魔法とジョークに溢れた『ザンス』という世界を舞台にしながらも、毎回スポットライトを当てられる人物が異なるこのシリーズ。今作は前々巻にて半分の魂を得た、前巻にて活躍した女悪魔メンティアの半身でもある女悪魔メトリアが、コウノトリに何度合図を送っても子供を得られないという謎の答えをもらうために、ロク鳥のロクサーヌの裁判に必要な人材を集めるという任務に旅立ちます。
旅の途中では懐かしい面々が次々に登場します。巻ごとに時代が流れているにもかかわらず、初期のキャラクターが元気に登場するのもこのシリーズの魅力。特に懐かしいあのセントールが登場した時には思わずにやりとしてしまいました。
ですが、なにより魅力なのは女悪魔メトリアの変化でしょう。魂を持った女悪魔メトリアは豊かな感性や思いやりを得たようです。任務の途中でも頻繁に家に戻って夫に尽くす姿や、困った相手を放っておけない優しさは、メトリアという人物を非常にある意味で『人間らしく』見せます。
ちなみに今作(原題 Roc and a Hard Place )は本国では14年ほどまでに発表されたもので,シリーズとしては現在30巻以上発刊されています。そういう意味では少しジョークに古さというか懐かしさのようなものが感じられたりするのですが、19巻という長い道程を考えると、ここまでパワーが落ちないというのは驚嘆に値すると思います。
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女悪魔の任務 (ハヤカワ文庫 FT ア 1-19) 文庫 – 2009/2/26
〈魔法の国ザンス〉シリーズ第19巻。
ヴェレノと結婚し、ラヴラヴの毎日を送る女悪魔のメトリア。だがいくらサインを送っても、コウノトリはやってこない。どうしても赤ちゃんがほしいメトリアが魔法使いハンフリーに尋ねると、鳥の王シムルグの任務を果たすべし、と告げられた。そしてシムルグからは、ロク鳥のロクサーヌの裁判のため、判事、陪審員など総勢30人を召喚せよと命じられた。かくてメトリアはザンスを駆けめぐり、マンダニアにまで行くことに……。
ヴェレノと結婚し、ラヴラヴの毎日を送る女悪魔のメトリア。だがいくらサインを送っても、コウノトリはやってこない。どうしても赤ちゃんがほしいメトリアが魔法使いハンフリーに尋ねると、鳥の王シムルグの任務を果たすべし、と告げられた。そしてシムルグからは、ロク鳥のロクサーヌの裁判のため、判事、陪審員など総勢30人を召喚せよと命じられた。かくてメトリアはザンスを駆けめぐり、マンダニアにまで行くことに……。
- 本の長さ558ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2009/2/26
- ISBN-104150204896
- ISBN-13978-4150204891
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2009/2/26)
- 発売日 : 2009/2/26
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 558ページ
- ISBN-10 : 4150204896
- ISBN-13 : 978-4150204891
- Amazon 売れ筋ランキング: - 760,450位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年3月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
前々巻「名誉王トレントの決断」で人間の男ヴェレーノと結婚した女悪魔メトリアは夫の魂を半分貰い受け、互いを愛し合うようになった(この順番で)が、一つの悩みを抱えていた。
二人は年に700回以上もコウノトリにメッセージを送っているのだが、全く赤ん坊が届けられる気配がないのだ。
問題を抱えるザンスの住民の例に漏れず、助言の代償として1年間の奉公を求める知識の魔法使いハンフリーのもとを訪れたメトリアだったが、期待に反して魔法使いから答えを得ることはできなかった。
ハンフリーから「シムルグのもとに行け」とだけ言い渡されたメトリアは、分裂人格である<悪しき半身>メンティアや<宿なしっ子>ウォ・ビタイドそれぞれの特性を発揮しながら鳥の王である全知のシムルグを訪ねるが、シムルグもまたメトリアの悩みに対する答えを与えてはくれず、代わりに奇妙な使命を与えた。
過去の過ちから、シムルグの卵を温めるという義務を負ったロク鳥のロクサーヌが訴追されており、その裁判の関係者全員を召喚せよというのだ。
虚空に浮かぶ「名もなき城」の中で、一心に卵を温めているだけのロク鳥が如何なる罪を犯しえるのか?
