かといって原題のロック・アーティスト、というのもしっくり来ないんですけどね。これは犯罪小説の皮をかぶった
ボーイ・ミーツ・ガール、ラブロマンスだと思うのですが、その面ではたしかに美しいシーンがふんだんに盛りこまれた
一級品。画のやりとりや「人魚と金庫」をめぐるラストの情景には心震えるものがありました。あの出逢いのときめき、
想いが結実する瞬間のあざやかさは、ちょっと比類がない美しさではないかと。
その反面で、犯罪のパートはどこかで見たような既存のイメージが勝ってしまっているようにも感じられて。主人公が
いささかリア充で、金庫破りの天才であるだけでなくべらぼうに絵も上手い、となるとちょっと盛りすぎなようにも思
うし、なにしろ金庫破り、と、絵画の巧さ、というのが実は有機的に結びついていないのでは。とはいえこれは、個人
的な好みの問題でもあると思うので、万人におススメしやすい最上質な作品であることに変わりはありません。
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解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ミステリ 1854) 新書 – 2011/12/8
スティーヴ・ハミルトン
(著),
越前敏弥
(翻訳)
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購入オプションとあわせ買い
【アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)最優秀長篇賞/英国推理作家協会賞スティール・ダガー賞/バリー賞最優秀長篇賞/全米図書館協会アレックス賞】 けっして動かないよう考え抜かれた金属の部品の数々。でも、力加減さえ間違えなければ、すべてが正しい位置に並んだ瞬間に、ドアは開く。そのとき、ついにその錠が開いたとき、どんな気分か想像できるかい? 八歳の時に言葉を失ったマイク。だが彼には才能があった。絵を描くことと、どんな錠も開くことが出来る才能だ。やがて高校生となったマイクは、ひょんなことからプロの金庫破りの弟子となり芸術的な腕前を持つ解錠師になる……プロ犯罪者として非情な世界を生きる少年の光と影を描き、世界を感動させた傑作!
- 本の長さ427ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2011/12/8
- ISBN-104150018545
- ISBN-13978-4150018542
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商品の説明
出版社からのコメント
全米図書館協会アレックス賞は、ヤングアダルト世代に読ませたい一般書に与えられる賞。若い世代の方々にもぜひ手にとっていただきたい一冊です。
著者について
1941年、デトロイト生まれ。ミシガン大学卒。1998年のデビュー作『氷の闇を越えて』でMWA賞、シェイマス賞の最優秀新人賞を受賞している。ニューヨーク州在住。
登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2011/12/8)
- 発売日 : 2011/12/8
- 言語 : 日本語
- 新書 : 427ページ
- ISBN-10 : 4150018545
- ISBN-13 : 978-4150018542
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,175,573位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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文芸翻訳者。1961年生まれ。東京大学文学部国文科卒(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『Six-Words たった6語の物語』(ISBN-10:4887598599)が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年8月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2013年5月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
出版点数も、分野も多彩なミステリ。
面白いものを選ぼうにも、自分だけで探し当てるのは困難と、恒例になっているのが、年末年始に行われる「宝島社」と「週刊文春」が主催のミステリ・ランキング上位作品を読むこと。
昨年(2012年)は、「 二流小説家 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕 」が両ランキングで第1位と、二冠を達成し、当然の如く読みましたが、今年も、またもや二冠達成作品が誕生しました。それが、本作品「解錠師」。
