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星ぼしの荒野から (ハヤカワ文庫 SF テ 3-5) 文庫 – 1999/4/1

4.7 5つ星のうち4.7 8個の評価

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 早川書房 (1999/4/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 1999/4/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 510ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4150112673
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4150112677
  • カスタマーレビュー:
    4.7 5つ星のうち4.7 8個の評価

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ジェイムズ・ジュニア・ティプトリー
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上位レビュー、対象国: 日本

2023年4月3日に日本でレビュー済み
本書は、ティプトリーの第四短編集“OUT OF THE EVERYWHERE and Other Extraordinary Visions (1981))”の全訳である。
 日本では、四冊目として出版された第一短編集『故郷から10000万光年』から8年空いて、1999年3月に五冊目の作品集として出版されている。評者はティプトリーも原著の出版順に読んでいるので本書が四冊目になる。

 今回、読了後に感想を整理していて気付いたのは日本での一般的な評価と自分の感想の差だった。
 翻訳小説では当たり前だけど、新しい作家は何らかの評価が出るまではなかなか注目されないし、翻訳も本国での出版順とは無関係に売れそうなものから行われるため、日本に紹介された時点で既に作風や評価がだいたい定まっている例が多い。
 紹介文や解説でも触れられているが、ティプトリーも日本に紹介された時点で既に有力な賞を受賞していたし、その後ゆっくり騙される間もなく女性であることが暴露され、さらにその余韻がさめやらぬうちに突然の衝撃的な死が伝えられた。このため、高齢になってデビューしたこともあって、ティプトリーという作家はある意味で完成した作家と思われているように思う。その作風はジェンダーや宇宙における生命の意味、故郷喪失感をテーマにした重厚な作品を描く作家であると。
 一方、評者は本国での出版順に読んでいるため、テーマ自体はデビュー当時からあまり変わっていないけど、作風は徐々に変わってきたことを知っている。それが実感できるのはこの読み方が持つ一つのメリットだ。しかし、この方法を選ぶと日本国内での一般的な評価とは異なる感想を持つ場合があり、国内での同時代性を感じることは難しいかもしれない。

 本書には10篇の中・短編が発表順に収録されている。前半の4篇はラクーナ・シェルドン名義で雑誌等に発表された作品。それに続く4篇はティプトリー名義で雑誌等に発表された作品。そして最後の2篇は、本書のために書き下ろされた作品。
 ラクーナ・シェルドンというペンネームは、ティプトリーの周辺がジェンダー問題で騒がしかった時、ジェンダーやエコロジーをテーマにした作品を発表する時、ティプトリーの名前を避けるために使ったのだろうと解説されているが、評者は、本名である“シェルドン”が使われていることを考えると、この時期、そろそろ本人も正体を明かすことを考えていたのではないかと思う。
 ラクーナ・シェルドン名義の4作品も、読んでみると、やっぱりティプトリーらしさが見え隠れしているので、わざわざ別のペンネームを作って発表した理由がよくわからないが、いずれも地球を舞台とする物語で、それ以外の6作品は宇宙に関係した物語だということは他の紹介文の指摘を読むまで気づかなかった。

 以下、個々の作品について感想など

天国の門 (IF 1974/07、08)  約95枚
 ある日、田舎の少年の前に一人の異星人が姿を現し、あなたがたのために贈り物をしたいので、あなたと同じように親切で優しい人を4人紹介して欲しいと語る・・・
 久しぶりにティプトリーのコメディを読んだ。初期の短編以来、久しぶり。ブラック・コメディかな?

ビーバーの涙 (Galaxy 1976/05)  約18枚
 郊外の住宅で暮らす主人公は、妻子が実家に戻った3日間一人で夕食を食べていた。TVでは、やせた土地を改良するのに役立つということでビーバーを捕える番組が流れている・・・
 省略された描写だけの短い作品だけど、ストーリーの意図するところはわかり易い。非現実的だが、描写としてはリアルなのかも。

