本書の商品説明の「金星付近の小惑星で発見された千隻あまりの宇宙船―それは、謎のヒーチー人が残した超光速船だった.....」という内容から良くあるハードSFを想像していましたが、全くの別物でした。
本書はヒューゴー、ネビュラの両賞を受賞していますが、その成功の鍵は、ゲイトウエイで発見された超光速宇宙船が詳細な操縦方法も目的地も要する時間もエネルギーの残存量もわからぬ状態で飛び立つしかないという舞台設定にあります。この為、本書はハードSFにありがちな理論的な細部にこだわるあまり小説が本来成立させるべきドラマを台無しにしてしまうという愚から解放されて、主人公を取り巻く登場人物たちの人間模様にフォーカスすることに成功しています。壮大な舞台を設定した上でドラマの成立に注力したという点で他に類をみない作品と言えると思います。
ただし、あくまでも寓話的な話なので、理屈に合わない点も散見されますが、その辺はあまり神経質にならない方が良さそうです。例えば、初めての行き先にはタイマーとカメラでもセットしておいて無人で飛ばすのが合理的だと思われますが、それだと生死を賭けた冒険ではなくなってしまうので、この小説が成立しなくなってしまう、なんてこともあります。
なお、著者が本書を書くにあたって想定した詳細については、本文中に豊富に挿入されていますが、私は読んでいません。ストーリーの流れを重視する場合は読まなくても特に支障はないようです。
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ゲイトウエイ (ハヤカワ文庫 SF ホ 3-1) 文庫 – 1988/5/1
フレデリック・ポール
(著),
矢野 徹
(著)
- 本の長さ467ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日1988/5/1
- ISBN-104150107696
- ISBN-13978-4150107697
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (1988/5/1)
- 発売日 : 1988/5/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 467ページ
- ISBN-10 : 4150107696
- ISBN-13 : 978-4150107697
- Amazon 売れ筋ランキング: - 598,561位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年5月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2013年9月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本の表紙の挿絵が良かったので購入した。作者が亡くなったのが残念である。
2021年7月12日に日本でレビュー済み
アイデアSFと言うと、まっさきにこの作品を思い出す。昔異星人が太陽系に置いていった往復自動運転の宇宙船群は、宇宙を誰もが(?)挑戦できるフロンティアに変えてしまった。アメリカ西部劇が描くゴールドラッシュの世界そのものだ。そして自動運転というところがキモで、学者や技術者ではなく一般人に大宇宙の門戸が開かれた。読者が主人公と一体感を感じられるかどうか分からないが、従来のエリートたちよりはハードルが下がった。ゲイトウェイ・ライドみたいなアトラクションができないかなあ(ガチャポンのおみやげ付き)。
2016年9月4日に日本でレビュー済み
主人公のブロードヘッドが精神分析ロボット(人工知能?)にカウセンリングのようなものを受けながらとブロードヘッドの過去に迫る。ブロードヘッドが負う罪は物語の最後に明かされる。きっと話の主題はそこなのだが、作品の流れは、すでに姿を消した異星人のヒーチーが残した謎の施設であるゲートウェイでので生活描写が主流である。ヒーチーが残した宇宙船を操縦してゲイトウエイ経由で外宇宙に行ける。そこで人類の役に立ったものを持ち帰ったら一財産を築ける。ただし、生きて帰還できる可能性は大きくない。一攫千金を夢見る調査員にとっては大儲けできる場所である。ブロードヘッドも一攫千金を狙っているようではあったが、なかなか活動しない。ぐずぐずしているようで読者をやきもきさせるが、これはクライマックスで明かされる真相を想像させないための作者による恣意的なリードだろう。ゲイトウエイがなくても物語は成立する感じを持ったが、未解明の施設があるからこそSF的に楽しめるし、結末をうまく隠せたのではないだろうか。また、ゲイトウエイだけだと宇宙考古学のような話になってしまい驚きが小さくなってしまう可能性もあったと思う。最後に驚きをもたらされ、非常に楽しく読めた。
2021年7月2日に日本でレビュー済み
1990年代に購入した第10刷の超積ん読本を2021年の今読了。ラストのアイデアも今や使い古された感がある。
あと女性を思い切りぶん殴る主人公に、全く共感を持てなかった。
作者はセックス好きなのかな?
2以降は読みません。
あと女性を思い切りぶん殴る主人公に、全く共感を持てなかった。
作者はセックス好きなのかな?
