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ソラリスの陽のもとに (ハヤカワ文庫 SF 237) 文庫 – 1977/4/1

4.0 5つ星のうち4.0 59個の評価

「抜群の創造力で、侵略戦争を書けばSFか?」と、従来のコンタクト物に疑問を投げかけて、その答えに「思考する海」を書いた東欧の巨匠の一冊。スゴい。SFはSFでしかない、
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 早川書房 (1977/4/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 1977/4/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 317ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4150102376
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4150102371
  • カスタマーレビュー:
    4.0 5つ星のうち4.0 59個の評価

著者について

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スタニスラフ・レム
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カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2013年4月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
愛を叫ぶ

SFというジャンルの中で、かなり珍しい題材を扱った作品。
意識を持つ海・海によって作り出された人間の存在。
人間の「意識」とは何か。与えられた刺激に対してまるで
そもそも自律的に反応するかに見える「海」は、人間が理解できる「意識」を
持っているのか。
海の意識が「目的」とすることは何か。単なる「反応」と「自律的意識」は
判別できるものであるのか。
「海」によって生み出された「人間」は、人間に「反応」するだけではなく、
「意識」を持ちうるのか。
主人公はその「恋人」の存在に苦悩する。

なにやら小難しいことを述べているように思えるが、この作品では
主人公の心の動きや、抽象的とも思える観念を長々と述べながらも
冗漫な箇所は少しもない。

不思議な緊張感と共に、物語は始まる。
主人公の前に出現する、確かに「海によって生み出された恋人」ではあるが
人間とどこが異なるのかさえ曖昧になる、確かに「意識」を持った存在。

海もまた不可思議な存在。
あるものを分析し、生物までも生み出すことができるのにも関わらず、
海には「目的」も、「何かを生み出しそれを利用する意識」もない。
この「海」には、人間が通常持ちうる「知性」や「理性」が果たして
あるのか。

主人公の内面や「海」を把握しようとした人間の苦闘を描き、
派手な箇所はほとんどない。
しかし、最後まで一気に読み通せる力強い文章。

一読して、この題材ではかなり好みが分かれだろうと思った。
後に映画化されたこの作品の評価も二分されたのも頷ける。

通常の「SF作品」とは一線を画す。
まさに名作であるとは思うが、SF的要素が少なく、ハードSF等を読みたいと
思った人は、読みにくいだろう。

いかなるジャンルであっても、文学作品は存在しうる。その明証になろう。
9人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2024年2月11日に日本でレビュー済み
海外出張で時差ボケ解消のため(眠気を誘うため)に本を持参するが、意図とは裏腹にのめりこんで夜更かししてしまった。純粋に面白かった。
ストーリーに関するレビューは割愛するが、訳者のあとがきに引用している著者(レム)自身の「序文(文庫には記載がない)」がしっくりとくる。本書は、未知のものとの出会いとはどのような事かを描こうとした、、、。
異星人などの未知との遭遇を想像するとき、つい自分たちの延長(第二の地球、地球に似た生態)で物事を考えがちだが、本書はその想像を遥かに超えた枠組みでソラリスの世界観を描写している。世界観そのものも、科学的な要素が随所に散りばめられていて、理系の心をくすぐるような内容にもなっている。その世界観の中で、人間らしい恋愛ストーリーが見事に融合されており、本当に良くできたSFだなと感じた。面白いです。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年10月16日に日本でレビュー済み
神秘劇のめくるめく多産なる結果は、何世紀にもわたって、地上のいたるところで受容されてきています。でも、われわれ俗人が注意しておくべき要素はそんなには多くなくて、ここでは、「キリストにならいて」の態度について。

タルコフスキーがレムの原作をもとに『惑星ソラリス』をつくっていますけれども、最終場面を中心に神秘にかかわる表現を映像のなかに盛り込んでいて、これは監督晩年にいたるまで継続される振る舞いとなります。

そこで、考えておかなくてはならないのは、通常、偶像崇拝は、キリスト教では、原則として排除してあることで、そして、ロシアの伝統的表現手法のなかにはイコニズムがあって、そこでは当然、「偶像崇拝を否定したうえでの」神秘にかかる表現が許されているはずなのです。

