<アルダーの珠>を盗んで逃げた魔術師ゼターの足跡を辿るガリオン達一行は、アレンディアの地を踏んだ。
センダリアの民主的な風土の中で育ったガリオンにとって、貧困に喘ぐアレンディアの農奴達の姿は見るに耐えないものだったが、新たに一行に加わった弓の名手レンドリンは、アレンディア西部のボー・アスターの貴族。
民の貧しい暮らしぶりを一顧だにしないレンドリンの様子に、ガリオンは敵愾心を抱くのだが、レンドリンはレンドリンで、彼の後に一行に加わったボー・ミンブルの騎士マンドラレンに対して敵意を剥き出しにする。
同じアレンディアでも、ボー・アスターは南部のボー・ミンブルに従属する形となっており、根深い遺恨があるのだ。
ぎくしゃくした人間関係を抱えながらも、ベルガラスやその娘ポルガラに導かれて南の大帝国トルネドラに達する一行だったが、皇帝ラン・ボルーンの態度は、北部の諸王とは異なり反協力的なものだった。
老齢の皇帝は、ベルガラスの訴える邪心トラク復活阻止などという現実離れした事柄よりも気がかりなお家騒動の渦中にあったのだ・・・
そのお家騒動の中心とも言える皇帝の一人娘セ・ネドラが登場する後半は一気に明るさと面白さを増すが、前半は身分差とそれに伴う貧富の差などが前面に出ていて、シリーズの中ではややシリアスな雰囲気。
しかし、再読にあたっては、ボー・アスター人のレンドリンにしろボー・ミンブル人のマンドラレンにしろ、「嗚呼、アレンディア人って奴は・・・」とベルガラス的な視点で十把一絡げに見えて愉しめた。
プロローグとして書かれている「ボー・ミンブルの戦いの書」が、前巻の「アローンの書」と同様に物語の壮大な全体像理解に効いていて、新たな登場人物であるセ・ネドラの真の役どころについては、アレンディア人並に鈍くない限り誰でも気付くだろう。
それだけにガリオンの鈍さにイライラもするのだが、著者の狙っている効果でもあろうから心憎いところだ。
本巻の山場では、自らの力に目覚め始めたガリオンが両親の復讐を果たしており、この先彼が旅を続けるには新たな動機が必要になるので、予言されていることながら、セ・ネドラの存在は極めて重要だ。
ところで、登場人物も増えてきたが、意外に戸惑わないのはエディングスのネーミングセンスによるところが大きいのではないだろうか。
器用で機知に富んだ"シルク"に含まれる摩擦音、熊を思わせる体格の"バラク"に含まれる濁音など、一定のルールがありそうだが、特に本巻のタイトルともなっている蛇神の女王"サルミスラ"には名前の音とその人物造形に驚くほどの一体感があるように感じた。
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蛇神の女王 - ベルガリアード物語〈2〉 (ハヤカワ文庫FT) 文庫 – 2005/3/24
デイヴィッド・エディングス
(著),
佐藤 ひろみ
(著)
- 本の長さ574ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2005/3/24
- ISBN-104150203830
- ISBN-13978-4150203832
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2005/3/24)
- 発売日 : 2005/3/24
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 574ページ
- ISBN-10 : 4150203830
- ISBN-13 : 978-4150203832
- Amazon 売れ筋ランキング: - 174,536位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2011年6月7日に日本でレビュー済み
評価が高いので買ってみましたが、2巻で断念しました。
正直、原作がそうなのか翻訳がひどいのか判断に迷うところですが^^;
ちょっと読み続けるにはきついですね。
メインキャラに何千年と生きているキャラがいるんですが
異様に精神年齢が幼いと言うか、非常に短気というか、
何千年も生きてきて何を学んだんだ?といいたくなるような発言が多く
とても感情移入がしにくいです。
あげく、言うセリフが世界の秩序を守る側というよりは
完全に悪役の捨てセリフみたいなのが多く、
どっちが味方なのかわからなくなります。
全部読んだ人に「翻訳のひどさは巻を増すごとに悪化していく」と言われたので
