今まで出会った本の中でダントツ良かった。
作者の表現力がとにかく素晴らしい。
本が届いた時分厚く感じたが、あっという間にページをめくってしまい、思ったよりも早く読み終えてしまった!
読み終わったあと、読書好きな友人にも伝えました。
映画を先に観ていたけど、本を読んでこんなにも深い物語だったのか!
もっと早く読むべきだった!と心底思いました。
主人公のオスカーにとても感情移入をしてしまい、私自身大切な人を亡くしてしまったので
オスカーの気持ちがまたよく理解出来て
何度か涙しました。
また手にYesとNoの彫り物をした人物のストーリーも非常に興味深く面白かった。
本当にいい本だった!
また読み返そうと思う。
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ものすごくうるさくて、ありえないほど近い 単行本(ソフトカバー) – 2011/7/26
ジョナサン・サフラン・フォア
(著),
近藤 隆文
(翻訳)
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歴史的な悲劇から、
希望に溢れる神話が生まれた─
全米ベストセラー、人気若手作家による9・ 11文学の金字塔、ついに邦訳。9歳の少年オスカーは、ある鍵にぴったり合う錠前を見つけるために、ママには内緒でニューヨークじゅうを探しまわっている。その謎の鍵は、あの日に死んだパパのものだった……。全米が笑い、感動して、心の奥深くから癒された、時代の悲劇と再生の物語。ヴィジュアル・ライティングの手法で編まれる新しい読書体験も話題に。
希望に溢れる神話が生まれた─
全米ベストセラー、人気若手作家による9・ 11文学の金字塔、ついに邦訳。9歳の少年オスカーは、ある鍵にぴったり合う錠前を見つけるために、ママには内緒でニューヨークじゅうを探しまわっている。その謎の鍵は、あの日に死んだパパのものだった……。全米が笑い、感動して、心の奥深くから癒された、時代の悲劇と再生の物語。ヴィジュアル・ライティングの手法で編まれる新しい読書体験も話題に。
- 本の長さ488ページ
- 言語日本語
- 出版社NHK出版
- 発売日2011/7/26
- ISBN-104140056037
- ISBN-13978-4140056035
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商品の説明
出版社からのコメント
突如ふりかかる歴史的悲劇に真っ向から対峙した、 世界的ベストセラー、待望の邦訳! 「パパがどんなふうに死んだか知る必要があるんだ」 「なぜ?」 「そしたらどんな死に方をしたか発明しなくてもよくなるから」
著者について
ジョナサン・サフラン・フォア(Jonathan Safran Foer) 1977年、ワシントンDC生まれ。プリンストン大学在学中に作家のジョイス・キャロル・オーツに才能を認められ、2002年に『エブリシング・イズ・イルミネイテッド』(ソニー・マガジンズ、2004年)でデビューした、現在アメリカでもっとも注目すべき若手作家。全米ベストセラーとなった同作品は、ガーディアン新人賞、全米ユダヤ図書賞、ニューヨーク公共図書館若獅子賞など数々の栄誉に輝き、世界30カ国で翻訳されている。長篇二作目の本作もサルマン・ラシュディ、シンシア・オジックらの同業者や、ニューヨーク・タイムズ紙、ブックリスト誌、Salon.comなど各方面で絶賛され、2009年には食をテーマとしたノンフィクション、『イーティング・アニマル』(東洋書林、2011年)で、米国の食肉・水産業界に一石を投じるなど、つぎつぎと話題作を送り出している。小説家の妻ニコール・クラウス、ふたりの子どもとともにブルックリンに暮らす。
訳者 近藤隆文(こんどう・たかふみ) 翻訳家。1963年静岡県生まれ。一橋大学社会学部卒。訳書に、フォア『エブリシング・イズ・イルミネイテッド』、マクダネル『トゥエルヴ』(以上、ソニー・マガジンズ)、アデア『エジソン』(大月書店)、クラウチ『ポスト・デモクラシー』(青灯社)、ボール『バルサとレアル』、カスパロフ『決定力を鍛える』、マクドゥーガル『BORN TO RUN 走るために生まれた』(以上、NHK出版)など多数。
登録情報
- 出版社 : NHK出版 (2011/7/26)
- 発売日 : 2011/7/26
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 488ページ
