祉の必要性自体を理解しない論客も少なくない。なぜそのようなことになるのか。
著者によれば福祉国家とは、資本主義経済による生産力が一定の段階に達し、国家による諸階級の包摂を求める国民の政治的選択によって始まる国家体制であるとされる。その社会条件は積極財政によって完全雇用が実現され、大量生産大量消費により産業の恩恵が国民全体にいきわたる、いわゆるフォーディズム化された社会である。
ところが1970年代以降、先進工業国では雇用の主力が第3次産業に移ったため、福祉国家の維持に必要な生産性が維持できず、その負担がすべて国家財政の悪化となって現れる。その結果福祉支給が攻撃されることになるという。
著者は福祉国家の概念を根本から変える必要があるという。これまでの資本主義経済は「働かざるもの食うべからず」の原則の下に作られてきた。しかし社会の個人化が進む現在、このような実績主義に基づくのではなく、そこで生きていること、市民として参加していること、すなわち拡張された「市民権」に基づく生産物分配が必要なのではないか。
表題とされた「連帯」と「承認」はこの市民権を形成する過程の理念として上げられている。特に後者はヘーゲル哲学に起源を持ち、20世紀の多文化主義やフェミニズムによって再発見された概念だとする。
しかし残念ながら、本書では「連帯」と「承認」がどのように新しい福祉国家を作り出していくのか、その具体的プロセスについては不鮮明である。著者の他の著作を見ると、ベーシック・インカムへの志向を強く持っているようであるが、本書ではそれが現れてこない。著者自身、この問題は90年代末から2000年初めにかけて考察したものの、「その後、この点について考えることを中断してしまった」という。
私見では、19世紀市民社会を前提とするヘーゲル哲学による「連帯」と「承認」では、市民道徳の規範が溶解し、個人の欲望が沸騰するポストフォーディズム社会では、人どうしを結びつける紐帯にはなりえないのではないかと思う。そこが減点1。
本書の価値はむしろ福祉国家理論の深化と、日本を初めとする東アジアの福祉国家の現状分析にある。
本書は「 福祉資本主義の三つの世界 (MINERVA福祉ライブラリー) 」に深い影響を受けて書かれている。この本は福祉国家をマクロ的な視点から分析分類して、今日の福祉国家論のパラダイムを築いた。著者はこの本に書かれた3つの福祉レジーム論を批判的に継承する。そのうえで福祉国家を安易に類型化すると「福祉オリエンタリズム」に陥ることになると指摘し、福祉国家は文化的差異ではなく、むしろその誕生時期の経済状況に規定されると説いた。欧米諸国は第2次世界大戦後の復興と60年代までの冷戦下における経済成長期に本格的な福祉国家化が始まったので社会民主主義的な色彩が強かったのに対し、日本は73年の石油ショック時に始まったために公共事業投資に重心が置かれた。となりの韓国では90年代通貨危機時にIMFの影響下で始まったがゆえに、格差是正としての福祉そのものより雇用調整を主眼としたワークフェアに重きを置く福祉政策が取られているとする。いずれもまだ論証が必要なのであろうが、傾聴に値する卓見である。
表題に現れる理念より、今日福祉国家がおかれた状況についての現状認識の広さ、鋭さを評価したい。論旨明快で、文章も読みやすく、私のような素人にも理解しやすかった。下手な経済書を読むより、はるかにお勧めである。
「福祉」の概念は広い。自由主義経済の富の分配によって生じる格差を緩和することが福祉であるとするならば、男女雇用機会均等も地域振興の公共事業も福祉の一部である。アメリカでは公的年金や公的医療保険は貧弱であるが、独占の排除や、性別年齢による雇用差別に対する規制は厳しい。それが市場経済を尊重するアメリカの福祉の方法なのである。
にもかかわらず最近福祉政策に対する風当たりが強い。福祉の必要性自体を理解しない論客も少なくない。なぜそのようなことになるのか。
著者によれば福祉国家とは、資本主義経済による生産力が一定の段階に達し、国家による諸階級の包摂を求める国民の政治的選択によって始まる国家体制であるとされる。その社会条件は積極財政によって完全雇用が実現され、大量生産大量消費により産業の恩恵が国民全体にいきわたる、いわゆるフォーディズム化された社会である。
ところが1970年代以降、先進工業国では雇用の主力が第3次産業に移ったため、福祉国家の維持に必要な生産性が維持できず、その負担がすべて国家財政の悪化となって現れる。その結果福祉支給が攻撃されることになるという。
著者は福祉国家の概念を根本から変える必要があるという。これまでの資本主義経済は「働かざるもの食うべからず」の原則の下に作られてきた。しかし社会の個人化が進む現在、このような実績主義に基づくのではなく、そこで生きていること、市民として参加していること、すなわち拡張された「市民権」に基づく生産物分配が必要なのではないか。
表題とされた「連帯」と「承認」はこの市民権を形成する過程の理念として上げられている。特に後者はヘーゲル哲学に起源を持ち、20世紀の多文化主義やフェミニズムによって再発見された概念だとする。
しかし残念ながら、本書では「連帯」と「承認」がどのように新しい福祉国家を作り出していくのか、その具体的プロセスについては不鮮明である。著者の他の著作を見ると、ベーシック・インカムへの志向を強く持っているようであるが、本書ではそれが現れてこない。著者自身、この問題は90年代末から2000年初めにかけて考察したものの、「その後、この点について考えることを中断してしまった」という。
私見では、19世紀市民社会を前提とするヘーゲル哲学による「連帯」と「承認」では、市民道徳の規範が溶解し、個人の欲望が沸騰するポストフォーディズム社会では、人どうしを結びつける紐帯にはなりえないのではないかと思う。そこが減点1。
本書の価値はむしろ福祉国家理論の深化と、日本を初めとする東アジアの福祉国家の現状分析にある。
本書は「 福祉資本主義の三つの世界 (MINERVA福祉ライブラリー) 」に深い影響を受けて書かれている。この本は福祉国家をマクロ的な視点から分析分類して、今日の福祉国家論のパラダイムを築いた。著者はこの本に書かれた3つの福祉レジーム論を批判的に継承する。そのうえで福祉国家を安易に類型化すると「福祉オリエンタリズム」に陥ることになると指摘し、福祉国家は文化的差異ではなく、むしろその誕生時期の経済状況に規定されると説いた。欧米諸国は第2次世界大戦後の復興と60年代までの冷戦下における経済成長期に本格的な福祉国家化が始まったので社会民主主義的な色彩が強かったのに対し、日本は73年の石油ショック時に始まったために公共事業投資に重心が置かれた。となりの韓国では90年代通貨危機時にIMFの影響下で始まったがゆえに、格差是正としての福祉そのものより雇用調整を主眼としたワークフェアに重きを置く福祉政策が取られているとする。いずれもまだ論証が必要なのであろうが、傾聴に値する卓見である。
表題に現れる理念より、今日福祉国家がおかれた状況についての現状認識の広さ、鋭さを評価したい。論旨明快で、文章も読みやすく、私のような素人にも理解しやすかった。下手な経済書を読むより、はるかにお勧めである。