「哲学のエッセンス」というシリーズの名のとおり、ドゥルーズの思考のエッセンスを凝縮してわかり易く解説してくれています。
他の解説書では、だいたい個々のドゥルーズの本についての解説がメインとなっていますが、この本は潔く個々の解説はほとんどありません。あくまでドゥルーズの哲学の根底に流れるドゥルーズの思考そのものについて、「生命」というキーワードを当てて丁寧に説明してくれます。ドゥルーズを「音」に切り分けることなく、ひとつの「メロディー」として聴かせてくれているのです。これは、他の解説書が断片的でわかり難いのと対照的でした。
この本はあくまでエッセンスであり、個々の本についての詳しい説明はありません。ですから、ドゥルーズの最初の一冊として最適なのではないでしょうか。個々の本についてはこの本を読んでから別の解説書にチャレンジすれば、断片をエッセンスによってつなぐことができると思います。
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ドゥルーズ: 解けない問いを生きる (シリーズ・哲学のエッセンス) 単行本 – 2002/10/1
檜垣 立哉
(著)
- ISBN-104140093013
- ISBN-13978-4140093016
- 出版社NHK出版
- 発売日2002/10/1
- 言語日本語
- 本の長さ126ページ
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
「私」ではない「個体」が生きること-。いま必要な哲学とは何か。「問いが解けない」という事態をどうとらえるか。生命科学の時代に対応するドゥルーズ哲学の核心をクリアに描く。
登録情報
- 出版社 : NHK出版 (2002/10/1)
- 発売日 : 2002/10/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 126ページ
- ISBN-10 : 4140093013
- ISBN-13 : 978-4140093016
- Amazon 売れ筋ランキング: - 64,136位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 44位フランス・オランダの思想
- - 127位西洋哲学入門
- - 844位哲学 (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年1月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
そのもの自体を知ることができないという事態に対して、
その時点の存在ではなく、
生成変化するプロセスを中心にすえて考察、理解しようとする
変化、流れ自体がリアルと考える。
オートポエイシスの考え方につながっている?
そのもの自体が分からないという事態に対する
デリタとの戦略、方向性の対比が分かりやすい
その時点の存在ではなく、
生成変化するプロセスを中心にすえて考察、理解しようとする
変化、流れ自体がリアルと考える。
オートポエイシスの考え方につながっている?
そのもの自体が分からないという事態に対する
デリタとの戦略、方向性の対比が分かりやすい
2004年4月7日に日本でレビュー済み
100頁ほどのかわいい哲学書だから、半日もあれば読める。しかし、内容は薄くはない。うれしいのは明晰であること。
卵(ラン)が生成していくイメージ。生成の流れの中で解けない問いを生きる。光に対応すべき現場がまずある。解けない問いを生きた結果、暫定的な解として視覚を得る。種をまたがって広く認められる事実だ。
まずは、システムが生成していく生を肯定する。システムが生成する流れがあって、個体が位置づけられる。同時に、個体がシステムを支えるという二面性を有する。個体は、どれとして同じものがない。しかし、それがアイデンティティを支える契機としてはとらえてはいけない。逆に、生成するシステムの内側にあって、解けない問題を解く。
個体としては、現場で解けない問題をひたすら解く。現場というのは、パラドックスに満ちていて、不条理なことも多い。しかし、システムが生成する流れは、ポジティブに肯定されなければならない。ゆえに、個体はシステムを支える、特異な存在である。
