「天地人」は新聞連載中も興味深く読んでいたが、改めて単行本を読んで感激しました。
作者の筆がスムーズであることもあるが、直江兼続を何としてでも書きたいという作者の意欲がビンビン伝わり、その心意気に一気呵成に読み上げてしまったというのが実情です。その中核は「義」とは何かです。
今、日本人が失いつつある義というものを、謙信をして「人が人であるための心得だ、義なく
ば人はただ欲にまみれ野の禽獣と変わらなくなるだろう」と言わしめ、それを兼続に引き継がせています。
この一点をとってもここ数年に無かった出色の素晴らしい歴史小説です。作者が兼続に託したこのメッセージをしっかり受け止めたいと思います。
ぜひ多くの人に読んでもらいたい本だと考えています。
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天地人 下 単行本 – 2006/9/1
火坂 雅志
(著)
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- 本の長さ421ページ
- 言語日本語
- 出版社NHK出版
- 発売日2006/9/1
- ISBN-104140055049
- ISBN-13978-4140055045
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登録情報
- 出版社 : NHK出版 (2006/9/1)
- 発売日 : 2006/9/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 421ページ
- ISBN-10 : 4140055049
- ISBN-13 : 978-4140055045
- Amazon 売れ筋ランキング: - 694,365位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 194,166位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1956年、新潟県生まれ。早稲田大学卒業後、出版社勤務を経て88年『花月秘拳行』で作家デビュー。上杉景勝の家臣、直江兼続の生涯を描いた『天地人』が2009年のNHK大河ドラマの原作となり、2007年第13回中山義秀文学賞を受賞した。現在、最も注目されている歴史小説家(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 天地人 上 (ISBN-13: 978-4167773588 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2008年1月3日に日本でレビュー済み
下巻は秀吉の天下統一からその死、そしていよいよ本番の関ヶ原と続き、最後は大阪夏の陣で
終わっていくのだが、やはり話が淡々としすぎていてすんなりと話が進みすぎているきらいがある。
特に関ヶ原の決戦前夜に関しては、直江兼続最大の見せ場であり、石田三成との邂逅〜直江状〜伊達・最上
との戦いまではもっと多く割いて欲しかったと思うし、対上杉景勝だけではなく、家臣達の
心情などに関しても触れてくれると臨場感があったと思うのだが…(戦闘シーンの描写が苦手なのだろうか?)。
特に関ヶ原前後は徳川側、もしくは石田側から描かれることが多い関ヶ原の戦いを上杉・直江側から
描く最高のチャンスであるのに、その心情や背景が充分に描ききれなかったと言うのは非常に残念である。
無論、下敷きにする歴史資料等の量にも依存するのであろうが、もっと言及できる部分があったのではないだろうか?。
そう言う意味で、陪臣である直江兼続をテーマに選びながら、完全に
生かし切れなかった意味で少し残念であった。
また、上巻からの「初音」の扱いや千利休の娘「お涼」などは扱いがずさんでなんで登場させたのか、
意味が見いだせなかった。武将物の歴史小説には正妻/側室の他に女忍者などを愛人の様に絡ませるケース
が少なくないが、あまり効果的とは思えず、本作もその例から漏れないのが残念である。
加えて真田幸村との関係に比較的多くの紙面を割いているが、これも同時期に春日山城下に
住んでいたと言うのは事実だろうが、多忙かつ上杉家の枢要を担う兼続が人質に手ほどきをする
時間があったとも思えないのだが…。仮にあったとしても本作の中ではあまり効果のある伏線
ではなく、蛇足だと感じた。
とは言え、まずますストーリーは纏まっていたし、関ヶ原〜大阪冬の陣の間の上杉家の扱いや
変遷がきちんと描かれていた点は評価出来ると思う。全体としてもう少し主人公以外の登場人物
の取り扱いが丁寧であればもっと読めた本だと思われ、その点だけが残念であった。
終わっていくのだが、やはり話が淡々としすぎていてすんなりと話が進みすぎているきらいがある。
