SFといえばSFだが、登場人物の内面が色濃く描かれている。空想世界の羅列というよりは、自分の存在とは何か、というような哲学的なメッセージが強いと感じた。
かといって難解な文章ではなく、短編集ということもあり、サクサク読める印象。
もしかしたら、今自分が生きているこの世界も、、、と思ってしまうような展開に飲み込まれること間違いなし。
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祈りの海 (ハヤカワ文庫 SF イ 2-3) 文庫 – 2000/12/31
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- 本の長さ464ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2000/12/31
- ISBN-104150113378
- ISBN-13978-4150113377
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2000/12/31)
- 発売日 : 2000/12/31
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 464ページ
- ISBN-10 : 4150113378
- ISBN-13 : 978-4150113377
- Amazon 売れ筋ランキング: - 55,462位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2012年10月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
短編集「
プランク・ダイヴ (ハヤカワ文庫SF)
」を読み、長編「
ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)
」に取りかかっている間に読んだ「祈りの海」。個人的に好きな方向のSFとは少し違っていた。SFというよりは現代をテーマにした物語と言っていいものもあった気がする。でも、いろいろなタイプの作品が読めて、お得な1冊だった。
「貸金庫」。これはせつなかった。「わたし」は宿主から宿主へと移動しながら生きている存在。「わたし」が誰なのかは、ラストにわかるのだが、せつない…。
「キューティ」。子供が欲しい「僕」と欲しくないパートナー。不毛な議論は何度となく繰り返され、去っていったパートナー。それでも子供の欲しい「僕」は…。これもせつない物語なのだろうが、個人的には展開と結末には、やや不快感も感じる作品だった。
「ぼくになることを」。これはSF、と感じた作品。人類皆、頭の中には脳の他に「宝石」が埋め込まれている。脳も宝石も、同じ記憶を保持するのだが…。「わたし」とは何かを、いろいろと考えさせられた物語。ラストは怖かった。
「繭」。ジェンダーを取り扱った作品と言って良いと思う。推理小説にも近いものがある。
「百光年ダイアリー」。もしも、これから起きることを先に知っていたら、人間は果たしてどう生きていくのだろうか。著者は物語の中でそれを書き出しているが、私だったら、虚無感と絶望に囚われるかもしれない。知っていても絶対に回避できない悲劇を先に知っているとしたら…。
「誘拐」。著者が良く使うテーマがモチーフとなっている。しかし、ここに書かれている「私」のパートナーは、本当に「私」に愛情を持っているのか?なぜ一緒に暮らしているのか、疑問だ…。
「放浪者の軌道」。これも好きなタイプのSF。地球にあるときから起きた変化。人々の生き方はがらりと変わるが、それに適応できない人々もいる。だが…。
「ミトコンドリア・イブ」。信じることは結構だが、自分だけが正しいということがどれだけの狂気となるか、皮肉な思いで読んだ作品。「ぼく」は出会って間もない彼女を失いたくないがために、自分の信念を捨てて、あるいは曲げて、彼女の信念に付き合っていくのだが、それが情けなくしか感じられなかった。しかし結末はある意味爽快だ。
「無限の暗殺者」。これも好きなタイプのSF。パラレルワールドを扱っている作品で、読み応えがあった。
「イェユーカ」。これは貧富の差を描き出した作品かと思う。
「祈りの海」。この本の中では一番中長い作品。地球から遠く離れた星に移住して久しい人々。彼らがどんな姿をしているのか想像するのは難しい。人間にきわめて近い形だとは思うが、生殖の部分の描写はそうではないことも暗示させる。信仰がテーマにもなっている。