読み始めてみると、昨年の「二流小説家」に比べ、何しろ筆さばきが手馴れている。いわば、ミステリとしての盛り上がりのツボを抑えており、これは、「新人らしからぬ」という賛辞をしようと思ったら、訳者あとがきによると、デビューは1998年で、米国では、中堅作家として地位を固めている作家なのだとか。
題材が、「金庫破り」ということで、いわゆる「クライム・サスペンス」と呼べるものだが、主人公が、10代後半から、その才能に導かれ、犯罪に手を染めていく中で、青年らしい恋物語も絡んできており、「青春ミステリ」の要素も含まれている作風です。
この「金庫破り」のワザ、もちろん私は全く素人ですが、どうも、昔ながらの「ダイヤル式」の鍵を対象にしていて、そのダイヤルを回す時の微妙な感触を天才的な能力で把握し、「解錠」してしまうというもの。
自分としては、最近の鍵、特に金庫では、「電子錠」というコンピュータを導入したものが多く使われているような気がしていますが、2010年発表の本作品は、主人公の回想という形で、1990年代から2000年までが描かれています。
もしかすると、2010年代の昨今では、その金庫破りの技術が通用しないための時代設定かもしれません。
個人的には、「本格ミステリ」系好きのため、大絶賛はしませんが、この程度の高レベルの作品が、年に1冊でも読めるのはうれしいことです。
面白いものを選ぼうにも、自分だけで探し当てるのは困難と、恒例になっているのが、年末年始に行われる「宝島社」と「週刊文春」が主催のミステリ・ランキング上位作品を読むこと。
昨年(2012年)は、「 二流小説家 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕 」が両ランキングで第1位と、二冠を達成し、当然の如く読みましたが、今年も、またもや二冠達成作品が誕生しました。それが、本作品「解錠師」。
読み始めてみると、昨年の「二流小説家」に比べ、何しろ筆さばきが手馴れている。いわば、ミステリとしての盛り上がりのツボを抑えており、これは、「新人らしからぬ」という賛辞をしようと思ったら、訳者あとがきによると、デビューは1998年で、米国では、中堅作家として地位を固めている作家なのだとか。
題材が、「金庫破り」ということで、いわゆる「クライム・サスペンス」と呼べるものだが、主人公が、10代後半から、その才能に導かれ、犯罪に手を染めていく中で、青年らしい恋物語も絡んできており、「青春ミステリ」の要素も含まれている作風です。
この「金庫破り」のワザ、もちろん私は全く素人ですが、どうも、昔ながらの「ダイヤル式」の鍵を対象にしていて、そのダイヤルを回す時の微妙な感触を天才的な能力で把握し、「解錠」してしまうというもの。
自分としては、最近の鍵、特に金庫では、「電子錠」というコンピュータを導入したものが多く使われているような気がしていますが、2010年発表の本作品は、主人公の回想という形で、1990年代から2000年までが描かれています。
もしかすると、2010年代の昨今では、その金庫破りの技術が通用しないための時代設定かもしれません。
個人的には、「本格ミステリ」系好きのため、大絶賛はしませんが、この程度の高レベルの作品が、年に1冊でも読めるのはうれしいことです。
2017年12月31日に日本でレビュー済み
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面白く全部読みましたが、耐えがたく後味悪い描写もあります。読まなかったほうが良かったかも。
2013年1月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
私のド真ん中でした!
緻密な解錠場面や過去と未来を行き来するストーリーにも引き込まれますが、
キャラクターの造形が特に好きでした。
腹の中では周囲をシニカルに、諦観の境地から眺めているのに、
求められれば、大人しく、鮮やかに、やり遂げてしまう美少年マイクル。
本書にあるように、解錠師はブッ放すだけの能なしとは違う、
窃盗団のプリマドンナ。替えのきかない存在。
なのに、なぜか全体的に漂う「踏んだり蹴ったり」の残念感(笑)
「鍵のかかった部屋」から検索して、
いつの間にか辿りついて購入してしまいました。
だからマイクルのイメージを「大野智版・榎本径」にして読んでしまいましたが、
自分ではなかなか面白い読み方をしたなぁと思っています。
「能ある鷹が、爪を隠して、踏んだり蹴ったりの目にあわされて、粗末にされてる感じ」
が、なんとも嵐の大野君みたいでした。
ただ、古い本なので
敵がピンシリンダー・ディスクシリンダー止まりなのが残念です。
だから全部ピッキングでなんとかなっちゃう。
今また作者に続編を書いてほしいですね。
マイクルがインプレッションやバンピング以外の
予想外の解錠方法を用いて、
100ピンぐらいあるバカみたいなディンプル錠とか、
マグネット錠、チューブラー錠、スマート錠を次々と攻略する小説…
ぜひ読んでみたいです!
