尊攘志士として自滅したかも知れない渋沢が、一橋家に奉公し、民部大夫に随行しパリ万博のために渡欧して、維新の動乱に巻き込まれること無く壮大な西洋文明に遭遇・・・帰朝後そこで得た新知識により新政府に召しだされて重用され、大蔵省を皮切りに新国家システムの構築に貢献し、実業界に身を投じて多くの基幹産業分野で近代商工業を起こした・・・幕末から明治の近代日本の黎明期に人生を駆け抜けた偉大な実業家渋沢の一代叙事詩がこの本。
パリの目も眩むような文化文明の輝きを見て衝撃的なカルチュア・ショックを受けた渋沢は、2年弱の在欧中に精力的に視察探求し、合本法や四民平等等西洋の新知識を学ぶ。横浜襲撃を企画したコチコチの尊王攘夷の志士渋沢が、和魂洋才思考に転じた瞬間だが、偉い所は、万博を文化文明の精華として礼賛するナポレオン3世の演説を聞いて、「今に見ておれ」と思ったこと。
トインビーの挑戦・応戦論ではないが、幕末・明治維新の頃、かなりの日本人が欧米に洋行・留学し、新知識と新技術を導入して、欧米の強大な経済力と文化文明の精華を、新生日本への挑戦と受け止めて、果敢に挑戦して近代化を企図した。(大戦後の復興も同様であろう。)
この渋沢伝の上巻は、その部分の大蔵省奉職頃までだが、一橋慶喜との関りや欧州事情など、幕末の日欧の動向が万華鏡の様に語られていて面白い。淡々と語るドキュメンタリー・タッチの津本陽の筆の冴えが素晴らしい。
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小説 渋沢栄一 曖々(あいあい)たり 単行本 – 2004/6/30
津本 陽
(著)
曖々たり
- 本の長さ377ページ
- 言語日本語
- 出版社NHK出版
- 発売日2004/6/30
- ISBN-104140054492
- ISBN-13978-4140054499
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
それは、因習を破壊し、新しい時代を目指す戦いだった。幕末維新の潮流に身を投じ、時代の閉塞を打ち破った雄渾・孔明の経済人・渋沢栄一の生涯を描く。
登録情報
- 出版社 : NHK出版 (2004/6/30)
- 発売日 : 2004/6/30
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 377ページ
- ISBN-10 : 4140054492
- ISBN-13 : 978-4140054499
- Amazon 売れ筋ランキング: - 823,468位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 216,752位文学・評論 (本)
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