ヴァーナー・ヴィンジで有名になった「シンギュラリティ」という言葉に惹かれて、シンギュラリティを真面目に捉えたハードSFを期待すると、ハズレ。中身はイギリス流の風刺寄りコメディ小説ですね。こういう作品は難しいなあと思うのは、翻訳するとウケどころがボケて笑えなくなっちゃうところ。原語で読んだ方が面白いだろうと思います。
また、翻訳SFでよくある問題として「女性登場人物の台詞が不自然」てのがありますが、この作品に限っては訳者のせいばかりでもないなあ、と同情します。齢160歳以上なのに外見は20台のセクシー工作員にどんな日本語喋らせたらいいかだなんて、そりゃ確かに無茶振りというもので、どうしたらいいのか私にも分りません。
SF成分としては、間抜け揃いに見えて案外そうでもないバルチック艦隊(のような何か)が演じる戦闘描写は多少楽しめると思います。
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シンギュラリティ・スカイ (ハヤカワ文庫 SF ス 15-1) 文庫 – 2006/6/1
- 本の長さ543ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2006/6/1
- ISBN-104150115672
- ISBN-13978-4150115678
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2006/6/1)
- 発売日 : 2006/6/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 543ページ
- ISBN-10 : 4150115672
- ISBN-13 : 978-4150115678
- Amazon 売れ筋ランキング: - 943,028位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年7月9日に日本でレビュー済み
冒険モノの気分でどんどん読んでしまったが、再読したらまた違った楽しさがありそうな予感。 要するに細部を理解しないまま読んじゃっただけなんですがね。 言い換えれば細部が解んなくても楽しめるという事で、SF用語はバンバン出てくるけど、大筋とキャラクターはSF慣れしてない人も楽しめる作品だと思います。 SF映画を見た事あるなら色々と映像も浮かんで来ますよ多分。
つーか、ボケ提督が最高、たまんねえ! L.M.ビジョルドのヴォルコシガンシリーズもそうだったけど、旧めかしい帝国軍といえばロシアなんですかね? 2件のサンプルで言ってしまうのも乱暴なので、他に知ってる人いたらお知らせください。
つーか、ボケ提督が最高、たまんねえ! L.M.ビジョルドのヴォルコシガンシリーズもそうだったけど、旧めかしい帝国軍といえばロシアなんですかね? 2件のサンプルで言ってしまうのも乱暴なので、他に知ってる人いたらお知らせください。
2017年4月15日に日本でレビュー済み
今さらですが。
最近、一般的に使われる機会が増えたシンギュラリティという言葉。
“特異点”という言葉はハードSFかアニメ向きの技術用語だと思っていたのですが、びっくりですね。
本書は、以前から読みたかったのですが、訳者あとがきに、著者がスターリングの「スキズマトリックス」に大きな影響を受けたと書いてあったので、それを読むまでお預けをくらっていました。もったいないね。で、課題をクリアしてから本書を読みました。
確かにいたるところにその影響が見られます。しかし、1990年代以降に書かれたSFでサイバーパンクの影響を受けていない作品はほとんどないでしょう。本書が執筆されたのは20世紀末ということなので、新人SF作家であった著者がその影響を大きく受けたことは間違いありません。しかし、中でも「スキズマトリックス」の影響が大きかったということが宇宙と人類文明の未来を志向する著者の好みを表しているのでしょうか。
本書の内容ですが、“シンギュラリティ”、“量子ビット“、”光円錐“、”因果律侵犯“、等々。細かい説明は後回しに次々と語られる専門用語とトンデモなアイディアに戸惑いながら読み始めましたが、その情報量こそが本書の特徴と言えます。近未来的なガジェットの洪水で読者を圧倒する。一方で、語られる物語は古典的な恋と冒険と宇宙戦闘。「銀河パトロール隊」の現代版と言っても良いかも。
ところで、SFの特徴のひとつがフューチャー・ショックであり、それがSFの醍醐味のひとつであるならば、本書のもう一つの特徴はまさにそれではないでしょうか。
“シンギュラリティ”という言葉、それは、ある基準のもとでその基準があてはまらない点のことを示す言葉であり、最近では“技術的特異点”として人工知能が人間の知能を越える日の到来が注目を集めています。本書では、その定義に当てはまる〈超AI:エシャトン〉の存在がシンギュラリティ後の世界として描かれていますが、通信や生産活動における“シンギュラリティ”も描かれています。
「空から無数の携帯電話が降ってくる。これがフェスティバルによる事件の始まり。」本書冒頭で描かれるトンデモなアイデアですが、これこそが製造業と情報産業におけるもう一つの“シンギュラリティ”だと思うのですね。携帯電話0円というのは今は禁じられているコピーですが、高度な電子機器の塊である無線通信機器よりも通信料の方が価値がある。それを実感させた某通信企業は“シンギュラリティ”を実現したのではないでしょうか?と、本書に啓発されました。
一方で、十分に進歩した科学は魔法と見分けがつかないとは言いますが、どう考えても魔法としか思えないような展開もありますし、19世紀的な技術基盤の植民地で例外的に運用されている超光速艦隊だとか、真面目に考えると無理がありますが、それもスぺオペならでは。そして、そんな男性優先社会に紅一点乗り込んで活躍するヒロインのレイチェル国連軍縮委員会の特別査察官は男性主人公以上の活躍をするし、陰謀とSF的アイデアがてんこ盛りで、宇宙戦闘もは迫力満点です。
しかし、冒頭部はストーリーの展開がもたついているし、登場人物が多く、ストーリーの枝葉部分が茂り過ぎて本筋がボケている気がします。処女長編ということで盛り込み過ぎたのでしょうか?