自分自身の悩みとともに不思議な使命を抱え、メトリアはザンス全土を周って被召喚者を訪ね歩くのだが・・・
裁判のために召喚しなければならないのは30名もいて、夢の領域からマンダニアまでの広大かつ多様な地域に住んでいる。
長いシリーズの中で多くのキャラクターが登場してきたが、使い捨てにできない作者は、メトリアの探索行を利用してここぞとばかりに過去に活躍した者達の近況を描き、冗長さが感じられるが、ファンにとっては久し振りの再会となる者も多い。
普通なら、魔法を含めて様々な特技を持つ「旅の仲間」が組まれるところだが、メンティアは変身も瞬間移動も思う侭の女悪魔であり、更に性質の異なるメンティアとウォ・ビタイドという二つの人格を有していることもあって、殆どの冒険を単身で乗り切ってしまうのは流石。
最後の最後で核心となる裁判が行われるが、ロクサーヌの使命に忠実な鳥柄には心打たれるものがあり、この一件を利用して魔王X(A/N)th との間でザンスの覇権を賭けていた女魔王V(E/N)us も、そのような人の心の動きを予期していたのだろう。
懸命の努力にも関わらずコウノトリを呼べなかったのも、表面上は裁判の形を取ったザンス存亡の問題を解決できる唯一の存在であるメトリアを関わらせるために、鳥の王であるシムルグが介入していたに違いない。
従来とは異なりボーイ・ミーツ・ガールが本筋ではないものの、最終的にはメトリアの悩みも解決し、更には裁判の後にグレイ・マーフィとアイダ王女及びグロスクラウトの息子である悪魔王子ヴォアとナーガ族の王女ナーダの婚礼が行われ、次巻以降ではそれぞれの子供が登場することだろう。
目出度いことではあるが、登場人物の飽和状態は限界に達しており、作者も悩みどころなのではないだろうか。
二人は年に700回以上もコウノトリにメッセージを送っているのだが、全く赤ん坊が届けられる気配がないのだ。
問題を抱えるザンスの住民の例に漏れず、助言の代償として1年間の奉公を求める知識の魔法使いハンフリーのもとを訪れたメトリアだったが、期待に反して魔法使いから答えを得ることはできなかった。
ハンフリーから「シムルグのもとに行け」とだけ言い渡されたメトリアは、分裂人格である<悪しき半身>メンティアや<宿なしっ子>ウォ・ビタイドそれぞれの特性を発揮しながら鳥の王である全知のシムルグを訪ねるが、シムルグもまたメトリアの悩みに対する答えを与えてはくれず、代わりに奇妙な使命を与えた。
過去の過ちから、シムルグの卵を温めるという義務を負ったロク鳥のロクサーヌが訴追されており、その裁判の関係者全員を召喚せよというのだ。
虚空に浮かぶ「名もなき城」の中で、一心に卵を温めているだけのロク鳥が如何なる罪を犯しえるのか?
自分自身の悩みとともに不思議な使命を抱え、メトリアはザンス全土を周って被召喚者を訪ね歩くのだが・・・
裁判のために召喚しなければならないのは30名もいて、夢の領域からマンダニアまでの広大かつ多様な地域に住んでいる。
長いシリーズの中で多くのキャラクターが登場してきたが、使い捨てにできない作者は、メトリアの探索行を利用してここぞとばかりに過去に活躍した者達の近況を描き、冗長さが感じられるが、ファンにとっては久し振りの再会となる者も多い。
普通なら、魔法を含めて様々な特技を持つ「旅の仲間」が組まれるところだが、メンティアは変身も瞬間移動も思う侭の女悪魔であり、更に性質の異なるメンティアとウォ・ビタイドという二つの人格を有していることもあって、殆どの冒険を単身で乗り切ってしまうのは流石。
最後の最後で核心となる裁判が行われるが、ロクサーヌの使命に忠実な鳥柄には心打たれるものがあり、この一件を利用して魔王X(A/N)th との間でザンスの覇権を賭けていた女魔王V(E/N)us も、そのような人の心の動きを予期していたのだろう。
懸命の努力にも関わらずコウノトリを呼べなかったのも、表面上は裁判の形を取ったザンス存亡の問題を解決できる唯一の存在であるメトリアを関わらせるために、鳥の王であるシムルグが介入していたに違いない。
