訳がよいのだと思ますが、自閉症関係の用語の使い方にも違和感はなく、とにかく読みやすく、あっという間に読めました。
脳の情報処理特性を分類する理論はいろいろあるわけですが、、共感的か否かの軸一本で整理した感があり、読み終わって満足感がありました。「男女の脳のちがい」とわかりやすく大別してはありますが、個体差はあって、他人の気持を察することに長けた人と全くできない人は境界なく帯状に連なっていることをうまく整理してあります。そうなっていく遺伝的要因や発生から出産までにさらされる性ホルモン要因など、かねてから指摘されていたところを整理し、こんなにうまく落とし込めるのかと思いました。また、システム化について明確な定義、分類があることが内容をさらにわかりやすくしています。自閉症についても障害というより、情報処理特性として突出しているという意味での丁寧な解説があり、特にアスペルガー症候群の数学者の話は興味深く読みました。研究者として有名な方ですが、ここまで一般にわかりやすくかけることに驚嘆です。
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共感する女脳、システム化する男脳 単行本 – 2005/4/28
サイモン・バロン=コーエン
(著),
三宅 真砂子
(翻訳)
- 本の長さ396ページ
- 言語日本語
- 出版社NHK出版
- 発売日2005/4/28
- ISBN-104140810343
- ISBN-13978-4140810347
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登録情報
- 出版社 : NHK出版 (2005/4/28)
- 発売日 : 2005/4/28
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 396ページ
- ISBN-10 : 4140810343
- ISBN-13 : 978-4140810347
- Amazon 売れ筋ランキング: - 345,131位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年8月18日に日本でレビュー済み
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2015年4月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者は「システム化vs共感」という新しい理論により脳の性差および自閉症(特にアスペルガー症候群)の病理を説明しようとしています。著者の理論は数々の臨床データ(羊水テストステロン濃度、内分泌疾患、性ホルモン投与、自閉症とシステム化能力との関連)に裏付けされており医学、生理学的な説得力があります。また、「極端な女性型の脳を持つ人々が社会に受け入れられているのだから、極端な男性型の脳を持つ自閉症の人々に対する偏見をなくすべきだ」と社会的にも評価できる内容です。
しかし、1つ気になる点があります。第3章で「共感=道徳」という風に論じられている点です。これが正しいとすると、「自閉症の人々は道徳意識がないの?」「女性より男性の方が道徳意識は弱いの?」と腑に落ちない疑問がわいていきます。また、道徳意識が弱い代表疾患であるサイコパス(最近の研究により有病率に男女差はほとんどないと考えられている)が自閉症(男女比約10:1)ほど有病率に性差がないという事実もこの「共感=道徳」という理論では説明できません。道徳に関してはもっと深い考察が必要なように思います。
しかし、1つ気になる点があります。第3章で「共感=道徳」という風に論じられている点です。これが正しいとすると、「自閉症の人々は道徳意識がないの?」「女性より男性の方が道徳意識は弱いの?」と腑に落ちない疑問がわいていきます。また、道徳意識が弱い代表疾患であるサイコパス(最近の研究により有病率に男女差はほとんどないと考えられている)が自閉症(男女比約10:1)ほど有病率に性差がないという事実もこの「共感=道徳」という理論では説明できません。道徳に関してはもっと深い考察が必要なように思います。
2018年5月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
出前講座の参考にさせていただきます❗今後も、研究していけたらいいなあと思いました。
2008年6月17日に日本でレビュー済み
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女性に多いとされる「共感」型は、「心の理論」そのもので、前著の「自閉症とマインド・ブラインドネス」に詳しい記述があります。(参考までに)哲学者ダニエル・デネットの言う「志向姿勢」に相当すると思います。
本書では、新たに「システム化」なる概念が、男性に多いタイプとして登場します。要するに物事を因果的にとらえようとする傾向で、観察から帰納的に規則を見出そうとする傾向で、規則に従ってシステムを構築しようとする傾向のことらしいですが、どうにも意味が広すぎてつかみどころがない印象を受けました。こちらはデネットの言う「物理姿勢」と「デザイン姿勢」をあわせたものに近いようです。
議論は共感型の女性脳、システム型の男性脳、そして極端な男性型としての自閉症患者と進みますが、著者は慎重さを見せつつもこれら全てを単一属性のスペクトルとして捉えようとしているようです。そして、ここから極端な女性型の人が存在するはずだという予測へともっていきます。そのような人の候補として、自分はテレパシーが使えると思っている人々というのが挙げられています。私見ですが最近テレビに出ている動物と話せるとかいうおばさん。新手のペテン師だと思っていましたが、案外こういう類の人なのかもしれないなと思いました。もし彼女のシステム化能力が著しく低ければ、この突飛な説もそれなりに信憑性を帯びてくるかもしれないですね。以上、多少強引なところもありますが、全体としては非常に面白い本だと思います。前著の「自閉症とマインド・ブラインドネス」はやや専門的ですが、こちらもオススメです。
