私は小説に限らず、一般向けの学術書?なども結構読むほうで、神話伝承も大好きです。
物語の合間に、舞台である惑星ゲセンの気候や神話や風俗などについての文章が挿入されており、これが結構つぼにはまって、むさぼるように読みました。
後半の長いクライマックスにいたるくだりは、かなり熱い展開で、主役の片方、エストラーベンがほんとうに魅力的に描かれます。
ただ、このゲセン人のエストラーベンは雌雄同体で、男だったらかっこいい!女だったら素敵!と思うところを、なんとも萌えきれない気持ちになるのです。ただ、それこそがこの物語の主題でもあります。
ジェンダーを強く意識した物語で、女性作家ならではですが、優れたSFで、ここ数年で一番面白い小説でした。
幅の広い読書をされる方にオススメです。
ちなみに一番好きな挿話は、惑星ゲセンへの入植神話で、血なまぐさい何かが起きたことが暗示されており、実際何が起こったのかすっごく気になります。
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闇の左手 (ハヤカワ文庫 SF 252) 文庫 – 1978/9/1
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- 本の長さ379ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日1978/9/1
- ISBN-10415010252X
- ISBN-13978-4150102524
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (1978/9/1)
- 発売日 : 1978/9/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 379ページ
- ISBN-10 : 415010252X
- ISBN-13 : 978-4150102524
- Amazon 売れ筋ランキング: - 20,886位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2017年6月4日に日本でレビュー済み
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2019年6月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
"私はこの報告書を物語のようにしたためよう。わが故郷では幼時より、真実とは想像力の所産だと教えこまれたからである。"1969年発刊にして、女性SF作家の長編作品として初のヒューゴー賞、ネビュラ賞のダブル受賞の本書はジェンダー関係やLGBTQ+が見直される今だからこそ、読み直したい。
個人的には、ジブリによりアニメ化された『ゲド戦記』の原作者としての方がより日本では広く知られているように感じる著者ですが。極寒の惑星、そして地球人とよく似た姿なれど両性具有であるゲセン人の【社会的な性差別が存在しない】ジェンダーのない、そして、二元論的価値観の薄い社会の在り方を思考実験的に描いている本書は、性の在り方について。権利拡張が進む事自体は心より素晴らしいと思いつつも、対立も残念ながら相変わらず目立つ(様に感じる)現在だからこそ、あらためて魅力的に感じる読後感でした。
また本書のストーリーライン自体は割とオーソドックスな【対立する2人が難題に立ち向かう中でお互いに理解を深めていく】いわゆるバディ物なのですが。"両者の違いからこの愛は生じているのだ。そして愛がそれ自体架け橋なのだ"極寒のサバイバルの中で、主人公の2人が特殊な互いのセクシュアリティーを越えて【アガペー的な無償の愛、友情】を育ててゆく後半の描写はやはり印象的に感じました。物語の奥深さ、神話性を感じさせる合間に挟まれる民話や伝説も効果的に読者に様々な【想像させる余地】を与えてくれています。
フェミニズムの先駆的作品を探す誰か、あるいはSFオールタイムベスト作品を探す誰かにオススメ。
個人的には、ジブリによりアニメ化された『ゲド戦記』の原作者としての方がより日本では広く知られているように感じる著者ですが。極寒の惑星、そして地球人とよく似た姿なれど両性具有であるゲセン人の【社会的な性差別が存在しない】ジェンダーのない、そして、二元論的価値観の薄い社会の在り方を思考実験的に描いている本書は、性の在り方について。権利拡張が進む事自体は心より素晴らしいと思いつつも、対立も残念ながら相変わらず目立つ(様に感じる)現在だからこそ、あらためて魅力的に感じる読後感でした。
