中世ヨーロッパ風のファンタジー小説を探しており、興味を持って購入しました。
あまりにも登場人物が多いため、1周目は殆ど頭に何も入らないまま読みましたが
2巻・3巻を読み終え登場人物の関係を整理してから再読すると目覚ましく面白いです。
世界観も作り込まれており、シリーズ通して繰り返し読んでこそ光る本だと思います。
3巻まで読んでみて、個人的なおすすめポイントをまとめました(ネタバレは極限まで抑えて書いています)。
・芯が強く魅力的な女性主人公
→主人公のフェードルは被虐体質という特殊な設定ですが、賢く健気で嫌みのないからっとした性格です。追い詰められた状況でも知力を駆使して生き抜いていく様は格好良く、読んでいて非常に気持ちが良いです。
・個性豊かな脇役たち
→脇役たちが男女ともに個性豊かで魅力的です。フェードルの宿敵にして天才的策略家のドS美女・メリザンド、人呼んで「流浪の民の王子様」の陽気な幼なじみ・ヒヤシンス、堅物で初心な護衛の修道士・ジョスラン、政治への情熱を胸に秘めたクールな美少女貴族・イサンドル……上げ始めるときりがありません。また、各キャラクターたちの掛け合いも絶妙。
・政治的な駆け引き、陰謀
→貴族たちの権謀術数がすさまじいです。理解するまでに時間が掛かるものの、陰謀の全体像が見えた時の爽快感は最高。
・異性愛/同性愛どっちもアリ
→女性同士、男性同士の恋愛関係、肉体関係の描写が当然のものとして出てきます。
・少女漫画的要素
→フェードルは勿論、脇役たちのロマンス要素もあります。
また、誰彼かまわず勧めにくいのが以下のポイントですが、個人的には2巻以降で気にならなくなりました。
・「愛の営みは神への捧げ物」という宗教観のため、性にまつわる話がふんだんに出てくる
→1巻は世界観の説明も兼ねているため、性的な描写が最も多いです。2巻、3巻の方は控えめになります。
・主人公が被虐体質なためそれなりに痛い描写がある
→感情移入は難しいので、「被虐体質の人はそう感じるんだな」という具合に読み流していいと思います。読んでいくうちに慣れます。
・登場人物が覚えきれない
→1周目はフェードル・デローネイ・アルクィンだけ覚えておけば2巻以降で補完できます。何しろテールダンジュでは美形しか生まれないので、見た目で特徴が覚えづらい。このシリーズの真骨頂は2周目以降、人物相関図を作りながら読むことにあると思います。
また、宗教観のベースがキリスト教なので、新約聖書を知っているとより楽しめると思います。
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クシエルの矢〈1〉八天使の王国 (ハヤカワ文庫FT) 文庫 – 2009/6/25
八天使の王国
- 本の長さ431ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2009/6/25
- ISBN-104150204985
- ISBN-13978-4150204983
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2009/6/25)
- 発売日 : 2009/6/25
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 431ページ
- ISBN-10 : 4150204985
- ISBN-13 : 978-4150204983
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,192,575位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年4月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2012年6月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
物語は★5ですが,訳が最悪です.
Night Courtを「夜の法廷」と訳してますが,「夜の宮廷」と訳すべきでしょう.
あまりに酷い誤訳です.
こんないい加減な仕事をするなら廃業するべきです.
Night Courtを「夜の法廷」と訳してますが,「夜の宮廷」と訳すべきでしょう.
あまりに酷い誤訳です.
こんないい加減な仕事をするなら廃業するべきです.
2010年12月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
表紙の是非はとりあえずおいておいて。
フランス宮廷をモチーフにした、駆け引きの末が肉体関係?
というエロい設定ですが、案外読後感はクールです。
宮廷陰謀話がメインというか、SM度は思ったほどではないかな、と。
普通にファンタジーで、多少毛色の変わった設定? という認識でOKかと。
いや、ヒロインがMって時点で、十分変わってますけど!(爆笑)
魔法は出てきません、まったく。
なのでファンタジー=魔法と思っている方は読まない方がよろしいです。
ファンタジーは知らなかった世界へのきっかけ、と思っている方は、
ぜひとも、この新しい、不可思議な世界へどうぞ!
この話がエロかどうかは、読んだ方の読解力次第かな?(笑)
分野としては宮廷謀略ものなので、たくさんの登場人物を覚えなければなりませんので、
記憶力に自信のない方は読まない方がいいと思います。
でも、覚えやすいように描いてくれてますけどね。
フランス宮廷をモチーフにした、駆け引きの末が肉体関係?
