Amazon の注文履歴(2009年12月購入)によれば、ほぼ10年、積読したおかげで、読み手側が味わえるように、良い具合に熟成していた。
19世紀の西洋社会における「宗教と科学」のタブーに悩みつつも、やがて米国で勃発する「南北戦争」などの社会的・歴史的事件を契機としながら、リベラルな家庭環境から育まれた「反奴隷制度」の信念が、『種の起源』そして『人の由来』を著していくことになる。
本当の意味での「人類みな兄弟」の実践である。
正味600ページに渡る大著ということもあり、難儀をしつつ、『種の起源』『人の由来』も並行しながら、本日無事に読み終えた記念、ということで記しました(苦笑)2019年6月9日
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ダーウィンが信じた道: 進化論に隠されたメッセージ 単行本 – 2009/6/1
- 本の長さ686ページ
- 言語日本語
- 出版社NHK出版
- 発売日2009/6/1
- ISBN-104140813814
- ISBN-13978-4140813812
商品の説明
出版社からのコメント
リベラルな家庭環境のなかで、大胆な思想を育んでいったダーウィン。科学の進歩のためでも、自らの知識欲のためでもなく、
ただひとつ追い求めた彼の研究目的とは----?
だれも知らなかったダーウィン像が、いま新たに浮かび上がる!
ただひとつ追い求めた彼の研究目的とは----?
だれも知らなかったダーウィン像が、いま新たに浮かび上がる!
著者について
エイドリアン・デズモンド Adrian Desmond
1947年イギリス生まれ。生物進化学者。ロンドン大学ユニヴァーシティ・カレッジ生物学科名誉研究員。各国でベストセラーとなったThe Hot-Blooded Dinosaurs(邦題『恐竜絶滅の謎』二見書房)がデビュー作。1997年度の「ニューヨーク・タイムズ」紙のベストブックとして選ばれた大作Huxleyをはじめ、ヴィクトリア朝時代の科学史や進化論に関する本を7冊上梓している。現在はトマス・ハクスリーの曾孫Angela DarwinとともにThe T. H. Huxley Family Correspondence を編纂中。
1947年イギリス生まれ。生物進化学者。ロンドン大学ユニヴァーシティ・カレッジ生物学科名誉研究員。各国でベストセラーとなったThe Hot-Blooded Dinosaurs(邦題『恐竜絶滅の謎』二見書房)がデビュー作。1997年度の「ニューヨーク・タイムズ」紙のベストブックとして選ばれた大作Huxleyをはじめ、ヴィクトリア朝時代の科学史や進化論に関する本を7冊上梓している。現在はトマス・ハクスリーの曾孫Angela DarwinとともにThe T. H. Huxley Family Correspondence を編纂中。
ジェイムズ・ムーア James Moore
1947年アメリカ生まれ。科学史学者。トリニティ・イヴァンジェリカル神学校で修士号を得たあと、マンチェスター大学で博士号を取得。ハーヴァード大学の科学史客員準教授。ケンブリッジ大学の科学史・科学哲学客員講師を歴任し、イギリスのオープン・ユニヴァーシティの科学史学科教授を務める。著書にThe Post-Darwin Legendなど。現在はアルフレッド・ラッセル・ウォレスの伝記を執筆中。
登録情報
- 出版社 : NHK出版 (2009/6/1)
- 発売日 : 2009/6/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 686ページ
- ISBN-10 : 4140813814
- ISBN-13 : 978-4140813812
- Amazon 売れ筋ランキング: - 757,823位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 71,209位科学・テクノロジー (本)
- - 117,980位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年10月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