- ISBN-10 : 4140056037
- ISBN-13 : 978-4140056035
- Amazon 売れ筋ランキング: - 110,864位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,201位英米文学
- - 25,254位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2019年11月23日に日本でレビュー済み
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2013年1月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
映画を見てから、どうしても原作を読みたくて購入しました。鑑賞した後だったので筋は分かっていると思ったのですが、本と映画は別の作品でした。と言うか映画はああ撮るしかないだろうな。
本という媒体の特色を目いっぱい利用して、めくる時の間や、ひょっとしたら紙の音や表面のマチエールまで考えて書いたのでは?と思わせるページが多くあります。(これは電子書籍ではできないかも)
世界とひりひりした接触をしながら、悲しみを上手く表せずに生きる少年。祖父・祖母の微妙に触れ合いすれ違う思い・言葉のじれったさ・切なさ。主にこの二つの場面が奇妙な反響をしながら、一人の人間の死の喪失感の深さを後から重く伝えてくるようでした。
人には他人のことは理解できないのか。少年が最後に母にすがって泣くことができたように、ほんの少しの救いや理解が世界を緩やかに居心地よくしていくのだろうかと柄にもなく感じさせられました。
ゆっくりと読むのが良いでしょう。
本という媒体の特色を目いっぱい利用して、めくる時の間や、ひょっとしたら紙の音や表面のマチエールまで考えて書いたのでは?と思わせるページが多くあります。(これは電子書籍ではできないかも)
世界とひりひりした接触をしながら、悲しみを上手く表せずに生きる少年。祖父・祖母の微妙に触れ合いすれ違う思い・言葉のじれったさ・切なさ。主にこの二つの場面が奇妙な反響をしながら、一人の人間の死の喪失感の深さを後から重く伝えてくるようでした。
人には他人のことは理解できないのか。少年が最後に母にすがって泣くことができたように、ほんの少しの救いや理解が世界を緩やかに居心地よくしていくのだろうかと柄にもなく感じさせられました。
ゆっくりと読むのが良いでしょう。
2020年12月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
中学生の娘がこの話の映画にとても感動して原作を読みたいと言われて買いました。学校の読書の時間に使っているそうですが、何度も読み返しているようです。
2019年5月30日に日本でレビュー済み
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"僕は電話に出られなかった。どうしてもできなかった。電話は鳴りつづけて、僕は動けなかった。出たかったのに、できなかった。"911後から4年後のアメリカでベストセラーになり、日本では311発生の2011年に紹介された本書は奇しくも【遺された者がどう生きるか】をリアルに問いかけてくる。
個人的には、911で亡くなった父親の"昔むかし、ニューヨーク市には六つめ行政区が、あった"などの子供を想っての調査体験会話にほっこりしつつ、タイポグラフィの工夫や、合間合間に挿入される図版など、視覚的な仕掛け【ビジュアル・ライティング】が効果的に使用されていて、子供眼線の街中冒険譚といったシンプルな展開で終わらない物語の重厚さに唸らされました。
ビジュアル・ライティングといった視覚的な本に関心のある誰か、現代版キャッチャー・イン・ザ・ライ的な物語を探す誰か、あるいは911、311後の記憶を大切にしたい誰かにもオススメ。
個人的には、911で亡くなった父親の"昔むかし、ニューヨーク市には六つめ行政区が、あった"などの子供を想っての調査体験会話にほっこりしつつ、タイポグラフィの工夫や、合間合間に挿入される図版など、視覚的な仕掛け【ビジュアル・ライティング】が効果的に使用されていて、子供眼線の街中冒険譚といったシンプルな展開で終わらない物語の重厚さに唸らされました。
