本書に拠れば、「名ばかり管理職」は、規模拡大に企業が邁進しすぎた結果のようです。
いわく、規模の拡大で生き残りを図るために、人件費をできるだけ安くする。
人件費を安くするために、非正規社員化(派遣など)とともに「名ばかり管理職」を増やす、と。
確かに利益は売上と費用の差で、売上の増加が見込めない以上、費用の削減は賢明です。
ただ、費用には人件費以外にもあります。交渉対象の複雑さや改善効果の大きさにもよるでしょうが、
「企業は人なり」との言葉が懐かしい。
規模拡大が望めない今、規模を拡大せずに永続できる企業経営とは何か、考えるきっかけになりました。
なお、管理監督者の三条件は以下の通り。これを満たさないと、「名ばかり管理職」になります。
1.経営と一体的な立場で、経営方針の決定に関わる
2.出勤や退勤の時間を自分で決められる(労働時間を管理されない)
3.一般社員より報酬が高い
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名ばかり管理職 (生活人新書 260) 新書 – 2008/7/1
NHK「名ばかり管理職」取材班
(著)
過労死か、さもなくば貧困か。
「正社員」を襲う、現代の悲惨......。
NHKスペシャル「名ばかり管理職」の新書版。
- 本の長さ205ページ
- 言語日本語
- 出版社NHK出版
- 発売日2008/7/1
- ISBN-104140882603
- ISBN-13978-4140882603
商品の説明
出版社からのコメント
「管理職」の名のもとに、残業代も支払われず限界まで働かされ使い捨てられていく人々がいるーー。
この問題を「名ばかり管理職」と名づけ追い続けてきたNHK取材班が、労働現場に広がるその過酷な実態とともに、それに依存して成り立つ日本社会のゆがみに迫る。
平成20年3月末に放送され反響を呼んだNHKスペシャルの書籍化。
著者について
NHK「名ばかり管理職」取材班 ●
『ワーキングプア』など非正規雇用側のみならず、正規雇用側にも広がる深刻な労働問題に取り組むため、報道局内に作られた取材チーム。平成19年11月に放送された「クローズアップ現代」において、「名ばかり管理職」という言葉とともに、この問題をいち早く取り上げ反響を呼ぶ。その半年に及ぶ取材の成果は平成20年3月放送の「NHKスペシャル」に結実される。
登録情報
- 出版社 : NHK出版 (2008/7/1)
- 発売日 : 2008/7/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 205ページ
- ISBN-10 : 4140882603
- ISBN-13 : 978-4140882603
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,280,037位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 252位総務・人事・労務管理の労働問題
- - 1,542位労働問題社会学
- - 25,096位社会学概論
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年2月5日に日本でレビュー済み
158時間、225時間、220時間、198時間、239時間、173時間。
これは、とあるファミレス勤務の正社員が寝たきりの病気になるまでの月々の残業時間である。どうやったらこの様な時間になるのか至難の技のようにも思える(ちなみに、労災認定の基準は1月に残業80時間)
夜中に業務が終わり、家でシャワーを浴びてすぐさま出社という日々も幾度となくあったという。しかし、「残業代」として給与に反映されてことはなく、管理職給として月々数万円がプラスされていただけだという。「名ばかり管理職」問題の当事者の多くが、このような“店長”という立場で仕事をする人たちの処遇にある。
やはりNHK出版にハズレがない法則、は自分の中で間違いない。
本書には、とてもショッキングであり、重大な社会問題が分かりやすく書かれている。特にマクドナルド社対店長1人の訴訟にはぐっと胸にこみ上げるものがあった。この訴訟では数年分の残業代を取り戻すことができ、マクドナルド社の“店長”たちは管理職から外されるきっかれになった。会社側は、一切「経費削減」という言葉は使わないが、誰がどう見ても理由は「経費削減」だと思う。人件費は「人権費」、買いたたきのような不当な搾取による悲劇が今後も減ることを願います。
あと、「管理職」であっても、労働基準法によって、深夜労働に派割増賃金が支給されることは知らなかった。今度、人事に聞いてみよう。
著者:NHK「名ばかり管理職」取材班
発行:2008.7.10 第1刷
読了:2016年8冊(1月8冊)★4.1
