「人生の真実」がとても良かったので、これも購入。星5つに限りなく近い4つ。
妻を亡くし、昔の恋人がいるエルサレムに行く主人公。そこで展開するのは、妻が死んだ背景、自身の女生徒への感情、昔の恋人の思い、そしてその背後にあるのは、死海文書による、キリスト教の団体が秘匿してきたキリストの別の姿。
イスラエルの置かれている政治的状況も、当時の姿を反映させている。文学・ファンタジーなりの政治性というものを、より深く感じさせてくれるところもある。
村上春樹の小説がリアルだと思う人にはリアルにうつるだろうけれども、あれを幻想小説だと思う人にとってはファンタジー。というのを、「騎士団長殺し」を頭に思い浮かべながら、言っているのだが。
ジョイスは、主観的な世界における真実って何だろうか、ということを、ずっと考えているんじゃないだろうか。もっと、ジョイスの作品の翻訳が出ないかなあと思う。
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鎮魂歌 (〈プラチナ・ファンタジイ〉英国幻想文学賞受賞) 文庫 – 2004/5/25
ここ、聖都エルサレムは亡き妻が参詣を切望しながら果たせなかった街。そして、昔の恋人が暮らす街でもある。英国から彼女に会いに来たはずが、ぼくが出会うのは尋常じゃない人間ばかりだ。未発見の死海文書を秘匿し、数十年も宿屋から一歩も出ていないユダヤ人。暗号を残しては消える老婆、精霊に取り憑かれた学者……。ぼくは正気を失ってしまったのか!? 現実と幻想の狭間で苦悩する主人公を描く、英国幻想文学賞受賞作
- 本の長さ473ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2004/5/25
- ISBN-104150203644
- ISBN-13978-4150203641
商品の説明
著者について
1954年、イギリス生まれ。鉱山村ケレスレイで育つ。結婚後、ギリシア在住中の91年に長篇Dreamsideでデビュー。以後、イスラエルへの旅行経験を活かして描いた本書をはじめ、長篇で四度、英国幻想文学賞を受賞し、英国での評価は揺るぎないものとなった。さらに02年の長篇The Facts of Lifeで、米国の世界幻想文学大賞を受賞。現在はイギリスのレスター市在住。
登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2004/5/25)
- 発売日 : 2004/5/25
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 473ページ
- ISBN-10 : 4150203644
- ISBN-13 : 978-4150203641
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,329,880位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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2017年2月6日に日本でレビュー済み
最愛の妻ケイティーを不慮の事故で亡くし、教職も辞してしまったトムは、旧来の友人であるシャロンに会うため彼女の住むエルサレムを訪ねた。
彼が滞在することになった安宿で知り合った老人、ディヴィッド・フェルドバーグは自らの死期を悟り、出合って間もないトムに一つの文書を遺品として残す。
古びた羊皮紙にヘブライ語で渦巻き状に書かれたその文書は、ユダヤの超正統派やキリスト教会が血眼になって探している死海文書一つだった。
シャロンの友人である風変わりなアラブ人男性のアフマドの協力を得て解読が進められ、2000年前の驚異的な事実が明らかになるに従い、トムの周辺では不思議なことが起きはじめるのだが・・・
「復活したキリストが当人だとは気づかなかった」というヨハネ福音書に見られるマグダラのマリアのエピソードに、作者の新しい解釈を加えることによって物語の軸としているのだが、さもありなんと思わせる説得力がある。
現実と幻想が渾然とする中、真実を見極めようとすればするほどに、作中の死海文書の渦巻きに飲み込まれるような感覚を覚える。
ファンタジーの中には現実世界とはかけ離れた舞台で展開するものと、本作のように現実と交差する部分を持つものがあるが、後者が巧みに書かれた場合、それはホラーの雰囲気を帯びてくる。
本作のように、前触れ無く日常が瓦解する様子を描く作品は、ダーク・ファンタジーともモダン・ホラーとも呼ばれ、その差異は明確ではないが、このタイプの物語を得意とするスティーヴン・キングやジョナサン・キャロルの作品が恐怖心に訴える力を持っているのは間違いのないところ。
主人公のトムは、亡き妻の幽霊に悩まされるのだが、彼のカウンセリングを担当する女性トービーはそれの名前は何でも良いという。
幻覚、投影、転移、etc...