ビジュアル・ライティングといった視覚的な本に関心のある誰か、現代版キャッチャー・イン・ザ・ライ的な物語を探す誰か、あるいは911、311後の記憶を大切にしたい誰かにもオススメ。
2019年1月20日に日本でレビュー済み
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トムハンクスの映画が良かったので原作をと思い買いましたが、冗長で途中で断念しました。英語版はまた違うのかもしれませんが。
2013年11月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
911のWTCが倒れた際のリアルさが伝わってきます。
あのビルが破壊された事によって、多くの人達の気持ち、精神、家庭などなどまでも破壊されたのでしょう。
この本の少年は、事故で無くした父親の足取りを辿る旅を身近な街で繰り広げます。
もともと、持病の為にコミュニケーションが苦手な少年が、父親を探し求めたいために初めての人達に会いに行く話ですが、
父親を無くし、愛情が逃げて行ってしまったかの様な感覚に陥る少年が最後に見つけるのは、両親からの愛情です。
決して、薄い本ではないのですが、登場人物の心理状態が、この本には網羅されていて、大人向けの絵本でもあると思います。
じっくり読めば読むほど、ハマる本だと思います。
あのビルが破壊された事によって、多くの人達の気持ち、精神、家庭などなどまでも破壊されたのでしょう。
この本の少年は、事故で無くした父親の足取りを辿る旅を身近な街で繰り広げます。
もともと、持病の為にコミュニケーションが苦手な少年が、父親を探し求めたいために初めての人達に会いに行く話ですが、
父親を無くし、愛情が逃げて行ってしまったかの様な感覚に陥る少年が最後に見つけるのは、両親からの愛情です。
決して、薄い本ではないのですが、登場人物の心理状態が、この本には網羅されていて、大人向けの絵本でもあると思います。
じっくり読めば読むほど、ハマる本だと思います。
2011年11月12日に日本でレビュー済み
9.11で傷ついた魂の救済の本、と読めなくはないけれども、9.11はきわめて抽象的にしか描かれていない。もっと普遍的な何かを伝えることを目指している本だと思う。
主人公、オスカー・シェルの父、トーマス・シェルはワールド・トレード・センタービルで、9.11の同時多発テロに遭う。残されたオスカー、その母、祖母、祖父……そのだれもが嘘をつき、秘密を抱え、何かから顔をそむけて生きている。あまりに愛し、執着せずにいられないものから。あまりにつらく、たとえ真実とだとしても受け入れられないことから。
Shyness is when you turn your head away from something you want.
Shame is when you turn your head away from something you do not want.
オスカーとその家族の物語は、突然奪い去られた命の何倍もの数の残された命が受け止めなければならない悲しみの途方もない深さを読む者に感じさせる。善悪もなく、敵味方も虚実もなく、そこにはただ、言葉を失うほどの悲しみだけが残っている。9.11を題材にしながら、本書には加害者、被害者、正義、悪、といった言葉が一切でてこない。この小説の目的はそういった対立を描くことではなく、人の心に残る痛みの純度を極限まで高めて抽出することだからだろう。
Life is scarier than death.
オスカーは父が残した謎の鍵を手に、ニューヨークの町を彷徨する。鍵の入っていた封筒に書かれた「ブラック」というラストネームをもつ人を電話帳をたよりに一軒一軒たずねるという気の遠くなるような大計画だ。そうまでしても彼は知りたかった。父はどのようにして死んだのか。それがわかれば、そうだったかもしれない悲惨な死に方をあれこれ想像して苦しまなくてもすむから。奇跡的な偶然によって鍵の謎は解けたが、父の死にまつわる疑問は解けなかった。オスカーが最後にとった行動は、父の入っていない棺桶をもう一度あけてみることだった。棺桶が絶望的なまでにからっぽであることを確認したオスカーは、「そうあるべきだった未来」を封印し、また前を向いて歩いていく。エンディングの場面はそのように読めた。
I felt like I was looking into the dictionary definition of emptiness.