奴隷制への激しい憎悪に駆動されたダーウィンの学問的活動において、『種の起源』は
中間報告にすぎなかった。その結実は、「自然淘汰」に加えて「性淘汰」という二本立ての
理論装置を備えたもう一つの主著『人間の由来』である。
膨大な一次史料を駆使して以上の経過を論証する本書は、まさしく労作の名にふさわしい。
評者にとって印象的だった点を2つだけ指摘する。
第一に、科学史の「ねじれ」である。進化論のもっとも重大なインパクトはキリスト教の創造説を
否定したことだ、とはよく指摘されるところである。実際ダーウィン自身も『種の起源』出版により
「無心論者として忌み嫌われる」のを非常に強く恐れた(499頁)。
だが本書が力強く明らかにしたのは、当時の奴隷制をめぐる文脈においては、奴隷制を支持する
言説(人種多起源論)が「科学」を標榜し、奴隷制に反対する側(人種単一起源論)が「聖書」に依拠
していたことだ。
天動説と地動説の関係にもあったこのような「ねじれ」を見出すことは、科学史のみならず、歴史の
醍醐味の一つである。奴隷制に反対するダーウィンはどのようにして、この「科学」と「聖書」の隘路を
突破するのか。興味をもたれた方は是非本書に当たって欲しい。
第二に、奴隷制反対というダーウィンの政治的立場をどう評価するか。彼が当時においてリベラルな
ヒューマニストであったことは間違いないだろう。それはミルと共闘したジャマイカ事件からもわかる(第13章)。
しかし同時にダーウィンはマルサス主義者であり、人種に優劣があること(白人の優位は言うまでもない)も
自明の理であった(580頁以下)。すなわち、いわゆる「社会ダーウィニズム」の要素は間違いなくダーウィン
自身にも存在したのだ。
著者たちも指摘するように、現代の我々には白人優位主義と奴隷制反対という政治的信念とは両立しがたい
ように映る。しかしダーウィンは在野の科学者であって、政治家でも哲学者でもないから、そもそも厳密な論理的
整合性を求めてもあまり益はない。
むしろ19世紀後半イギリスに生きた一知識人の貴重な思考として受け止めるべきだろう。本書の原題が
「ダーウィンの思想」ではなく、「ダーウィンの聖なる大義sacred cause」とされたのも首肯できる。
中間報告にすぎなかった。その結実は、「自然淘汰」に加えて「性淘汰」という二本立ての
理論装置を備えたもう一つの主著『人間の由来』である。
膨大な一次史料を駆使して以上の経過を論証する本書は、まさしく労作の名にふさわしい。
評者にとって印象的だった点を2つだけ指摘する。
第一に、科学史の「ねじれ」である。進化論のもっとも重大なインパクトはキリスト教の創造説を
否定したことだ、とはよく指摘されるところである。実際ダーウィン自身も『種の起源』出版により
「無心論者として忌み嫌われる」のを非常に強く恐れた(499頁)。
だが本書が力強く明らかにしたのは、当時の奴隷制をめぐる文脈においては、奴隷制を支持する
言説(人種多起源論)が「科学」を標榜し、奴隷制に反対する側(人種単一起源論)が「聖書」に依拠
していたことだ。
天動説と地動説の関係にもあったこのような「ねじれ」を見出すことは、科学史のみならず、歴史の
醍醐味の一つである。奴隷制に反対するダーウィンはどのようにして、この「科学」と「聖書」の隘路を
突破するのか。興味をもたれた方は是非本書に当たって欲しい。
第二に、奴隷制反対というダーウィンの政治的立場をどう評価するか。彼が当時においてリベラルな
ヒューマニストであったことは間違いないだろう。それはミルと共闘したジャマイカ事件からもわかる(第13章)。
しかし同時にダーウィンはマルサス主義者であり、人種に優劣があること(白人の優位は言うまでもない)も
自明の理であった(580頁以下)。すなわち、いわゆる「社会ダーウィニズム」の要素は間違いなくダーウィン
自身にも存在したのだ。
著者たちも指摘するように、現代の我々には白人優位主義と奴隷制反対という政治的信念とは両立しがたい
ように映る。しかしダーウィンは在野の科学者であって、政治家でも哲学者でもないから、そもそも厳密な論理的
整合性を求めてもあまり益はない。
