エヴァンゲリオンもセカチューも観た事ないまま今日まで来たが表題作は知っていた。
いざ読んでみたらこれが思いの外自分の感性に合っていて何で今まで読んで来なかったのかと後悔した。さあ、これから他の作品も読もうと思ったら翻訳が3冊しかないではないじゃないか。しかもその内2冊はここ1、2年で出たやつ。
なんでや。面白いのに。
作品数が多いので特に気に入った4作だけレビューする。
「世界の中心で愛を叫んだけもの」
のっけから何言ってるかわかんなくてビビる。何度か読んでて気づいたがこの人あんまり作中の設定を喋りませんね。あんたの頭の中にしかない話なんだから説明しないと分かりませんが。だが何度か読むと分かる。説明しない意図も。
この話はクロスホエン(交叉時点)と言う、あらゆる時間の交差する世界の中心で起こった出来事を描いてるのだが、それがどういう所なのかさっぱりイメージできない。ただ、これは敢えてしてないのだと思う。人間の思考を越えたその場所が、町や国など私達の理解の及ぶ範囲の言葉で説明出来たらそれは最早人知を越えてない訳で、その為に抽象的な表現になるのかなと。
ただ色々難しい事が書いてあるけれどこれは要するに「現代SF版のパンドラの箱」なのかなと。最後七色の箱を男が開けた事で第四次世界大戦がはじまる所なんか確かに意識はしていると思う。
何故この世界が暴力と狂気に満ちているのか。そのエリスンなりの答えなのだろう。その難解さにも関わらず本作がエリスンの作品で最も有名なのは、そのあたりのテーマがエリスンの作品を理解する意味で非常に重要なのだからなのだろうなと思った。
「101号線の決闘」
車による決闘が合法な未来で主人公が血みどろの戦いをする話で超楽しい話だった。
昔のバイオレンス映画「デスレース」を彷彿とさせるのでひょっとしてあの映画の原作ってこれ?って思ったけどそうじゃなかった。でも本当楽しい。
「眠れ、安らかに」
睡眠者(ザ・スリーパー)と呼ばれる存在により完全な平和が訪れた未来、主人公達はスリーパーが眠る海の底へ潜る。スリーパーを殺すために。また戦争をするために。
つまるところ主人公達は戦争の為の戦争をしているのだ。これほど不毛な話も無いが、これと似たような話は現在の日本で起きている。憲法9条を諸悪の根源のように憎んでいる声はネットで溢れかえっている。あれらを見れば作中の主人公達の行動を所詮昔のフィクションとは斬って捨てられないはずだ。
ラストシーンが好き。
「少年と犬」
久々に小説で泣いた。なんて良い話なんだろう!ところで少女はどうなった?
と思いながら再読して衝撃を受けた。これ良い話かなあ?
アメリカ文学では「直接描写しない事でそれをより効果的に表現する」と言う手法がよく使われるが、読解力の無い私のような人間はさっぱり伝わらないので止めて欲しい。
相当ブラックで泣けるSFとは間違っても言えない。だが傑作。色んな人に読ませて感想を聞きたい。
総じてエリスンの作品には容赦のない暴力が溢れていてモラルの欠片も無く、彼の編集者が「うちの雑誌を読む読者には少年もいる」と苦言を呈していたのも分かる。
だが作中の容赦のない暴力と狂気の根底には常に愛がある。そこがグッときますなあ。
ハーラン・エリスン。
不思議な魅力を持った作家だと思った。
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世界の中心で愛を叫んだけもの (ハヤカワ文庫 SF エ 4-1) 文庫 – 1979/1/1
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- 本の長さ511ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日1979/1/1
- ISBN-104150103305
- ISBN-13978-4150103309
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (1979/1/1)
- 発売日 : 1979/1/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 511ページ
- ISBN-10 : 4150103305
- ISBN-13 : 978-4150103309
- Amazon 売れ筋ランキング: - 86,093位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2018年3月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
短編集ですが、どの作品にも多かれ少なかれバイオレンスがあります。苦手な人は受け付けなさそうです。作者も相当トラブルメーカーだったとウィキペディアで見ました。作風から分かる気がします。でも表題作は哲学的な側面すらある素晴らしい作品です。
2023年11月4日に日本でレビュー済み
暴力や狂気が刺激的で分かりやすく、読んでて心地良い。胸が空く感じ。
怒りや暴力性、ムカついた気分とふざけんなっていうどうしようもなさ、
そういうのをタイプライターに叩っこんだ快作揃いです。
描かれてる事自体は非常に残虐だったり、狂気的だったり、
殺すの死ぬのが多いように見えますが、
決して、乾いた冷徹な目線では描かれず、優しくてウェットな眼差しを感じます。
エリスンが編纂した巨大アンソロジー「危険なヴィジョン 完全版」
を読み終えた勢いで、こちらも再読しましたが、やっぱり良いです。
アイディアを、アイディア抜き身の生のまま出すようなヘタクソな作家さんではなく、
見事な知識と文体できちんとエンタメで楽しませてくれる、丁寧な作家さん。
でも、全編を突き通すのは、やはり、繰り返しになりますが、
分かりやすくも刺激的で、痛快な暴力性の活劇的な描写。
出てくる主人公たちの振るう暴力のかぎりをどうか皆さんにも読んで欲しいです。
とにかくみんなじっと大人しく思索を巡らせ「ふむ」「ほう」