人は失ったものを失ったままで生きていくことはできない。失ったものを一度自分のなかにとりもどすのが喪の作業である。あらゆる歴史的悲劇の克服は、個人の喪の作業に還元されるのだ。
主人公、オスカー・シェルの父、トーマス・シェルはワールド・トレード・センタービルで、9.11の同時多発テロに遭う。残されたオスカー、その母、祖母、祖父……そのだれもが嘘をつき、秘密を抱え、何かから顔をそむけて生きている。あまりに愛し、執着せずにいられないものから。あまりにつらく、たとえ真実とだとしても受け入れられないことから。
Shyness is when you turn your head away from something you want.
Shame is when you turn your head away from something you do not want.
オスカーとその家族の物語は、突然奪い去られた命の何倍もの数の残された命が受け止めなければならない悲しみの途方もない深さを読む者に感じさせる。善悪もなく、敵味方も虚実もなく、そこにはただ、言葉を失うほどの悲しみだけが残っている。9.11を題材にしながら、本書には加害者、被害者、正義、悪、といった言葉が一切でてこない。この小説の目的はそういった対立を描くことではなく、人の心に残る痛みの純度を極限まで高めて抽出することだからだろう。
Life is scarier than death.
オスカーは父が残した謎の鍵を手に、ニューヨークの町を彷徨する。鍵の入っていた封筒に書かれた「ブラック」というラストネームをもつ人を電話帳をたよりに一軒一軒たずねるという気の遠くなるような大計画だ。そうまでしても彼は知りたかった。父はどのようにして死んだのか。それがわかれば、そうだったかもしれない悲惨な死に方をあれこれ想像して苦しまなくてもすむから。奇跡的な偶然によって鍵の謎は解けたが、父の死にまつわる疑問は解けなかった。オスカーが最後にとった行動は、父の入っていない棺桶をもう一度あけてみることだった。棺桶が絶望的なまでにからっぽであることを確認したオスカーは、「そうあるべきだった未来」を封印し、また前を向いて歩いていく。エンディングの場面はそのように読めた。
I felt like I was looking into the dictionary definition of emptiness.
人は失ったものを失ったままで生きていくことはできない。失ったものを一度自分のなかにとりもどすのが喪の作業である。あらゆる歴史的悲劇の克服は、個人の喪の作業に還元されるのだ。
2011年9月16日に日本でレビュー済み
ニューヨークに暮らす9歳の少年オスカーは、父の遺品の中から鍵をひとつ見つける。それが入った封筒にはひとこと「ブラック」と書かれていた。ブラックという名の人物がこの鍵の秘密を知っているに違いない。
オスカーはニューヨーク中のブラックさんを訪ねて歩き始めるのだが…。
2005年に発表されたアメリカの現代小説です。
父が働いていたのはあの世界貿易センタービル。そう、これは9・11テロの犠牲者の遺族であるオスカー少年と母、そして祖母と祖父の物語です。
描かれるのは21世紀初頭の9・11テロのみならず、第二次世界大戦中のドレスデン大爆撃、そして広島原爆投下。巨大な力によって一瞬のうちに計り知れない数の命が失われた人類史へのレクイエムとなる小説といえるでしょう。
行間のスペースの大きさを場面によって巧みに変えてみたり、言葉をところどころ抜いてみたり、はたまた黒くぬりつぶしたり、句読点の打ち方の誤りを校閲した朱筆の跡を残したり、写真をパラパラ漫画風にレイアウトしてみたりと、著者は視覚的な企みを随所に配していて、なんとも独特の構成になっています。
しかしもちろん、そうした見た目の奇矯さがこの本の眼目ではありません。