さて、内容の素晴らしさもさることながら、特筆すべきは訳者のレベルの高さと出版社の姿勢です。訳は日本語として完璧でかつ非常に読みやすい。そのうえ、日本人の専門家若林明雄氏による解説もついていて、参考文献リストもきっちり備えており、入門書としての体裁も整えている。これでこの価格に抑えられるとはまさに出版社の鑑だと思います。
本書では、新たに「システム化」なる概念が、男性に多いタイプとして登場します。要するに物事を因果的にとらえようとする傾向で、観察から帰納的に規則を見出そうとする傾向で、規則に従ってシステムを構築しようとする傾向のことらしいですが、どうにも意味が広すぎてつかみどころがない印象を受けました。こちらはデネットの言う「物理姿勢」と「デザイン姿勢」をあわせたものに近いようです。
議論は共感型の女性脳、システム型の男性脳、そして極端な男性型としての自閉症患者と進みますが、著者は慎重さを見せつつもこれら全てを単一属性のスペクトルとして捉えようとしているようです。そして、ここから極端な女性型の人が存在するはずだという予測へともっていきます。そのような人の候補として、自分はテレパシーが使えると思っている人々というのが挙げられています。私見ですが最近テレビに出ている動物と話せるとかいうおばさん。新手のペテン師だと思っていましたが、案外こういう類の人なのかもしれないなと思いました。もし彼女のシステム化能力が著しく低ければ、この突飛な説もそれなりに信憑性を帯びてくるかもしれないですね。以上、多少強引なところもありますが、全体としては非常に面白い本だと思います。前著の「自閉症とマインド・ブラインドネス」はやや専門的ですが、こちらもオススメです。
さて、内容の素晴らしさもさることながら、特筆すべきは訳者のレベルの高さと出版社の姿勢です。訳は日本語として完璧でかつ非常に読みやすい。そのうえ、日本人の専門家若林明雄氏による解説もついていて、参考文献リストもきっちり備えており、入門書としての体裁も整えている。これでこの価格に抑えられるとはまさに出版社の鑑だと思います。
2012年6月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
男女の脳の差異について、システム化、共感というキーワードから説明した本です。
訳もこなれていて、とても読みやすい本です。
男性の脳は、物事を規則性のあるシステムとしてとらえようとする傾向があること(そのことを得意とする)、その女性の脳は、人の気持ちを考えたりするなど、共感力を持つ傾向があるとのことです。
この能力はトレードオフの関係にあるようで、どちらかが強いと、どちらかが弱くなるようです。
男性脳の強い症例として、自閉症があげられています。
一読の価値はあります。
訳もこなれていて、とても読みやすい本です。
男性の脳は、物事を規則性のあるシステムとしてとらえようとする傾向があること(そのことを得意とする)、その女性の脳は、人の気持ちを考えたりするなど、共感力を持つ傾向があるとのことです。
この能力はトレードオフの関係にあるようで、どちらかが強いと、どちらかが弱くなるようです。
男性脳の強い症例として、自閉症があげられています。
一読の価値はあります。
2021年11月4日に日本でレビュー済み
2005年出版の本なので仕方ないかもしれませんが、「女脳」「男脳」という表現は現在ではもう使えないでしょう。内容も(著者は性差をステレオタイプ化する意図はないというものの)、「男は外に出て仕事、女は井戸端でおしゃべり」と言っているような部分もあります。ただ、著者の専門であるらしい自閉症やアスペルガー症候群の説明は分かりやすい。なお、巻末の「付録テスト」による脳タイプの(簡便的)テスト結果は、EQ=かなり高い、SQとAQ=平均的な範囲、でした。
2021年9月1日に日本でレビュー済み
共感脳の共感とはどのレベルの話だろう。
共感脳同士では共感できるかもしれんが、共感脳なら非共感脳にも共感できるというのか?
人の気持ちがわからない非共感脳のツラさを人の気持ちがわかる共感脳にわかるワケない。
とすれば、単に通信規格が異なる種族同士なだけでは?
共感脳同士では共感できるかもしれんが、共感脳なら非共感脳にも共感できるというのか?
人の気持ちがわからない非共感脳のツラさを人の気持ちがわかる共感脳にわかるワケない。
とすれば、単に通信規格が異なる種族同士なだけでは?
2014年10月10日に日本でレビュー済み
男脳と女脳の科学的なお話。
やっぱり、後半の自閉症&アスペルガーの部分がとてもよかった。
文章も雰囲気も、誠実な感じがしてよいです。
巻末に、興味深いテストが4つ付いてます。あくまで参考程度にとですが。
目だけで気持ちを言い表す4択、さっぱりわからん。
もちろん?平均以下でした…。
共感指数は、平均値よりは低かったものの、かろうじて平均範囲内、
システム指数は平均以下。これは予想通り。
AQは36点でしたわよ。
これも順調ですな。
やっぱり、後半の自閉症&アスペルガーの部分がとてもよかった。
文章も雰囲気も、誠実な感じがしてよいです。
巻末に、興味深いテストが4つ付いてます。あくまで参考程度にとですが。
目だけで気持ちを言い表す4択、さっぱりわからん。
もちろん?平均以下でした…。
共感指数は、平均値よりは低かったものの、かろうじて平均範囲内、
システム指数は平均以下。これは予想通り。
AQは36点でしたわよ。
これも順調ですな。