「ゴールデン・フリース」とは,ギリシャ神話のイアソンの物語に登場する黄金の有翼羊の毛皮のことを指します。
ギリシャ神話のイアソンは,黒海の果てコルキスにあるという伝説の黄金の羊の毛皮を持ち帰るため,アルゴー船で旅に出ます。
本書では,このギリシャ神話から名前をとって,地球から47光年かなたにある惑星コルキスを目指し,宇宙船アルゴを制御するコンピュータ「イアソン」が,自身の大儀を達成するために,その大儀を妨害しようとする人間を,自らが神となって排除しようとする物語です。
宇宙船という限られた空間においては,その宇宙船に住む人間にとっては宇宙船がいわば地球全体に匹敵し,その宇宙船の運営をすべて管理するコンピュータは,宇宙船内という世界においては神のような存在になってしまいます。
ある最終目的を達成するためには,それを邪魔する人間を排除してもいいという大儀と感情をもったコンピュータはまさに神に等しい存在です。
人間が自らの考えで進めているつもりが,実は巧妙なコンピュータに操られていることに誰もが気づかない。
そんな神のようなコンピュータが掌握管理する宇宙船内という限られた世界において,果たしてどうすれば真実を知り対抗することができるのか。
本書はソウヤーの長編SFデビュー作で,この後いくつもの傑作作品を生み出しています。
私の中でソウヤーは,とにかく面白くて知的好奇心をくすぐるSF作品を書く作家の一人として期待がとても高いです。
まだまだ未訳作品も多く,今後の翻訳作品がとても楽しみです。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
ゴールデン・フリース (ハヤカワ文庫 SF ソ 1-1) 文庫 – 1992/11/1
- 本の長さ303ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日1992/11/1
- ISBN-104150109915
- ISBN-13978-4150109912
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 早川書房 (1992/11/1)
- 発売日 : 1992/11/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 303ページ
- ISBN-10 : 4150109915
- ISBN-13 : 978-4150109912
- Amazon 売れ筋ランキング: - 375,192位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
星5つ中4.1つ
5つのうち4.1つ
全体的な星の数と星別のパーセンテージの内訳を計算するにあたり、単純平均は使用されていません。当システムでは、レビューがどの程度新しいか、レビュー担当者がAmazonで購入したかどうかなど、特定の要素をより重視しています。 詳細はこちら
10グローバルレーティング
虚偽のレビューは一切容認しません
私たちの目標は、すべてのレビューを信頼性の高い、有益なものにすることです。だからこそ、私たちはテクノロジーと人間の調査員の両方を活用して、お客様が偽のレビューを見る前にブロックしています。 詳細はこちら
コミュニティガイドラインに違反するAmazonアカウントはブロックされます。また、レビューを購入した出品者をブロックし、そのようなレビューを投稿した当事者に対して法的措置を取ります。 報告方法について学ぶ
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2014年6月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2023年6月2日に日本でレビュー済み
宇宙船の中で、コンピュータが殺人を犯した――となれば、どうしたってクラーク『2001年宇宙の旅』を連想しないわけにはいかない。作者が好むと好まざるとに関わらずこの比較は避けられない。そして比較した上で本書もまた傑作だ、という判断をすることとになるだろう。意外にも倒叙形式を持つ物語の語り手は「犯人」であるコンピュータである。それゆえ焦点は殺人の動機となるのだが、それがまた『2001年宇宙の旅』と酷似しながらも納得のいくものである。子狐座から届いた通信が少なくとも本書ではコンピュータの不調を起こすものでしかないとか、果たして「時間の遅れ」はその時間の内にいる者にとって感知できるものなのだろうかとか、細かい点ではいろいろと疑問はあるものの、トータルとしてみれば間違いなく面白い。