おお、わが姉妹よ、光満つるその顔よ! (Aurora : Beyond Equality  1976)  約60枚
 主人公は若い女性。郵便配達人。廃墟の街を歩いている。多くの人間が何らかの災害で死滅した後、わずかに残った文明をつなぐ役割を果たしているらしい。夜中に廃墟の街を楽しそうに歩いていく。あまりに能天気な態度が気になるが、危険はないのだろうか・・・
 前半は、ポスト・アポカリプスの話かと思っていたら、中盤から裏が明かされて、サスペンスというか、ホラー系というか、サイコ・ストーリーになってしまった。ブラック・ファンタジー?
 解説によると、「ヒューストン、ヒューストン聞こえるか?」と同じフェミニスト・ユートピアをテーマにしたアンソロジーに掲載されたらしい。フェミニスト・ユートピアなんて妄想のようなものだと言っているようだ。ラクーナのペンネームを使ったのは「ヒューストン・・・」と同じペンネームを避けたということではないか?

ラセンウジバエ解決法 (Analog  1977/06)  約70枚  ネビュラ賞受賞
 登場するのはアランとアンの夫婦とその娘のエミー、そして名前だけ登場する夫妻の友人、バーニイことバーナード・ブレイスウェイト博士。
 冒頭、アランは中米のボゴタで害虫のラセンウジバエを駆除する方法を探っている。スプリングフィールドの近くに暮らしているアンからの手紙には、1300キロほど離れたアーカンソー州で〈アダムの息子たち〉と名乗る宗教団体が女子供を集団虐殺したというニュースが書かれていた・・・
 ネビュラ賞受賞作ということでタイトルは以前から知っていたけど、読むのは今回が初めて。こういう話だとは思いもしなかった。
 平井和正の「親殺し」、永井豪の「すすむちゃん大ショック」を思い出した。読むと暗くなる話。まったく救いがない。書かれている物語は冒頭の「天国の門」とも同じテーマ。変奏曲というところか? アイデアとしては珍しくない気もするが、語り口がリアル。女性目線の物語は目新しいかもしれない。
 ジェンダー問題を地球侵略テーマとして描いている作品と言えるのではないか? ストーリーテリングの迫力は「最後の午後に」に匹敵する。

時分割の天使 (F&SF  1977/10)  約40枚
 主人公は19歳の女性。西海岸のラジオ局に勤務している。ある夜、つらいことがあった彼女は、心を癒すために子供の頃の記憶が残る森を目指して車を走らせるが、そこでは巨大な住宅団地が造成されていて、何十台もの重機がうなりを上げて木を切り倒して大地を削り、小動物を踏みつぶしていた・・・
 TSS(タイム・シェアリング・システム)から連想したアイデアは面白い。が、前篇に続いて、またこのテーマかと思う。しかし似ているのはそこだけだった。
 物語は終末に向かって進んでいくが、本来のテーマは人口爆発であって、人口の減少はむしろ平和への一つの過程に過ぎず、そこには主人公にとっての救いさえ読み取れる。同じように人口の減少を描いた小説でも、問題とするテーマ、描こうとする事件によっては、このように違ってくるということか?
 子供というものは人類にとって最大の宝であるが、それをネタにして小説を語るということは、ティプトリーはどこに目をつけたのか?ティプトリーの闇なのか?それとも・・・

われら〈夢〉を盗みし者 (Stellar 4  1978)  約80枚
 冒頭、異星人の母親がコンテナに自分の子供を隠して宇宙船〈夢〉に運び込もうとしていた。早くコンテナを運び込んで蓋を開けてやらなければ子供は窒息してしまう。しかし、見張りの地球人はそのことに気付かないまま、ただいたぶるためにその母親の足を留めさせる・・・
 不思議な印象。ティプトリーらしいと言えばそうかな? ル・グィンの「世界の合言葉は森」と良く似た感じがする。男性原理で行動する地球人と異星人の対立の物語だけど、異星人に視点を置いて語る。
 読み終わって、ちょっと戸惑うが、解説を読んで納得する。ティプトリーは本篇を当時の世相に合わせてアップデートされたモダン・スペースオペラとして書いたのだ。

