2007年度のパリ警視庁賞を受賞した大型警察捜査小説の傑作です。本書の主役はパリ司法警察局凶悪犯罪捜査班部長のニコ・シルスキー警視です。彼は若干38歳でチーフに抜擢された切れ者です。私生活ではバツイチで、精神的に不安定な別れた妻シルヴィーとの間に出来た息子ディミトリを交互に養育しています。本書の冒頭で彼は診察を通じて女性医師カロリーヌ・ダルリーと出会い、雷に打たれたような衝撃を受け一目惚れしメロメロになります。
事件は月曜日に始まる。ソルボンヌ大学の女性講師が惨殺死体で発見されたのだ。死体は鞭打ち30回、両方の乳房を切断し持ち去るというおぞましさだった。続いて火曜日には同様の女性の死体が発見され、何と前の被害者の乳房が縫い合わされていたのだ。そして被害者の血でメッセージが残されていた。「七日間、七人の女」。連続殺人予告に捜査陣は懸命に手掛りを追うが、捜査は難航し困難を極める。
中盤でニコ警視の義弟に濡れ衣を着せたり、ニコに挑戦状のメッセージを残したりと、犯人の警視への怨恨説が浮上します。私が思うに、ここで闇雲な捜査方針と発想を転換し的を絞って犠牲者を抑えられなかっただろうかと考えます。結局、自らを神と呼ぶ犯人は凶行を続け、巧妙な罠により捜査陣をミスリードして誤まった犯人へと導きかけます。それから、ニコ警視は四六時中白昼夢を見るほどにダルリー医師に惚れ込んでいて、人間的には魅力的ですがプロの捜査官としては集中力に欠けて失格でしょう。最後の日曜日の犯人とニコ警視との行き詰まる対決シーンは些か長くて読むのに疲れましたが、生死を賭けた恋人への愛情が試される究極の名場面です。本書は臨場感に満ちた警察捜査の生々しい実態が体感出来る出色の警察小説ですので存分にお楽しみ頂きたいと思います。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
何か問題が発生しました。後で再度リクエストしてください。
OK
第七の女 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1813) 新書 – 2008/6/6
フレデリック・モレイ
(著),
野口雄司
(翻訳)
パリ警視庁賞受賞! 月曜日、事件の幕は切って落とされた。ソルボンヌ大学の女性講師が惨殺死体で発見されたのだ。百戦錬磨のニコ・シルスキー警視も思わず戦慄するほどの惨状だったが、それはほんの序の口に過ぎなかった。火曜日、はやくも犯人は第二の凶行におよぶ。現場には被害者の血液で書かれたメッセージが――「七日間、七人の女」。ニコの指揮のもと必死の捜査を繰りひろげる警察を嘲笑うかのように、姿なき殺人者の跳梁は続く。そして犯人の魔手は、ついにはニコの家族にまで……連続殺人鬼対フランス警察の対決を描く、大型警察捜査小説
- 本の長さ270ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2008/6/6
- ISBN-104150018138
- ISBN-13978-4150018139
登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2008/6/6)
- 発売日 : 2008/6/6
- 言語 : 日本語
- 新書 : 270ページ
- ISBN-10 : 4150018138
- ISBN-13 : 978-4150018139
- Amazon 売れ筋ランキング: - 557,211位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
星5つ中4つ
5つのうち4つ
1グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。