カルト的に有名なドラマのノベライズだが、一応ドラマのあらすじは踏襲しているものの、明らかにドラマとは異なる世界感を持ち、ドラマの解説となるような副読的な要素は希薄。
作家がドラマに触発されて作った、別の創作話と思って読んだ方が良い。
私は今のようにソフトが手軽に入手できる前の時代にドラマのことを知り、小説の方を先に読んだのだが、
少々やり過ぎのきらいはあるが、ペダンティックともいえる作者独特の世界観に魅せられ、どちらかといえば小説の方が楽しめた口である。
特に出てくる細部へのこだわりには少なからず影響を受けた。（結末を尻すぼみとの解説があるが、思想的な風刺小説ではないのでそこを小説の欠点とするのは野暮というもの）
ただ、主人公の読んでいる小説が最初はディッケンズだったのが途中からシェイクスピア（Measure for Measure）に変わったり、引退後に住もうとしていた場所がウエールズのリゾート地がドラマのロケ地と同じというところまではいいのだが、そこに行っているのにどこなのか気付かないという設定のほころびも見え隠れする。
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