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生命とは何か: 複雑系生命論序説 単行本 – 2003/11/1

4.7 5つ星のうち4.7 4個の評価

商品の説明

内容(「MARC」データベースより)

生命科学を複雑系の科学として再構築し、最先端の研究成果をもとに、理論・モデル・実験から「生命」現象の本質へと迫る。これまで著者が行ってきた講義をもとに、わかりやすくていねいに解説した、本格的な入門書。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 東京大学出版会 (2003/11/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2003/11/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 430ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4130623036
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4130623032
  • カスタマーレビュー:
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金子 邦彦
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上位レビュー、対象国: 日本

2023年10月15日に日本でレビュー済み
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【柔らかさの力学】生命の本質は、力学的な「ゆらぎ・むだ・少数支配・階層」か?

 多くの物理学者が、全宇宙を解く唯一無二の “神の数式” の存在を信じたように、著者もまた、「生命現象を一つの力学方程式で表現できる。」と信じた。本書の冒頭で「DNAやタンパク質分子などの化学成分を持っていることは必要条件でも十分条件でもない。宇宙の何処かには、タンパク質を必要としない生命もあるはず。」と主張する。一生の時間感覚も、1分、100年、1億年というスケール感なのだろう。ならば、宇宙全体に共通する、「生き物らしさ」を演じる特別の力を持つ普遍的構成要素があるかもしれない、と妄想した。著者の思考の中では、「雲」や「自然言語」などの発生・増殖・消失も、生命活動の範疇なのだろうか、と余計な疑問も湧いてくる。
 多くの生物学者は、顕微鏡で見た現象から生命を「代謝・増殖・遺伝・進化・恒常性・階層性…」などと多様な定義を試みていた。しかし著者は、物理学者が一般的に行う方法、つまり、可能な限り修飾的と思われる生命現象を削ぎ落としながら、最も簡潔で粗い見方のモデルにして、計算機(数理物理)による新たな視点から「生命システム」の本質を「ゆらぎ・むだ・少数支配・階層」だと定義しようとした。本書は、日本におけるシステム生物学の黎明期において悪戦苦闘した、整理不十分のままの研究記録である。以降いくつかの知見を更新させた書籍が出版されたが、著者の強い「力学的生命観」を伺い知ることができるものは本書が唯一である。

………………………… 著者が啓蒙された先駆者達のアイデア …………………………
・シュレディンガー『物理学者の視点 』で生命の普遍的性質を解明しようとした
・ダイソン    『いいかげん   』な化学成分によりいいかげんに複製する生命
・チューリング  『反応拡散方程式 』に従う化学反応が生物の縞模様を浮かび出す 
・カウフマン   『反応ネットワーク』の階層間正負フィードバックをブール式で表現
………………………………………………………………………………………………………

【ゆらぎとむだの力学】分子生物学(枚挙主義)だけでは、生命の本質を語れない理由

 過去の生物学者の多くが、「1生物体=1生命」という誤解をしていた。一人の人間は人体60兆個の生命と微生物100兆個の生命がゆるく共生する細胞集合体だった。単細胞微生物の生命も、粗く離れた多種多様な微生物の細胞生命どうしが作用し合う、生命集団体の一部と考えるべきだった。構築された社会組織の一人の人間のゆらいだ存在のように…。また、生命システムは、環境異変で困った状況に陥った時に備える、活動しない数千種類のタンパク質や触媒成分と膨大なその破片や残骸を、冗長成分として内蔵している。これらは表現型に現れないため、ラマルク的(神が創造するプロセスには、必ず目的がある)な生物学者から「むだな成分」として無視されていた。
 このように、表現型機能として現れるミクロ過程(必要条件)だけを、都合よく寄せ木細工のように組み立てる分子生物学だけなら、機能と成分を1対1に厳密に対応させた堅い分子による非生物的モデル(if then論理機械)に近づいて行ってしまう。実際の生命は、膨大なむだな化学成分の中から、環境条件よってその時に選ばれた少数派成分だけが化学反応を相互支配する、多対多ネットワークの「柔らかな動的制御システム」だった。