「幽霊」は中世からの歴史的な言葉で、彼女は単に同じものを指すのに現代心理学の用語を使っているだけなのだと。
人が、虚構に過ぎない物語を読んで恐怖心を煽られるのは、現実も自分達が思っているほどには堅固に信頼していないからなのかも知れない。
彼が滞在することになった安宿で知り合った老人、ディヴィッド・フェルドバーグは自らの死期を悟り、出合って間もないトムに一つの文書を遺品として残す。
古びた羊皮紙にヘブライ語で渦巻き状に書かれたその文書は、ユダヤの超正統派やキリスト教会が血眼になって探している死海文書一つだった。
シャロンの友人である風変わりなアラブ人男性のアフマドの協力を得て解読が進められ、2000年前の驚異的な事実が明らかになるに従い、トムの周辺では不思議なことが起きはじめるのだが・・・
「復活したキリストが当人だとは気づかなかった」というヨハネ福音書に見られるマグダラのマリアのエピソードに、作者の新しい解釈を加えることによって物語の軸としているのだが、さもありなんと思わせる説得力がある。
現実と幻想が渾然とする中、真実を見極めようとすればするほどに、作中の死海文書の渦巻きに飲み込まれるような感覚を覚える。
ファンタジーの中には現実世界とはかけ離れた舞台で展開するものと、本作のように現実と交差する部分を持つものがあるが、後者が巧みに書かれた場合、それはホラーの雰囲気を帯びてくる。
本作のように、前触れ無く日常が瓦解する様子を描く作品は、ダーク・ファンタジーともモダン・ホラーとも呼ばれ、その差異は明確ではないが、このタイプの物語を得意とするスティーヴン・キングやジョナサン・キャロルの作品が恐怖心に訴える力を持っているのは間違いのないところ。
主人公のトムは、亡き妻の幽霊に悩まされるのだが、彼のカウンセリングを担当する女性トービーはそれの名前は何でも良いという。
幻覚、投影、転移、etc...
「幽霊」は中世からの歴史的な言葉で、彼女は単に同じものを指すのに現代心理学の用語を使っているだけなのだと。
人が、虚構に過ぎない物語を読んで恐怖心を煽られるのは、現実も自分達が思っているほどには堅固に信頼していないからなのかも知れない。
2005年2月7日に日本でレビュー済み
英国幻想文学賞を受賞しているが、基本的にはリアリズムの小説。妻を亡くした(まだ若い)教師が、エルサレムを訪れていろいろと不思議な目にあうという話である。
ストーリーは、恋愛と、昨今流行の聖書考古学と、これまた昨今流行のトラウマ快癒の話をブレンドしたような感じ。語り口が上手くて、とても気持ちよく読める。読後感もいい。
ストーリーは、恋愛と、昨今流行の聖書考古学と、これまた昨今流行のトラウマ快癒の話をブレンドしたような感じ。語り口が上手くて、とても気持ちよく読める。読後感もいい。
2004年9月26日に日本でレビュー済み
個人的には気に入った作品で、読み進めていくと、現実と非現実が入り混じって、何を信じればいいのか分からなくなります。
アラ探しをせずに、うまく流れにのっていけば、十分に楽しめます。
よく言うところの「ディック的」要素が好きならば、読んでもいいと思います。
ただし、普通の人に受けるかといえば、受けない気がしますので、単純な娯楽作品を求める方には、お勧めできません。
アラ探しをせずに、うまく流れにのっていけば、十分に楽しめます。
よく言うところの「ディック的」要素が好きならば、読んでもいいと思います。
ただし、普通の人に受けるかといえば、受けない気がしますので、単純な娯楽作品を求める方には、お勧めできません。