2011年7月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
SFとミステリを融合した作品を発表している著者の記念すべき第1作。
1990年発表。
22世紀後半、人類はスターコロジー計画として、47光年かなたの惑星コルキスを目指し、1万人あまりの人々を乗せた恒星間宇宙船「アルゴ」で宇宙へ飛び立つ。
この船内で事件が発生。
コンピュータの「イアソン」が物理学者のダイアナを殺害したのだった。
事故か自殺かで揺れ動く船内で、元夫アーロンは次第に疑いの目を向け始めるが…。
この作品で描かれるコンピュータ「イアソン」は、「2001年宇宙の旅」のHAL9000のような存在で、人工知能を持ち、船内全体を掌握しています。
物語は「イアソン」の一人称で描かれ、「倒叙ミステリ」という形式を執ります。
ただ、普通のミステリとの違いは、「殺害動機」が伏せられていること。
「倒叙ミステリ」でありながら、動機は不明、という設定です。
これは、SFならではの設定であると思いました。
つまり、人間の視点で、その人物が殺人を犯すという物語を描こうとした場合、一人称ではその人物の「心情」が色濃く反映されますから、例え動機を直接的に表現しないまでも、被害者のことが、「憎い」とか、「死ねば遺産が入るだろう」とか、何らかの感情が描写されることでしょう。
描写しないということも、もちろんできますが、極めて不自然な文章になってしまうと思います。
その点、本作品の犯人は、「コンピュータ」なのですから、人間とは違う思考形態でもおかしくはない訳で、「動機を伏せた」設定をうまくクリアしていると言えます。
もちろん、その「動機」には著者のアイデアが詰め込まれており、物語のラストで真実が明かされる中、きちんと読者の期待に応えていることは、高評価に値します。
以後、著者が次々と「SF+ミステリ」の小説を発表していく契機となった、記念すべき作品と言えると思いました。
1990年発表。
22世紀後半、人類はスターコロジー計画として、47光年かなたの惑星コルキスを目指し、1万人あまりの人々を乗せた恒星間宇宙船「アルゴ」で宇宙へ飛び立つ。
この船内で事件が発生。
コンピュータの「イアソン」が物理学者のダイアナを殺害したのだった。
事故か自殺かで揺れ動く船内で、元夫アーロンは次第に疑いの目を向け始めるが…。
この作品で描かれるコンピュータ「イアソン」は、「2001年宇宙の旅」のHAL9000のような存在で、人工知能を持ち、船内全体を掌握しています。
物語は「イアソン」の一人称で描かれ、「倒叙ミステリ」という形式を執ります。
ただ、普通のミステリとの違いは、「殺害動機」が伏せられていること。
「倒叙ミステリ」でありながら、動機は不明、という設定です。
これは、SFならではの設定であると思いました。
つまり、人間の視点で、その人物が殺人を犯すという物語を描こうとした場合、一人称ではその人物の「心情」が色濃く反映されますから、例え動機を直接的に表現しないまでも、被害者のことが、「憎い」とか、「死ねば遺産が入るだろう」とか、何らかの感情が描写されることでしょう。
描写しないということも、もちろんできますが、極めて不自然な文章になってしまうと思います。
その点、本作品の犯人は、「コンピュータ」なのですから、人間とは違う思考形態でもおかしくはない訳で、「動機を伏せた」設定をうまくクリアしていると言えます。
もちろん、その「動機」には著者のアイデアが詰め込まれており、物語のラストで真実が明かされる中、きちんと読者の期待に応えていることは、高評価に値します。
以後、著者が次々と「SF+ミステリ」の小説を発表していく契機となった、記念すべき作品と言えると思いました。
2019年1月11日に日本でレビュー済み
ソウヤーの処女作ということで期待して読んだ。ここの評判は絶賛ばかりだが、どうも納得できない。
まず動機の遠因となった核兵器システムのバグだが、人工知能は核戦争を正確に予測できたのになぜ回避できないのか。
異星人のメッセージも、ストーリー上、どんな必然があったか不明なまま。
ハードSF的には、亜光速で旋回する航宙船の物理学、このようなトンデモナイ速度を得たのに目的地は当初のままでいいのか、主人公(人間)の心理描写はいいから、もっとSFとしての思索がほしい。