緻密な解錠場面や過去と未来を行き来するストーリーにも引き込まれますが、
キャラクターの造形が特に好きでした。
腹の中では周囲をシニカルに、諦観の境地から眺めているのに、
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本書にあるように、解錠師はブッ放すだけの能なしとは違う、
窃盗団のプリマドンナ。替えのきかない存在。
なのに、なぜか全体的に漂う「踏んだり蹴ったり」の残念感(笑)
「鍵のかかった部屋」から検索して、
いつの間にか辿りついて購入してしまいました。
だからマイクルのイメージを「大野智版・榎本径」にして読んでしまいましたが、
自分ではなかなか面白い読み方をしたなぁと思っています。
「能ある鷹が、爪を隠して、踏んだり蹴ったりの目にあわされて、粗末にされてる感じ」
が、なんとも嵐の大野君みたいでした。
ただ、古い本なので
敵がピンシリンダー・ディスクシリンダー止まりなのが残念です。
だから全部ピッキングでなんとかなっちゃう。
今また作者に続編を書いてほしいですね。
マイクルがインプレッションやバンピング以外の
予想外の解錠方法を用いて、
100ピンぐらいあるバカみたいなディンプル錠とか、
マグネット錠、チューブラー錠、スマート錠を次々と攻略する小説…
ぜひ読んでみたいです!
2015年12月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
571ページ、一気読みでした。
幼少期に心に傷を負った主人公は言葉を話すことができなくなりますが、
絵を描くことと、鍵を開けることに才能を見出し、のめり込んでいきます。
そして犯罪者の大人達に利用され人生が翻弄されていく。
やがて大きな代償を払うことになりますが、得難い恋人に巡り合います。
場面設定、時間軸の創り方、会話が秀逸です。
本作は、なんとか賞に輝いた。ということなので疑いつつも頁を進めましたが、
紛れもない名作です。
幼少期に心に傷を負った主人公は言葉を話すことができなくなりますが、
絵を描くことと、鍵を開けることに才能を見出し、のめり込んでいきます。
そして犯罪者の大人達に利用され人生が翻弄されていく。
やがて大きな代償を払うことになりますが、得難い恋人に巡り合います。
場面設定、時間軸の創り方、会話が秀逸です。
本作は、なんとか賞に輝いた。ということなので疑いつつも頁を進めましたが、
紛れもない名作です。
2014年1月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大きなどんでん返しや謎解きがある訳ではないのですが、
二つの時間軸が交互に進む構成、汗握る解錠シーンなどの描写で表現される
主人公の成長の物語はとても引き込まれます。
ミステリー小説というよりミステリー風のドキドキを混ぜた青春小説でしょうか。
物語の進行や物語の背景が新鮮でぐっと入り込んでしまいました。
二つの時間軸が交互に進む構成、汗握る解錠シーンなどの描写で表現される
主人公の成長の物語はとても引き込まれます。
ミステリー小説というよりミステリー風のドキドキを混ぜた青春小説でしょうか。
物語の進行や物語の背景が新鮮でぐっと入り込んでしまいました。
2016年3月17日に日本でレビュー済み
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数年前に新聞の書評で知り、図書館で借りて読みました。
ドラマティックな展開と胸がキュンとするピュアなラブストーリーに夢中になって読んだ覚えがあります。
本を返却し、手元に置いておきたくて購入しようと思いながらそのままになっていましたが、
家族が最近、面白い本はないかと家の本棚を漁っていて、ふとこの本を思い出したので購入しました。
低評価があってびっくりしましたが、まあ好みの問題かなと思います。
私はとても好きです。
図書館で借りて読んだ本をまた買うことはあまりないのですが、こうやって買ったことがなによりの答です。
ドラマティックな展開と胸がキュンとするピュアなラブストーリーに夢中になって読んだ覚えがあります。
本を返却し、手元に置いておきたくて購入しようと思いながらそのままになっていましたが、
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低評価があってびっくりしましたが、まあ好みの問題かなと思います。
私はとても好きです。
図書館で借りて読んだ本をまた買うことはあまりないのですが、こうやって買ったことがなによりの答です。
2013年12月8日に日本でレビュー済み
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構成の妙はあったと思う。
が、自分は、評判ほどにはのめり込んで読めなかった。
たぶん、主人公が半端に天才だから。この子が好きになれなかったから。
やたら過去のトラウマを臭わされ、勿論それが読み進めていく上での興味にはなるんだけど、
途中から鼻につき始めてしまった。
が、自分は、評判ほどにはのめり込んで読めなかった。
たぶん、主人公が半端に天才だから。この子が好きになれなかったから。
やたら過去のトラウマを臭わされ、勿論それが読み進めていく上での興味にはなるんだけど、
途中から鼻につき始めてしまった。