従来とは異なりボーイ・ミーツ・ガールが本筋ではないものの、最終的にはメトリアの悩みも解決し、更には裁判の後にグレイ・マーフィとアイダ王女及びグロスクラウトの息子である悪魔王子ヴォアとナーガ族の王女ナーダの婚礼が行われ、次巻以降ではそれぞれの子供が登場することだろう。
目出度いことではあるが、登場人物の飽和状態は限界に達しており、作者も悩みどころなのではないだろうか。
2009年3月22日に日本でレビュー済み
ザンスシリーズ19作目です。
いやー楽しめました。
分かりやすい筋に、過去のキャラクターもふんだんに出てきて満足です。
今回の主役は、第17巻「名誉王トレントの決断」で、人間の男ヴェレーノと結婚し半分の魂を得た女悪魔メトリア。
せっせとコウノトリへ合図を送るもコウノトリが子どもを持ってくる気配がない。
ハンフリーに質問したところ、シムルグの任務を果たせという答え。
シムルグから課された任務は、ロク鳥のロクサーヌが裁判にかかられるので、ザンス中から関係者を集めること。
集める関係者が多くてメトリアも大忙し。いっしょに旅をするのは、彼女からわかれた純粋な悪の部分のメンティア。
メトリアは半分の魂しか無いながらも、十分人間的な生き物になってます。
魂は育つというし、今回の旅で人間らしい経験をしてもう魂も一つ分に育っているのじゃないかと思います。
いやー楽しめました。
分かりやすい筋に、過去のキャラクターもふんだんに出てきて満足です。
今回の主役は、第17巻「名誉王トレントの決断」で、人間の男ヴェレーノと結婚し半分の魂を得た女悪魔メトリア。
せっせとコウノトリへ合図を送るもコウノトリが子どもを持ってくる気配がない。
ハンフリーに質問したところ、シムルグの任務を果たせという答え。
シムルグから課された任務は、ロク鳥のロクサーヌが裁判にかかられるので、ザンス中から関係者を集めること。
集める関係者が多くてメトリアも大忙し。いっしょに旅をするのは、彼女からわかれた純粋な悪の部分のメンティア。
メトリアは半分の魂しか無いながらも、十分人間的な生き物になってます。
魂は育つというし、今回の旅で人間らしい経験をしてもう魂も一つ分に育っているのじゃないかと思います。
2010年9月2日に日本でレビュー済み
なんとなく結婚したメトリアですが、今ではヴェレーノとラヴラヴの毎日で二人ともすごく幸せそうです。
今回は女悪魔のメトリアが主人公。ある理由からロク鳥のロクサーヌの裁判の出席者を呼び集めることになり、あちこち廻ることになります。同行者はメトリアの他、メトリアの半身メンティア、宿なしっ子のウオゥ・ビタイドの3人というか3つの性格です。
メンティアは前作から独立した存在になっていましたが、マッチ売りの少女ウオゥ・ビタイドもいつのまにかメトリアの分身として存在していて、あの子も結構活躍します。
この巻はひさしぶりに面白く読めました。主要人物がメトリアひとり(中身は3人)と非常にシンプル。ストーリィ展開も裁判に出席する人たちを順々に訪ねて行くといった分かりやすいもので、冒険あり、泣ける話もあり、これまで知られていなかったメトリアの過去にも触れられていたりもします。最後もすっきりした素敵なハッピィエンドでしたよ。
今回は女悪魔のメトリアが主人公。ある理由からロク鳥のロクサーヌの裁判の出席者を呼び集めることになり、あちこち廻ることになります。同行者はメトリアの他、メトリアの半身メンティア、宿なしっ子のウオゥ・ビタイドの3人というか3つの性格です。
メンティアは前作から独立した存在になっていましたが、マッチ売りの少女ウオゥ・ビタイドもいつのまにかメトリアの分身として存在していて、あの子も結構活躍します。
この巻はひさしぶりに面白く読めました。主要人物がメトリアひとり(中身は3人)と非常にシンプル。ストーリィ展開も裁判に出席する人たちを順々に訪ねて行くといった分かりやすいもので、冒険あり、泣ける話もあり、これまで知られていなかったメトリアの過去にも触れられていたりもします。最後もすっきりした素敵なハッピィエンドでしたよ。