ところが、タルコフスキーは、そういったイコニズムにおける伝統を踏襲しているとは断言できません。父であった詩人アルセーニー・タルコフスキーがロゴスのチカラで、内発的に表出される表現を尊重したように、監督も外形的な表現手法には必ずしもとらわれてはいません。

したがいまして、通常、例えばカトリック信徒において、「キリストにならいて」の態度を尊重して、神秘劇そのもの=キリストの世界、と現在、ここでの信徒の振る舞い=キリストにならいての世界、とを分けて考えるやり方を用いるような場合とは異なり、それらのどちらであるのか分明でない表現が、映画のなかに登場するのです。

さて、本作では、p.302で「不完全さを、本質的、内在的特質としてもっているような神」を思考実験のために持ち出しています。それに対比して、ソラリス現象下での登場人物=自分たちの認識を整理しようとするのですが、この企画が、実は、前掲した監督によるキリスト、キリストにならいての混合の態度と並行していると思うのです。

すなわち、レムの影響をきちんと受けているのでは?
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2022年12月12日に日本でレビュー済み
「ソラリスの陽のもとに」という小説を読んでわたしの感じたことを書く。
 
いまから45年前に購入したハヤカワ文庫の背表紙にある短い解説には次のように記されている。
 
「すみれ色の霞に覆われ、ものうげにたゆたう惑星ソラリスの海。だが、一見何の変哲もなく見える海も、その内部では、一種数学的な会話が交わされ、ソラリスの複雑な公転軌道を自己修正する能力さえ持つ驚くべき高等生命だった! しかしその知性は、人類のそれとはあまりにも異質であった。いかなる理論をも、いかなる仮説をも受け入れず、常にその形を変え、人類を嘲笑(ちょうしょう)するかのように新たなる謎を提出する怪物=生きている「海」。 人類と「思考する海」との奇妙な交渉を通して、人間の認識の限界を探り、大宇宙における超知性の問題に肉薄する傑作!」
 
2022年の現在に於いて、とりわけこの作品が書かれてから61年を経た現在において上記のテーマはきわめて「現代的」な問題提起として読む者の知性を激しく揺さぶるものがあると思う。
 
読んでみるとわかるのだけれど、この作品はその一見難解な形而上的展開と同時に古典的とも言える人間の心の問題、人間としての愛と倫理を取り扱うラブ・ストーリーでもあるのであって、わたしはむしろその部分に強く魅かれる。
 
ポーランドの作家、スタニスラフ・レムによって書かれたこの小説を基にアンドレイ・タルコフスキーによって映画化された「惑星ソラリス」をもう一度この機会に見てみようと思っている。映画では後者が(どちらかといえば)メインテーマになっていて、その切なさは見る者をつきることのない優しい哀しみでいっぱいにするに違いない。
 
惑星ソラリスの周回軌道上に浮かぶ宇宙船の奇妙な状況をようやく理解し始めた彼のところに、かつて自殺した妻が突然現れる。もちろん幽霊などではない。彼は驚愕するとともに彼女を失った癒しようのない苦痛と悔恨とを改めて喚起される。
 
これは紛れもない彼女だ、しかし「これは自分の記憶の中にある限りの彼女なのだ」と気づくのにさほど時間はかからなかった。
 
彼の苦しみはそこから始まる。この「彼女」自身が自分が誰なのか,なぜここにいるのかを知らないからだ。しかも彼の記憶どおり彼を心から愛している。その所作も笑顔も寸分たがわず愛しい彼女そのものだ。
苦しみから逃れようと彼は「彼女」を何度も宇宙船から追放しようとするが、いつのまにかふたたび「彼女」は彼の前に現れる。
 
やがて彼の苦しみを察した「彼女」液体酸素を飲んで自殺を図る。かつての妻としてではなく「彼女自身」賭して彼を愛すようになったからだ。
 
しかし、ニュートリノで形作られている「彼女」はすぐに再生してしまい死ぬことができない。苦しみ抜いたすえ、死ぬことができず、再生してしまう。そのことがまた「彼女」を苦しめるのだ。
 