また本書のストーリーライン自体は割とオーソドックスな【対立する2人が難題に立ち向かう中でお互いに理解を深めていく】いわゆるバディ物なのですが。"両者の違いからこの愛は生じているのだ。そして愛がそれ自体架け橋なのだ"極寒のサバイバルの中で、主人公の2人が特殊な互いのセクシュアリティーを越えて【アガペー的な無償の愛、友情】を育ててゆく後半の描写はやはり印象的に感じました。物語の奥深さ、神話性を感じさせる合間に挟まれる民話や伝説も効果的に読者に様々な【想像させる余地】を与えてくれています。
フェミニズムの先駆的作品を探す誰か、あるいはSFオールタイムベスト作品を探す誰かにオススメ。
2016年5月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本作品は、表紙のカバーイラストが何度か変わっています。
一番新しいのだと、雪景色のなかでソリをひく二人連れの絵ですが、この「おじさん」の絵は、当時ハヤカワSF文庫にたくさんカバーイラストを描かれていた角田純男さんの作画です。
作品の内容からいうと、「ソリ」の絵の方があっている気はしますが、この「おじさん」は、目力で、印象に残っています。
内容は、今読むとすこし設定が古臭いですが、「性別」というものについての新しい視点を持たせてくれますし、冒険活劇的なドキドキや、ラブの要素も(少し)あります。
一番新しいのだと、雪景色のなかでソリをひく二人連れの絵ですが、この「おじさん」の絵は、当時ハヤカワSF文庫にたくさんカバーイラストを描かれていた角田純男さんの作画です。
作品の内容からいうと、「ソリ」の絵の方があっている気はしますが、この「おじさん」は、目力で、印象に残っています。
内容は、今読むとすこし設定が古臭いですが、「性別」というものについての新しい視点を持たせてくれますし、冒険活劇的なドキドキや、ラブの要素も(少し)あります。
2022年7月2日に日本でレビュー済み
この作品が出版された1969年は、ベトナム戦争の時代。
カルハイドとオルゴレインは、自由主義国と共産主義国として冷戦の影を落としているのだろう。また、ル・グィンが好む老子の陰と陽の関係にあるのかもしれない。
冬の星ゲセンの世界を構築する手腕が素晴らしい。
神話や伝説をはじめ文化人類学的に深く考察された描写で見事としか言いようがない。
ゲセン人には固定化された性がない。
この作品は、ル・グィンの宇宙史ハイニッシュ・ユニバースの中の一作だが、ゲセン人は、かつて高度な文明を誇ったハイン人が、性差が無い世界はどのようなものかを実験するために作り出された人類ということになっている。まさに、当時広がりはじめたフェミニズムの先駆けとなる思考実験であり、現在のLGBTQをも予見させる先見性だ。確かに性の固定化が無ければ、ジェンダーは成立しないだろう。
また、後半の雪原の逃避行の娯楽性も素晴らしい。手に汗を握る冒険でぐいぐいと惹きつけられる。この部分だけ取り出してサバイバル小説としても成立するくらいだ。
主人公のゲンリー・アイとエストラーベンは、初めは敵対関係にあるかと思われたが、実はエストラーベンは、アイの唯一の理解者であり、アイが窮地に陥ると命懸けで救出に来る。雪と氷に閉ざされた厳しい逃避行の中で異質な存在である2人は、次第にお互いを理解し合い、友情というより愛情を築き上げていく。その過程はまさに感動的だ。
異質な他者と分かり合うことは、難しいけれども、不可能ではない。そして、それは、互いに異質だからこそ可能なのだ。
「追放の身にある私たちに何よりも必要であった友情、そしてあの苦しい旅の明け暮れにたしかめあった友情は今はもう愛と呼んでもよいのかもしれなかった。だがそれは私たちの違いからくるもので類似からきているものではない、両者の違いからこの愛は生じているのだ。そして愛がそれ自体架け橋なのだ。私たちを分かっているものに架け渡す橋なのだ」というゲンリー・アイの言葉は、ル・グィンが、この作品で最も伝えたかったテーマなのではないだろうか。
カルハイドとオルゴレインは、自由主義国と共産主義国として冷戦の影を落としているのだろう。また、ル・グィンが好む老子の陰と陽の関係にあるのかもしれない。
冬の星ゲセンの世界を構築する手腕が素晴らしい。
神話や伝説をはじめ文化人類学的に深く考察された描写で見事としか言いようがない。
ゲセン人には固定化された性がない。
この作品は、ル・グィンの宇宙史ハイニッシュ・ユニバースの中の一作だが、ゲセン人は、かつて高度な文明を誇ったハイン人が、性差が無い世界はどのようなものかを実験するために作り出された人類ということになっている。まさに、当時広がりはじめたフェミニズムの先駆けとなる思考実験であり、現在のLGBTQをも予見させる先見性だ。確かに性の固定化が無ければ、ジェンダーは成立しないだろう。