「貸金庫」。これはせつなかった。「わたし」は宿主から宿主へと移動しながら生きている存在。「わたし」が誰なのかは、ラストにわかるのだが、せつない…。
「キューティ」。子供が欲しい「僕」と欲しくないパートナー。不毛な議論は何度となく繰り返され、去っていったパートナー。それでも子供の欲しい「僕」は…。これもせつない物語なのだろうが、個人的には展開と結末には、やや不快感も感じる作品だった。
「ぼくになることを」。これはSF、と感じた作品。人類皆、頭の中には脳の他に「宝石」が埋め込まれている。脳も宝石も、同じ記憶を保持するのだが…。「わたし」とは何かを、いろいろと考えさせられた物語。ラストは怖かった。
「繭」。ジェンダーを取り扱った作品と言って良いと思う。推理小説にも近いものがある。
「百光年ダイアリー」。もしも、これから起きることを先に知っていたら、人間は果たしてどう生きていくのだろうか。著者は物語の中でそれを書き出しているが、私だったら、虚無感と絶望に囚われるかもしれない。知っていても絶対に回避できない悲劇を先に知っているとしたら…。
「誘拐」。著者が良く使うテーマがモチーフとなっている。しかし、ここに書かれている「私」のパートナーは、本当に「私」に愛情を持っているのか?なぜ一緒に暮らしているのか、疑問だ…。
「放浪者の軌道」。これも好きなタイプのSF。地球にあるときから起きた変化。人々の生き方はがらりと変わるが、それに適応できない人々もいる。だが…。
「ミトコンドリア・イブ」。信じることは結構だが、自分だけが正しいということがどれだけの狂気となるか、皮肉な思いで読んだ作品。「ぼく」は出会って間もない彼女を失いたくないがために、自分の信念を捨てて、あるいは曲げて、彼女の信念に付き合っていくのだが、それが情けなくしか感じられなかった。しかし結末はある意味爽快だ。
「無限の暗殺者」。これも好きなタイプのSF。パラレルワールドを扱っている作品で、読み応えがあった。
「イェユーカ」。これは貧富の差を描き出した作品かと思う。
「祈りの海」。この本の中では一番中長い作品。地球から遠く離れた星に移住して久しい人々。彼らがどんな姿をしているのか想像するのは難しい。人間にきわめて近い形だとは思うが、生殖の部分の描写はそうではないことも暗示させる。信仰がテーマにもなっている。
2020年9月10日に日本でレビュー済み
イーガンを読むのは4冊目(上下巻を含む)だけど、初めての短編集。
日本で独自に編まれた傑作選。20世紀の最後の日に出版されている。
初期のイーガンは短編の方が凄いという評価を聞いていたので、期待と不安半々で読み始めた。
長編と違って、アイデアとストーリーの構成がシンプルでわかりやすい作品もあるが、そうではない作品もある。
発表から20年~30年経っているが、古くなった感じはない。問題意識は今でも変わっていない。
11の中短編が収録されているが、評者の基準では傑作が2作、準傑作が3作、秀作が4作。十分理解できなかったのも2作あったが、水準以下と思うものはなかったので全体としての評価は5点とする。
個別に見てみよう。
「貸金庫」 分散化された自己。個人のアイデンティティはどこに有るのかを探る短編。『順列都市』のモザイク化された意識の原点のように思う。
「キューティ」 生命を自由に操作できるようになった21世紀後半、子供を欲しがらないパートナーと別れたぼくは自分でキューティを出産して育てることにする。倫理的な問題が気になる衝撃作。イーガンのSFとしては最初期の作品。
「ぼくになることを」 出生時に脳内に移植した電子装置で脳の機能をバックアップするのが一般化した時代。生身の脳が劣化して除去した時、そこにいるのは本当に自分なのだろうか?
「繭」 胎児の健康管理のために胎盤機能の研究を行っていた企業の施設が爆破される。社会的・心理的不安をテーマに推理小説風に描いた未来小説。正常とは何かと考えさせられる。傑作。
「百光年ダイアリー」 地球に住むすべての人が、100年過去に向けて1日当たり128バイトのデータを送ることが認められるようになった時代。未来のことがわかるようになった人々はどう生きるのか?
「誘拐」 仕事中のぼくにかかってきた映話に添付されていたのは誘拐された妻の映像だったがそれは偽物だった。本物とは何か?人は何を重視するのか?想像力と共感力はリスクでしかないのか?恐ろしいし、ひどい話だ。傑作?
「放浪者の軌道」 これまでに読んできたイーガンとはかなり異質な話。評価は高いらしいが評者は理解できない。人は必ず何かに所属しているという寓話か?理論もテーマも高難度。
「ミトコンドリア・イヴ」 人類学上の仮説をイーガンらしい架空の技術で検証する話。Y染色体アダム仮説は、学会に先行して発表されたのか?