物語の終盤、彼の同僚の研究者に頼み「彼女」は自分を形作るニュートリノを分解する装置を使って消滅する道を選ぶ。「彼女」が消滅したあと彼はその事実を知る。
 
彼はこの一連の出来事を神の罰と考えるようになる。そしてその神とは「この惑星ソラリスの海」なのだと確信する。
 
悲嘆に暮れて窓から海面を見下ろすと、そこに小さな島が形成されていた。彼の見慣れた世界がそこに実物大で再現されていた,彼自身までも。
 
幼い頃の想い出に満ちた実家周辺の風景、その色、におい、湖沼部の水の輝き、小川を流れる涼やかな水の音、太陽の光・・・。そのなかを黙想しながら歩く主人公。その場面はこの作品の冒頭の情景とうりふたつだ。
 
われわれの「現実」とはいったい何なのだろう。
 
物語の最後に主人公は深い思索へと沈んでいく。
 
私が前回語った 意識(顕在意識) 無意識(潜在意識) によるフレームワークを寓話として語るとこのような物語になるのかと思うので、ご一読をお薦めしたい。
 
心に残った主人公の台詞:
 
「わからない。でも、ぼくにはそれこそが本当に、本当に正しいものじゃないかと思えた。僕が信じてもいいと思えるような唯一の神だ。その神は苦しんでも、罪を贖うわけではないし、何も救わないし、何にも奉仕しない。ただ存在するだけ」
 
ソラリスの「海」とはそのようななにものかなのだ。主人公にとってもわたし自身にとっても。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2012年8月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
 SFの古典作品。

 人類以外の知的生命体が、人間とコンタクトを取るのに、「ヒューマノイド・インターフェイス」を作って、という発想を初めて世に出した作品か。昨今でも、そういった発想の作品は散見される。ハルヒなんかもそうか。

 ただ、そのインターフェイスを人類側に差し出した「ソラリスの海」が何を望んでいるか、という部分が、この作品の神秘性を高めているのかなと思う。
 「海」は、何らかの意図を持っているのかもしれないし、何もないかもしれない。不可解な存在であり、いかようにも解釈できる。この作品も、色々な解釈が可能だろう。

 最近は宇宙への憧れは薄れてきて、反動でか「宇宙兄弟」のような漫画作品が出てきたり、と、こじんまりしたSF、フィクションが多いような気もする。その点、スケールの大きい作品で、今でも十分に楽しめるかと思う。

 個人的には、ソラリスに着いてからずっとバタバタが続く展開が、今一つだったが、作者の知識量の多さなどを感じさせられて、それなりに充実した読書体験となった。
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2017年11月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
飯田訳「ソラリスの陽のもとに」のほうが文章表現が洗練されていており、スラスラと場面が浮かび読み進められる。
それに対して、沼野訳「ソラリス」は精密な描写表現を目指していると思われるが、表現が廻りいくどい箇所もあり直観的な理解が遅延する事がある。
この2冊についての読み進め方としては、先ず飯田訳を読み全体を把握した後に、沼野訳でロシア語版の削除された部分や改編された箇所を補完するのが最適解だろう。
少し読み始めてから読書スタイルの戦略を変えてみた。
飯田訳「ソラリスの陽のもとに」を数ページ読んでは、沼野訳「ソラリス」の同じ箇所を読んでみた。
手間と時間は掛かるが、翻訳者の訳の感覚の違いや出版社が自己検閲で削除した部分がよく解った。
23人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2013年11月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
静かな重みで、ジワジワ来ます。映画の惑星ソラリスは全部観ましたが、同じ内容なら、このSFのシナリオ、もう少し何とかハッピーにならないものかと・・・思わずには居られないので、まだ最初の方しか読んでいません。これから時間を置きながら、しみじみと読んでみたいと思っています。評価は本当は★5つでも不足する位だと直感的には十分思うのですが、ストーリー的に、自分が万一主役だったら耐えられないと思う点で、悩んだ末の★4つです。ゴメンナサイ。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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