中盤以降は結構ハラハラドキドキしながら読むことができました。力作だと思うけれど、星1つ減じて4点かな。
最近、一般的に使われる機会が増えたシンギュラリティという言葉。
“特異点”という言葉はハードSFかアニメ向きの技術用語だと思っていたのですが、びっくりですね。
本書は、以前から読みたかったのですが、訳者あとがきに、著者がスターリングの「スキズマトリックス」に大きな影響を受けたと書いてあったので、それを読むまでお預けをくらっていました。もったいないね。で、課題をクリアしてから本書を読みました。
確かにいたるところにその影響が見られます。しかし、1990年代以降に書かれたSFでサイバーパンクの影響を受けていない作品はほとんどないでしょう。本書が執筆されたのは20世紀末ということなので、新人SF作家であった著者がその影響を大きく受けたことは間違いありません。しかし、中でも「スキズマトリックス」の影響が大きかったということが宇宙と人類文明の未来を志向する著者の好みを表しているのでしょうか。
本書の内容ですが、“シンギュラリティ”、“量子ビット“、”光円錐“、”因果律侵犯“、等々。細かい説明は後回しに次々と語られる専門用語とトンデモなアイディアに戸惑いながら読み始めましたが、その情報量こそが本書の特徴と言えます。近未来的なガジェットの洪水で読者を圧倒する。一方で、語られる物語は古典的な恋と冒険と宇宙戦闘。「銀河パトロール隊」の現代版と言っても良いかも。
ところで、SFの特徴のひとつがフューチャー・ショックであり、それがSFの醍醐味のひとつであるならば、本書のもう一つの特徴はまさにそれではないでしょうか。
“シンギュラリティ”という言葉、それは、ある基準のもとでその基準があてはまらない点のことを示す言葉であり、最近では“技術的特異点”として人工知能が人間の知能を越える日の到来が注目を集めています。本書では、その定義に当てはまる〈超AI:エシャトン〉の存在がシンギュラリティ後の世界として描かれていますが、通信や生産活動における“シンギュラリティ”も描かれています。
「空から無数の携帯電話が降ってくる。これがフェスティバルによる事件の始まり。」本書冒頭で描かれるトンデモなアイデアですが、これこそが製造業と情報産業におけるもう一つの“シンギュラリティ”だと思うのですね。携帯電話0円というのは今は禁じられているコピーですが、高度な電子機器の塊である無線通信機器よりも通信料の方が価値がある。それを実感させた某通信企業は“シンギュラリティ”を実現したのではないでしょうか?と、本書に啓発されました。
一方で、十分に進歩した科学は魔法と見分けがつかないとは言いますが、どう考えても魔法としか思えないような展開もありますし、19世紀的な技術基盤の植民地で例外的に運用されている超光速艦隊だとか、真面目に考えると無理がありますが、それもスぺオペならでは。そして、そんな男性優先社会に紅一点乗り込んで活躍するヒロインのレイチェル国連軍縮委員会の特別査察官は男性主人公以上の活躍をするし、陰謀とSF的アイデアがてんこ盛りで、宇宙戦闘もは迫力満点です。
しかし、冒頭部はストーリーの展開がもたついているし、登場人物が多く、ストーリーの枝葉部分が茂り過ぎて本筋がボケている気がします。処女長編ということで盛り込み過ぎたのでしょうか?
