短篇『宇宙の死者』と同様の世界観を持った本作。つまり、人間が死後、或る程度の期間「半生状態」にあるという未来だ。遺体は安息所で冷凍保存され、遺族は棺を通して半生者との脳波の交換、対話が可能だ。そして、「半生期間」が終わると本当の死が訪れるが、その期間は人それぞれだ。
また、超能力者の存在が当たり前になっている未来では、反作用的に自然発生した反能力者「不活性者」達が居るが、これも短篇『超能力世界』と同じである。
しかしながら、そういった舞台設定こそ短篇等と共通しているものの、ディックは全く別物の傑作を生み出した。
金銭にだらしがなく生活に困窮している普通人の技師 ジョー・チップは、不活性者達が勤務し、超能力者達から人々をガードすることを目的とした警備会社に所属していた。
彼の雇い主のグレン・ランシターと11人の不活性者達と共に、ジョーは超能力者を引き連れた敵対組織と対決するべく月面へと向かう。
しかし、到着直後に強烈な爆破を受け、ランシターは瀕死の状態に陥る。
辛くも逃げ帰ったジョー達は、絶命する前にランシターを半生状態にしようと努めるが、脳波の動きこそ確認できるものの、彼との会話は成立しない。
そしてジョー達の周囲に異変が起き始める。
タバコ、コイン、コーヒー、車、あらゆる物が古びていく。やがて街並み自体も含め、全てが1939年に向かっていく。
異変はもう一つ。それは、映話機、広告、テレビ、それらからランシターの一方的なメッセージが届き出したのだ。
不可思議な退行現象の中、仲間が一人ずつ急速な老化で死んでいく。
ジョーは、ランシターからのメッセージに基づき、唯一この退行を止められるという「ユービック」を入手しようとする。
退行現象の原因は?
ジョー達の敵は何者なのか?
これは現実なのか?
謎、謎、謎、全てが謎だ。
少し暗めなムードで進行する本作。
ディックの作品中でも極上に面白いSFミステリーだ。
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ユ-ビック (ハヤカワ文庫 SF 314) 文庫 – 1978/10/1
フィリップ・K・ディック
(著),
浅倉 久志
(翻訳)
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- 本の長さ324ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日1978/10/1
- ISBN-104150103143
- ISBN-13978-4150103149
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (1978/10/1)
- 発売日 : 1978/10/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 324ページ
- ISBN-10 : 4150103143
- ISBN-13 : 978-4150103149
- Amazon 売れ筋ランキング: - 87,597位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2015年8月26日に日本でレビュー済み
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超能力者たちのバトルが始まると思いきや別の方向に行ったまま帰ってこないという変な話です
訳者あとがきでは「山田風太郎の集団忍者小説を連想させたのもつかの間・・・」みたいに書いてありますが
向こうの国でも同じように「超能力チームバトルが始まると思ったのに・・・」みたいなリアクション取るんでしょうか
ちょっと気になります
訳者あとがきでは「山田風太郎の集団忍者小説を連想させたのもつかの間・・・」みたいに書いてありますが
向こうの国でも同じように「超能力チームバトルが始まると思ったのに・・・」みたいなリアクション取るんでしょうか
ちょっと気になります
2023年10月4日に日本でレビュー済み
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昨日、体調不良で休んでる時に読みました。そのせいか、疲労感が半端なかったです。もしかして自分も半生者?って、それぐらい体力と気力に影響するような世界観でした。私もユービック欲しいです。
とてもおもしろい話なので、おすすめですが読むのは元気な時がいいかなと思います。
とてもおもしろい話なので、おすすめですが読むのは元気な時がいいかなと思います。
2020年8月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
カバーが旧版で残念でした。中身は一緒だから良いか。
2023年1月12日に日本でレビュー済み
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面白いです。他のレビューでもありましたが、確かにジョジョっぽいです。能力者も出てくるし、途中まで正体不明のスタンド攻撃されているような、ジョジョでありそうな展開が面白いです。
生と死の狭間の世界観、時間後退、パラレルワールド的な描写もあり、
今でこそ映像や漫画で、絵として表現された難解な世界観の作品に多く触れられるからこそ我々は場面をイメージできるものの、
作者執筆当時にこのような現実離れした世界観を創造したことはすごいと思います。
哲学的で、かつミステリーの要素もあり、頭を使いますので、読んでて楽しいです。
登場人物の誰が誰なのかが、ちょっと分かりにくかったです。
生と死の狭間の世界観、時間後退、パラレルワールド的な描写もあり、
今でこそ映像や漫画で、絵として表現された難解な世界観の作品に多く触れられるからこそ我々は場面をイメージできるものの、
作者執筆当時にこのような現実離れした世界観を創造したことはすごいと思います。
哲学的で、かつミステリーの要素もあり、頭を使いますので、読んでて楽しいです。
登場人物の誰が誰なのかが、ちょっと分かりにくかったです。
2021年4月8日に日本でレビュー済み
寝ながら聞いてて、ウトウトしていたら、本気でうなされて、
トイレの落書きのシーンとかで自分がハーフライファーの気分になったりして
良い意味で(?)、寝起きに本当に気持ち悪くなりました。
さすがのPKDだと思った。
トイレの落書きのシーンとかで自分がハーフライファーの気分になったりして
良い意味で(?)、寝起きに本当に気持ち悪くなりました。
さすがのPKDだと思った。
2021年10月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
作品はいいので割愛。
読んで損はないと思う逸品。
日本の少年漫画にもけっこうな影響をもたらしているんじゃないかと思う。
ジョジョのスタンドの源泉もこのあたり? 五部の使い手のそれに似てると思う。
とにかく裏表紙だけは読まないでほしい。
終盤までのネタバレが平然と書かれており、多少のミステリ要素が台無し。
読んで損はないと思う逸品。
日本の少年漫画にもけっこうな影響をもたらしているんじゃないかと思う。
ジョジョのスタンドの源泉もこのあたり? 五部の使い手のそれに似てると思う。
とにかく裏表紙だけは読まないでほしい。
終盤までのネタバレが平然と書かれており、多少のミステリ要素が台無し。
2021年12月5日に日本でレビュー済み
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よくできたSF小説という印象。人間の精神世界を題材とすることが多いだディックの作品の中では読みやすく、筋のとった一品ではないかと思う。人間の死の概念とそれに到達する過程(時間感覚)が面白い。