お断り このレビューは、当初『砂漠の神皇帝①』について投稿していたのですが、何故か『砂漠の異端者①』のページでも表示されていました。
その後『砂漠の異端者①』のレビューを投稿しようとした時、別の作品として投稿することができなかったため、当初の『砂漠の神皇帝①』のレビューの後に続けて『砂漠の異端者①』レビューを追記することにします。
読みにくいと思いますが、ご容赦願います。 2022年8月25日
まず、『砂漠の神皇帝①』のレビューです。
1965年に出版された『デューン/砂の惑星』に始まった《デューン・シリーズ》は、16年後の1981年に出版された本書『砂漠の神皇帝』でやっと第4部ですが、世界観が重厚なのでもっと長く続いているように感じます。
日本で翻訳・出版されたのは1984年。本書から表紙・イラストは加藤直之氏に替わっています。
評者はその頃からずっと自宅の書棚で背表紙を眺めていたのですが、読むのは今回が初めて。
時代は第三部『砂丘の子供たち』の3500年後。舞台はほとんど緑の惑星に変わったアラキス。
登場するのは、第三部の終盤で融合した砂鱒の影響で砂虫のように変身して神皇帝となったレト二世とその侍従長のモネオ、その娘シオナ、ダンカン・アイダホ。その他、フィッシュ・スピーカーと呼ばれる神皇帝警護隊の女性兵士たち、ベネ・ゲセリット、イックス人、トライラックスのフェイス・ダンサーたち。
モネオはレト二世の双子の妹ガニマの子孫であり、その娘シオナは神皇帝に叛意を抱いている。また、ダンカン・アイダホは寿命が尽きても初代の細胞から新しいゴーラとして再生されるという設定。
3分冊の1冊目なので、物語がどこへ向かっていくのかまだよくわからないが、これまでの経緯からするとレト二世の治世を否定する話になるのだろう。
実際、描かれているのは絶対的な神皇帝の権威のもとで沈滞化している社会と、その世界でも策謀を巡らすベネ・ゲセリット、イックス人、トライラックス人、宇宙ギルド、フレーメンの末裔たち。
読んでいて気になるのは、反逆グループに身を投じるという過剰なまでの活力をレト二世から期待されているシオナと、繰り返して再生されるダンカン・アイダホ。 “アトレイデ”の血と“神皇帝”への叛意で疾走する娘と、“アトレイデ家”ヘの忠誠と“神皇帝”への疑惑の間で揺れ動くゴーラ。二人の関係はどのようにつながっていくのか?
フィッシュ・スピーカーもキーワードらしい。神皇帝がフレーメンを切り捨て、女だけの軍隊を重用する真意はどこにあるのか?
人間を超越した精神と肉体を持ち、スパイスの供給を支配することによって絶大な権力をふるい、自らを暴君と認識する神皇帝は何を思うのか?
評者としてはイックスとトライラックスの関係がわかりにくいので、読み進む上での課題としたい。
暗澹たる未来だが、ハーバートは読者に何を語ろうとしているのか?
願わくば第三部のように解釈に苦しむ物語ではないことを。
ここからは、追記した『砂漠の異端者①』レビューです。
評価 4 (異端者①) それって、ずるくないですか
デューン・第五部『砂漠の異端者』です。例によって3冊に分冊されているので、まず第一巻から。
時代は神皇帝レト二世が崩御して帝国が崩壊し、大離散と呼ばれる歴史的事件が起こってから1500年後。
冒頭の舞台はかつてジエディ・プライムと呼ばれていた惑星ガムー。ベネ・ゲセリットの城砦では将来ラキスに送り込まれる予定で12歳ぐらいのゴーラ、ダンカン・アイダホが育てられている。
若い教母ルチリヤは修道会の方針に従ってゴーラの教育を担当しているが、城砦の指揮官である老教母シュワンギュは、大聖堂の教母長が進めるゴーラ計画は新しいクイサッツ・ハデラッハを生み出すものだと反対しており、異端者と噂されていた。
ゴーラ、アイダホは成長と共に自らの出自を知り、教母たちとの関係にも悩みを抱えていた。
城砦は教母だった実母の教育を受けて育った退役メンタート将軍テグ・マイルズによって守られている。かれはアトレイデの血を引いており、ゴーラの武術訓練も担当していた。ちなみに、テグの母親も異端者だったらしい・・・
そんな時、かつてアラキスと呼ばれていた砂漠の惑星ラキスに砂虫を乗りこなすシーアナという少女が出現したという情報がもたらされる。
大聖堂の教母長タラーザはゴーラの教育を急がせるために、腹心の教母オドレイドと共にガムーを訪問して老将軍テグ・マイルズの再教育を画策した後、シーアナを手に入れるためにオドレイドをラキスに送り込む。
ラキスでは、分割された神の化身である砂虫、シャイ・フルドを信奉する僧侶たちがシーアナの扱いをめぐって混乱していた。
本巻ではトライラックスの本星とその代表者も描かれる。謎に満ちていたトライラックス、そしてフェイス・ダンサーはどういう存在なのか?その一端が明かされる。
一方、イックスは、供給が減少した香料の代わりに航宙技術を提供することで宇宙協会(スペース・ギルド)に食い込んでいることが語られているが、その詳細が謎であることは本巻でも変わりはない。