中盤以降は結構ハラハラドキドキしながら読むことができました。力作だと思うけれど、星1つ減じて4点かな。
2009年7月6日に日本でレビュー済み
すごく面白い。英語でも読んだんだけど、細部まで理解できなかったので、翻訳はすごくありがたい。
今年度の翻訳SFのナンバー1かな。
丸善に行く機会があったんで、続編を探したんだけど置いてなかったので、違うペーパーバックを買ってきた。でもやっぱり難しいかも。アッチェランドもまだ読んでないし...
最近語学力が落ちてきたかもしれない。
でもストロスは面白いな。SFだけど政治小説的でもあるし、ブルース・スターリング的な感じもする(だいぶ違うか)。必ずしもその政治観に賛成するわけではないけど、ヨーロッパの小説家は、かなりこの辺の文明観や理性といったこと、つまり人間とは何かといったことを書きたがるのかな?この前読んだミシェル・ウエルベックもそんな感じを受けた。
これはデカルト以来の伝統なのかな?
最近、日本のAI物を何冊か読んだけど、それはAIと人間の個体としての差を描くのが多い。それに比較して、この小説は、人間の社会を描いていて、その違いが面白い。
今年度の翻訳SFのナンバー1かな。
丸善に行く機会があったんで、続編を探したんだけど置いてなかったので、違うペーパーバックを買ってきた。でもやっぱり難しいかも。アッチェランドもまだ読んでないし...
最近語学力が落ちてきたかもしれない。
でもストロスは面白いな。SFだけど政治小説的でもあるし、ブルース・スターリング的な感じもする(だいぶ違うか)。必ずしもその政治観に賛成するわけではないけど、ヨーロッパの小説家は、かなりこの辺の文明観や理性といったこと、つまり人間とは何かといったことを書きたがるのかな?この前読んだミシェル・ウエルベックもそんな感じを受けた。
これはデカルト以来の伝統なのかな?
最近、日本のAI物を何冊か読んだけど、それはAIと人間の個体としての差を描くのが多い。それに比較して、この小説は、人間の社会を描いていて、その違いが面白い。
2006年8月14日に日本でレビュー済み
突如現れたエシュロンという存在。強制的に地球人類をホワイトホールによって宇宙中に移住させた後の世界という設定や、ナノテク、量子論、ブラックホール推進、因果律兵器などの設定もおもしろい。が本作の中心は、情報生命体というべき人類の常識を超えた存在の登場で撹乱する惑星世界と、それに対応すべく出撃する宇宙艦隊、宇宙艦隊の動向を探り必要に応じて工作する秘密工作員の3つの部分からなる冒険もの。うまく組みあがってるとおもう。でもなによりも因果律破壊を禁忌とするエシュロンによって支配されるこの舞台設定が秀逸とおもう。情報生命体というべき人類の常識を超えた存在のなすことが生物学的に禁忌を犯しているようで個人的にその部分が嫌い。よって主観で減点して4点。シリーズかされているようであるがシリーズで描かれるこれからの世界がたのしみ。
2008年5月1日に日本でレビュー済み
私はこの物語を、「アイアン・サンライズ」の後に読みました。
なぜって、続き物だと知らなかったから...
この本を読んでいなくても「アイアン・サンライズ」は十分に
楽しめましたが、これを読んだ後でもう一度読むと更に楽しめます。
さて、この本のタイトルのシンギュラリティには、幾つかの意味が
込められていて、なかなか洒落たタイトルだと思いました。
私はライトなSFファンで、あまり超知性、といったアイデアの源流が
どこにあるのか良く知らないのですが、コンピュータ進化
のシンギュラリティから生まれたエシャトンの描写が非常に
よくできていると思いましたし、人間原理に基づく宇宙論とか、
因果律が守られる理由とか、フェスティバルの正体とか、良く考えられて
いると感じました。
娯楽小説としても楽しく、最後の一行のひねりには、ニヤリとさせられました。
納得の一冊です。
なぜって、続き物だと知らなかったから...
この本を読んでいなくても「アイアン・サンライズ」は十分に
楽しめましたが、これを読んだ後でもう一度読むと更に楽しめます。
さて、この本のタイトルのシンギュラリティには、幾つかの意味が
込められていて、なかなか洒落たタイトルだと思いました。
私はライトなSFファンで、あまり超知性、といったアイデアの源流が
どこにあるのか良く知らないのですが、コンピュータ進化
のシンギュラリティから生まれたエシャトンの描写が非常に
よくできていると思いましたし、人間原理に基づく宇宙論とか、
因果律が守られる理由とか、フェスティバルの正体とか、良く考えられて
いると感じました。
娯楽小説としても楽しく、最後の一行のひねりには、ニヤリとさせられました。
納得の一冊です。