「無限の暗殺者」 現実崩壊感、ぐちゃぐちゃ感は、ディックか平井和正のような雰囲気?ストーリーは読ませるのだけれど何を表現しようとしているのか理解できない。単なる娯楽作ではないと思うが・・・。これも高難度。
「イェユーカ」 社会派タイプの未来SF。「繭」の進化系か?若干、教条的過ぎる感じがしないでもないが、世界認識と思想のストレートさによるくすぐったさを除けば、作品としては良くできていると思う。
「祈りの海」 誰もが認める傑作らしい。遥かな未来の異星における人類の子孫の生態と文化をち密に構築。その社会における宗教の意味を問い直し、科学とは何かについて真正面から取り組んだ作品。確かに傑作。
日本で独自に編まれた傑作選。20世紀の最後の日に出版されている。
初期のイーガンは短編の方が凄いという評価を聞いていたので、期待と不安半々で読み始めた。
長編と違って、アイデアとストーリーの構成がシンプルでわかりやすい作品もあるが、そうではない作品もある。
発表から20年~30年経っているが、古くなった感じはない。問題意識は今でも変わっていない。
11の中短編が収録されているが、評者の基準では傑作が2作、準傑作が3作、秀作が4作。十分理解できなかったのも2作あったが、水準以下と思うものはなかったので全体としての評価は5点とする。
個別に見てみよう。
「貸金庫」 分散化された自己。個人のアイデンティティはどこに有るのかを探る短編。『順列都市』のモザイク化された意識の原点のように思う。
「キューティ」 生命を自由に操作できるようになった21世紀後半、子供を欲しがらないパートナーと別れたぼくは自分でキューティを出産して育てることにする。倫理的な問題が気になる衝撃作。イーガンのSFとしては最初期の作品。
「ぼくになることを」 出生時に脳内に移植した電子装置で脳の機能をバックアップするのが一般化した時代。生身の脳が劣化して除去した時、そこにいるのは本当に自分なのだろうか?
「繭」 胎児の健康管理のために胎盤機能の研究を行っていた企業の施設が爆破される。社会的・心理的不安をテーマに推理小説風に描いた未来小説。正常とは何かと考えさせられる。傑作。
「百光年ダイアリー」 地球に住むすべての人が、100年過去に向けて1日当たり128バイトのデータを送ることが認められるようになった時代。未来のことがわかるようになった人々はどう生きるのか?
「誘拐」 仕事中のぼくにかかってきた映話に添付されていたのは誘拐された妻の映像だったがそれは偽物だった。本物とは何か?人は何を重視するのか?想像力と共感力はリスクでしかないのか?恐ろしいし、ひどい話だ。傑作?
「放浪者の軌道」 これまでに読んできたイーガンとはかなり異質な話。評価は高いらしいが評者は理解できない。人は必ず何かに所属しているという寓話か?理論もテーマも高難度。
「ミトコンドリア・イヴ」 人類学上の仮説をイーガンらしい架空の技術で検証する話。Y染色体アダム仮説は、学会に先行して発表されたのか?
「無限の暗殺者」 現実崩壊感、ぐちゃぐちゃ感は、ディックか平井和正のような雰囲気?ストーリーは読ませるのだけれど何を表現しようとしているのか理解できない。単なる娯楽作ではないと思うが・・・。これも高難度。
「イェユーカ」 社会派タイプの未来SF。「繭」の進化系か?若干、教条的過ぎる感じがしないでもないが、世界認識と思想のストレートさによるくすぐったさを除けば、作品としては良くできていると思う。
「祈りの海」 誰もが認める傑作らしい。遥かな未来の異星における人類の子孫の生態と文化をち密に構築。その社会における宗教の意味を問い直し、科学とは何かについて真正面から取り組んだ作品。確かに傑作。
2012年2月15日に日本でレビュー済み
グレッグ・イーガン、オーストラリアのSF作家。彼の作品たちは素晴らしい。内容には触れずそれらに共通する様式美について言及しようと思う。
少し話は逸れるが、昔テレビで見た企画にこのようなものがあった。原宿を歩くギャルたちに彼女らの濃い化粧を落としてもらい、素顔を見るというものだ。
素顔を見て私が思ったのは、化粧を落とした、ナチュラルメイクの彼女たちの方がかわいいもしくは綺麗だということであった。TVに出演していた芸能人たちも同様の感想を述べていたのを覚えている。
話を戻すと、イーガンの作品は基本的に”化粧が濃い”。難解な設定、量子力学や生物化学についての様々な空想、それらの説明は作品中できちんとなされることもあればそうでないこともある。そして、我々にはその空想が本当に現代科学の延長上に存在しうるのかということは知りえない場合が多い。その難解な設定を前に読み手は進むことを躊躇してしまう。確かに、その内容が理解できれば作品を楽しむことができるであろう。
しかし、それが彼の作品を楽しむことの本質なのだろうか?