機械がこわれる、出かけるときにつまずく、言葉がからまってしまう。こういう場面では、神や世界や自我といった理念が要請される。理念とは、知覚できないし、経験もできないものだ。現場は、こうした「出来事」に満ちている。
メロディーを分解しても何もわからない。分解してもメロディーがなにかということはわからない。同様に、こうした「出来事」にあらわれる
システムの生成を支える力を理解することはあやまったアプローチだ。解けない問いなのだ。しかし、システム生成の流れの現場は、こうした問いに溢れている。メロディーの内側に身を置いて、解けない問いを解き続ける。こうしたイメージが示唆する世界は広くて、深い。
ドゥルーズの仕事は、これからどんどん整理されていくらしい。本書のような入門書に出会えて、ほんとうによかった。生をポジティブに肯定するドゥルーズの思考がどんどん世界に共有されるようになることを期待する。20世紀最大の哲学者?は、21世紀を通じて生きながらえていくのだと思う。
内田樹「寝ながら学べる構造主義」に負けぬとも劣らぬ、とっつきやすさと明晰さ。64年生まれ、檜垣立哉のがんばりに拍手、である。
卵(ラン)が生成していくイメージ。生成の流れの中で解けない問いを生きる。光に対応すべき現場がまずある。解けない問いを生きた結果、暫定的な解として視覚を得る。種をまたがって広く認められる事実だ。
まずは、システムが生成していく生を肯定する。システムが生成する流れがあって、個体が位置づけられる。同時に、個体がシステムを支えるという二面性を有する。個体は、どれとして同じものがない。しかし、それがアイデンティティを支える契機としてはとらえてはいけない。逆に、生成するシステムの内側にあって、解けない問題を解く。
個体としては、現場で解けない問題をひたすら解く。現場というのは、パラドックスに満ちていて、不条理なことも多い。しかし、システムが生成する流れは、ポジティブに肯定されなければならない。ゆえに、個体はシステムを支える、特異な存在である。
機械がこわれる、出かけるときにつまずく、言葉がからまってしまう。こういう場面では、神や世界や自我といった理念が要請される。理念とは、知覚できないし、経験もできないものだ。現場は、こうした「出来事」に満ちている。
メロディーを分解しても何もわからない。分解してもメロディーがなにかということはわからない。同様に、こうした「出来事」にあらわれる
システムの生成を支える力を理解することはあやまったアプローチだ。解けない問いなのだ。しかし、システム生成の流れの現場は、こうした問いに溢れている。メロディーの内側に身を置いて、解けない問いを解き続ける。こうしたイメージが示唆する世界は広くて、深い。
ドゥルーズの仕事は、これからどんどん整理されていくらしい。本書のような入門書に出会えて、ほんとうによかった。生をポジティブに肯定するドゥルーズの思考がどんどん世界に共有されるようになることを期待する。20世紀最大の哲学者?は、21世紀を通じて生きながらえていくのだと思う。
内田樹「寝ながら学べる構造主義」に負けぬとも劣らぬ、とっつきやすさと明晰さ。64年生まれ、檜垣立哉のがんばりに拍手、である。
2021年2月15日に日本でレビュー済み
この本は、「ドゥルーズ哲学の、時代とかかわりながらも時代に流されない骨組みのような部分を、できるかぎりクリアに示す」本です。「哲学のエッセンス」シリーズから出ているだけのことはあり、ドゥルーズ哲学のエッセンスが抽出されていました。
この本は、現代が根拠や基盤を失った時代であるということから始まっています。根拠が無く・問題を解決する基盤を喪失しているというのは嫌な事態であるように思えますが、二十世紀後半になったら根拠の無さからむしろ前向きに進もうという考えが生まれたらしい。解けない問題に人々が苦悩する現代、解けないことについての実践を行い邁進した哲学者として、この本ではドゥルーズの思考が紹介されていました。
この本で特に面白かったのは、ドゥルーズとデリダは基本的なスタンスが接近しているものの、主張が水と油のように対立しているというお話でした。ドゥルーズの発想に深く関わるのは「生命」である一方、デリダの発想に深く関わるのは「情報」だそうです。「生命」と「情報」は人間という枠組みには収まりきらない主題であり、ドゥルーズは「生命」とポジティヴィスムの人、デリダは「情報」とネガティヴィスムの人だと檜垣さんは言っている。私がにわかだからかもしれませんが、面白いお話だと思いました。
