結論から書くと、物語を通して感じたのは著者自身が経験しただろう「帰還兵の心境」だった
主人公は宇宙船の超光速移動によるウラシマ効果で時間を超越して戦う兵士であり
戦いに赴いて帰還すれば、地球では数十年から百年以上の時間が経っている
親しい者は老い、または鬼籍に入り
社会は変貌し、文化も風俗も様変わりしてる
アイデンティティを保障してくれていた故郷(ホーム)の変貌
その絶対的な隔絶は、容赦なく兵士達の心に寂寥をもたらす
もはや彼らにとって世界観を共有できるのは、共に戦い、時間を越えてきた戦友だけだった
これはベトナム戦争から帰還した後、本国の反戦運動に打ちのめされ、銃後で怠惰な大量消費社会に耽っていた人々から自国史の汚点として排斥され、社会から居場所を追われた帰還兵の心境に他ならない(名作映画「ランボー」の1作目と通じるものがある)
「宇宙の戦士」の世界設定は、恒久的な覇権を確立しようと奮闘していた20世紀当時のアメリカの保守主義を全面的に肯定し、今では風刺的に見える程に理想化して描いたものであり、そこには文明と秩序と正義の前衛たる兵士に……特にその誇りに対して、世界が絶対的な保証を与えていた
(※現在の現実のアメリカ合衆国と比較して政治的に賛否している訳ではありません)
「終わりなき戦い」の世界は違う
時を飛び越える存在であるとは言え、主人公ら兵士に対して世界が保証しているのは恩給、つまり金銭くらいのものでしかない
故に主人公にとって拠り所となるのは戦友でありパートナーでもある女性兵士だけであり、彼の悲哀とその想いの切実さに、星間戦争の最前線で戦う兵士達がとてもか弱い存在に思えてしまう
フリーセックスなど軍隊内の風紀が結構アレだったりするが、変貌していく地球社会や宇宙服や宇宙船の設定など、見所は多い
現実世界の政治や主義主張はひとまず置いて、純粋にSFとして読んで楽しんでほしい作品
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終りなき戦い (ハヤカワ文庫 SF 634) 文庫 – 1985/10/1
ジョー ホールドマン
(著),
風見 潤
(翻訳)
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
ハヤカワ文庫SF 634
終わりなき戦い
ジョー・ホールドマン (著)
風見潤 (訳)
判型:文庫
ページ数:366
1985年10月31日初版
早川書房
───────────────────────────────────────────
画期的な新航法 "コラプサー・ジ
ャンプ" の発見で、人類はその版
図を一挙に拡大した。だがその進
路に、突如異星人 "トーラン" が
出現。この正体不明のエイリアン
と人類は、ついに全面戦争に突入
した! かくして特殊戦闘スーツ
に身を固めた戦士たちが辺境宇宙
の戦地へと赴いたものの、戦況は
いやがうえにも泥沼化していく…
…俊英が壮絶な星間戦争を迫真の
筆致で描き、ヒューゴー,ネビュ
ラ両賞を受賞した傑作戦争SF!
(詳細は商品画像参照)
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
- 本の長さ366ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日1985/10/1
- ISBN-104150106347
- ISBN-13978-4150106348
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (1985/10/1)
- 発売日 : 1985/10/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 366ページ
- ISBN-10 : 4150106347
- ISBN-13 : 978-4150106348
- Amazon 売れ筋ランキング: - 339,778位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2018年9月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
終りなき戦い、読了。
文明間、世代間、そして超世代間?での断絶の物語
訳が古い感はすぐに消え去りました。
ジャンプ(ワープ航法)を発見した人類。
異星人トーランとの星間戦争に突入。
全地球選抜でスーパーエリート精鋭兵隊の主人公マンデラ。
冒頭はフルメタル・ジャケット的なブートキャンプ。
光速の?%の速度で飛ぶので帰ってくる頃にはウラシマ効果で親類も…。
そして最新兵器で戦争に飛び立ったのに…戦地に付く頃には敵兵器が…。
なので、戦争中に敵から飛んでくるミサイルはある意味、未来の性能だったり。
という戦争なので、ややこしいんですがそここそが面白いんです。
兵器も宇宙船もエスカレート。スピードも。帰ってくるとすごい年月が経っています…。
地球の文化形態もあっと驚くことに(これネタバレなんで書かず。ここが面白い所)
戦争の究極戦略とは?