ギャルに例えてみれば、日頃の濃い化粧を見ても本当の彼女に近づくことはできない。その化粧を取った彼女を知り、更に長く付き合うことで初めて近づくことができたと言えよう。その化粧に目をくらまされ、一晩を過ごした程度では何もわからないのである。
イーガンの作品たちに根付く様式美は、女性で言えば素顔であり、心の素顔でもある。その特徴は、現代社会における問題をSFと言う極端な例を用いて考えてみるというところにある。例えば、死生観についてなら、不老不死になった人類を考えてみるのである。
この様式美に気が付けばイーガンの作品はいっそう味わい深いものとなる。ハラハラ、ドキドキするだけの空想や夢から、物語の中にいるにも関わらずいっきに現実に引き戻される快感を味って欲しい。
イーガンの様式美を少しだけマネさせてもらった。濃いめの化粧に騙されないように気を付けてもらいたい。
少し話は逸れるが、昔テレビで見た企画にこのようなものがあった。原宿を歩くギャルたちに彼女らの濃い化粧を落としてもらい、素顔を見るというものだ。
素顔を見て私が思ったのは、化粧を落とした、ナチュラルメイクの彼女たちの方がかわいいもしくは綺麗だということであった。TVに出演していた芸能人たちも同様の感想を述べていたのを覚えている。
話を戻すと、イーガンの作品は基本的に”化粧が濃い”。難解な設定、量子力学や生物化学についての様々な空想、それらの説明は作品中できちんとなされることもあればそうでないこともある。そして、我々にはその空想が本当に現代科学の延長上に存在しうるのかということは知りえない場合が多い。その難解な設定を前に読み手は進むことを躊躇してしまう。確かに、その内容が理解できれば作品を楽しむことができるであろう。
しかし、それが彼の作品を楽しむことの本質なのだろうか?
ギャルに例えてみれば、日頃の濃い化粧を見ても本当の彼女に近づくことはできない。その化粧を取った彼女を知り、更に長く付き合うことで初めて近づくことができたと言えよう。その化粧に目をくらまされ、一晩を過ごした程度では何もわからないのである。
イーガンの作品たちに根付く様式美は、女性で言えば素顔であり、心の素顔でもある。その特徴は、現代社会における問題をSFと言う極端な例を用いて考えてみるというところにある。例えば、死生観についてなら、不老不死になった人類を考えてみるのである。
この様式美に気が付けばイーガンの作品はいっそう味わい深いものとなる。ハラハラ、ドキドキするだけの空想や夢から、物語の中にいるにも関わらずいっきに現実に引き戻される快感を味って欲しい。
イーガンの様式美を少しだけマネさせてもらった。濃いめの化粧に騙されないように気を付けてもらいたい。
2019年9月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
表題作はイーガンらしくない感じ、なんだか有機的で優しい 個人的には表題作より貸金庫という話が一番だった SF中級者向けという感じがする作風 自分とは何か?みたいな問いが多いイーガンだが本作は特にそれが端的に見えた気がした イーガンの中では読みやすく万人向けかも
2018年6月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
SFとしての発想は凄いと思うが、ぜんぶテーマが一緒なので途中で飽きた。まあ全部読んだけど。
「私とは何か?」「私と言う意識は何が決定しているのか?」
深遠なテーマではあると思うが、半分くらいならともかく全部そんな感じだと流石にうんざりする。
若い頃はこういう考えに取りつかれたし、攻殻機動隊などにもはまったが40にも近い今その問いに関してはさほど興味が無い。
