数年前にNHKで鳥の渡りを衛星を使って追跡する番組を観て、大変印象的だったのですが、先日書店で正にその衛星を使った渡り鳥の追跡をテーマにした本書を見つけ、早速購入しました。
研究者が一般の読者に鳥の渡り習性と生活に関心を持ってもらおうという意図で書かれた本なので、文章は読み易く、渡りのコースや移動距離も図版を通じてイメージし易くなっています。
手元に地図帳を携えて読むと一層、渡りのスケールの大きさを実感することが出来ます。
この本を読んで、子供の頃からの「渡り」に関する疑問の答えを得られ、興味深い事実を知ることが出来ました。
幾つか御紹介します。
1.鳥が渡りをするのは、寒さから逃れるためではなく、年間を通じて安定的に食料を確保するため。
2.渡り鳥が春に越冬地(南国)から日本へ渡って来るのは、春夏の日本の方が南国よりも沢山、食べ物となる動植物が発生するから。
3.鳥は、太陽・星座の位置や、地磁気に対する感覚で渡り先の方向を捉え、目的地に近づくと地形に関する記憶情報をもとに飛ぶ。
4.朝鮮半島の停戦ライン周辺は、シベリアや中国東北地方と日本の間を渡っているツル・ガンの重要な休息地点となっている。
5.日本からジャワ島まで遥か9千キロを、3ヶ月かけて飛行する鳥(ハチクマ)がいる。
そのほか衛星追跡には欠かせない発信器や、その取り付け方法(鳥を捕まえて、取り付けるのですが)、衛星追跡の国際的な取り組みについても、わかりやすく解説されています。
家並みをスイスイ飛び交うツバメに、思わず初夏の爽やかさを感じるかたには、きっと興味深く読んでいただけることでしょう。
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鳥たちの旅: 渡り鳥の衛星追跡 (NHKブックス 1038) 単行本 – 2005/9/1
樋口 広芳
(著)
- 本の長さ251ページ
- 言語日本語
- 出版社NHK出版
- 発売日2005/9/1
- ISBN-104140910380
- ISBN-13978-4140910382
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登録情報
- 出版社 : NHK出版 (2005/9/1)
- 発売日 : 2005/9/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 251ページ
- ISBN-10 : 4140910380
- ISBN-13 : 978-4140910382
- Amazon 売れ筋ランキング: - 382,037位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年4月4日に日本でレビュー済み
2005年初版。日本野鳥の会、その他がNTTの衛星を使って日本、及び繁殖地のロシアから行われた追跡調査だ。送信機を付けた一羽のコハクチョウ「のり子」が北海道の北端、丁度、利尻・礼文島と反対の東側に位置するクッチャロ湖を飛び立った。その日の内に何とサハリン南部に到着した。地図で見ると、直ぐ目の前だが凄い距離だ。人間にとっては冒険の域になる。グーグル地図を首っ引きだ。
鳥の渡りで有名な九州出水市からもマナヅル三家族を追跡する。対馬を経由して韓国、そして板門店、ロシアを経由して中国、しかも別々の繁殖地に向かった親子もいた。この時点でヒトであったら、親は捜索願を出し、子供は『おかあさ~ん!』と叫び、母を訪ねてXX千里、となるのだが、別々であろうと、無事に同一繁殖地に着いても、その後は単独行動だ。親離れ、子離れ出来ない人間とはチト違う。クールだ。
一方、ロシアのアムール川(黒竜江)の北側にあるヒンガンスキー自然保護区からも送信機が取り付けられたマナヅルが渡りを始める。2つのルートが確認された。南東へ飛び、朝鮮半島経由で九州出水市に到着したものと、中国経由で朝鮮半島上空を飛び、同じく九州の出水市へ向かったもの。まるで勝手気ままな方向へ飛び出し、途中でターゲットを見極め、軌道修正しているかのような飛び方だ。
サシバの福ちゃん(石垣島ー福島県安達郡)と新子(石垣島ー新潟県北蒲原郡)の渡りはもう国内短距離だ。この経路は太平洋側を飛ぶ飛行機と同じ部分があるから想像し易い。もちろん一気に飛ぶのではなく30数日を掛け、2000-3000キロを飛ぶ。春の渡りと秋の渡りでは秋の方が日数が掛かっている。そして何れも春分・秋分を挟んで飛んでいる。
