悪霊フドールの手先である<ラクシャス>によって遺された呪われた子供たち。
フドールの邪悪な意図を逆手に取り、こられの子供たちから抽出した悪霊の血の臭跡によって、巧みに姿を隠しているフドールの本体を突き止めようとする<三者>。
自らと同族のリリンを統一するために活動していたラプソディは図らずもリリン族の女王に担ぎ上げられることになるのだが、その即位式の訪問者の中に、フドールが意外な人物に憑依して混ざっていることが判明する。
<三者>は予言に従い、世界に破滅をもたらす悪霊に挑むのだが・・・
怒涛の最終巻は、訳書にしてその厚み約1200ページ。
前巻で再会しその愛を確認しあったラプソディとアシェだが、予言成就のために記憶の封印を選んでいるがために、読者は再び歯がゆい思いをすることになる。
フドールとの決戦も「あわや」と思わせる成り行きでハラハラさせられるが、「これで一段落」という場面からまた一波乱という構成が心憎い。
「時空を超えた大ロマンス」というのが一つの見方のように思うが、ラプソディがかなり魅力的に描かれているのに対し、伴侶となるアシェは今ひとつ。
見てくれも血統も良いのだが、登場機会の多いアクメドやグルンソル、それに本巻の「ナイスキャッチ」で株を上げたアンボルン将軍の良い男っぷりに押され気味なのが残念だ。
大団円を迎える後半では、バカップルぶりを大いに見せ付けてくれるが、数百年分かたれた恋人同士なので大目に見よう。
この巻で特に強く感じたのは「一方そのころ○○では・・・」という場面切り替えの映画的技法。
作品全体を振り返ってみるとプロローグとエピローグに登場する「時間編集装置」はフィルム編集機器を連想させ、映画的な場面切り替えは元から意図したものだったように思うが、タレ流しメディアではない小説においては読者のノリを維持する必要上、ちょっとコマ切れが過ぎるように感じた。
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デスティニイ 上―大空の子 ハヤカワ文庫 FT ヘ 4-5 文庫 – 2003/8/1
- 本の長さ646ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2003/8/1
- ISBN-104150203423
- ISBN-13978-4150203429
登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2003/8/1)
- 発売日 : 2003/8/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 646ページ
- ISBN-10 : 4150203423
- ISBN-13 : 978-4150203429
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,187,284位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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