特に関ヶ原の決戦前夜に関しては、直江兼続最大の見せ場であり、石田三成との邂逅〜直江状〜伊達・最上
との戦いまではもっと多く割いて欲しかったと思うし、対上杉景勝だけではなく、家臣達の
心情などに関しても触れてくれると臨場感があったと思うのだが…(戦闘シーンの描写が苦手なのだろうか?)。
特に関ヶ原前後は徳川側、もしくは石田側から描かれることが多い関ヶ原の戦いを上杉・直江側から
描く最高のチャンスであるのに、その心情や背景が充分に描ききれなかったと言うのは非常に残念である。
無論、下敷きにする歴史資料等の量にも依存するのであろうが、もっと言及できる部分があったのではないだろうか?。
そう言う意味で、陪臣である直江兼続をテーマに選びながら、完全に
生かし切れなかった意味で少し残念であった。
また、上巻からの「初音」の扱いや千利休の娘「お涼」などは扱いがずさんでなんで登場させたのか、
意味が見いだせなかった。武将物の歴史小説には正妻/側室の他に女忍者などを愛人の様に絡ませるケース
が少なくないが、あまり効果的とは思えず、本作もその例から漏れないのが残念である。
加えて真田幸村との関係に比較的多くの紙面を割いているが、これも同時期に春日山城下に
住んでいたと言うのは事実だろうが、多忙かつ上杉家の枢要を担う兼続が人質に手ほどきをする
時間があったとも思えないのだが…。仮にあったとしても本作の中ではあまり効果のある伏線
ではなく、蛇足だと感じた。
とは言え、まずますストーリーは纏まっていたし、関ヶ原〜大阪冬の陣の間の上杉家の扱いや
変遷がきちんと描かれていた点は評価出来ると思う。全体としてもう少し主人公以外の登場人物
の取り扱いが丁寧であればもっと読めた本だと思われ、その点だけが残念であった。
2010年5月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
NHK大河ドラマが有名になりすぎた感があるが火坂作品の中ではそれほど感動する作品ではない。
虎の城(藤堂高虎)、黒衣の宰相(金地院崇伝)の方がはるかに面白い。
TVドラマは出来が悪く変な兼継像を植え付けてしまった点が残念だが、原作を読んでほっとした感がある。
原作の映像化はたいてい出来が悪いが本作品も同様だ。
一般文学通算572作品目の感想。 通算884冊目の作品。2010/05/03(in中国・山東省・青島)
虎の城(藤堂高虎)、黒衣の宰相(金地院崇伝)の方がはるかに面白い。
TVドラマは出来が悪く変な兼継像を植え付けてしまった点が残念だが、原作を読んでほっとした感がある。
原作の映像化はたいてい出来が悪いが本作品も同様だ。
一般文学通算572作品目の感想。 通算884冊目の作品。2010/05/03(in中国・山東省・青島)
2008年6月28日に日本でレビュー済み
義の人として有名な直江兼続。
本作品では、彼の行動原理として義に沿っているか否かが重要視されています。
ただ、再び天下騒乱を招くことによる民の苦難を避けるために、関ヶ原に向う徳川家康の背後を襲うことをやめる決断をした上杉家。直後の最上進行によって自ら騒乱を招くという一見矛盾とも取れる行動。
実際、徳川方が勝つという史実を知っている我々とは違い、当時は豊臣方と実力伯仲、どっちに転ぶかわからない状況だったと思います。
そのような中、この上杉家の行動は、天下国家のことはさて置き、混乱に乗じて自領を拡大する方針を選択したとも言えます。およそ義に沿っているとは言えません。
例えば、このような選択に至るまでの兼続の心情の変化、成長、悔恨、鬱屈など生々しく伝えて欲しかったと思いました。簡単に言えば、読者をもうちょっと兼続に感情移入させて欲しかった。
今度、そういった違う視点の小説も読んでみたいと思いました。
本作品では、彼の行動原理として義に沿っているか否かが重要視されています。
ただ、再び天下騒乱を招くことによる民の苦難を避けるために、関ヶ原に向う徳川家康の背後を襲うことをやめる決断をした上杉家。直後の最上進行によって自ら騒乱を招くという一見矛盾とも取れる行動。
実際、徳川方が勝つという史実を知っている我々とは違い、当時は豊臣方と実力伯仲、どっちに転ぶかわからない状況だったと思います。
そのような中、この上杉家の行動は、天下国家のことはさて置き、混乱に乗じて自領を拡大する方針を選択したとも言えます。およそ義に沿っているとは言えません。
例えば、このような選択に至るまでの兼続の心情の変化、成長、悔恨、鬱屈など生々しく伝えて欲しかったと思いました。簡単に言えば、読者をもうちょっと兼続に感情移入させて欲しかった。
今度、そういった違う視点の小説も読んでみたいと思いました。
2011年7月5日に日本でレビュー済み
