ここ数年低調だった翻訳SFの中では、かなりいい。SFと文学の両方の伝統をよく受け継いだ良作である。
ていうか、ある意味でズルいよ、これ。読んでる途中でブラッドベリとかマルケスとかを初めて読んだときの印象がぶあーっと頭の中をかけめぐるんだわ。たぶん、作者も過去の作品群へのオマージュとして、いろいろなイメージを積極的に利用しようとしているし、それは成功している。
それを抜きにしても、独立した物語として十分に楽しめる。ユニークなアイデア、独特の詩情、奇妙な整合性がある。何世代にもわたって登場する人物それぞれが、きちんと存在感をもっている。
ユーモラスで、残酷で、ありきたりで、へんてこな物語がお好きな人はどうぞ。
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火星夜想曲 (ハヤカワ文庫 SF マ 6-1) 文庫 – 1997/8/1
- 本の長さ551ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日1997/8/1
- ISBN-104150112037
- ISBN-13978-4150112035
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (1997/8/1)
- 発売日 : 1997/8/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 551ページ
- ISBN-10 : 4150112037
- ISBN-13 : 978-4150112035
- Amazon 売れ筋ランキング: - 264,831位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2003年12月21日に日本でレビュー済み
本書は全69章で構成されており、5~7P程度の短いエピソードが積み重なっていく方式を取っています。エピソードは次に繋がるものもあり、伏線にも何にもならず独立しているものもあり。ただしいずれもアイデアがみっしりと詰め込まれています。単純明快な物語ではないので、少し人を選ぶかも。ためしに第15章を読んでみて下さい。少しでも面白そうと思ったら買って間違いないでしょう。
科学的であり幻想的でもある不思議なエピソードのつらなりは、中盤以降唐突に一つの流れになります。この展開には賛否両論あるでしょうね。私は最初の方が好きですが、ラストでまたテイストが戻ってくるので、少しほっとしました。
科学的であり幻想的でもある不思議なエピソードのつらなりは、中盤以降唐突に一つの流れになります。この展開には賛否両論あるでしょうね。私は最初の方が好きですが、ラストでまたテイストが戻ってくるので、少しほっとしました。
2020年2月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
"父さん、父さんから聞かされたすべてのことを記す一冊の本を書こうと思っているんだ。あの驚異や奇跡のすべてをね。喜びや悲しみ、勝利や敗北をみんな"1988年発刊の本書は、ひとつの町が忽然と誕生してから跡かとなく消え去るまでの半世紀の物語をマジックリアリズムで描いたSF版『百年の孤独』的一冊。
個人的には『百年の孤独』がとても面白かった!という話をSF好きな友人に話した時に逆に紹介されたのが本書だったりします。
さて、そんな本書はテラフォーミングされた火星を舞台にして、とある砂漠のオアシスに次々と人々が辿り着き【一つの町(デソレイション・ロード)が幻想的に発展していく】までが前半、後半はそれらの人々の息子や娘たちが様々な立場になり絡んでくる事で【怒涛のハードSFガジェットが大量導入されるカオス展開となっていく】のですが。
著者自身が『魔術的リアリズムの小説としてSFが可能であることを証明して見せたかった』と述べている様に、特に本書の前半はそれが顕著で楽しく、またSF的展開を見せていく後半も、こちらはこちらで様々なSF作品へのオマージュが随所に織り込まれていてニヤリとさせられてしまった。
また、登場人物たちが多く【章ごとに語り手の違うエピソードが描かれている】事で本書冒頭の家系図(この辺りも『百年の孤独』を連想させられます)を何度も【誰だっけ?】と確認しながら読み進めていたのですが【登場人物たちの成長や変化の群像劇】として、また各キャラクター造形や結末といった細部も含めて、最後までよくまとめきったなと感心しました。
マジックリアリズム、そしてライトではないSF好きな誰かへ。また群像劇的な家族の物語が好きな人にもオススメ。
個人的には『百年の孤独』がとても面白かった!という話をSF好きな友人に話した時に逆に紹介されたのが本書だったりします。
さて、そんな本書はテラフォーミングされた火星を舞台にして、とある砂漠のオアシスに次々と人々が辿り着き【一つの町(デソレイション・ロード)が幻想的に発展していく】までが前半、後半はそれらの人々の息子や娘たちが様々な立場になり絡んでくる事で【怒涛のハードSFガジェットが大量導入されるカオス展開となっていく】のですが。
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また、登場人物たちが多く【章ごとに語り手の違うエピソードが描かれている】事で本書冒頭の家系図(この辺りも『百年の孤独』を連想させられます)を何度も【誰だっけ?】と確認しながら読み進めていたのですが【登場人物たちの成長や変化の群像劇】として、また各キャラクター造形や結末といった細部も含めて、最後までよくまとめきったなと感心しました。
マジックリアリズム、そしてライトではないSF好きな誰かへ。また群像劇的な家族の物語が好きな人にもオススメ。