2以降は読みません。
2006年7月9日に日本でレビュー済み
これは、おもしろかった。この本はとにかく読みやすい。SFに身構えてる人でも難なくその物語世界に入っていける。そして特筆すべきは、本書の主人公がこういったスペース・オペラにありがちなヒーローに描かれているのではなく、心に傷を負ったアンチ・ヒーローとして描かれている点だろう。
彼は、賭けに勝った。イチかバチかの賭けに勝って巨万の富を手に入れた。しかし帰還後、彼は精神科医のもとを訪ねることになる。本書はそんな彼と精神科医の対話のパートと、彼がゲイトウェイからの旅立ちによって成功するまでの物語が交互に語られることになる。
心に傷を負ったがゆえに、そして人間としての弱みをみせるがゆえに彼はヒーローになりえてない。むしろ、痛々しい。しかし、それでも本書はおもしろい。人間的な弱さをみせられることによって、物語に真実味が加わるのだ。
本書はシリーズ化されている。巻をおうごとに謎に包まれたヒーチー人の全貌が明らかにされるようである。
とりもなおさず、SFの各賞を総ナメにした本書は著者フレデリック・ポールの代表作であり、SFを語る上ではずすことのできない傑作なのは間違いない。オススメです。
彼は、賭けに勝った。イチかバチかの賭けに勝って巨万の富を手に入れた。しかし帰還後、彼は精神科医のもとを訪ねることになる。本書はそんな彼と精神科医の対話のパートと、彼がゲイトウェイからの旅立ちによって成功するまでの物語が交互に語られることになる。
心に傷を負ったがゆえに、そして人間としての弱みをみせるがゆえに彼はヒーローになりえてない。むしろ、痛々しい。しかし、それでも本書はおもしろい。人間的な弱さをみせられることによって、物語に真実味が加わるのだ。
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2003年7月29日に日本でレビュー済み
先に何が待つのかわからない。それでも一攫千金を夢見る者たちは、ヒーチー人の残した宇宙船に乗って旅立っていく。
あらすじから開拓者精神を感じていたのですが、実際の物語は爽快さとはほど遠いものです。「鉱山のイメージ」と誰かが評していましたがその通りで、広大なはずの宇宙はどこか閉塞感があり、主人公たちは鉱山労働者のような鬱屈した精神状態を抱えています。主人公はうじうじと迷っていてなかなか旅立ちません。期待していたものと大幅に異なった作風には失望しました。
ただし、片鱗しか残っていないヒーチー人の文化のディテイルは面白いです。
あらすじから開拓者精神を感じていたのですが、実際の物語は爽快さとはほど遠いものです。「鉱山のイメージ」と誰かが評していましたがその通りで、広大なはずの宇宙はどこか閉塞感があり、主人公たちは鉱山労働者のような鬱屈した精神状態を抱えています。主人公はうじうじと迷っていてなかなか旅立ちません。期待していたものと大幅に異なった作風には失望しました。
ただし、片鱗しか残っていないヒーチー人の文化のディテイルは面白いです。
2007年2月12日に日本でレビュー済み
ゲイトウエイとは、太陽系に残されていた宇宙人の遺産。
水星軌道より内側を巡っていた宇宙ステーション。
そこには千隻もの恒星間宇宙船があったのだ!
自動航法プログラムがあり、5つの座標をセットすれば、
勝手にそこへ飛んでいきまた戻ってくるのだ。
太陽系政府はゲイトウェイ公社を設立し、調査員を募集した。
調査員になれる条件は唯一つ、25万$を支払う事!
貴重なものを発見し生還できれば、公社は何千万$もの報奨金を与えてくれるのだ。
我らの主人公、鉱夫のロビネットも宝くじで25万$を当て、ゲイトウエイに赴いた。
傑作である。SFであり小説であり文学である。
太宰治が完全なタコに思えてくる。
精神病院に通院し、精神分析コンピュータと対話しながら、
ロビネットが過去のトラウマを暴かれるという構成で物語りは語られる。
罪悪感がどーのこーのという話が好きな人には涙なくして読めないであろう。
スペオペフアンは血湧き肉踊らされ、ユーモアが好きな人はウフフと笑い続け、
社会派の人はフムフムと考え込んでしまい、ハードマニアはその手があったか!
と叫んでしまう事は間違いない。
誰が読んでも面白い作品である。
水星軌道より内側を巡っていた宇宙ステーション。
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勝手にそこへ飛んでいきまた戻ってくるのだ。
太陽系政府はゲイトウェイ公社を設立し、調査員を募集した。
調査員になれる条件は唯一つ、25万$を支払う事!
貴重なものを発見し生還できれば、公社は何千万$もの報奨金を与えてくれるのだ。
我らの主人公、鉱夫のロビネットも宝くじで25万$を当て、ゲイトウエイに赴いた。
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太宰治が完全なタコに思えてくる。
精神病院に通院し、精神分析コンピュータと対話しながら、
ロビネットが過去のトラウマを暴かれるという構成で物語りは語られる。
罪悪感がどーのこーのという話が好きな人には涙なくして読めないであろう。
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社会派の人はフムフムと考え込んでしまい、ハードマニアはその手があったか!
と叫んでしまう事は間違いない。
誰が読んでも面白い作品である。