また、後半の雪原の逃避行の娯楽性も素晴らしい。手に汗を握る冒険でぐいぐいと惹きつけられる。この部分だけ取り出してサバイバル小説としても成立するくらいだ。
主人公のゲンリー・アイとエストラーベンは、初めは敵対関係にあるかと思われたが、実はエストラーベンは、アイの唯一の理解者であり、アイが窮地に陥ると命懸けで救出に来る。雪と氷に閉ざされた厳しい逃避行の中で異質な存在である2人は、次第にお互いを理解し合い、友情というより愛情を築き上げていく。その過程はまさに感動的だ。
異質な他者と分かり合うことは、難しいけれども、不可能ではない。そして、それは、互いに異質だからこそ可能なのだ。
「追放の身にある私たちに何よりも必要であった友情、そしてあの苦しい旅の明け暮れにたしかめあった友情は今はもう愛と呼んでもよいのかもしれなかった。だがそれは私たちの違いからくるもので類似からきているものではない、両者の違いからこの愛は生じているのだ。そして愛がそれ自体架け橋なのだ。私たちを分かっているものに架け渡す橋なのだ」というゲンリー・アイの言葉は、ル・グィンが、この作品で最も伝えたかったテーマなのではないだろうか。
2019年4月9日に日本でレビュー済み
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同性愛、なの? 女性向けのような気がした 細かい男女というか両性具有というかの友情と愛情 自分はあまり真に来なかった ただ作品の出来は悪くない、自分はサバイバル小説として読んだがそれで面白かった
2017年5月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ヒューゴー賞、ネビュラ賞受賞作品。言わずと知れたSFの名作。
これが続き物(ストーリーがではなくて同じ世界設定の別の小説がこれの前にあるという意味)であることをあとがきで知った。そちらを最初に読んでいれば、もっと最初から入り込みやすかったかもしれない。
訳もすごくよかった。章ごとに書き方が変わっていて、良い訳者さんだなと思った。
全編通してとにかく寒かった!笑 冬に読めば雰囲気出て良いかな。
これが名作だっていう前情報がなければ序盤で読むの挫折してしまっていたかも。なぜならこの小説は報告書とか伝承とかいう形をとって進むから、世界観や用語説明が一切ないのだ。
しかし完璧に構築された世界設定や文化は、読み進めるうちにだんだん理解できるようになってくる。手探り状態で異星に来てなんとか適応しようとする使者ゲンリー・アイと同じ目線でこの世界を体験しているような気分になれるのだ。
たとえば何度となく出てくる「シフグレソル」、読むうちになんとなく意味がわかってくるのだけれど、日本語に訳すとなるとなんだろう? 体面? 面子? 儀礼? 形式? 礼? うーん。わからないけれども、わかる。他言語を体得する時の気分そのものだ。
それにしてもいやほんと、完璧な異世界構築には脱帽する。これがほんとの「異世界もの」だよ。ここまで徹底するのにはどれだけの知識と調査と細かな想像力が必要だったのだろう。そこに住む人間の性質に極寒の環境や動植物の存在が大きく影響しているとか。世界構築がいちいち論理的。戦争という概念がないなんて我々には信じられない国々のことも、ただのifの夢物語なんかじゃなくて「こういう文化、環境、歴史だからこそないんですよ」という説明をちゃんと与えてくれる。素晴らしいね。
さてこの小説を特徴づけている両性具有、ジェンダーの話。ケメル期とか、動物の発情期みたいなものだよね。そう考えると確かに年がら年中ケメル状態の我々の方が異常だよなあ。実際の動物にも両性っているわけだし、突拍子のない空想と言う風には思えなくなってくる。我々の常識で言えば一見ありえない体の構造をした人々なのだけれど、読了する頃にはゲンリー・アイと同じようにこっちの方が変な人間という風に思えてくるものだから不思議だ。
本書の所々で「男性的」または「女性的」な特徴について言及されているわけだけれど、性が固定されていない世界で唯一性が固定された「男性」のゲンリー・アイが男性性や女性性に考えを巡らせる様は面白い。目の前の人間をつい男性っぽいとか女性っぽいとか考えてしまったり、この人のこういう部分は酷く女性っぽい、とか思ったり。その視点はその星の人にはないもので、本人たちは今自分男寄りだわー女よりだわーとか微塵も考えていない。ゲンリーに染みついた思い込みからつい考えてしまうこと。それで、特に初期のゲンリーは男/女という二元論で人を捉えようとしがちだということがわかる。でも終盤ではその二元論的思考からも脱却しようとしている。
ジェンダー問題を考える画期的な素材の小説にもなり得るけれど、一方で男性的な性質女性的な性質もはっきり書かれているわけで、はてさてジェンダー論者はこの小説をどう評価しているのやら。気になるところ。