……… 基礎編(大学教養レベル)…… 分子生物学の批判から始まった ……………
   [著者のこだわり]     [数理モデル構築の重要ポイント]
1章 膨大な冗長分子存在:ミクロ過程(必要条件)の寄せ木細工的な組立思考を批判
   遍歴を記憶する細胞:遺伝子と環境だけでなく、状態の時間的履歴にも依存する
   ミクロ⇔マクロ相補:各細胞は、細胞集団全体を知っているかのように振る舞う
2章 生命現象の十分条件:モデル化と実験を並行し、生命普遍則(十分条件)を探る
   宇宙生命の存在検証:現存生物を大幅に変えた系で、生命現象が現れるか調べる
   if then論理演算否定:表面的模倣の人工生命ではない「普遍生命」モデルを思考
3章 複雑系力学を応用 :ゆらぎを通していくつかの状態間を遷移する細胞分化モデル
     アトラクター⇒ 化学反応のゆらぎがとびとびの細胞機能へ遷移し準安定化
     ベイスン  ⇒ 異なるアトラクターへ一時的に停留する(可塑性よどみ)
     カオス   ⇒ ミクロ化学成分の差異が、マクロ状態を形成する相転移
4章 揺動散逸定理の拡張:平衡状態なら、外力に対するゆらぎの応答率は比例する
   ルシャトリエの原理:平衡状態なら、外力を打ち消す方向の応答により安定化する
   エルゴード性の否定:細胞と集団の相補があれば、細胞と集団の時間平均が異なる
   本質は2つのゆらぎ:細胞状態の時間的ゆらぎ と 集団内の異種細胞分布ゆらぎ
   ゆらぎの大きさ  :生物ゆらぎは、分子数Nの期待確率1/√Nより遥かに小さい
            :非ランダムなゆらぎは、細胞集団化により更に安定減少する
………………………………………………………………………………………………………

【自然界の不思議な力】 自然は、平衡状態を維持する正負帰還型「自動制御システム」

 1980年以降、個人用デジタル計算機(PC)の性能が向上し、一般研究者でも高度シミュレーションや大規模データ解析を気軽に行えるようになった。おかげで、物理学、生物学、社会科学分野において、100を超える「べき乗則・生物アロメトリー」等の「自然界の法則」らしき特徴を発見した。河川分岐理論(ストラー数:4分岐が最も効率が良い)などは、応用範囲を拡大し、樹木の枝振り、動物の血管・神経の分岐、呼吸器、ソフトウエア開発言語のコンパイルレジスタ割り付け、ソーシャルネットワーク樹状・階層構造分析にも応用されるようになった。
 多くの研究者は、自然界は複雑に見えるが、外力(不安定)に対して徐々に平衡状態(安定)を保てるように、正負フィードバックを伴うシンプルな「自動制御システム」として成り立っているらしい、と気づき始めた。それは、古くから知られた制御工学における自律応答システムである。

…………………… 参考図書:べき乗則・生物アロメトリー ……………………………
アロメトリー(allometry):生物の体の大きさにかかわらず、2つの指標(例:身長と体
             重)の間に成立する“べき乗則(両対数線形関係)”のこと
 1992 本川 達雄    『ゾウの時間、ネズミの時間 サイズの生物学』
 2005 Mark Buchanan『複雑な世界、単純な法則ネットワーク科学の最前線』
 2009 John Whitfield 『生き物たちは3/4が好き』
 2013 Adrian Bejan 『流れとかたち―万物のデザインを決める新たな物理法則』
………………………………………………………………………………………………………

 一方、複雑系研究者の多くが、デジタル計算機の精度誤差(有効桁)から始まったカオス理論に翻弄された時代でもあった。同様に著者も、不安定と安定を繰り返すような複雑な挙動を見せる自然・生命現象を解明する糸口になるはずだと期待し、この理論にすがったようだ。しかし、本書に再三現れる複雑系力学用語(アトラクターとベイスン)の強引な適用について、本筋から迷走する不安感を抱かせる。過去に研究しつくされた制御工学においては、帰還制御解析に現れる収束安定・発振・発散・状態遷移などの出力が、刺激的な複雑系理論とは無縁の、当然の帰結と考えられていた。それ以前まで使用されていたアナログ計算機は、真空管増幅機を組み合わせた複数の帰還型電子回路で構成されていたため、有効桁の制限など無かった。