とかで済ませるような、そんなつまんない成熟済みの老人ではなく、
もうイカれてるほどに暴れまくりの手のつけられない愛すべきヤンチャ供。
SFとしてはどうなんでしょう、SF的要素を使った一般文学な印象。
サリンジャーを読んだ時に湧き上がるような、咽せ返る青春時代のあがきのような、
そういう訴えかけるものが、エリスン作品にもあります。
「少年と犬」がすごくストレートにこういう感じなんじゃないかと思います。
おそらく多くの人に、SF読者非SF読者、どちらにも「少年と犬」は響くと思います。
怒りや暴力性、ムカついた気分とふざけんなっていうどうしようもなさ、
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描かれてる事自体は非常に残虐だったり、狂気的だったり、
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決して、乾いた冷徹な目線では描かれず、優しくてウェットな眼差しを感じます。
エリスンが編纂した巨大アンソロジー「危険なヴィジョン 完全版」
を読み終えた勢いで、こちらも再読しましたが、やっぱり良いです。
アイディアを、アイディア抜き身の生のまま出すようなヘタクソな作家さんではなく、
見事な知識と文体できちんとエンタメで楽しませてくれる、丁寧な作家さん。
でも、全編を突き通すのは、やはり、繰り返しになりますが、
分かりやすくも刺激的で、痛快な暴力性の活劇的な描写。
出てくる主人公たちの振るう暴力のかぎりをどうか皆さんにも読んで欲しいです。
とにかくみんなじっと大人しく思索を巡らせ「ふむ」「ほう」
とかで済ませるような、そんなつまんない成熟済みの老人ではなく、
もうイカれてるほどに暴れまくりの手のつけられない愛すべきヤンチャ供。
SFとしてはどうなんでしょう、SF的要素を使った一般文学な印象。
サリンジャーを読んだ時に湧き上がるような、咽せ返る青春時代のあがきのような、
そういう訴えかけるものが、エリスン作品にもあります。
「少年と犬」がすごくストレートにこういう感じなんじゃないかと思います。
おそらく多くの人に、SF読者非SF読者、どちらにも「少年と犬」は響くと思います。
2014年5月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
新しい短編を読み始める度に、どんな世界なのだろうと心弾みました。
私のお気に入りは「星ぼしへの脱出」
表題作は難解でしたが何回か読めばわかるかなぁと言った感じ
小説の可能性を感じる作品でした。
☆5じゃない理由は秀逸に訳されたこの作品を原文で読めない自分へのもどかしさです。
しかし、あの薄っぺらい小説はなんでこの本のタイトルを引用なんかしたのでしょうね?
おかげで、読んでるのを知人に見られる度に
「え?セカチュー(笑)?」
的な反応をされてしまいました。
ふざけるなって感じです
私のお気に入りは「星ぼしへの脱出」
表題作は難解でしたが何回か読めばわかるかなぁと言った感じ
小説の可能性を感じる作品でした。
☆5じゃない理由は秀逸に訳されたこの作品を原文で読めない自分へのもどかしさです。
しかし、あの薄っぺらい小説はなんでこの本のタイトルを引用なんかしたのでしょうね?
おかげで、読んでるのを知人に見られる度に
「え?セカチュー(笑)?」
的な反応をされてしまいました。
ふざけるなって感じです
2019年7月19日に日本でレビュー済み
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女子高生みたいな感想だが、読むとそうなる どの話も着地点が見えない、なんでそうなるんだと思うしそれでどうなるんだ?って思う 難しくないし、短編集に近い作りだから通勤通学に読めるには読めるが
2019年6月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
繊細でありながら、荒々しい。
暴力の匂いがプンプンするのに、妙に優しい。
読んでスッキリしないわりに、自分の中に残ってしまう作品。
傑作でもなければ名作でもないが、間違いなく忘れられない一冊であり、また読んでしまう一冊でもある。
分かった気にならず、素直に探究心と好奇心で、また何度でも読んでしまう。
まるで妙にハマってしまったB級映画のような感覚。
そんな不思議な魅力が潜む本です。
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まるで妙にハマってしまったB級映画のような感覚。
そんな不思議な魅力が潜む本です。
2018年10月15日に日本でレビュー済み
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新品と書いてあったので安心して注文したのですが、届いた物は新品ではあるが、本の下部が数十ページに渡っての折れがあり失望しました。きちんと商品の状態を記して欲しかったという不満が残りました。作品内容が良かっただけに残念です。プライムの利用は善し悪しだと思いました。
2020年7月10日に日本でレビュー済み
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表題となっている名作が読みたくて購入。
時間と呼ばれる思考間隔の果て、空間と呼ばれる反射的イメージの果て、すべてが始まった、始まりつつある、そして始まるであろうところにて、殺戮者である対象者から狂気の部分を抜き出し、排出しようとしているところから、物語は始まる。
思弁的な面もあって読みにくい文章もあるけど間違いなく名作だと思う。
時間と呼ばれる思考間隔の果て、空間と呼ばれる反射的イメージの果て、すべてが始まった、始まりつつある、そして始まるであろうところにて、殺戮者である対象者から狂気の部分を抜き出し、排出しようとしているところから、物語は始まる。
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