SFでは散々描かれているはずの人類の最終形態の一つも表現しています。
地球幼年期の終わりに…宇宙の戦士、月は無慈悲な夜の女王、とか…えーと##機構とか。
本作はその形態の表現が見事。
戦争の本質もSFならでこその大胆な提示、が成功していると思う。しかもエンタメとしても成立。
文明間、世代間、そして超世代間?での断絶の物語
訳が古い感はすぐに消え去りました。
ジャンプ(ワープ航法)を発見した人類。
異星人トーランとの星間戦争に突入。
全地球選抜でスーパーエリート精鋭兵隊の主人公マンデラ。
冒頭はフルメタル・ジャケット的なブートキャンプ。
光速の?%の速度で飛ぶので帰ってくる頃にはウラシマ効果で親類も…。
そして最新兵器で戦争に飛び立ったのに…戦地に付く頃には敵兵器が…。
なので、戦争中に敵から飛んでくるミサイルはある意味、未来の性能だったり。
という戦争なので、ややこしいんですがそここそが面白いんです。
兵器も宇宙船もエスカレート。スピードも。帰ってくるとすごい年月が経っています…。
地球の文化形態もあっと驚くことに(これネタバレなんで書かず。ここが面白い所)
戦争の究極戦略とは?
SFでは散々描かれているはずの人類の最終形態の一つも表現しています。
地球幼年期の終わりに…宇宙の戦士、月は無慈悲な夜の女王、とか…えーと##機構とか。
本作はその形態の表現が見事。
戦争の本質もSFならでこその大胆な提示、が成功していると思う。しかもエンタメとしても成立。
2005年8月3日に日本でレビュー済み
人類は新しい宇宙航行法コプラサー・ジャンプを手にし、地球外へ開拓団を送り出す時代を迎えた。しかし、この航行法で宇宙を行く一隻の地球船が異星人トーランに攻撃されてしまう。地球とトーランとの間に、いつ終わるとも知れぬ全面宇宙戦争の幕が切って落とされる…。
主人公のウィリアム・マンデラ二等兵は戦地へ赴くためにコプラサー・ジャンプを繰り返すうち、体感時間は数ヶ月であるにもかかわらず、実際の地球では数百年が過ぎ去るといういわゆる「ウラシマ効果」に巻き込まれていきます。地球に帰るたびに家族は急速に老い、やがて友人のすべてを時間のかなたに失ってしまいます。
そして軍隊生活では人工的に植え付けられた憎悪に突き動かされ、殺し続けることの中に「心温まる光景」を見ることになります。
それにしても敵星人であるトーランはその描写が極度に希薄です。マンデラのみならず読者も、地球は一体全体いかなる敵を相手にこの果てることなき戦争を続けているのかがまるでわからなくなります。戦争というものが、<大味>と形容したくなるような大義を胸に殺し続けることであることを伝えるのがこの物語の肝なのでしょう。
そしてこの戦争が、地球経済が必要としていた「願ってもない戦争」であることが最後に明らかにされます。ジョージ・オーウェルの『 一九八四年 』が繰り返し唱えた「戦争は平和だ」の教えがここにも見られます。
フリーセックスの1970年代に生まれたマンデラが1200年という時間を生きるうちに、地球は同性愛者だけの世界、そして生殖活動が一切行なわれない世界へと変貌を遂げていきます。しかしこの物語は最後に、セックスがやはり人間にとって生きるための芯であることを、ちょっと小粋な形で示して見せてくれます。
主人公のウィリアム・マンデラ二等兵は戦地へ赴くためにコプラサー・ジャンプを繰り返すうち、体感時間は数ヶ月であるにもかかわらず、実際の地球では数百年が過ぎ去るといういわゆる「ウラシマ効果」に巻き込まれていきます。地球に帰るたびに家族は急速に老い、やがて友人のすべてを時間のかなたに失ってしまいます。
そして軍隊生活では人工的に植え付けられた憎悪に突き動かされ、殺し続けることの中に「心温まる光景」を見ることになります。
それにしても敵星人であるトーランはその描写が極度に希薄です。マンデラのみならず読者も、地球は一体全体いかなる敵を相手にこの果てることなき戦争を続けているのかがまるでわからなくなります。戦争というものが、<大味>と形容したくなるような大義を胸に殺し続けることであることを伝えるのがこの物語の肝なのでしょう。
そしてこの戦争が、地球経済が必要としていた「願ってもない戦争」であることが最後に明らかにされます。ジョージ・オーウェルの『 一九八四年 』が繰り返し唱えた「戦争は平和だ」の教えがここにも見られます。