本書の元になった中編があるそうだが、中核のアイデアを長編に膨らませることに失敗し、余計な粗雑物が付いただけに終わっているのではないか。JPホーガンの変態やクラークの詩情といった優れたSFの資質がこの作品には欠けている。作家は第一作に、その素質が如実に現れるとするなら、ソウヤーの評価は大きく下がることになり、SFの隆盛を願う者として残念だ。
まず動機の遠因となった核兵器システムのバグだが、人工知能は核戦争を正確に予測できたのになぜ回避できないのか。
異星人のメッセージも、ストーリー上、どんな必然があったか不明なまま。
ハードSF的には、亜光速で旋回する航宙船の物理学、このようなトンデモナイ速度を得たのに目的地は当初のままでいいのか、主人公(人間)の心理描写はいいから、もっとSFとしての思索がほしい。
本書の元になった中編があるそうだが、中核のアイデアを長編に膨らませることに失敗し、余計な粗雑物が付いただけに終わっているのではないか。JPホーガンの変態やクラークの詩情といった優れたSFの資質がこの作品には欠けている。作家は第一作に、その素質が如実に現れるとするなら、ソウヤーの評価は大きく下がることになり、SFの隆盛を願う者として残念だ。
2021年10月12日に日本でレビュー済み
超巨大宇宙移民船を制御するAIの一人称倒叙ミステリ。
ソウヤーは設定だけでわくわくさせるのが天才的だけど、本作もその例にもれない。まずそれだけで心をつかまれるし、その設定を十二分に生かしている。途中、捜査よりも寄り道にページが割かれるため、ちょっと中だるみする感は否めないが、それでも犯人を突き止める手がかりはちゃんと張られているし(SF的知識がないとかなり気づくのは難しいが)、結末は充分期待に応えてくれる出来だった。最大の謎は、「AIイアソンの犯行動機とは一体何か?」
SFミステリの秀作。星4.5にしたいけど、四捨五入で星5に。とてもおもしろかった。
ソウヤーは設定だけでわくわくさせるのが天才的だけど、本作もその例にもれない。まずそれだけで心をつかまれるし、その設定を十二分に生かしている。途中、捜査よりも寄り道にページが割かれるため、ちょっと中だるみする感は否めないが、それでも犯人を突き止める手がかりはちゃんと張られているし(SF的知識がないとかなり気づくのは難しいが)、結末は充分期待に応えてくれる出来だった。最大の謎は、「AIイアソンの犯行動機とは一体何か?」
SFミステリの秀作。星4.5にしたいけど、四捨五入で星5に。とてもおもしろかった。
2021年8月6日に日本でレビュー済み
惑星移民船「アルゴ」を舞台として、それ全体の世話をする第10世代コンピュータ「イアソン」の一人称視点で描かれたSFミステリーというところです。読み始めてすぐにわかるのでネタバレでも何でもないから書きますが、このイアソンが完全犯罪と言えるような殺人事件を起こし、主人公アーロンがその真相に迫っていく、というお話です。
30年ぶりに本棚から発掘して読みました。2度目でも退屈することなく最後まで一気に読める素直に面白い作品だと思います。ちょっと気になるのが、コンピュータのイアソンの人物?描写で、これが人間に過ぎると思います。第10世代だから相当すごいコンピュータなのでしょうが、宇宙船全体が身体と言う意味での目や手足の能力のすごさはともかく、発想や思考が自然すぎて、心は単なる(人間の)天才犯罪者と感じてしまいました。どうしても比較せざるを得ない HAL9000 と比較すると、コンピュータらしさ…というか異質さは HAL の方が格段にそれっぽいです。もっとも HAL はせいぜい第 6, 7 世代というところでしょうから比較しちゃいけないのかも。コンピュータが正常進化すると、けっきょく心・精神は人間のそれへと収斂進化しちゃうのか? …いやそんなことはないだろう、と考えさせられました。
SF的にはイアソンの一番の切り札が、さすがにやっぱりオーパーツ過ぎなのが無理がある感じです。この辺りはグレッグ・イーガンが上手だなとあらためて思いました。
あと本編とは関係ないですが、全体をとおしてもはや人類はコンピュータに世話してもらわないと生きていけない、という世界観は、そうなのかもなぁ、と思わずにはいられませんでした。