スロー・ミュージック (Interfaces 1980 )  約150枚
 舞台は地球。時代はたぶん未来。技術や文化が現代とそれほど変わらないので、それほど遠い未来ではないが、現代と大きく違うのは社会の設定。理由は全く不明だけれど、世界には〈河〉と呼ばれる何かができている。そこを訪れれば銀河系の栄光に出会える(永遠の命が得られる?)らしく、ほとんどの人間がその巡礼の旅に出てしまって、世界はほとんど無人になっている。ティプトリーには珍しいファンタジー設定、寓話なのか? 主人公の青年は先に出発した家族を追って旅に出るが、ある都市の廃墟で一人の娘と出会う・・・
 これまで読んできたティプトリーとは少し違うような気がする。モチーフは確かにティプトリーなのだけれど、登場人物とか話の展開とか。特にヒロインがティプトリーらしくない。

汚れなき戯れ (Universe 10 1980)  約27枚
 記者である主人公は酒場で中年の元宇宙飛行士が体験したという奇現象を聞かされる。それは、ある惑星で出会った不思議な生命体の話だった・・・
 レムの『ソラリス』かと思ったが、思い返すと『シャンブロウ』のような気もする。ティプトリーらしさがあまり感じられない。というか、有名な作品のスタイルに挑戦するという意味ではティプトリーのファン気質が出ていると言えるのかもしれない。一方で、この頃のティプトリーの特徴とも言えるジェンダー問題と毒気は感じられないが、いかにも男が書いたような文章という特徴は復活している。

星ぼしの荒野から (書き下ろし  1981)  約125枚
 宇宙的な超生命体グレックスの幼生であるエンギは群れを離れて単独で無謀な旅に出るが迷子になってしまい、〈大食らい〉と呼ばれる敵対種族に追われて、重傷を負いながらとある惑星に逃げ込む。彼を追っていたものたちもまたエンギを追ってその惑星に降下していく。
 その惑星(地球)では、3つの小さな出来事が起こっていた。ひとつはとある中年の女性に。ひとつは新興企業マレル・テック社のオーナー社長、39歳のポール・マレルに。そしてもうひとつは生まれたての赤ん坊に・・・
 原題を直訳すると“どこからともなく”という意味らしい。訳者はそれを「星ぼしの荒野から」と意訳したと自賛しているが、意味しているものが少し違ってくるような気がする。
 冒頭はどういう話なのか分からず読みにくかったが、状況が見えて来てからは読み易くなり、面白いし、良くできた佳作だと思うが、帯に書かれている「愛と涙と感動の珠玉の名品」というのとはちょっと違うような気がする。
 宇宙を駆ける超生命体の物語に、地球のある企業家とその娘の物語を重ねて語る一種のサスペンスSFの外枠の中にたくさんの趣向を盛り込んでおり、その中には確かに感動的な要素もあるというところか?とにかく盛沢山な中篇。

たおやかな狂える手に (書き下ろし  1981)  約188枚
 核戦争後の未来。地球上の多くの地域は汚染されており、宇宙開発が進められている。主人公はキャロル・ペイジ。通り名はCP。生まれながらの孤児。出産時のトラブルで鼻がつぶれていたのでスノットフェース(鼻汁ぶす)と呼ばれていた。しかし、彼女はまじめに学業に取り組み、頭の良さと勤勉さを発揮して自分の進路を自分で選び、宇宙船クルーになる。そして男性優先の世界で差別され、虐待されながらも自分の目標に近づいていくのだが・・・
 このように紹介すると、それこそ信念と感動の成功物語のようだけれど、全然違う。冒頭の20頁ぐらいは夢をかなえるために地獄のような世界で苦闘するCPが描かれるが、それはプロローグに過ぎない。本当のテーマが描かれるのはそこからだ。
 簡単に要約すると、出生時の事故を原因とする醜面と孤児であることの疎外感に悩みながら宇宙に憧れた娘が、激しいいじめと女性蔑視を克服して未踏星域に死地を求めるが、そこに待っていたのは・・・というストーリーなのだが、それって“世界に対する違和感と真の故郷を求める心”というまさにティプトリーのメインテーマの集大成。
 冒頭部のエピソードが強烈なためその印象に支配されがちだが、全体を通してみると実はラブ・ストーリーだったりする。
 本篇も、盛りだくさんの要素をぜいたく過ぎるほど組み込んだ中篇。
 本篇のタイトルは、1875年頃のアーネスト・ダウスンの詩、「癲狂院にある者に」の冒頭、“たおやかな狂える手に 彼の持てるはまさしく花花 汚れた鉄格子に向かい ちぎり捩じる ・・・・・”から。
 CPは子供の頃からこの詩を友として育つ。そして、星は彼女のものとなる・・・