完全に心が折れました。
意訳でかまわないので
魅力ある文章にして欲しいですね。
そうすればこの本の良さがわかるのかもしれませんが、
申し訳ないことにこの翻訳では全く良さがわかりません。
正直、原作がそうなのか翻訳がひどいのか判断に迷うところですが^^;
ちょっと読み続けるにはきついですね。
メインキャラに何千年と生きているキャラがいるんですが
異様に精神年齢が幼いと言うか、非常に短気というか、
何千年も生きてきて何を学んだんだ?といいたくなるような発言が多く
とても感情移入がしにくいです。
あげく、言うセリフが世界の秩序を守る側というよりは
完全に悪役の捨てセリフみたいなのが多く、
どっちが味方なのかわからなくなります。
全部読んだ人に「翻訳のひどさは巻を増すごとに悪化していく」と言われたので
完全に心が折れました。
意訳でかまわないので
魅力ある文章にして欲しいですね。
そうすればこの本の良さがわかるのかもしれませんが、
申し訳ないことにこの翻訳では全く良さがわかりません。
2007年12月10日に日本でレビュー済み
指輪物語を下敷きにしていることは、すぐにわかります。指輪と比べると、だいぶ面白さが落ちます。でも、ハリーポッターよりは格上です。
物語の展開が、やや重たい。余分な逸話がたくさん入っている感じです。主人公たちは絶対に無事なのが、読んでいてわかるので、安心して読めますが、一方では物足りない。
途中で何度も読むのをやめようかと思いましたが、それなりに面白いと思います。
物語の展開が、やや重たい。余分な逸話がたくさん入っている感じです。主人公たちは絶対に無事なのが、読んでいてわかるので、安心して読めますが、一方では物足りない。
途中で何度も読むのをやめようかと思いましたが、それなりに面白いと思います。
2005年3月25日に日本でレビュー済み
ベルガリアード物語の第二巻である本書では、新たな旅の仲間も加わって、ますますガリオン一行の旅は賑やかになっていく。
単細胞だが人の良いレルドリン、騎士の雛形のようなマンドラレン、そして新版の表紙でその愛らしさを見せるセ・ネドラなど、魅力的なキャラクターが加わってそこかしこで記憶に残るエピソードを紡いでいく。
一方で、ガリオンは謎めいた力を発揮し、その力に悩むことになる。こういった少年の苦悩や成長もきちんと書いてあるのが本書のもう一つの魅力であると思う。
それにしても、エディングスの筆になるキャラクター達は、通りすがりの人物に至るまでユーモアたっぷりのエピソードと共に記憶に残るのが何とも言えず魅力的である。
ドリュアドの森でのドリュアドとのやり取り、ニーサでの職業的暗殺者倫理など、ちょっとしたところまで印象に残るのは、流石の筆力と思わず溜息をついてしまう。
そして、二巻最後の場面は、今後を予感させる大きな盛り上がりを見せている。
キャラクター達のやり取り、主人公であるガリオンの成長、そしていよいよ大きく動き始めた物語と、どれをとっても見所満載で、一気に読んでしまって4月発売予定の第三巻が待ち遠しくなってしまう。
紛れもなく本書は一級品の物語であり、ファンタジーであると思う。まだ読んだことのない人には、これからこの本が読める羨ましさと共に、是非読んで欲しいと声を大にして勧めたい。
単細胞だが人の良いレルドリン、騎士の雛形のようなマンドラレン、そして新版の表紙でその愛らしさを見せるセ・ネドラなど、魅力的なキャラクターが加わってそこかしこで記憶に残るエピソードを紡いでいく。
一方で、ガリオンは謎めいた力を発揮し、その力に悩むことになる。こういった少年の苦悩や成長もきちんと書いてあるのが本書のもう一つの魅力であると思う。
それにしても、エディングスの筆になるキャラクター達は、通りすがりの人物に至るまでユーモアたっぷりのエピソードと共に記憶に残るのが何とも言えず魅力的である。
ドリュアドの森でのドリュアドとのやり取り、ニーサでの職業的暗殺者倫理など、ちょっとしたところまで印象に残るのは、流石の筆力と思わず溜息をついてしまう。
そして、二巻最後の場面は、今後を予感させる大きな盛り上がりを見せている。
キャラクター達のやり取り、主人公であるガリオンの成長、そしていよいよ大きく動き始めた物語と、どれをとっても見所満載で、一気に読んでしまって4月発売予定の第三巻が待ち遠しくなってしまう。
紛れもなく本書は一級品の物語であり、ファンタジーであると思う。まだ読んだことのない人には、これからこの本が読める羨ましさと共に、是非読んで欲しいと声を大にして勧めたい。