【生命を支配する少数派力学】生命の階層制御を7つの力学モデルで解き明かそうとした

 自然界に遍在する一般則(ジップ則・べき乗則・ゆらぎ対数正規則)には、その規模や頻度の関係が不思議な「相似則」を持つ階層構造を示す。タンパク質と触媒成分、細胞と細胞、集合体と集合体、の階層内相互作用だけでなく、階層間においても相似的相互作用をするところに着眼した力学モデルがポイントである。細胞内分子数はアボガドロ数より極端に少なく、数より種類が多い細胞世界に、統計力学や熱力学はなじまない。しかし、「ゆらぐ少数派の支配」という増殖時の特徴を発見することで、生命普遍則の解明に大きく前進することができた。

……… 実践編(専門家レベル)…… 生命階層における力学的7モデル ……………
  [階層的力学モデル]  [結果から予測した生命の力学的法則]
 5章 ①分子モデル=『増殖速度差がある相互触媒2分子』のプロト細胞分裂モデル
          :遅い少数派分子側が、多数派分子の速い触媒増殖反応を抑制する
          :細胞間競合の数抑圧により、少数派分子側が細胞分裂を支配する
          :相互触媒反応系では、少数分子が遺伝情報を担う側へ役割分化
 6章 ②細胞モデル=『触媒反応ネットワーク⇒増殖⇒細胞分裂』のプロト階層モデル
          :以下2つの一般法則に従う
             ・触媒反応による化学成分増加量は「ジップ則」に従う   
             ・その成分増加量のゆらぎは「対数正規分布」になる
 7章 ③分化モデル=『カウフマンのブーリアン・ネットワーク』モデル
           『ミカエリス・メンテン動力学』モデル
          :細胞間距離差により競合と安定の2状態へクラスター分化する
          :同状態細胞が増殖分化後に異状態化『同一多様化理論』大野乾
 8章 ④機能モデル=『ES細胞⇒幹細胞⇒機能固定細胞』の階層的機能発生モデル
          :化学成分濃度が、細胞機能分化を決め、機能集団クラスタを決定
          :細胞から成り立つ集団の性質が、また細胞自身の状態を変える
 9章 ⑤配置モデル=『化学成分の拡散波が生物の模様を作る』チューリング・モデル
          :細胞膜を通過した化学成分濃度勾配が、機能集団クラスタを決定
          :分裂細胞が集団を外へ押し出す履歴により、機能と形態が決まる
10章 ⑥進化モデル=『表現型特徴が遺伝子固定される形質分岐』の進化過程モデル
          :種の分化(2分岐)は中間がなく、生物の形質が離散分布になる
          :雑種(中間種)不稔性と選り好み交配が、中間種を淘汰する
          :表現型分化→遺伝子固定→雑種不稔→選り好み→2空間棲分け
11章 ⑦個体モデル=『細胞集団が同じ細胞集団をつくる』少数派生殖細胞モデル
          :限られた少数の生殖細胞だけが子孫を残すことができる
          :もし多数の体細胞増殖が可能なら、多種突然変異が蓄積してしまう
          :発生過程の初期条件を狭く定め、少数の生殖細胞のみに限定する
  [今後の課題] :共生進化 =異なる細胞モデルどうしが合体可能な柔軟なモデル
          :適応と記憶=以前の刺激を記憶する力学系細胞集団モデル
          :分子機械 =高分子タンパク質を点でなく形状で定義したモデル
……… 現象論(一般読者レベル)…… 生命現象を巨視的に解釈する ………………
12章 自然性の条件:状態反応の数Nが6以上時、自然性のある生命現象が現れる?
           状態空間数2^N < 組合せクラスター数(N-1)! を満たす数
          :人の認知過程、社会集団の階層構造、社会規範の固定化に通ずる
………………………………………………………………………………………………………