むしろ19世紀後半イギリスに生きた一知識人の貴重な思考として受け止めるべきだろう。本書の原題が
「ダーウィンの思想」ではなく、「ダーウィンの聖なる大義sacred cause」とされたのも首肯できる。
2009年8月21日に日本でレビュー済み
人類の科学史上、ニュートンと並び重要な業績を遺したダーウィンは、2009年で生誕200年になる。本書は、そうした節目に出版されたもので、ダーウィンが『種の起源』並びに『人間の由来』を上梓した背景を、膨大な資料をあたって検証した力作である。
ダーウィンの生きた時代は、イギリスで反奴隷制運動が高まり、アメリカではリンカーンが大統領になった時代と重なっている。そして、ダーウィン家は、祖父の代から奴隷貿易廃止運動の推進役だった。こうした社会的・個人的背景を記述しながら、当時主流となりつつあった、優越な白人とそれ以外の野蛮な人種はそもそも違う種であるという「人類多起源論」に抗して、人類はそもそも起源を同じくするという「人類単一起源論」を提唱したダーウィンの苦闘が緻密に描かれている。
ドキュメンタリー風に進行する話は、本文だけで600頁、口絵・中絵そして註・文献を合わせると700頁を越える本書の読者を飽きさせない。解説には、わが国を代表する進化生物学者・長谷川眞理子先生を迎えるという贅沢もしている。ただ、全篇を通して登場人物が膨大な数なので、読んでいて頭の中の整理に苦労する。表紙見返しの家系図だけでなく、人物紹介欄も作って欲しかった。
ダーウィンの生きた時代は、イギリスで反奴隷制運動が高まり、アメリカではリンカーンが大統領になった時代と重なっている。そして、ダーウィン家は、祖父の代から奴隷貿易廃止運動の推進役だった。こうした社会的・個人的背景を記述しながら、当時主流となりつつあった、優越な白人とそれ以外の野蛮な人種はそもそも違う種であるという「人類多起源論」に抗して、人類はそもそも起源を同じくするという「人類単一起源論」を提唱したダーウィンの苦闘が緻密に描かれている。
ドキュメンタリー風に進行する話は、本文だけで600頁、口絵・中絵そして註・文献を合わせると700頁を越える本書の読者を飽きさせない。解説には、わが国を代表する進化生物学者・長谷川眞理子先生を迎えるという贅沢もしている。ただ、全篇を通して登場人物が膨大な数なので、読んでいて頭の中の整理に苦労する。表紙見返しの家系図だけでなく、人物紹介欄も作って欲しかった。
2009年7月21日に日本でレビュー済み
ダーウィンの大部の伝記の著者デズモンドとムーアによる、ダーウィンの研究の政治思想的な動機を探った一冊。特に人種主義と奴隷制度に対して、ダーウィンだけでなく彼の祖父の代から始まり恩師たち、フッカー、ハクスリーと言った友人たち、子供や家族のスタンスまで丁寧に描かれている。トリビアルなエピソードも収録されており楽しんで読めるが、正統的な伝記ではなく副読本という位置づけだろう。
ただし小説を手がけている訳者のためか、原文からそうなのかは分からないが、ほんのすこしだが感情的な表現が多いように感じられる(人種差別的科学の主張者に対してやや厳しいように思える。しかし彼らも当時の常識から言えば知的に誠実であった可能性もあるのではないだろうか)。また未公開資料までふんだんに利用しているのだが、著者の推測と資料から素直に読み取れる事実が明確に区別されていないような記述もある。語調も「〜だったのだ」調なので、ノンフィクション小説のような雰囲気を感じた。とはいえこの厚さと内容にしては安く、ダーウィンや彼の周辺に興味があれば十分楽しめると思う。
ただし小説を手がけている訳者のためか、原文からそうなのかは分からないが、ほんのすこしだが感情的な表現が多いように感じられる(人種差別的科学の主張者に対してやや厳しいように思える。しかし彼らも当時の常識から言えば知的に誠実であった可能性もあるのではないだろうか)。また未公開資料までふんだんに利用しているのだが、著者の推測と資料から素直に読み取れる事実が明確に区別されていないような記述もある。語調も「〜だったのだ」調なので、ノンフィクション小説のような雰囲気を感じた。とはいえこの厚さと内容にしては安く、ダーウィンや彼の周辺に興味があれば十分楽しめると思う。