この本では、ドゥルーズ本人による文章からの引用がほぼ無かった印象があります。ベルクソンはドゥルーズの原点になった哲学者らしいので、ドゥルーズより先にベルクソンから読んでみようかなと思いました。浅田彰の『構造と力』も、有名な本だけあってどんなものか気になりますね。
この本は、現代が根拠や基盤を失った時代であるということから始まっています。根拠が無く・問題を解決する基盤を喪失しているというのは嫌な事態であるように思えますが、二十世紀後半になったら根拠の無さからむしろ前向きに進もうという考えが生まれたらしい。解けない問題に人々が苦悩する現代、解けないことについての実践を行い邁進した哲学者として、この本ではドゥルーズの思考が紹介されていました。
この本で特に面白かったのは、ドゥルーズとデリダは基本的なスタンスが接近しているものの、主張が水と油のように対立しているというお話でした。ドゥルーズの発想に深く関わるのは「生命」である一方、デリダの発想に深く関わるのは「情報」だそうです。「生命」と「情報」は人間という枠組みには収まりきらない主題であり、ドゥルーズは「生命」とポジティヴィスムの人、デリダは「情報」とネガティヴィスムの人だと檜垣さんは言っている。私がにわかだからかもしれませんが、面白いお話だと思いました。
この本では、ドゥルーズ本人による文章からの引用がほぼ無かった印象があります。ベルクソンはドゥルーズの原点になった哲学者らしいので、ドゥルーズより先にベルクソンから読んでみようかなと思いました。浅田彰の『構造と力』も、有名な本だけあってどんなものか気になりますね。
2003年2月17日に日本でレビュー済み
現代思想に興味をもって背伸びをしたはいいが、ドゥールーズ独特のキータームに翻弄された返り討ちにあった方が、私の他にもいらっしゃるんじゃないかと思います。どうしても最初はすんなりとは理解できないのは、彼の哲学の核にある「生成」の概念についてまったく無理解なまま難解な語句と格闘を続けたからかも知れません。
筆者は、80年代に浅田彰氏による紹介によって一斉を風靡したイメージはあくまでドゥルーズの応用編にすぎないとして、『ミルプラトー』『アンチエディプス』をテキストとして意図的に取り上げず、彼独特の専門語を極力排しています。
これは他のドゥルーズ入門書がいまだになしえていない試みの一つなのではないでしょうか。そうすることによって見事にドゥルーズ!!'!'学の底流をなす「生成」の概念を丹念かつクリアに示しています。
ドゥールーズに食あたりを起こした方も、分かったつもりの方も、薄い本ですから御一読をお奨めします。
筆者は、80年代に浅田彰氏による紹介によって一斉を風靡したイメージはあくまでドゥルーズの応用編にすぎないとして、『ミルプラトー』『アンチエディプス』をテキストとして意図的に取り上げず、彼独特の専門語を極力排しています。
これは他のドゥルーズ入門書がいまだになしえていない試みの一つなのではないでしょうか。そうすることによって見事にドゥルーズ!!'!'学の底流をなす「生成」の概念を丹念かつクリアに示しています。
ドゥールーズに食あたりを起こした方も、分かったつもりの方も、薄い本ですから御一読をお奨めします。
2004年11月9日に日本でレビュー済み
(筆者の考える?)ドゥルーズの世界に見方、世界とは何か、現代をどう見るか、そしてどのように記述できるのか?が、デリダやフーコー、現象学の方々との対比で語られています。引用はなく、ほとんどが、筆者の解説です。
難しかったです。ドゥルーズの世界の記述については、抽象的な表現、象徴的な表現が多く、イメージがわきにくかった所が多かったです。その分、想像力を鍛えるよい訓練になりました。
ドゥルーズが、何を、どのように格闘したかが、わかる本でした。
難しかったです。ドゥルーズの世界の記述については、抽象的な表現、象徴的な表現が多く、イメージがわきにくかった所が多かったです。その分、想像力を鍛えるよい訓練になりました。
ドゥルーズが、何を、どのように格闘したかが、わかる本でした。