本書(火坂雅志『天地人 上下』日本放送出版協会、2006年)は戦国時代から江戸時代初期にかけて活躍した武将・直江兼続を描いた歴史小説である。本書は2009年のNHK大河ドラマの原作でもある。
本書において直江兼続は上杉謙信に師事し、上杉家の執政として主君・景勝を支えた。利益のためには主君を裏切り、親兄弟で争うことが常態化した戦国乱世にあって、兼続は謙信の教えに従い、義を貫き通した。
圧巻は世に名高い直江状である。豊臣秀吉没後、天下への野心を顕わにした徳川家康が上杉家に「謀反の疑いあり」と言いがかりをつけた。これに対し、兼続は「景勝が間違っているのか、内府さま(家康)に表裏があるのか、世の評判が決めましょう」と返書(直江状)で毅然と反論した(下巻288頁)。豊臣恩顧の大名でも天下の形勢を考えて家康になびく人が少なくない状況で、ここまで言い切る兼続には清々しさが感じられる。
しかし、関が原の合戦で徳川方の勝利が定まると、兼続は徹底抗戦を叫ぶ主戦派を抑え、上杉家を存続させる道を選ぶ。その執着のなさは驚くべきものである。この兼続の「変心」も本書では義のための戦いとして一貫性をもって描かれる。それは兼続の薫陶を受けた真田幸村の言葉に集約される。幸村は義という目標のためなら「たとえ泥水を舐めてでもしぶとく生き抜いていく」と語る(下巻190頁)。
一方で、これまで戦ってきた人からは「何のための戦いだったか」と不満が出ることも当然である。兼続の方針転換は裏切りと受け止められかねない。主人公である兼続に肯定的な本書でも、兼続が信頼していた実弟の離反という形で不満の声を代弁している(下巻356頁)。
結果的に兼続の夢は挫折した。そこには兼続にはコントロールできない事態があったことは確かである。石田光成の挙兵も敗北もあまりにも早すぎた。また、主君景勝は後退する徳川軍への追撃を許さなかった。これらが異なれば歴史は変わっていた筈である。
しかし本人には如何ともし難いこととはいえ、見通しを誤ったことや結果に対する責任は存在する。本書の末尾では晩年の兼続の心中を「兼続の胸に去来するのは、ほろ苦い悔恨の想いであったろう」と表現する。
本書を原作とした大河ドラマではウェブサイトに以下の紹介文を掲載していた。
「激しい戦国時代にあって、自らの理想と、大切な人の幸せのために強く生き抜き「日本の品格」を守り通した兼続の、波乱万丈の人生を描いていきます。」
兼続が「日本の品格」を守り通したとするが、義のために徳川と戦った上杉家が関が原の合戦後に臣従することが品格になるのだろうか。義のための戦いとは一回でも意地を見せればいいという程度のものなのだろうか。
これを品格とすることには抵抗があるが、兼続の変わり身の早さは日本社会では大衆受けしそうである。かつて日本は無謀な侵略戦争を推し進め、敗色が濃くなっても、「進め一億火の玉だ」と徹底抗戦を掲げ続けた。それが連合国に無条件降伏した途端、経済優先の国づくりを進める方向に転換した。戦時中は鬼畜と罵った米国を「最も強固な同盟国」と恥ずかしげもなく呼ぶことに躊躇しない。
「日本の品格」を守り通した人物と兼続を持ち上げることで、日本人の無節操な性向の正当化に利用されてしまうならば作品にとっても社会にとっても不幸である。過去と向き合い、「ほろ苦い悔恨」を抱き続けた兼続と、焼け野原から経済大国にしてしまうような前に進むだけの存在では天と地の差があるからである。
本書において直江兼続は上杉謙信に師事し、上杉家の執政として主君・景勝を支えた。利益のためには主君を裏切り、親兄弟で争うことが常態化した戦国乱世にあって、兼続は謙信の教えに従い、義を貫き通した。
圧巻は世に名高い直江状である。豊臣秀吉没後、天下への野心を顕わにした徳川家康が上杉家に「謀反の疑いあり」と言いがかりをつけた。これに対し、兼続は「景勝が間違っているのか、内府さま(家康)に表裏があるのか、世の評判が決めましょう」と返書(直江状)で毅然と反論した(下巻288頁)。豊臣恩顧の大名でも天下の形勢を考えて家康になびく人が少なくない状況で、ここまで言い切る兼続には清々しさが感じられる。
しかし、関が原の合戦で徳川方の勝利が定まると、兼続は徹底抗戦を叫ぶ主戦派を抑え、上杉家を存続させる道を選ぶ。その執着のなさは驚くべきものである。この兼続の「変心」も本書では義のための戦いとして一貫性をもって描かれる。それは兼続の薫陶を受けた真田幸村の言葉に集約される。幸村は義という目標のためなら「たとえ泥水を舐めてでもしぶとく生き抜いていく」と語る(下巻190頁)。
一方で、これまで戦ってきた人からは「何のための戦いだったか」と不満が出ることも当然である。兼続の方針転換は裏切りと受け止められかねない。主人公である兼続に肯定的な本書でも、兼続が信頼していた実弟の離反という形で不満の声を代弁している(下巻356頁)。
