よく取材されており、今後のエネルギー政策を論じる際に不可欠である。電力利権の息のかかった勢力は欧州の電力政策の欠点ばかり挙げて言論操作しようとしているが、真実は必ず明らかになる。
欧州のエネルギー政策・電力政策の実態を知り、その長短と特性を理解して日本の政策に活かすことこそが国民の責務である。「再生可能エネルギーは不安定」「発送電分離で電力供給が不安定に」といった利権勢力のプロパガンダを打破し、エネルギー政策の主導権を国民の手に取り戻し得るかどうか、つまり日本が真の民主主義国かどうかが試されている。
福島原発事故で原発の実質的な発電コストと保険料の額が跳ね上がり、周辺自治体の目が厳しくなるなか、原発再稼動はもはや政治的にも経済的にも不可能となった。低コストの風力発電の拡大と夏期の電力ピークに太陽電池で対処することは、必要であるばかりではなく既にして不可欠である。
スウェーデンの元エネルギー庁高官の予言通り、日本の電力・エネルギー分野はこれから大きく変貌してゆくであろう。地域独占の利権は崩壊し、国民がエネルギーの自己決定領域を拡大させてゆくことで新しい産業・企業・技術が伸びてゆくであろう。我々は2011年3月の段階で大きなターニング・ポイントを過ぎており、あとは正しく未来を見通して効率的で賢明なエネルギー社会を構築するだけである。
尚、本書にはいくつか欠けている点があるので、下掲書で確認されたい。
「太陽光発電や風力発電で電力が不安定に」はプロパガンダである。飯田哲也氏が詳しく解説されている。
『エネルギー進化論: 「第4の革命」が日本を変える』
再生可能エネルギーは太陽や風だけではない。欧州の木質バイオマスコージェネの雇用誘発効果は大きい。
『日本林業はよみがえる―森林再生のビジネスモデルを描く 』
直近の電力不足に対処するにはコージェネレーションとヒートポンプが欠かせない。
『天然ガスが日本を救う 知られざる資源の政治経済学』石井彰
『ニッポンの環境エネルギー力-IT産業立国からエコ産業立国に大変身を遂げる「日本の底力」』
NHKの記者の方々もこれらを是非ご一読されたい。
Data:読み込み度【熟読】社会的重要性【かなり高い】 入手元【書店】 お薦め度【Strong buy】
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総力取材! エネルギーを選ぶ時代は来るのか (NHK出版新書) 新書 – 2011/12/8
どうする? 私たちのエネルギー
福島第一原発事故が起き、「原子力からの脱却」「自然エネルギーへのシフト」が叫ばれるなか、「再生可能エネルギー法案」が可決した。この法案がもたらす「大変革」のゆくえをNHKが総力取材。「電力会社任せ」を脱し、国民自らが責任をもつエネルギー選択とは——。私たちの未来をより具体的に考えるための一冊。
福島第一原発事故が起き、「原子力からの脱却」「自然エネルギーへのシフト」が叫ばれるなか、「再生可能エネルギー法案」が可決した。この法案がもたらす「大変革」のゆくえをNHKが総力取材。「電力会社任せ」を脱し、国民自らが責任をもつエネルギー選択とは——。私たちの未来をより具体的に考えるための一冊。
- 本の長さ192ページ
- 言語日本語
- 出版社NHK出版
- 発売日2011/12/8
- ISBN-104140883677
- ISBN-13978-4140883679
登録情報
- 出版社 : NHK出版 (2011/12/8)
- 発売日 : 2011/12/8
- 言語 : 日本語
- 新書 : 192ページ
- ISBN-10 : 4140883677
- ISBN-13 : 978-4140883679
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