気になると言えばもう一つ、所謂「腐女子」の方々はこの小説を腐女子的な目線でどう楽しむんだろう? 終盤のゲンリーとエストラーベンに芽生えた友愛、あれは感動的だ。しかしBL?ではありえないし。ケメルに入れば自動的に男役女役に一時的に性別が固定されてしまう世界で腐女子的な楽しみ方はどのようにするのか、気になるところ。
そしてジェンダー関連で最後に。ル・グィンって女性だったんですね……。読み終わった後知って、物凄くびっくりした。だって文章が感傷的じゃなくてすごく緻密で論理的でSFだから勿論科学の視点もあって……なんといえばいいのか、とにかく女性作家独特のあの感じが一切感じられなかったのだ(勿論良い悪いの話はしていない。ただ文章の傾向の話)
というところに自分の中のジェンダー規範に気づかされ二重にしてやられたという感じ。
これが続き物(ストーリーがではなくて同じ世界設定の別の小説がこれの前にあるという意味)であることをあとがきで知った。そちらを最初に読んでいれば、もっと最初から入り込みやすかったかもしれない。
訳もすごくよかった。章ごとに書き方が変わっていて、良い訳者さんだなと思った。
全編通してとにかく寒かった!笑 冬に読めば雰囲気出て良いかな。
これが名作だっていう前情報がなければ序盤で読むの挫折してしまっていたかも。なぜならこの小説は報告書とか伝承とかいう形をとって進むから、世界観や用語説明が一切ないのだ。
しかし完璧に構築された世界設定や文化は、読み進めるうちにだんだん理解できるようになってくる。手探り状態で異星に来てなんとか適応しようとする使者ゲンリー・アイと同じ目線でこの世界を体験しているような気分になれるのだ。
たとえば何度となく出てくる「シフグレソル」、読むうちになんとなく意味がわかってくるのだけれど、日本語に訳すとなるとなんだろう? 体面? 面子? 儀礼? 形式? 礼? うーん。わからないけれども、わかる。他言語を体得する時の気分そのものだ。
それにしてもいやほんと、完璧な異世界構築には脱帽する。これがほんとの「異世界もの」だよ。ここまで徹底するのにはどれだけの知識と調査と細かな想像力が必要だったのだろう。そこに住む人間の性質に極寒の環境や動植物の存在が大きく影響しているとか。世界構築がいちいち論理的。戦争という概念がないなんて我々には信じられない国々のことも、ただのifの夢物語なんかじゃなくて「こういう文化、環境、歴史だからこそないんですよ」という説明をちゃんと与えてくれる。素晴らしいね。
さてこの小説を特徴づけている両性具有、ジェンダーの話。ケメル期とか、動物の発情期みたいなものだよね。そう考えると確かに年がら年中ケメル状態の我々の方が異常だよなあ。実際の動物にも両性っているわけだし、突拍子のない空想と言う風には思えなくなってくる。我々の常識で言えば一見ありえない体の構造をした人々なのだけれど、読了する頃にはゲンリー・アイと同じようにこっちの方が変な人間という風に思えてくるものだから不思議だ。
本書の所々で「男性的」または「女性的」な特徴について言及されているわけだけれど、性が固定されていない世界で唯一性が固定された「男性」のゲンリー・アイが男性性や女性性に考えを巡らせる様は面白い。目の前の人間をつい男性っぽいとか女性っぽいとか考えてしまったり、この人のこういう部分は酷く女性っぽい、とか思ったり。その視点はその星の人にはないもので、本人たちは今自分男寄りだわー女よりだわーとか微塵も考えていない。ゲンリーに染みついた思い込みからつい考えてしまうこと。それで、特に初期のゲンリーは男/女という二元論で人を捉えようとしがちだということがわかる。でも終盤ではその二元論的思考からも脱却しようとしている。
ジェンダー問題を考える画期的な素材の小説にもなり得るけれど、一方で男性的な性質女性的な性質もはっきり書かれているわけで、はてさてジェンダー論者はこの小説をどう評価しているのやら。気になるところ。
気になると言えばもう一つ、所謂「腐女子」の方々はこの小説を腐女子的な目線でどう楽しむんだろう? 終盤のゲンリーとエストラーベンに芽生えた友愛、あれは感動的だ。しかしBL?ではありえないし。ケメルに入れば自動的に男役女役に一時的に性別が固定されてしまう世界で腐女子的な楽しみ方はどのようにするのか、気になるところ。
そしてジェンダー関連で最後に。ル・グィンって女性だったんですね……。読み終わった後知って、物凄くびっくりした。だって文章が感傷的じゃなくてすごく緻密で論理的でSFだから勿論科学の視点もあって……なんといえばいいのか、とにかく女性作家独特のあの感じが一切感じられなかったのだ(勿論良い悪いの話はしていない。ただ文章の傾向の話)
というところに自分の中のジェンダー規範に気づかされ二重にしてやられたという感じ。