結果的に兼続の夢は挫折した。そこには兼続にはコントロールできない事態があったことは確かである。石田光成の挙兵も敗北もあまりにも早すぎた。また、主君景勝は後退する徳川軍への追撃を許さなかった。これらが異なれば歴史は変わっていた筈である。
しかし本人には如何ともし難いこととはいえ、見通しを誤ったことや結果に対する責任は存在する。本書の末尾では晩年の兼続の心中を「兼続の胸に去来するのは、ほろ苦い悔恨の想いであったろう」と表現する。
本書を原作とした大河ドラマではウェブサイトに以下の紹介文を掲載していた。
「激しい戦国時代にあって、自らの理想と、大切な人の幸せのために強く生き抜き「日本の品格」を守り通した兼続の、波乱万丈の人生を描いていきます。」
兼続が「日本の品格」を守り通したとするが、義のために徳川と戦った上杉家が関が原の合戦後に臣従することが品格になるのだろうか。義のための戦いとは一回でも意地を見せればいいという程度のものなのだろうか。
これを品格とすることには抵抗があるが、兼続の変わり身の早さは日本社会では大衆受けしそうである。かつて日本は無謀な侵略戦争を推し進め、敗色が濃くなっても、「進め一億火の玉だ」と徹底抗戦を掲げ続けた。それが連合国に無条件降伏した途端、経済優先の国づくりを進める方向に転換した。戦時中は鬼畜と罵った米国を「最も強固な同盟国」と恥ずかしげもなく呼ぶことに躊躇しない。
「日本の品格」を守り通した人物と兼続を持ち上げることで、日本人の無節操な性向の正当化に利用されてしまうならば作品にとっても社会にとっても不幸である。過去と向き合い、「ほろ苦い悔恨」を抱き続けた兼続と、焼け野原から経済大国にしてしまうような前に進むだけの存在では天と地の差があるからである。
2008年12月9日に日本でレビュー済み
関ヶ原の合戦のシーンは童門冬二氏の解釈に従いたい。本書のパターンはありふれすぎている。その上表現が陳腐であった。
ラストシーンで直江兼続が真田幸村と再開するというのはあまりにも脚色し過ぎではなかろうか?他にクライマックスを描く力量が著者にはなかったということであろうか?
ラストシーンで直江兼続が真田幸村と再開するというのはあまりにも脚色し過ぎではなかろうか?他にクライマックスを描く力量が著者にはなかったということであろうか?
2008年4月4日に日本でレビュー済み
上巻の最初の一文を読んだ時から納得いかない内容だと思った。全体的に『直江兼続』の話というよりも、作者の個人的な見解に基づく内容である。小説であるとはいっても、あまりに史実を無視したものであると感じた。作者は本当に史実を学んでから執筆したのか、疑問である。
兼続(というか作者の分身)を引き立たせるために、他の登場人物を卑下し過ぎているのが大変不快であった。景虎や景勝までも悪者にする必要など全くないのではないか。御館の乱が史実と全く違う経緯で引き起こっており、とても不本意な書かれ方だと感じる。それから私には、川中島合戦を否定することなどできない。この作品は、兼続はもちろん、景虎、景勝、そして謙信を愚弄しているのではないか。上杉家が好きな方、興味がある方(特に景虎)は、読まないことをおすすめする。
兼続の名のもと、「義」に見せかけた「利」を追求するのはやめていただきたいと思う。
兼続(というか作者の分身)を引き立たせるために、他の登場人物を卑下し過ぎているのが大変不快であった。景虎や景勝までも悪者にする必要など全くないのではないか。御館の乱が史実と全く違う経緯で引き起こっており、とても不本意な書かれ方だと感じる。それから私には、川中島合戦を否定することなどできない。この作品は、兼続はもちろん、景虎、景勝、そして謙信を愚弄しているのではないか。上杉家が好きな方、興味がある方(特に景虎)は、読まないことをおすすめする。
兼続の名のもと、「義」に見せかけた「利」を追求するのはやめていただきたいと思う。
2011年3月4日に日本でレビュー済み
本作は、大河ドラマの原作になったこともあり、「歴史小説」といえる。
しかし、この小説の本質はそれもあるけれど、また違ったところにあるのではないかというのが、私の意見だ。
本作から学ばなければいけないのは、“義”“愛”の精神の大切さ、その真の意味だと思う。
作者が読者に求めていることは、それを直江兼続、上杉謙信、上杉景勝などの言葉や行動から感じ取ること、またそれを実生活で役立てていくことだと思う。
そんな人が増えれば、作者も喜ぶだろう。
しかし、この小説の本質はそれもあるけれど、また違ったところにあるのではないかというのが、私の意見だ。
本作から学ばなければいけないのは、“義”“愛”の精神の大切さ、その真の意味だと思う。
作者が読者に求めていることは、それを直江兼続、上杉謙信、上杉景勝などの言葉や行動から感じ取ること、またそれを実生活で役立てていくことだと思う。
そんな人が増えれば、作者も喜ぶだろう。