"A Taste for Death" は、アダム・ダルグリッシュ警視が登場するシリーズとしては7作目で、1986年に発刊されています。評論家H・R・F・キーティングの『ミステリ名作100選』に採用された中では最も新しく、CWA賞(英国推理作家協会)シルバーダガー賞を受賞しています。江戸川乱歩のようにストーリー展開と謎解きのみに興味をおぼえる読者には、この作者特有の情景描写や登場人物の造型が長たらしく思えるかもしれません。探偵役のダルグリッシュの独白は、事件の推理や観察ばかりか自分が今やっていることへの疑いや倦怠まであらわしていますので、忙しい読者にはつきあいきれない。ただ、本来の筋とは一見無関係・無駄に思われるかもしれない叙述で、作者は容疑者や捜査官の心の内部に深く立ち入り、人生について多くを語ることに成功しているように感じました。
この上巻では、イギリスの閣僚まで勤めた政治家が突然に辞任し、教会の聖具室に泊まり、そこで首を切られた遺体として発見されるところから始まっています。しかも同じように殺されたらしく見える浮浪者の遺体といっしょに。ベロウン卿は政治家という役割に退屈をおぼえ、事件の捜査を指揮するダルグリッシュは自分のことを「詩を書かなくなった詩人、警察活動に幻滅した警察官」ではないか、と考えています。そうした内心とは別に、ダルグリッシュは着々と手がかりをつかんでいく、そのギャップが本作の魅力の一つでもあります。
誰がベロウン卿とハリー・マックを殺したか、という外面的なストーリーの背景には、「信仰とは何か」という作者からの問いかけが隠されているようです。
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死の味 上 (ハヤカワ・ミステリ 1500) 新書 – 1987/12/1
P.D. ジェイムズ
(著),
青木 久恵
(翻訳)
- 本の長さ271ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日1987/12/1
- ISBN-104150015007
- ISBN-13978-4150015008
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (1987/12/1)
- 発売日 : 1987/12/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 271ページ
- ISBN-10 : 4150015007
- ISBN-13 : 978-4150015008
- Amazon 売れ筋ランキング: - 916,507位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2016年11月27日に日本でレビュー済み
2014年7月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大した事なし。余計な事がゴチャゴヤと続くだけ。主題を中心にもっとしぼれ。
2019年2月14日に日本でレビュー済み
教会で政治家とホームレスの死体が見つかり・・・というお話。
この小説に関しては、この人の熱烈なファンだった故・瀬戸川さんが、この人の一番悪い部分が出てしまった作品と何処かで書いてらっしゃった記憶があり、そういう先入観を極力排除して読んだつもりですが、やはり私も推理小説としては若干疑問を覚えた所があるのが真実でした。
具体的に書くと興を削ぐと思うので書けませんが、最後の方で重要になる小道具が真相が判ってから最初から読み直してみても、私の読みが悪いのかもしれませんが、あまり伏線が張られていないみたいで、この人の所謂「伏線の美学」が堪能出来ない様に感じました。
そういう意味で推理小説としたの完成度はイマイチに感じましたが、謎めいた状況や亡くなった政治家の家系にまつわる来歴等は読み応えがあり、こういう☆にしましたが、人に依ってはもっと少なくするであろうとも思います。
女性のキャラが尿瓶で所用を足すシーン等、微に入り細を穿つ所は流石PDさん、とも思います。人に依っては露悪的に思でしょうが、こういう細かいシーンをサラリと書く所にこの人の本領があると思います。
女流本格の大御所がある時期のイギリスの人間模様を活写した佳作。機会があったら是非。
この小説に関しては、この人の熱烈なファンだった故・瀬戸川さんが、この人の一番悪い部分が出てしまった作品と何処かで書いてらっしゃった記憶があり、そういう先入観を極力排除して読んだつもりですが、やはり私も推理小説としては若干疑問を覚えた所があるのが真実でした。
具体的に書くと興を削ぐと思うので書けませんが、最後の方で重要になる小道具が真相が判ってから最初から読み直してみても、私の読みが悪いのかもしれませんが、あまり伏線が張られていないみたいで、この人の所謂「伏線の美学」が堪能出来ない様に感じました。
そういう意味で推理小説としたの完成度はイマイチに感じましたが、謎めいた状況や亡くなった政治家の家系にまつわる来歴等は読み応えがあり、こういう☆にしましたが、人に依ってはもっと少なくするであろうとも思います。
女性のキャラが尿瓶で所用を足すシーン等、微に入り細を穿つ所は流石PDさん、とも思います。人に依っては露悪的に思でしょうが、こういう細かいシーンをサラリと書く所にこの人の本領があると思います。
女流本格の大御所がある時期のイギリスの人間模様を活写した佳作。機会があったら是非。