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思考する言語(上) 「ことばの意味」から人間性に迫る (NHKブックス) 単行本(ソフトカバー) – 2009/3/26
ピンカー言語論の新展開!
認知のクセを解き明かす。
それは「所有」「移動」「目的」などの概念で、言語に組み込まれ、単語の「意味」や、単語と構文の結びつきを規定し、また、これらの概念を柔軟に組み合わせて人は思考する。
give,put,takeなどのベーシックな動詞の概念を手がかりに、文法を知らない幼児が複雑な動詞構文をどのように習得し、人の心がことばの意味をどのように表象するのかを明らかにする。
極端な生得説や語用論、言語決定論を実証的に退け、思考と言語のダイナミックな関係を解き明かす。
- ISBN-104140911301
- ISBN-13978-4140911303
- 出版社NHK出版
- 発売日2009/3/26
- 言語日本語
- 本の長さ312ページ
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商品の説明
著者について
● スティーブン・ピンカー(Steven Pinker)
現在、ハーバード大学心理学研究室教授。視覚認知と幼児の言語獲得についての研究により、米国心理学会から「Distinguished Early Career Award」、および、「McCandless Young Development Psychologist Award」受賞。2004年にタイム誌の「世界でもっとも影響力のある100人」のひとりに選ばれた。
主な著書に『言語を生みだす本能』、『心の仕組み』、『人間の本性を考える』(以上すべてNHKブックス)など。
[訳者]
● 幾島幸子(いくしま・さちこ)
早稲田大学政経学部卒業。翻訳家。主な訳書に『マルチチュード』(ネグリ=ハート/NHKブックス)など。
● 桜内篤子(さくらうち・あつこ)
ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ)卒業。翻訳家。
登録情報
- 出版社 : NHK出版 (2009/3/26)
- 発売日 : 2009/3/26
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 312ページ
- ISBN-10 : 4140911301
- ISBN-13 : 978-4140911303
- Amazon 売れ筋ランキング: - 381,092位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 24,963位語学・辞事典・年鑑 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
面白いこと、このうえない。 私は人類の普遍性とか言語の生得性を支持するので
一層そうなのかもしれませんが、そうでない 立場の方も、実に興味深く読めることは
請合中。上・中・下巻、あっというまです。
様々なディシプリンの様々な立場を簡便に一望するにも、自身のテーマを発見するにも、
非常に 好適なシリーズです。すごいまとめ力っていうか構成力だな、と。
面白く有益なことは間違いないので、以下、少々気になる点を。
邦訳について、この書名「思考する言語」はNG。“思考の素材”という本来のタイトルの
正確な 訳でない以上に、本書でピンカーが批判している立場を代弁するかのような訳語に
なってしまって いる点が決定的にNG。
いろんな学術的分野を縦横に横断して、いろんなサブテーマを盛り込んでいる点は高く
評価できる 一方、ちょっと議論の根拠の粒度、というか理路のリジッドさのバラつきが
気になります。 言語学、心理学、認知科学、神経科学、人類学の様々な文献を縦横に
利用しているけれど、それぞれ の議論の立論基盤のバラつき具合は、著者による取捨と
構成によっても補えていないのでは?
とりわけ本書前半の動詞が許容する構文の違いといった認知科学や言語学に立脚した
話題と、本書 後半の礼儀正しさやタブー語についての心理学や人類学に立脚した話題
は、その立論構成の緻密さ 度合いの差が目立ちます。 よって、本書によって各学術
分野を概観し様々なテーマを拾うにしても、受け入れて良い部分と強く 懐疑的になる
部分がはっきりわかれるので、ここは慎重になるべきかも。
最後に、ゴフマンへの言及が多く、ピンカーの著書では例外的に社会学関連の引用も
多かったけど、 上述の学術各分野に「社会学」が同列に参加できる日を待ち望み中。
言語学とともに英語という言語に興味があるひとなら,きっと興味がもてるだろう. 日本語と英語との構造的なちがいを意識しながら読むこともできるだろうが,読みながらそれをきちんと把握するのはむずかしい.
これであと『単語と規則」が邦訳されれば三部作すべてがそろうことになる。
本書では、言語を手掛かりに人がどういう考え方をしているのか、その枠組み部分を分析していく。
ピンカーのとる立場は「概念意味論」という、思考の基礎的な言語(事象の捉え方や分類の仕方に関する枠組み)が語のベースにあるというものだ。
こういうのは、例えばなぜある動詞では「SVAonB」と「SVBwithA」がどちらも使えるのに、別の動詞では一方しか使えないか、のようなものに表れている。
こういう事例をたくさん集めて、丹念に「思考の素材」(本書の原題)をあぶりだしていく。
そして、これを軸に、極端な生得主義や、極端な言語決定論を批判する。
ピンカーは以前はチョムスキー主義者のように見られていたが、最近では考えを異にするようになり、レイコフのようなメタファー論を積極的に取り入れるようになっている。(ただしレイコフほど相対的ではない)
そうした「転向」も垣間見れる一冊である。
第一章では、ことばというものを「思考」「現実」「社会」「感情」「人間関係」とのかかわりから問題意識のありかを示し、本書の知的冒険の地図をかかげる形だ。
第二章では、様々な構文をあげて、考察を深めるとともに、そこから人間の認知や思考の「くせ」を明らかにしていく。単なる表象的な言語論をこえて、人間性の本質に切り込んでいく格好だ。
第三章では、いくつかの主要な議論を整理し、言語と認知の関わりにして明晰に分析していく。極端な生得主義やウォーフ主義などを丹念に検証し、科学的な結論を目指していく。以前の「言語を生み出す本能」より、発展した議論が展開され、立場の違いを超えて納得できる説得力のあふれる誠実で穏健な議論である。
ピンカーは広い意味では生成文法家だが、近年はチョムスキーの「主流」とはいささか趣を異にしている。また、認知言語学に歩み寄りを見せているともとれる主張もある。ともあれ、図式的な対立を乗りこえた言語論を味わうことのできる本書を、すこしでも言語に興味のある方すべてにぜひお勧めしたい。
私は、ピンカーの進化心理学分野での新たな知見を得たくて本書を読みましたが、残念ながら特段新たな知見は見いだせませんでした。
前2作「心の仕組み」「人間の本性を考える」では素晴らしい切れ味で進化心理学を解説していましたが、本書ではそれがありませんでした。
言語学・進化心理学の両方を著者自身が集大成しようとしたのだとは思いますが、それであるが故に内容がかなり散漫になっていると思います。
なお、言語学における本書の位置づけや価値についてはまったくわかりませんのでレビューは差し控えたいと思います。
2009/5/21読了(上中下巻)
Amy poured water into the glass(内容所格構文)とは言えるが
Amy poured the glass with water(容器所格構文)とは言えないのはなぜか、といった疑問を筆者は動詞の持つ空間、時間、因果性、所有、目的といった性質に注目することで、説明していく。筆者は言語は思考そのもの(言語決定論)とか人間は生まれつき基本概念を表象する能力を持っている(生得主義)といったライバル理論を検証し、それらの理論の限界を明らかにしつつ、動詞の自動詞・他動詞や使役構文が使えるかどうかを決めるのは言語の奥底にある空間、時間、因果性、所有、目的といった、より抽象的でより普遍的な意味要素によってであり、言語はそれらを見るための「覗き窓」にすぎないという概念意味論を提唱する。本書で筆者が対象にしているのは英語だが、高校生レベルの英語力があれば十分理解できる。じっさい英語が得意とは言えない大学生の僕でも興味深く読むことが出来た。英語が得意な方はもっと楽しめるかもしれない。