これは、とあるファミレス勤務の正社員が寝たきりの病気になるまでの月々の残業時間である。どうやったらこの様な時間になるのか至難の技のようにも思える(ちなみに、労災認定の基準は1月に残業80時間)
夜中に業務が終わり、家でシャワーを浴びてすぐさま出社という日々も幾度となくあったという。しかし、「残業代」として給与に反映されてことはなく、管理職給として月々数万円がプラスされていただけだという。「名ばかり管理職」問題の当事者の多くが、このような“店長”という立場で仕事をする人たちの処遇にある。
やはりNHK出版にハズレがない法則、は自分の中で間違いない。
本書には、とてもショッキングであり、重大な社会問題が分かりやすく書かれている。特にマクドナルド社対店長1人の訴訟にはぐっと胸にこみ上げるものがあった。この訴訟では数年分の残業代を取り戻すことができ、マクドナルド社の“店長”たちは管理職から外されるきっかれになった。会社側は、一切「経費削減」という言葉は使わないが、誰がどう見ても理由は「経費削減」だと思う。人件費は「人権費」、買いたたきのような不当な搾取による悲劇が今後も減ることを願います。
あと、「管理職」であっても、労働基準法によって、深夜労働に派割増賃金が支給されることは知らなかった。今度、人事に聞いてみよう。
著者:NHK「名ばかり管理職」取材班
発行:2008.7.10 第1刷
読了:2016年8冊(1月8冊)★4.1
2009年5月26日に日本でレビュー済み
平成20年3月末にNHKで放送された同名のNHKスペシャル番組の書籍化である。ワーキングプア、偽装請負、格差社会・・・これら社会問題が大きく世の中に知れ渡る際に、その問題自体のネーミングは非常に重要である。その点で、マクドナルド現役店長が会社自身を「自らは管理職ではない。残業代を支払え」と訴えた裁判に端を発する、主としてサービス産業におけるチェーン店の店長を名目上の管理職として、長期にわたり無給の残業を強いていた社会問題を「名ばかり管理職」問題として名称を付けたNHKのセンスは素晴らしいものがある。
名ばかり管理職問題は、昔からあったはずだ。しかしながら、日本経済が右肩上がりの成長をしてさえいれば、名ばかり管理職もそのうち実質管理職となることで、一過性の問題に収斂し、さして深刻ではなかったはずである。それがいつから・だれが・どうして、企業側が残業代がいらない労働力としての管理職に目を付けたのであろうか。
きっと、どこかはしらないが、発端はあったんだと思う。それを見た、他の企業もこれはいいと、どこからかいつか広くひろがったんだと思う。残念ながら、本書はそんな視点では書かれていない。テレビ用に、悲惨な例やその被害者としての口述インタビューをこれでもかと連ねることでしか、本書の主張のロジックはない。せっかく、難しいことを分かり易い簡潔な言葉で表現することまではできたのに、分かり易いことをもっと深く解説して欲しかった。
名ばかり管理職問題は、昔からあったはずだ。しかしながら、日本経済が右肩上がりの成長をしてさえいれば、名ばかり管理職もそのうち実質管理職となることで、一過性の問題に収斂し、さして深刻ではなかったはずである。それがいつから・だれが・どうして、企業側が残業代がいらない労働力としての管理職に目を付けたのであろうか。
きっと、どこかはしらないが、発端はあったんだと思う。それを見た、他の企業もこれはいいと、どこからかいつか広くひろがったんだと思う。残念ながら、本書はそんな視点では書かれていない。テレビ用に、悲惨な例やその被害者としての口述インタビューをこれでもかと連ねることでしか、本書の主張のロジックはない。せっかく、難しいことを分かり易い簡潔な言葉で表現することまではできたのに、分かり易いことをもっと深く解説して欲しかった。
2016年6月8日に日本でレビュー済み
とにかく企業は人件費を節約したい。そのため、本来なら非管理職として残業代を払わなければいけない職員に、いろいろ肩書をつけて管理職扱いにして残業代を払わないわけです。雀の涙ほどの管理職手当ではお話にならないでしょう。それも就職して1年未満で登用するのですから始末が悪いです。
正社員のくちは少ないので、やむにやまれぬ状態です。こういうときは出るとこに出て残業代を払ってもらいましょう。成功したケースも紹介されており、泣き寝入りするな、の声が聞こえてきそうです。
結論としては、ブラック企業だと思ったら、早めにやめることです。体を壊してからでは遅いです。
確かに訴訟も一つの選択肢ですが、訴訟になると膨大な手間暇がかかりますので、それもあって早くやめることです。
正社員のくちは少ないので、やむにやまれぬ状態です。こういうときは出るとこに出て残業代を払ってもらいましょう。成功したケースも紹介されており、泣き寝入りするな、の声が聞こえてきそうです。
結論としては、ブラック企業だと思ったら、早めにやめることです。体を壊してからでは遅いです。
確かに訴訟も一つの選択肢ですが、訴訟になると膨大な手間暇がかかりますので、それもあって早くやめることです。
