J・G・バラードも2009年にお亡くなりになってしまっていますね。
私の10代の頃に傾倒させていただきました。しばし合掌。
いつのまにかSF小説作家としてよりも、現代小説作家として
その名を馳せるようになっていったように思えます。
バラードは自らの描いた強迫観念の世界が現実化されたとでもいえる
9.11を目撃していったい何と思ったことでしょう。
そこのところに私は非常に興味を覚えます。
日本ではスピルバーグ監督の『太陽の帝国』の原作者としての名が
知られているとは思いますが、ただでさえ人々がまともな小説を
読まなくなった昨今、バラードの小説をわざわざ手に取る人は少ないと思います。
この『ハイ・ライズ』という作品は、自分の精神が極めつけにダウナーな
時に読むと、大変にキやがる小説で、私は何回も読み返させていただきました。
まあ、バッドトリップを楽しめる作品とでもいえましょうか。
この作品、哲学者のアドルノならば強く糾弾するところであろう、
文明に内包された野蛮をまさに剥き出しにする暴力のオブジェとして
高層マンションを捉えた作品で、首都圏を中心にいつのまにか
膨大な量の高層マンションが立てられた現代からしますと、
非常に感慨深いものがあります。
まぁ、昔の人は偉かったですね。「馬鹿ほど高いところに登りたがる」
ということを良く知っていたんですね。
でも現代は、この小説通りになってしまいました。
今はテクノロジーと暴力がからみあって夢と現実を支える世の中です。
不思議ですね。人はこうありたかったんでしょうね。
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ハイーライズ (ハヤカワ文庫 SF 377) 文庫 – 1980/2/1
- 本の長さ242ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日1980/2/1
- ISBN-104150103771
- ISBN-13978-4150103774
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (1980/2/1)
- 発売日 : 1980/2/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 242ページ
- ISBN-10 : 4150103771
- ISBN-13 : 978-4150103774
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,111,193位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年3月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
グロテスクで悍ましい内容になかなか読み進めない、なくても良かった。ここに描かれた階級闘争は荒唐無稽だが、金持ちが高所に住むことだけわかった。多くの人には薦められない。
2016年5月13日に日本でレビュー済み
トム・ヒドルストン主演で8月6日から東京・ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で公開されるとのことです。
それに伴い7月8日に文庫版として復刊されることが決定したそうです
待ち遠しいですね
それに伴い7月8日に文庫版として復刊されることが決定したそうです
待ち遠しいですね
2013年12月13日に日本でレビュー済み
設えられたヒエラルキーからの逸脱こそが蟻ではない証明なんだ!と粋がっても蟻同様マザコンに還る人間ども。
2010年9月12日に日本でレビュー済み
高層マンションに住む人々が閉鎖的な社会を形成し、下層階と上層階の対立を通して、徐々に文化を失っていくというのが全体を覆うコンセプトです。
ようやく事態が落ち着いたとのんびり登場人物がベランダで犬を電話帳で焼いて食べているシーンから、過去に遡って物語が始まります。異常な状況を落ち着いたと受け止める様子からただならぬ雰囲気が漂い、一気に物語に引き込まれます。
安易な調和にとどまらず、次第に悪化していく状況は、読んでいてかなり怖いものがあります。
なかなか手に入りにくい本かもしれませんが、読んで損は無いでしょう。
ようやく事態が落ち着いたとのんびり登場人物がベランダで犬を電話帳で焼いて食べているシーンから、過去に遡って物語が始まります。異常な状況を落ち着いたと受け止める様子からただならぬ雰囲気が漂い、一気に物語に引き込まれます。
安易な調和にとどまらず、次第に悪化していく状況は、読んでいてかなり怖いものがあります。
なかなか手に入りにくい本かもしれませんが、読んで損は無いでしょう。
2001年11月10日に日本でレビュー済み
初期のバラードもそれなりに面白いですが、後期のオブセッションものからバラードは他のSF作家と毛色が変わってきました。心理描写よりも、ただひたすら定められたオブセッションにとらわれてしまった人間を描きます。これもその一つで、偉大な傑作とはいえずとも、持ち味を存分に生かした作品です。