ユーリの物語が書かれたことで、異星人/地球人/海賊側各々の代表者が出揃った。
それはニコラス/アザーコン/ファルコンそれぞれの弟子・息子・後継者という形で、若者へ歴史を作る舞台が引き継がれたと見ることもできる(ファルコン以外の上の世代は現役だけれども)。
しかし『海賊の子』ではユーリが海賊側を捨てるための過程に大半がさかれているため、作品を繋ぐ戦争の全容がうかがえず、あとがきで翻訳家の方が仰る「希望への第一歩」を踏み出しただけに終わってしまった。個人的には三人の若者たちが共闘して戦争を解決する方向への展開が見たかったのだが…。
戦争にはいろんな面があって、みんながみんな戦争を望むわけではない、ということを戦争に巻き込まれて物語を始めることになった三人を通して言いたかったのかなあ、と思った。これで完結は正直不満足だが、作品を投げ捨てたいとは思わなかったので、いつか続編が出て嶋田洋一氏が変わらぬ口調で翻訳してくれることを期待したい。
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海賊の子 (ハヤカワ文庫SF) 文庫 – 2009/10/30
- 本の長さ568ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2009/10/30
- ISBN-104150117292
- ISBN-13978-4150117290
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2009/10/30)
- 発売日 : 2009/10/30
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 568ページ
- ISBN-10 : 4150117292
- ISBN-13 : 978-4150117290
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,432,017位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,145位ハヤカワ文庫 SF
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2009年11月2日に日本でレビュー済み
三部作なんだけど、『戦いの子』のラストからさほど時間経過はなく、大局的な俯瞰がないのはシリーズを通して。ミリタリーSFではなく、ある少年が、異星人側についた場合、地球人のセレブとして生まれた場合、海賊に育てられた場合、とある種のパラレルな物語して読むべき。戦争は、この三人の生い立ちを生み出すためだけの条件に過ぎないから、ミリものとしての印象が薄いのは当たり前。
とは言っても、それで面白くなるわけじゃないんだよなぁ。正直、三部作のラストでなければ読んでないよ。今思えば、『戦いの子』が一番よくできていたかな。三作通して言えることなんだけど、作者は少年のそれまでの生活に比重を大きく取っていて(それが描きたいんだろうし)、現在の描写がどうにも弱い。だから、トラウマ克服や現在の葛藤が薄くなっちゃう。前作でもそうだったんだけど、ユーリが海賊を裏切る理由がよくわからないんだよね。
あと、BL臭というか腐臭は趣味でないんで……(笑)
とは言っても、それで面白くなるわけじゃないんだよなぁ。正直、三部作のラストでなければ読んでないよ。今思えば、『戦いの子』が一番よくできていたかな。三作通して言えることなんだけど、作者は少年のそれまでの生活に比重を大きく取っていて(それが描きたいんだろうし)、現在の描写がどうにも弱い。だから、トラウマ克服や現在の葛藤が薄くなっちゃう。前作でもそうだったんだけど、ユーリが海賊を裏切る理由がよくわからないんだよね。
あと、BL臭というか腐臭は趣味でないんで……(笑)