2008年7月26日に日本でレビュー済み
社員、管理職という名ばかりの管理職が増えて、残業も付かない状況で朝
早くから、真夜中まで働いている方は多いと思います。
「おまえは管理職なんだから」、「残業は付く分けないだろう」と多くの会社の
中で話されていることと思います。
コンプライアンスが叫ばれ、表示、産地偽装などにコンプライアンスが求めら
れていますが、残業、勤務評価も含めて、最低の法律遵守を大きな声で叫ぶ
時が来ているのかもしれません。
どういう人が管理職か、管理職の人は本当に管理職の仕事をしているか
考えて見るのに適切な一冊です。
早くから、真夜中まで働いている方は多いと思います。
「おまえは管理職なんだから」、「残業は付く分けないだろう」と多くの会社の
中で話されていることと思います。
コンプライアンスが叫ばれ、表示、産地偽装などにコンプライアンスが求めら
れていますが、残業、勤務評価も含めて、最低の法律遵守を大きな声で叫ぶ
時が来ているのかもしれません。
どういう人が管理職か、管理職の人は本当に管理職の仕事をしているか
考えて見るのに適切な一冊です。
2008年8月10日に日本でレビュー済み
冒頭に紹介される4日間で86時間という信じられない勤務をしたコンビニ店長の話には、このコンビニの経営陣に怒りを感ぜずにいられません。
入社9か月で店長に、残業代は払われず、本部にパートの補充を要請してもなかなか応じてもられない。結局、家に帰る暇もなく店長が働くが、給料はむしろ平社員のときのほうが良かったくらい。結局、体調を崩して休職…というひどい状況。
派遣社員は使い捨てれれるし、正社員になっても同様という、今の日本の産業の、おかしいところが象徴的に出ています。
ただ、このあまり厚くない本の特徴は、それだけでなく、「名ばかり管理職」をおかざるをえない(?)経営側の論理の一部も、取材、報告していることです。
普通の管理職として待遇していたはずなのに、残業時間が多くて(月100時間)戸惑っている中小企業の経営者の話も興味ぶかい。ここでは、「名ばかり」と名指しされた管理職も、自分は自ら進んで残業もしているのになぜ、違法かと、戸惑っています。
法的には、管理職とは、経営の重要事項の決定に関与する権限があり、また出社、退社時間も自分で決められるなど3条件を満たした人だそうです。でも、このような条件を満たしているのは、今の会社の中では、役員レベルでしょう。そういう人には、残業代を払わわなくても当然ですが、ほかのふつうの部長さん、課長さん連中は、そういう権限がないのに、自ら進んで残業している。
それをおかしいと思わない。逆にいえば、そういう慣行のもとに、日本の経営は成り立ってきていたのでしょう。
その意味で、日本での労働慣習に、疑問を投じた貴重な本といえるでしょう。
新書で、深みには欠けるが、この問題を社会に訴え、一部、それを変えたNHK取材班に、敬意を表したい。
入社9か月で店長に、残業代は払われず、本部にパートの補充を要請してもなかなか応じてもられない。結局、家に帰る暇もなく店長が働くが、給料はむしろ平社員のときのほうが良かったくらい。結局、体調を崩して休職…というひどい状況。
派遣社員は使い捨てれれるし、正社員になっても同様という、今の日本の産業の、おかしいところが象徴的に出ています。
ただ、このあまり厚くない本の特徴は、それだけでなく、「名ばかり管理職」をおかざるをえない(?)経営側の論理の一部も、取材、報告していることです。
普通の管理職として待遇していたはずなのに、残業時間が多くて(月100時間)戸惑っている中小企業の経営者の話も興味ぶかい。ここでは、「名ばかり」と名指しされた管理職も、自分は自ら進んで残業もしているのになぜ、違法かと、戸惑っています。
法的には、管理職とは、経営の重要事項の決定に関与する権限があり、また出社、退社時間も自分で決められるなど3条件を満たした人だそうです。でも、このような条件を満たしているのは、今の会社の中では、役員レベルでしょう。そういう人には、残業代を払わわなくても当然ですが、ほかのふつうの部長さん、課長さん連中は、そういう権限がないのに、自ら進んで残業している。
それをおかしいと思わない。逆にいえば、そういう慣行のもとに、日本の経営は成り立ってきていたのでしょう。
その意味で、日本での労働慣習に、疑問を投じた貴重な本といえるでしょう。
新書で、深みには欠けるが、この問題を社会に訴え、一部、それを変えたNHK取材班に、敬意を表したい。
2008年7月30日に日本でレビュー済み
サラリーマンが憧れる典型的な「管理職」像。しかし今、その「管理職」像が大きく変化している。すなわち「管理職」=「名ばかり管理職」像が中心となっているのではないだろうか。その変化のきっかけを与えたのが、本書のもととなっているNHK「クローズアップ現代」(2007年11月)と「NHKスペシャル」(2008年3月)である。