後アイディアは良いが、どう話が転がるかと思ってると特に何も起きず終わる話も多かった。
「私とは何か?」「私と言う意識は何が決定しているのか?」
深遠なテーマではあると思うが、半分くらいならともかく全部そんな感じだと流石にうんざりする。
若い頃はこういう考えに取りつかれたし、攻殻機動隊などにもはまったが40にも近い今その問いに関してはさほど興味が無い。
後アイディアは良いが、どう話が転がるかと思ってると特に何も起きず終わる話も多かった。
2005年10月4日に日本でレビュー済み
ある日、普段どうりスタスタ歩いているとイーガンさんに出合った。
イーガンさんがいうことにゃ「ちょっと、自分の足元を見てごらん」。
で、下を見ると…あると思ってた地面はなく、真っ黒な虚空が広がるのみ。
それじゃ、どうして歩けていたかというと、
踏み出そうとする先に、ちょうど足がのるだけの大きさの円板がパッと現れ、
そこに足がのってもびくともしないけれど、足が離れると、すっと消える。
ただ、これの繰り返しだったのだ。
気づいてしまったこのときから、恐怖と不安に捕われる。
その円板は何なのか、どうやって現れるのか、これからも現れてくれるか…?
いままでずっと大地を踏みしめてると思ってたのに!
もちろん、”自分って?”について考えたり読んだりしたことはあるけれど、
この本の物語の中で様々な角度から直面させられると、やはり感じる重みが違います。
(特に「ぼくになることを」、ズンときます)
それに、イーガンさん、やっぱり物の語りがうまい!
「ぼくになることを」のどんでん返しは見事だし、
「無限の暗殺者」はおもしろいパズルを解いた気分にさせてくれるし、
「繭」は上質のミステリーだし、「貸金庫」のラストの、主人公の健気さは泣かせるし…。
それに、素人考えで、EPRは瞬間的な情報伝達に利用できるんじゃないかと思ってたんだけど、
「ミトコンドリア・イヴ」の主人公のセリフ数行であっさり霧消。うぅ、確かにそうです…。
これは、私にとってうれしいおまけでした。
ところで、私が読んだのは三刷なんだけど、425ページのこの文…
「…兄は、微笑みを絶やさずにはいられないのだった。」
あれ?
イーガンさんがいうことにゃ「ちょっと、自分の足元を見てごらん」。
で、下を見ると…あると思ってた地面はなく、真っ黒な虚空が広がるのみ。
それじゃ、どうして歩けていたかというと、
踏み出そうとする先に、ちょうど足がのるだけの大きさの円板がパッと現れ、
そこに足がのってもびくともしないけれど、足が離れると、すっと消える。
ただ、これの繰り返しだったのだ。
気づいてしまったこのときから、恐怖と不安に捕われる。
その円板は何なのか、どうやって現れるのか、これからも現れてくれるか…?
いままでずっと大地を踏みしめてると思ってたのに!
もちろん、”自分って?”について考えたり読んだりしたことはあるけれど、
この本の物語の中で様々な角度から直面させられると、やはり感じる重みが違います。
(特に「ぼくになることを」、ズンときます)
それに、イーガンさん、やっぱり物の語りがうまい!
「ぼくになることを」のどんでん返しは見事だし、
「無限の暗殺者」はおもしろいパズルを解いた気分にさせてくれるし、
「繭」は上質のミステリーだし、「貸金庫」のラストの、主人公の健気さは泣かせるし…。
それに、素人考えで、EPRは瞬間的な情報伝達に利用できるんじゃないかと思ってたんだけど、
「ミトコンドリア・イヴ」の主人公のセリフ数行であっさり霧消。うぅ、確かにそうです…。
これは、私にとってうれしいおまけでした。
ところで、私が読んだのは三刷なんだけど、425ページのこの文…
「…兄は、微笑みを絶やさずにはいられないのだった。」
あれ?