本巻では新しく、大離散によって辺境に散った後に再び中央に戻って来た“誇りある女たち”というベネ・ゲセリットもどきの集団が登場する。彼女らは性的能力によって権力を確保しようとしている(?)らしい。トライラックスと共謀していると言われているが、裏では暗闘を繰り広げているようだ。
CHOAMとフィッシュ・スピーカーズは登場するものの、徐々にその力を失っているらしい。
読み始めて最初に思ったのは“ラキス”のこと。第四部『砂漠の神皇帝』第一巻の冒頭に登場するその地名がアラキスのことだと明記されるのは、原著では3年後、翻訳書では1年後に出版された本書で初めて。評者は半年ほど前に読んで、このラキスと言うのは多分アラキスのことだろうけど、もしかしたら別の惑星か、それとも誤植だろうか?と悩まされた結果がこれだった。
もともとこのシリーズでは、後になって遡って説明されることが多いので、半分はこれも作風かとあきらめているけれど、それにしてもこれは引っ張り過ぎではないか?
本書は他にもいろいろ説明が多かったので納得することも多かったのだけれど、ストーリー上の秘密や謎はともかくとして、単純な名前ぐらいはその巻の中で簡単に説明してほしいものだ。それとも、もしかしたらラキスという名前もストーリーの本質に関わる謎の一つなのだろうか?
ストーリー上の謎の一つとして、神皇帝レト二世が意図していたことが、後の世代による解釈という形で語られる。そういうことだったのかと納得するが、前作を読んでいた時にはとてもじゃないが想像もつかなかった。
もう一点は、多分今後続刊で語られていくのだろうが愛という感情について。ベネ・ゲセリットの遠大な計画を歪めてしまったレト公爵に対するジェシカの想い。ベネ・ゲセリットの厳しい教育にもかかわらず、なぜジェシカはレト侯爵のためにポウルを生むことになったのか?それは偶然の出来事ではなかった。もしかしたら、それを示すことが第五部のテーマではないかと思い始めている。・・・ぜんぜん見当違いかもしれないけれど。
相変わらず意味が掴めない禅問答が延々と続くし、情報量も多くて、頭が混乱し、読み進むのに苦労するが、先を読むのが少し楽しみになって来た。
再読すると、ここにはこんなに重大なことが書かれている!と気づくことが多いのも相変わらず。
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デューン砂漠の異端者 1 (ハヤカワ文庫 SF 598) 文庫 – 1985/2/1
フランク ハーバート
(著),
矢野 徹
(翻訳)
◎カバーに使用感があります.本の中・天・地・小口にヤケがありますが読むぶんには問題ないと思います。◎書き込み等はありません。 ◎迅速・丁寧な発送を心がけておりますので よろしくお願いします。 ◎ご覧いただきまして、誠にありがとうございました。
- 本の長さ321ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日1985/2/1
- ISBN-104150105987
- ISBN-13978-4150105983
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (1985/2/1)
- 発売日 : 1985/2/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 321ページ
- ISBN-10 : 4150105987
- ISBN-13 : 978-4150105983
- Amazon 売れ筋ランキング: - 720,871位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年3月29日に日本でレビュー済み
2006年2月21日に日本でレビュー済み
『砂漠の神皇帝』よりさらに1500年!
もう何が何だかわかりません。『砂の惑星』からだと5000年も経っていることになります。5000年も経つと人類はいかに変わっているのか、と思いきや、実はあまり変わっていないようです。
物語は始まったばかりという感じの第1巻は、これから活躍するであろう登場人物たちのお披露目といったところでしょうか。
もう何が何だかわかりません。『砂の惑星』からだと5000年も経っていることになります。5000年も経つと人類はいかに変わっているのか、と思いきや、実はあまり変わっていないようです。
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2003年1月15日に日本でレビュー済み
DUNEシリーズの4作目。ちょっと話が暗くて滅入る。
DUNEシリーズは何故か1作起きにエキサイティングだったり滅入ったりするようだ。
「砂漠の救世主」が嫌いだった人はこれをすっとばして、次の「砂漠の異端者」に進むことをお薦めする。
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「砂漠の救世主」が嫌いだった人はこれをすっとばして、次の「砂漠の異端者」に進むことをお薦めする。