とても興味深く、面白いテーマが途中で何回も確認しながら先を読まなければならなかった。それは研究してきた事をそのまま本にし手しまった部分にあるのかも知れない。面倒臭いかも知れないが、一つの渡りに一つの地図を付けて欲しかった。ストーリーとして、またドキュメントとして一般の人間に鳥の渡りについて理解して貰う為には、その位の配慮がないと付いて行けない。
一般のヒトが読まなければ、渡り鳥が減少している、と叫んでも効果は無い。それは渡り鳥の問題だけでなく、やがてはヒトも影響を受けるのは確実だからだ。野鳥は見ていると楽しい。しかし、人間の食料のために開発された、匂いを抑えた低毒素の農薬の為にミツバチが影響を受けている様に、野鳥も影響を受けているに違い無い。生き物目線での自然環境を考えないと、人間も影響を受けるのは目に見えている。
鳥の渡りで有名な九州出水市からもマナヅル三家族を追跡する。対馬を経由して韓国、そして板門店、ロシアを経由して中国、しかも別々の繁殖地に向かった親子もいた。この時点でヒトであったら、親は捜索願を出し、子供は『おかあさ~ん!』と叫び、母を訪ねてXX千里、となるのだが、別々であろうと、無事に同一繁殖地に着いても、その後は単独行動だ。親離れ、子離れ出来ない人間とはチト違う。クールだ。
一方、ロシアのアムール川(黒竜江)の北側にあるヒンガンスキー自然保護区からも送信機が取り付けられたマナヅルが渡りを始める。2つのルートが確認された。南東へ飛び、朝鮮半島経由で九州出水市に到着したものと、中国経由で朝鮮半島上空を飛び、同じく九州の出水市へ向かったもの。まるで勝手気ままな方向へ飛び出し、途中でターゲットを見極め、軌道修正しているかのような飛び方だ。
サシバの福ちゃん(石垣島ー福島県安達郡)と新子(石垣島ー新潟県北蒲原郡)の渡りはもう国内短距離だ。この経路は太平洋側を飛ぶ飛行機と同じ部分があるから想像し易い。もちろん一気に飛ぶのではなく30数日を掛け、2000-3000キロを飛ぶ。春の渡りと秋の渡りでは秋の方が日数が掛かっている。そして何れも春分・秋分を挟んで飛んでいる。
とても興味深く、面白いテーマが途中で何回も確認しながら先を読まなければならなかった。それは研究してきた事をそのまま本にし手しまった部分にあるのかも知れない。面倒臭いかも知れないが、一つの渡りに一つの地図を付けて欲しかった。ストーリーとして、またドキュメントとして一般の人間に鳥の渡りについて理解して貰う為には、その位の配慮がないと付いて行けない。
一般のヒトが読まなければ、渡り鳥が減少している、と叫んでも効果は無い。それは渡り鳥の問題だけでなく、やがてはヒトも影響を受けるのは確実だからだ。野鳥は見ていると楽しい。しかし、人間の食料のために開発された、匂いを抑えた低毒素の農薬の為にミツバチが影響を受けている様に、野鳥も影響を受けているに違い無い。生き物目線での自然環境を考えないと、人間も影響を受けるのは目に見えている。
2010年7月4日に日本でレビュー済み
著者は発信器と衛星を使って渡り鳥の研究をしている人物。
本書では、コハクチョウ、マナヅル、サシバ、ハチクマの4種類が取り上げられ、研究のあらましと、その結果わかりつつあることについて紹介されている。
衛星追跡によって飛躍的に研究が進みつつあるようで、なかなか興味深い分野だ。しかし、まだまだこれからといった感じでもある。
渡りのコース、どこでどんなふうに過ごしているか、北朝鮮と韓国の国境地帯の重要性といった話のほかに、鳥を捕獲する苦労や発信器開発のことなども。
本としての構成に大いに難があり、不満の残る一冊であった。もう少し語る順序を工夫できなかったのか。文章にも問題あり。
本書では、コハクチョウ、マナヅル、サシバ、ハチクマの4種類が取り上げられ、研究のあらましと、その結果わかりつつあることについて紹介されている。
衛星追跡によって飛躍的に研究が進みつつあるようで、なかなか興味深い分野だ。しかし、まだまだこれからといった感じでもある。
渡りのコース、どこでどんなふうに過ごしているか、北朝鮮と韓国の国境地帯の重要性といった話のほかに、鳥を捕獲する苦労や発信器開発のことなども。
本としての構成に大いに難があり、不満の残る一冊であった。もう少し語る順序を工夫できなかったのか。文章にも問題あり。