ちょっと大人びたオスカー少年はわずか9歳でもはや生きることにちょっと倦んでしまっています。
「人生というのは苦労してまで生きる値打ちがあるんだろうかと考えた。それだけの値打ちがあるものにしているのは、正確にいって何なんだろう?ずっと死んだままになって、何も感じないで、夢も見ないでいるのは、何がそんなにこわいんだろう?感じたり夢を見たりするのは、何がそんなにすばらしいんだろう?」(186頁)
幼い彼にそんな思いを抱かせてしまうほど世界は絶望に満ちているのでしょうか。
しかし物語は、オスカー少年が少し突飛な行動に走りながらも生きることをあきらめずにいそうな兆しを見せるのです。そのために彼が寄る辺と頼むのは、家族です。
厭世的に生きて来た祖父との予期せぬ邂逅も、この物語の重要なアクセントとなっています。
コミカルで切なく、物悲しくも明るい、抜群の物語がここに紡がれているのです。
9・11の十周年にあたる年に日本語版が出版されたというのは確かにひとつの意味を持ちますが、それよりなにより、3・11を経た今、これは多くの日本人読者にとって---当初作者が意図しなかったはずの---大きな意味合いを持つ物語へと相貌を変えたように思えてなりません。
この物語が日本の多くのオスカー少年たちに、キミたちが生きることをあきらめずに済む社会は確かにあるのだというメッセージを伝えるための、ひとつのよすがとなってくれることを願ってやみません。
オスカーはニューヨーク中のブラックさんを訪ねて歩き始めるのだが…。
2005年に発表されたアメリカの現代小説です。
父が働いていたのはあの世界貿易センタービル。そう、これは9・11テロの犠牲者の遺族であるオスカー少年と母、そして祖母と祖父の物語です。
描かれるのは21世紀初頭の9・11テロのみならず、第二次世界大戦中のドレスデン大爆撃、そして広島原爆投下。巨大な力によって一瞬のうちに計り知れない数の命が失われた人類史へのレクイエムとなる小説といえるでしょう。
行間のスペースの大きさを場面によって巧みに変えてみたり、言葉をところどころ抜いてみたり、はたまた黒くぬりつぶしたり、句読点の打ち方の誤りを校閲した朱筆の跡を残したり、写真をパラパラ漫画風にレイアウトしてみたりと、著者は視覚的な企みを随所に配していて、なんとも独特の構成になっています。
しかしもちろん、そうした見た目の奇矯さがこの本の眼目ではありません。
ちょっと大人びたオスカー少年はわずか9歳でもはや生きることにちょっと倦んでしまっています。
「人生というのは苦労してまで生きる値打ちがあるんだろうかと考えた。それだけの値打ちがあるものにしているのは、正確にいって何なんだろう?ずっと死んだままになって、何も感じないで、夢も見ないでいるのは、何がそんなにこわいんだろう?感じたり夢を見たりするのは、何がそんなにすばらしいんだろう?」(186頁)
幼い彼にそんな思いを抱かせてしまうほど世界は絶望に満ちているのでしょうか。
しかし物語は、オスカー少年が少し突飛な行動に走りながらも生きることをあきらめずにいそうな兆しを見せるのです。そのために彼が寄る辺と頼むのは、家族です。
厭世的に生きて来た祖父との予期せぬ邂逅も、この物語の重要なアクセントとなっています。
コミカルで切なく、物悲しくも明るい、抜群の物語がここに紡がれているのです。
9・11の十周年にあたる年に日本語版が出版されたというのは確かにひとつの意味を持ちますが、それよりなにより、3・11を経た今、これは多くの日本人読者にとって---当初作者が意図しなかったはずの---大きな意味合いを持つ物語へと相貌を変えたように思えてなりません。
この物語が日本の多くのオスカー少年たちに、キミたちが生きることをあきらめずに済む社会は確かにあるのだというメッセージを伝えるための、ひとつのよすがとなってくれることを願ってやみません。