労基法で定められた管理監督者には残業代を支払う必要がない。しかし、その管理監督者となるには3つの条件を満たす必要がある。現在、管理監督者の中でその3条件を満たしている人はどれほどいるのだろうか。
本書は、その3条件には到底およばない「名ばかり管理職」の実態に迫ったものである。
取り上げられる事例はいずれも常軌を逸した労働実態ばかりである。半年間で月平均約200時間(月80時間以上の残業が過労死認定基準となっている)の残業をこなしていたファミレス店長が過労で倒れ、寝たきり状態となった。その33歳の息子を自宅で看病する母親の「本当は私たちのためにバリアフリーに作ったんですけどね」(p. 62)という発言には涙が出そうになった。
このような違法行為は、労働者個人だけでなく、その家族、企業、ひいては社会全体をも疲弊させていく。また、人間は生きるために働くのであり、死ぬために働くのではない。そのことを痛切に感じさせる内容であった。
労基法で定められた管理監督者には残業代を支払う必要がない。しかし、その管理監督者となるには3つの条件を満たす必要がある。現在、管理監督者の中でその3条件を満たしている人はどれほどいるのだろうか。
本書は、その3条件には到底およばない「名ばかり管理職」の実態に迫ったものである。
取り上げられる事例はいずれも常軌を逸した労働実態ばかりである。半年間で月平均約200時間(月80時間以上の残業が過労死認定基準となっている)の残業をこなしていたファミレス店長が過労で倒れ、寝たきり状態となった。その33歳の息子を自宅で看病する母親の「本当は私たちのためにバリアフリーに作ったんですけどね」(p. 62)という発言には涙が出そうになった。
このような違法行為は、労働者個人だけでなく、その家族、企業、ひいては社会全体をも疲弊させていく。また、人間は生きるために働くのであり、死ぬために働くのではない。そのことを痛切に感じさせる内容であった。
2008年8月9日に日本でレビュー済み
いわゆる一般企業の「名ばかり管理職」と、外食・小売の「名ばかり管理職」店長はきつさの次元が違う。本書を読めばわかるが、店舗の開店時間には、ぎりぎりの人員しか配置していないにもかかわらず、絶対定数通りの従業員がいなくてはならない。いなかったら誰が穴埋めするか?もちろん社員。バイトの職業意識は恐ろしく低い。無断欠勤、無断退勤なんて普通にある。私も時間帯責任者だったとき逃げられて、1人でどうやって仕事を捌こうか途方に暮れたことがあった。
「ワーキングプア」もそうだが、「名ばかり管理職」というのもキャッチーな名称で、これ以上に彼ら「店長」の置かれた境遇を表す言葉はない。「店長」というと、店舗運営、経営を考えていそうな感じだが、実際には売り上げ、利益目標はもちろん、トイレ掃除の仕方まで、本社のやり方でやらないといけない。それでいて、人の手当てとか、不明金の処理といった、マイナスの裁量だけ現場に責任を押し付ける。外食・小売会社というのは、こうした厳しいノルマ管理を店の社員にかぶせることで縛り付け、犠牲にすることで成り立ってきた。そしてすべてのしわよせを背負い込んだ社員がばたばたと倒れていく。その死屍累々な外食産業の有様をわずかな期間ではあるが目の当たりにしてきたので、本書の記述は胸に刺さった。過労から全身麻痺になってしまった元外食店員を両親が介護するという記述は、辛過ぎて冷静に読めない。みんな職場を空けてはいけない、離れてはいけないと思い込まされてしまうのだ。マクドナルドの24時間営業化で労働環境が目に見えて厳しくなった様子が描かれるが、24時間化は本当に必要なのだろうか、しみじみ感じずにはいられなかった。
本書は番組放映の内容をまとめたものだが、番組を見ていなくても興味深く読める。
「ワーキングプア」もそうだが、「名ばかり管理職」というのもキャッチーな名称で、これ以上に彼ら「店長」の置かれた境遇を表す言葉はない。「店長」というと、店舗運営、経営を考えていそうな感じだが、実際には売り上げ、利益目標はもちろん、トイレ掃除の仕方まで、本社のやり方でやらないといけない。それでいて、人の手当てとか、不明金の処理といった、マイナスの裁量だけ現場に責任を押し付ける。外食・小売会社というのは、こうした厳しいノルマ管理を店の社員にかぶせることで縛り付け、犠牲にすることで成り立ってきた。そしてすべてのしわよせを背負い込んだ社員がばたばたと倒れていく。その死屍累々な外食産業の有様をわずかな期間ではあるが目の当たりにしてきたので、本書の記述は胸に刺さった。過労から全身麻痺になってしまった元外食店員を両親が介護するという記述は、辛過ぎて冷静に読めない。みんな職場を空けてはいけない、離れてはいけないと思い込まされてしまうのだ。マクドナルドの24時間営業化で労働環境が目に見えて厳しくなった様子が描かれるが、24時間化は本当に必要なのだろうか、しみじみ感じずにはいられなかった。
本書は番組放映の内容をまとめたものだが、番組を見ていなくても興味深く読める。