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建築を語る 単行本 – 1999/6/1
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- 本の長さ259ページ
- 言語日本語
- 出版社東京大学出版会
- 発売日1999/6/1
- ISBN-104130638009
- ISBN-13978-4130638005
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商品の説明
メディア掲載レビューほか
建築をまったくの独学で学びながら,コンクリート打放しによる単純で研ぎ澄まされた作品を次々に発表し,今や世界的に著名な建築家の一人となった筆者は,1997年,アカデミズムの頂点に位置する東京大学の建築学科教授に迎えられる。本書は,その東京大学大学院において学生に向けて語られた講義を元にまとめられた貴重なドキュメントである。
1941年,大阪に生まれた筆者の20代はそのまま激動の1960年代に重なる。この講義では,そうした時代を文明史的な視点から振り返る一方で,15歳で自宅の増築を手がけて建築の世界に目を開いたこと,F・L・ライトの帝国ホテルの空間に衝撃を受けたこと,正規の建築教育を受けることなくモダニズムのリーダーになったル・コルビュジエの生き方に自らの境遇を重ねて勇気づけられたこと,そして,日本全国を手始めに世界中を駆け巡った建築巡礼の旅から学んだことなど,無名の若者が大きく揺れ動く時代の下でいかにして建築家を目指すに至ったか,が率直な言葉で語られている。そこには,また,同時代の前衛芸術家に触発される中から,既存の枠組みに果敢に挑戦していく筆者の基本姿勢が形づくられたことも明らかにされていて興味深い。
こうして,筆者は,自分史を織り混ぜながら,1976年のデビュー作「住吉の長屋」から最新作の「淡路夢舞台」まで,その四半世紀に及ぶ活動から生み出された作品の創作プロセスとそこに込められた思いを披露していく。
中でも圧巻なのは,それらプロジェクトの大半が,実は,当初の計画にはなかったものの実現であるという点だ。そこには,与えられた条件を自由に読み替えて構想をふくらます腕力と,それに裏打ちされたドローイングの表現力があったに違いない。
おそらく,建築家とは,かくも大胆に建築的イメージを飛翔させ,ときには現実すらも動かしてしまう粘り強い精神の持ち主なのか,と驚かされることだろう。彼はこう述べている。
「建築は社会的,法的規制からは逃げられません。しかし,その建築においても何を第一に優先させるかと問われたら,私は考える自由をもち続けることと答えたい」ここには,建築を考えることの難しさと喜びとが同時に語られている。本書から受け取れる最大のメッセージだと思う。
けれども,一方で,その明快な語り口に一抹の不安が残ってしまうのも事実だ。筆者の示す建築家像のかっこよさには憧れつつも,社会が急速に作り続ける力,前進する勢いを失い,どこかにいやしさえ求め始めている中で,はたして建築だけがこの先どこまで元気でいられるのか。あるいは,阪神・淡路大震災でも明らかになったように,筆者が常に闘い挑戦してきた都市が,むしろ心のよりどころでもあり,守り慈しむ対象でもあったと見直されつつあるとき,建築の作り方はどう変わるのか。それへの回答は,筆者への期待を超え,現在の建築の大きなテーマそのものであるに違いない。 (京都工芸繊維大学 工芸学部造形工学科 助教授 松隈 洋)
(Copyright©2000 ブックレビュー社.All rights reserved.)
-- ブックレビュー社
内容(「MARC」データベースより)
登録情報
- 出版社 : 東京大学出版会 (1999/6/1)
- 発売日 : 1999/6/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 259ページ
- ISBN-10 : 4130638009
- ISBN-13 : 978-4130638005
- Amazon 売れ筋ランキング: - 52,675位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 15位建築家・様式
- カスタマーレビュー:
著者について
1941年大阪生まれ。建築家。独学で建築を学び、1969年に安藤忠雄建築研究所を設立。1979年、「住吉の長屋」で日本建築学会賞受賞。イエール大学、コロンビア大学、ハーバード大学の客員教授を務める。1997年から東京大学教授、2003年から同大学名誉教授。日本芸術院賞(1993年)、プリツカー賞(1995年)、国際建築家連合(UIA)ゴールドメダル(2005年)など受賞多数。2010年、文化勲章受章(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『TADAO ANDO Insight Guide 安藤忠雄とその記憶(ISBN-10: 406218298X)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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人を動かすのに様々なヒントが教えていただけました。また彼の著書を読み続ける限り彼とは会ってもいないけどいつでも教えてくれます。
「人生というものは所詮どちらに転んでも大した違いはない。ならば闘って、自分の目指すこと、信じることを貫き通せばいいのだ。
闘いであるからには、いつか必ず敗れる時がくる。その時は、自然に淘汰されるのに任せよう」
この冒頭の一文を読んだとき、世界的に認められている超一級の建築家が、こんなことを考えながら仕事をしているなんて、と驚きました。
仕事に対する真摯な姿勢と、ある意味美しさすら感じてしまう、その潔さに心を打たれました。
人間ここまでの地位に来ると、自分の力を盲信しそうなものなのに、そうならないのが超一流の所以か。
学生時代、貧乏旅行をして関西の安藤建築を見て歩きました。
光の教会を訪れた際、そこで頂いた簡素なパンフレットをしおり代わりにはさんであります。
コンクリートの通路を抜け、礼拝堂いっぱいに十字架の光が差し込んでいた時の衝撃は、何年経っても忘れることができません。
できれば、ひとつでもいいから安藤建築を実際にご覧になってから、読んでみてください。
コンクリートの思いがけない美しさや温かさの感触を思い出しながら読むと、更に安藤さんが好きになると思います。