SVE艦へのエネルギーの供給者としてラール人に協力する謎のピラミッド種族の正体を解明すべく苦闘するエルトルス人の活躍を描く大長編SFスペース・オペラ宇宙英雄ローダン・シリーズ第348巻。本巻の執筆者は、期待の若手ヴルチェクと老巧の御大フォルツです。惑星エルトルスでは太陽系帝国を支持する解放委員会と、公会議と協調し種族から銀河第一ヘトランの選出を目指す利益党に分かれて政争を続けていた。本書には秘密のヴェールに包まれた公会議種族にスポットを当てた興味深い2編が収録されています。
『不可侵領域』エルンスト・ヴルチェク著:解放委員会のワルゴル・ヘンソンらは惑星首都に降りたピラミッドの謎の解明に苦慮していたが、一方で利益党党首ヘモ・ゴロンクは反目する組織を殲滅すべく画策していた。本編ではエルトルスを二分する組織が互いに相譲らず血みどろの抗争へとエスカレートして行く非情なドラマと肉体を捨てて孤独の道を選んだ公会議種族マスティベック人の奇妙な世界観が読み所です。『平和の使節』ウィリアム・フォルツ著:平和を愛する公会議種族グライコ人のクロイターファールンが病気になり、ヘトソンの告知者ホトレノル=タアクに治療を兼ねて視察の旅に出発し銀河系種族との友好的なふれあいを見せて欲しいと要望する。これまで善良なグライコ人を騙して来たラール人は止むを得ず要望に応じ、医療惑星タフンで医師団を脅迫し偽りの平和を演出する作戦に出る。本編ではタフンに潜伏するUSOスペシャリストのシュルツがグライコ人に真実を告げようとラール人や超重族の裏をかく手際がお見事です。
本巻の翻訳者、嶋田洋一氏のあとがきは2008年3月に亡くなった英国SF界の重鎮アーサー・C・クラーク氏と同年4月に享年67歳で死去したヴルチェク氏のご冥福をお祈りされています。やられっ放しの公会議種族に一矢報いる事が出来るのか人類の反撃に期待しましょう。
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不可侵領域 (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-348 宇宙英雄ローダン・シリーズ 348) 文庫 – 2008/6/8
クライト星系第2惑星エルトルスでは政争がつづいていた。太陽系帝国に近い「解放委員会」がラール人排斥をめざす一方、公会議との協調を標榜する「利益党」はエルトルス人から銀河系第一ヘトランを選出しようと画策していたのだ。解放委員会のワルゴル・ケンソンらは、首都バレトゥスに降りた「権力のピラミッド」の謎の解明にあたっていたが、そのころ利益党党首ヘモ・ゴロンクは、反目する組織の殲滅を画策していた!
- 本の長さ272ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2008/6/8
- ISBN-104150116652
- ISBN-13978-4150116651
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2008/6/8)
- 発売日 : 2008/6/8
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 272ページ
- ISBN-10 : 4150116652
- ISBN-13 : 978-4150116651
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,462,691位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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