<東方人>としてドラゲイラ族社会から差別を受けながらも、身一つで裏社会をのし上り、今や小さながらも縄張りを持つに至ったヴラドだったが、間もなく隣接した地区に縄張りを持つラリスとの間に抗争が勃発した。
資金と手下をかき集めて戦いの準備を進めるヴラドだったが、その努力も虚しく敵の雇った名うての暗殺者コンビ<ジャレグ家の大剣>と<ジャレグ家の短剣>の襲撃を受ける。
知己のドラゲイラ貴族であるマローランとアリーラが助けに駆けつけ、なんとか蘇生に成功したヴラドは、今回の襲撃に奇妙な点があることに気付いた。
ヴラドとラリスの抗争を押さえ込むために配備されていた帝国警備兵が、その日に限って何故か町中から姿を消していたのだ。
また、<ジャレグ家の大剣>と<ジャレグ家の短剣>ほどの手練を雇う金をラリスは何処から工面してるのだろうか。
ラリスの背後に、より大きな存在の気配を感じ取ったヴラドは、次第に帝国全体をも巻き込む陰謀の核心に近づいていくのだが・・・
時間的には前作よりも昔の話で、ヴラドの裏社会における立身出世の過程や、妻であり殺し屋でもある<ジャレグ家の短剣>ことカウティとの出会いなどが織り込まれている。
全体的にハードボイルド調ではあるが、魔剣ブラックワンドを携えた「一人軍隊」のようなマローランの存在や魔法による蘇生が安易に行なわれる様子はゲーム的な印象だ。
このシリーズは80年代前半に発表されたもので、同じ頃にスティーヴン・ブルーストはロール・プレイング・ゲーム(RPG)を母体とした短編「痛恨事」(「魔法都市ライアヴェック」に収録)も著しているが、80年代前半と言えばRPG小説の大作「ドラゴンランス戦記」の刊行時期とも重なる。
「ドラゴンランス戦記」はゲームの類型で言えばワイルダネス・アドベンチャーに分類されるところだが、「暗殺者ヴラド・タルトシュ」はシティ・アドベンチャーの典型と言えるだろう。
今回は縄張り抗争の様子を語るために多くの街区や通りの名前が出てくるが、著者は執筆にあたって舞台となる帝都アドリランカの詳細な地図を造っていることであろうから、それを巻頭などに加えればより読み易く、また架空世界を愉しむことが出来たに違いない。
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策謀のイェンディ (ハヤカワ文庫 FT フ 13-2 暗殺者ヴラド・タルトシュ) 文庫 – 2006/4/1
- 本の長さ363ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2006/4/1
- ISBN-104150204144
- ISBN-13978-4150204143
登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2006/4/1)
- 発売日 : 2006/4/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 363ページ
- ISBN-10 : 4150204144
- ISBN-13 : 978-4150204143
- Amazon 売れ筋ランキング: - 2,018,232位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2006年5月18日に日本でレビュー済み
暗殺者ヴラド・タルトシュシリーズの第1巻「勇猛なるジャレグ」の続編で、前巻と同じようにテンポ良く話が展開しています。
ただ、シリーズ物にしては珍しく、時系列に話が進んでいきません。今回は、第1巻の約1年前の話となっています。
たった1年前でも、ヴラドを取り巻く状況は、大きく異なっています。裏社会での立場もまだまだ弱い中で、激しい攻撃をギリギリの所で防ぎながら、反撃のチャンスを伺う緊迫した話となっていました。
また、主人公以外にも、カウティ・アリーラも全く状況が異なっていますが、その溝を埋める話もあわせて展開されていきます。
ちなみに、策謀のイェンディを読み終えた後で、再度、1巻を読み直しても新たな発見がありました。ジグソーパズルを組み立てるように、複雑に話が絡み合いながら、世界が広がっていっています。
ただ、シリーズ物にしては珍しく、時系列に話が進んでいきません。今回は、第1巻の約1年前の話となっています。
たった1年前でも、ヴラドを取り巻く状況は、大きく異なっています。裏社会での立場もまだまだ弱い中で、激しい攻撃をギリギリの所で防ぎながら、反撃のチャンスを伺う緊迫した話となっていました。
また、主人公以外にも、カウティ・アリーラも全く状況が異なっていますが、その溝を埋める話もあわせて展開されていきます。
ちなみに、策謀のイェンディを読み終えた後で、再度、1巻を読み直しても新たな発見がありました。ジグソーパズルを組み立てるように、複雑に話が絡み合いながら、世界が広がっていっています。