フリーセックスの1970年代に生まれたマンデラが1200年という時間を生きるうちに、地球は同性愛者だけの世界、そして生殖活動が一切行なわれない世界へと変貌を遂げていきます。しかしこの物語は最後に、セックスがやはり人間にとって生きるための芯であることを、ちょっと小粋な形で示して見せてくれます。
2018年12月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
配送も早くすぐに読み始めることができました。
2014年10月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
タイトル通り、戦い続ける主人公の物語。
ざっと、千年は戦い続けている。地球を離れ、宇宙の星々を転々として、正体の知れぬ異星人と。
ふとした時に、世の中の、社会の流れが早過ぎる、という感覚に陥ったことはないだろうか。自分だけが取り残されたような感覚。周囲の人々の意識はどんどん変化しているのに、自分だけは相変わらずの些末な事柄をいつまでもねちっこく考えていて、前に進むことができない、というような。
主人公は、前向きに、というほどではないけれど、絶望することもなく、ありのままの事実として受け入れ、淡々とその変化を受け入れて生きる。私たちが、変化を嘆く暇もなく、今日・明日を生きるように。そこに共感もするのだけれど、すこし寂しい感じもする。
本書の醍醐味はやはりラストのロマンスだ。いかに生きたか、というより、生きてきた事実の蓄積そのものが意味を持ち始める岐路を示しているのではないだろうか。
ざっと、千年は戦い続けている。地球を離れ、宇宙の星々を転々として、正体の知れぬ異星人と。
ふとした時に、世の中の、社会の流れが早過ぎる、という感覚に陥ったことはないだろうか。自分だけが取り残されたような感覚。周囲の人々の意識はどんどん変化しているのに、自分だけは相変わらずの些末な事柄をいつまでもねちっこく考えていて、前に進むことができない、というような。
主人公は、前向きに、というほどではないけれど、絶望することもなく、ありのままの事実として受け入れ、淡々とその変化を受け入れて生きる。私たちが、変化を嘆く暇もなく、今日・明日を生きるように。そこに共感もするのだけれど、すこし寂しい感じもする。
本書の醍醐味はやはりラストのロマンスだ。いかに生きたか、というより、生きてきた事実の蓄積そのものが意味を持ち始める岐路を示しているのではないだろうか。
2015年12月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
伊藤計画の本を読んでてなんだか昔こんな本読んだことあるなあと
おもったのが、そもそもなんですが、
だれが書いた、なんていう題名だったか
忘れてしまっており、たどり着くのに時間がかかりました。
続巻(特に話がつながっているわけではないですが)もでていて
すごく心に残っていて、再読後、あぁ、これこれ、と感動再びです
最近新装版がでてるようですね。
おもったのが、そもそもなんですが、
だれが書いた、なんていう題名だったか
忘れてしまっており、たどり着くのに時間がかかりました。
続巻(特に話がつながっているわけではないですが)もでていて
すごく心に残っていて、再読後、あぁ、これこれ、と感動再びです
最近新装版がでてるようですね。
2009年11月9日に日本でレビュー済み
全く期待外れであった。目新しい内容は何もなく、軍隊内部でヒッピー文化が許容されているなど問題外だ。ハードSFとしては宇宙の戦士の方が百倍面白いし、反戦(?)軍隊SFモノとしては宇宙兵ブルースが上である。
放熱フィンや訓練中の爆破事故のくだりにしても、作者の意図は汲むがこんなメカや事故が起こるような訓練機材を使用するかね現代ですら人間が一番高価な機材なんだぜ、殺しちまったら無意味じゃないかよ。大体IQ150以上の天才(?)が軍隊に引っ張られるってのもウソくさい、そんな部隊じゃ毎日反乱が起こるよ、この作者は人的資源てご存じないらしい世界最強の特殊部隊ですら、そんな兵士を求めてないよ。
とってつけたオチも果たしてそんなに上手くいくのかという感想しか持ち得なかった。
ああ読むんじゃなかったよ、これが名作ねぇ。