30年ぶりに本棚から発掘して読みました。2度目でも退屈することなく最後まで一気に読める素直に面白い作品だと思います。ちょっと気になるのが、コンピュータのイアソンの人物?描写で、これが人間に過ぎると思います。第10世代だから相当すごいコンピュータなのでしょうが、宇宙船全体が身体と言う意味での目や手足の能力のすごさはともかく、発想や思考が自然すぎて、心は単なる(人間の)天才犯罪者と感じてしまいました。どうしても比較せざるを得ない HAL9000 と比較すると、コンピュータらしさ…というか異質さは HAL の方が格段にそれっぽいです。もっとも HAL はせいぜい第 6, 7 世代というところでしょうから比較しちゃいけないのかも。コンピュータが正常進化すると、けっきょく心・精神は人間のそれへと収斂進化しちゃうのか? …いやそんなことはないだろう、と考えさせられました。
SF的にはイアソンの一番の切り札が、さすがにやっぱりオーパーツ過ぎなのが無理がある感じです。この辺りはグレッグ・イーガンが上手だなとあらためて思いました。
あと本編とは関係ないですが、全体をとおしてもはや人類はコンピュータに世話してもらわないと生きていけない、という世界観は、そうなのかもなぁ、と思わずにはいられませんでした。
2007年10月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
冒頭の第1章で宇宙船内の殺人事件の様子が描かれ、犯人の名前が明かされ、以降はずっと、犯人の視点で進んでいくストーリー。ミステリで、倒叙ものと呼ばれるタイプの作品ですね。
犯人の正体は、だから最初に分かってしまうので、そこからの話のキモは、なぜ犯人は殺人を犯したのかという動機の謎と、探偵役の人物を監視する犯人の心理描写にあります。で、一番面白かったのは、犯人が殺人をせざるを得なかったその動機が明らかになる件りでしたね。犯行の裏に隠されていた意外な真相。唖然とさせられました。
それと、心理的に次第に追いつめられていく犯人が、探偵役の人物の複製を作り出して、彼の次の行動を探るところも面白かったな。この犯人、SFもしくは幻想小説でなければ登場できないだろう非常な変り種で、人間のコピーを作ってシミュレーションすることが出来るんです。また、狼狽のあまり頭をぽりぽりかこうとしたりするところとか、そういう、妙に人間くさい動作がおかしかった。なんだか、『刑事ゴロンボ』に出てくる犯人の悪あがきを見ているみたいで(笑)
ミステリ小説がお好きな方に、これも面白いっすよとおすすめしたいSF。終盤の犯人と探偵の対決シーンは、わくわくしますよ。
犯人の正体は、だから最初に分かってしまうので、そこからの話のキモは、なぜ犯人は殺人を犯したのかという動機の謎と、探偵役の人物を監視する犯人の心理描写にあります。で、一番面白かったのは、犯人が殺人をせざるを得なかったその動機が明らかになる件りでしたね。犯行の裏に隠されていた意外な真相。唖然とさせられました。
それと、心理的に次第に追いつめられていく犯人が、探偵役の人物の複製を作り出して、彼の次の行動を探るところも面白かったな。この犯人、SFもしくは幻想小説でなければ登場できないだろう非常な変り種で、人間のコピーを作ってシミュレーションすることが出来るんです。また、狼狽のあまり頭をぽりぽりかこうとしたりするところとか、そういう、妙に人間くさい動作がおかしかった。なんだか、『刑事ゴロンボ』に出てくる犯人の悪あがきを見ているみたいで(笑)
ミステリ小説がお好きな方に、これも面白いっすよとおすすめしたいSF。終盤の犯人と探偵の対決シーンは、わくわくしますよ。
2004年11月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
非合理なことをするはずがないスーパーコンピューター「イアソン」が、なぜ殺人
を犯さなければならなかったのか、という点が最大のミステリーです。
きっと合理的な理由があるに違いないけれども、宇宙船内では絶対的な存在である
「イアソン」を出し抜くことは不可能に近いという、絶望的な状況に読者はスリル
を感じます。コンピューターが枕元で催眠まがいのささやきをつぶやくなんて、、、
ラストは少し考えさせられました。気の遠くなるような膨大な時間と空間、テクノロ
ジーの可能性と、コンピューターの限界に想像をめぐらせて下さい。
を犯さなければならなかったのか、という点が最大のミステリーです。
きっと合理的な理由があるに違いないけれども、宇宙船内では絶対的な存在である
「イアソン」を出し抜くことは不可能に近いという、絶望的な状況に読者はスリル
を感じます。コンピューターが枕元で催眠まがいのささやきをつぶやくなんて、、、
ラストは少し考えさせられました。気の遠くなるような膨大な時間と空間、テクノロ
ジーの可能性と、コンピューターの限界に想像をめぐらせて下さい。