故郷銀河の手掛かりを求めて絶滅した太古種族の惑星調査に懸命に奮闘する大執政官の活躍を描く大長編ＳＦスペース・オペラ宇宙英雄ローダン・シリーズ第316巻。本巻の執筆者は、フレッシュな若手の競演クナイフェルとフランシスです。ローダンはヘルタモシュの側近トラシュティンの肉体に宿り、トカゲ種族の銀河学者ガイト・コールと共に惑星トレーチャーの調査を開始した。本巻では遂に謎に満ちたナウパウム銀河の秘密の一端が明かされて行きます。
『飛行都市』ハンス・クナイフェル著：ところが、乗って来た搭載艇を何者かに破壊されてしまい、ふたりは死の惑星に潜む未知の支配者を意識し警戒しながら調査を続ける。本編では新たにヤアンツトロン人に宿った脳のゼノという興味深いキャラクターが登場します。彼は自分はアッカローリー種族であると名乗り、この事実によりこの銀河が故郷銀河から見ると反物質世界だったという障害が加わり、ローダンの帰還への道は更に混迷を深めます。『無限からの警告』H.G.フランシス著：惑星トレーチャーに存在する十万年前に死に絶えた種族ユーロクの自我、スポンジ共同体がヤアンツトロンにいるサイナック・ハンターのユーロク別名トリトレーアにローダンの所在を伝える。一方ローダンは違法な脳移植実験の犠牲者、術後傷害者ヤアの狂気の如き人狩りゲームに巻き込まれていた。本編はテラで太陽系帝国の滅亡を企む代替脳アンドロ・ローダンがアトランの疑惑を招きながら独裁者に変貌する姿が平行して描かれ、遠く離れた異銀河から精神で反撃するローダンの活躍も読めるという真に盛り沢山の内容です。
本巻の翻訳者、五十嵐洋氏のあとがきはシリーズに時折出て来る引用や地名の確認にまつわる確認作業の大変さやご苦労を微苦笑をまじえて紹介されています。そろそろ地球がとても気になり恋しくなって来ましたので私としては一日も早い復帰を期待したいと思います。
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