 読了後、あちこちで感想を読み漁るが、ずいぶんいろいろな感想がある。自分の読書力に絶望する。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2010年10月3日に日本でレビュー済み
ティプトリー作品の中でも最も読んだ短編集。やはり一番は「たおやかなる狂える手に」です。20年ほど前、SFマガジンに初出時に訳者の方の「男性読者としてどういう顔でこの本を読んだか想像がつかない」という説明に興味をそそられ読んだのですが、読後自分も複雑な思いでした。印象深い作品です。「Out ot the Everywhere」は別の短編のタイトルなのですが、短編集の名前にもなっています。原題の方が「外へ、外へ」というティプトリーの思いが詰まっているようで切ないです。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2005年10月29日に日本でレビュー済み
この本はSF短編集です。
今まで読んだことも聞いたことも無い手段でスマートに地球を侵略する話や、友好的に地球にやってくる来る宇宙人の話、宇宙人が登場しない短編もあります。
しかし、全ての短編が、新鮮です。どこかで聞いたような話は一つもありません。
惑星間戦争、人類vs宇宙人、と言えばスターウォーズやガンダム、エイリア、プレデター、スタートレックなどをが思い浮かびます。
登場する兵器は多種多様ですし、どんな兵器を登場させるかが、作者の腕の見せ所だったりします。
しかし、この本は、そんな戦い方(戦争)の常識を根底からひっくり返してくれます。
戦いは一切なしで、人類を絶滅させる方法を思いつきますか?
なかには、爆弾なし毒ガスなし生物兵器なし核兵器全部なし、誘拐やパンチやキックもなし、天変地異も一切なしで、地球上から人類を一掃する話もあります。
こんな感じで全ての短編が、新鮮でおもしろいです。
SFを読み飽きた人も、この本は読んでみてください。
12人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2004年2月11日に日本でレビュー済み
表紙の絵がマンガっぽいので正直言ってあまり期待していなかった。しかし収録された10編はどれも非常に楽しめた。この作家は人類に対してはなかなか厳しい視点の持ち主だ。 「天国の門」「ビーバーの涙」、そしてネビュラ賞受賞作品「ラセンウジバエ解決法」などはエイリアンテーマのブラックユーモア風の作品。 「時分割の天使」では、時分割という方式をどういう話に膨らませるかが興味があったが、予想に違わない秀作。 「われら<夢>を盗みし者」のファンタジー風のストーリーの悲しい未来を予想させる結末。「スローミュージック」では未来史の一面を見せたかと思えば、「汚れなき戯れ」ではわずか10数ページの中に幻想的な雰囲気を描いている。(ムーア風とでも言おうか・・・) 表題作「星ぼしの荒野から」はアイデアに満ちた作品で、エイリアン物としても傑作の部類ではないだろうか。 掉尾を飾る「たおやかな狂える手に」はキャラクタ設定も良いが、アイデアが秀逸。もっと高い評価が与えられても良いいのではないかと思える。 こういう作品に遭遇すると、まだまだこのジャンルを読み足りない自分に気づいてしまう。まだまだ、書棚で本を探す幸せがあるというものだ。
17人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2003年4月14日に日本でレビュー済み
この短編集の中に収録されている「たおやかな狂える手に」を何度も読み返しました。基本的にティプトリーはここで流すのか、という意外性のあるドライさと、それが後で効いてくるネタの重さがあると私は思います。
ですが、この「たおやかな狂える手に」や、別の短編(中篇)である「たった一つの冴えたやりかた」などは、ずっと捨てきれない私の中のロマンチスト的な部分をきちんと刺激してくれます。
読み手の姿勢としては自慰的であまりお勧めのできるものではありませんが、たまにはこんな読み方をしたいときもあるので、重宝しています。
10人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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