仏教を、楽しみながら学べる本の登場である。仏教にまつわる知識の基本の確認と伝授を、著者は、クイズ形式ですすめていく。愚かな行いをすればそれは自分に悪い結果としてかえってくる、というのは仏教の言葉では何というでしょう？みたいな問題の答えを考えながら、よし、満点めざすぞ、と気合を入れて本にむかうので、最後まであきずに読みとおせた。おもしろい形式の仏教本であると思う。
仏教をまったく知らない人は、たぶん著者の解説をすべて読んでからクイズに挑戦する、ということになってしまうだろう。だから本書の読者としては、仏教の知識をうっすらと持っている人が最も適切だと思う。うろおぼえ、ぐらいの知識の持ち主が一番たのしめるのではないかと。
でも、仏教の知識がかなりある人にも、あるいは異なる楽しみ方があるのかもしれない。本書は、正答を選ぶ形式のクイズが多いのだが、ここでの著者の選択肢の出し方が、いろいろ考えさせるのである。たとえば、ブッダが出家を決意したのは、あくまでも個の人生の難問からであって、いわゆる社会問題が理由ではなかったのはなぜだろう、とか、明治に檀家制度がゆるんだ後で、日本の仏教はどうしてあのような道を選んだのだろう、といった疑問など、選択肢から浮かんでくる、ある種の「別の歴史」を夢想しながら、実際にあった仏教史の意義をよく考えることができるのである。
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