放熱フィンや訓練中の爆破事故のくだりにしても、作者の意図は汲むがこんなメカや事故が起こるような訓練機材を使用するかね現代ですら人間が一番高価な機材なんだぜ、殺しちまったら無意味じゃないかよ。大体IQ150以上の天才(?)が軍隊に引っ張られるってのもウソくさい、そんな部隊じゃ毎日反乱が起こるよ、この作者は人的資源てご存じないらしい世界最強の特殊部隊ですら、そんな兵士を求めてないよ。
とってつけたオチも果たしてそんなに上手くいくのかという感想しか持ち得なかった。
ああ読むんじゃなかったよ、これが名作ねぇ。
2015年7月25日に日本でレビュー済み
『〝人口の憎悪″ 以外、あまり感じないというわけです。実際に戦闘が始まっちまいますとね』
本書は数世紀にも渡って繰り広げられた異星人との星間戦争の物語です。
主人公は国連探検軍の兵士マンデラ。
マンデラは過酷な訓練をこなしながら、千年以上にも及ぶ異星人トーランとの星間戦争『終わりなき戦い』に参加します。
その作品で印象的だったのは『ウラシマ効果』と『異星人トーラン』の描き方です。
異星人トーランとの星間戦争に参加したマンデラは戦地に向かう際のワープ航法の影響で地球の時間軸から切り離されます。
それはアインシュタインの特殊相対性理論の一つ『ウラシマ効果』によるもので、光速に近づけば近づくほど時間の流れが遅くなるという理論です。
マンデラは星間戦争から帰還する度に様変わりしている地球を見て驚きます。
そこにはマンデラの知らない地球があり、マンデラの居場所はどこにも無いのです。
星間戦争が唯一のマンデラの居場所になるのです。
その心理描写はとても印象的です。
異星人トーランは人類の敵でありながら、不気味なほど印象が薄く描かれています。
戦闘描写はリアルで鬼気迫るものがありますが、トーランに関する情報は皆無に等しく、心理描写などは一切無いと言っても過言ではないくらいです。
どうやら作者は敢えてトーランを描こうとしなかった様なのです。
著者はベトナム戦争に従軍した経歴があり、本書はその経験を色濃く反映させた反戦小説として読めます。
星間戦争はベトナム戦争に置き換えられ、帰還兵が本国で感じる疎外感と母国アメリカに対する不信感はマンデラが感じるものと同じ気がします。
作中でマンデラが語る〝人口の憎悪″という言葉は胸に響きました。
その言葉の裏には、大義のない戦争で犠牲になる若者の叫びが込められていると感じました。
本書はもう一つのテーマとして性についても描かれています。当時のアメリカの文化であるフリーセッ○スの風習が反映されています。
さらに年代が進むと〝性″に関する驚きの展開が待っています。
本書は数世紀にも渡って繰り広げられた異星人との星間戦争の物語です。
主人公は国連探検軍の兵士マンデラ。
マンデラは過酷な訓練をこなしながら、千年以上にも及ぶ異星人トーランとの星間戦争『終わりなき戦い』に参加します。
その作品で印象的だったのは『ウラシマ効果』と『異星人トーラン』の描き方です。
異星人トーランとの星間戦争に参加したマンデラは戦地に向かう際のワープ航法の影響で地球の時間軸から切り離されます。
それはアインシュタインの特殊相対性理論の一つ『ウラシマ効果』によるもので、光速に近づけば近づくほど時間の流れが遅くなるという理論です。
マンデラは星間戦争から帰還する度に様変わりしている地球を見て驚きます。
そこにはマンデラの知らない地球があり、マンデラの居場所はどこにも無いのです。
星間戦争が唯一のマンデラの居場所になるのです。
その心理描写はとても印象的です。
異星人トーランは人類の敵でありながら、不気味なほど印象が薄く描かれています。
戦闘描写はリアルで鬼気迫るものがありますが、トーランに関する情報は皆無に等しく、心理描写などは一切無いと言っても過言ではないくらいです。
どうやら作者は敢えてトーランを描こうとしなかった様なのです。
著者はベトナム戦争に従軍した経歴があり、本書はその経験を色濃く反映させた反戦小説として読めます。
星間戦争はベトナム戦争に置き換えられ、帰還兵が本国で感じる疎外感と母国アメリカに対する不信感はマンデラが感じるものと同じ気がします。
作中でマンデラが語る〝人口の憎悪″という言葉は胸に響きました。
その言葉の裏には、大義のない戦争で犠牲になる若者の叫びが込められていると感じました。
本書はもう一つのテーマとして性についても描かれています。当時のアメリカの文化であるフリーセッ○スの風習が反映されています。
さらに年代が進むと〝性″に関する驚きの展開が待っています。