というエロい設定ですが、案外読後感はクールです。
宮廷陰謀話がメインというか、SM度は思ったほどではないかな、と。
普通にファンタジーで、多少毛色の変わった設定? という認識でOKかと。
いや、ヒロインがMって時点で、十分変わってますけど!(爆笑)
魔法は出てきません、まったく。
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ぜひとも、この新しい、不可思議な世界へどうぞ!
この話がエロかどうかは、読んだ方の読解力次第かな?(笑)
分野としては宮廷謀略ものなので、たくさんの登場人物を覚えなければなりませんので、
記憶力に自信のない方は読まない方がいいと思います。
でも、覚えやすいように描いてくれてますけどね。
2019年4月19日に日本でレビュー済み
まだ1巻目の途中ですが、前置きが長くてなかなか読み進まず苦労した。
天使の末裔の国が舞台でファンタジーかと思いきや、男娼もいる娼館の話でビックリした。
設定を飲み込むのに苦労しつつ、まぁこれはこれで面白いのかなと。
天使の末裔の国が舞台でファンタジーかと思いきや、男娼もいる娼館の話でビックリした。
設定を飲み込むのに苦労しつつ、まぁこれはこれで面白いのかなと。
2012年9月9日に日本でレビュー済み
知人から強く勧められて本作品クシエルの矢1巻を買ったのですが、「擬史ものかー」と勝手に思い込み長い間積んだままでした。
続きものであることは知っていましたが、全9巻もあると知り、まずは一冊だけ、と思って買いました。
後程これは後悔することになります。
読む文庫がなくなったある日、思い出して持って行ったらなんだこれめちゃくちゃ面白い!
続きが気になるあまりスタバに居座り、読み終わってさあ次巻!と思えば買ってない…
遅くまで開いている本屋をはしごし、続巻を探し回りました。
全9巻しかない、読み終わるのがもったいないと思いながら読み進めた本は久しぶりです。
多神教が残っているという設定のヨーロッパをはじめ、物語の世界観の豊潤さがこの作品の一番の魅力だと思います。
ナーマー様の御業をぜひとも体験してみたかったものです。
訳者の方が巻末に文化史や神話の背景などをまとめて解説してくださっているのも面白く、このページを読むのが楽しみでした。
続きが翻訳されるかはこのシリーズの売り上げ次第なのでしょうが、ぜひとも出していただきたいものです。
翻訳が待ちきれず、アメリカのアマゾンを見てはポチろうかと悩む日々です。
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後程これは後悔することになります。
読む文庫がなくなったある日、思い出して持って行ったらなんだこれめちゃくちゃ面白い!
続きが気になるあまりスタバに居座り、読み終わってさあ次巻!と思えば買ってない…
遅くまで開いている本屋をはしごし、続巻を探し回りました。
全9巻しかない、読み終わるのがもったいないと思いながら読み進めた本は久しぶりです。
多神教が残っているという設定のヨーロッパをはじめ、物語の世界観の豊潤さがこの作品の一番の魅力だと思います。
ナーマー様の御業をぜひとも体験してみたかったものです。
訳者の方が巻末に文化史や神話の背景などをまとめて解説してくださっているのも面白く、このページを読むのが楽しみでした。
続きが翻訳されるかはこのシリーズの売り上げ次第なのでしょうが、ぜひとも出していただきたいものです。
翻訳が待ちきれず、アメリカのアマゾンを見てはポチろうかと悩む日々です。
2010年5月2日に日本でレビュー済み
この巻はケアリーによる「クシエルの遺産 Kushiel's Legacy」シリーズの全6巻の最初の巻「クシエルの投矢 Kushiel's Dart」を3分冊で邦訳したものです。6巻の前半3巻は本巻のヒロインであるフェードルがヒロインを務めるフェードル三部作になります(後半3巻はイムリール三部作)。他のレビューにもある通り、ファンタジー小説としては珍しく官能的ですが、第2巻「クシエルに選ばれし者 Kushiel's Chosen」、第3巻「クシエルの化身 Kushiel's Avatar」と続く巻では官能方面はそれほど強調されていません。ちなみに後半イムリール三部作の第1巻「クシエルの裔 Kushiel's Scion」ではまた気を取り直したように官能的になりますが、いずれにせよ、現実世界を参照しつつ構築された堅固な世界設定が巧みに物語を支えており、どの巻も素晴らしい出来栄えです。
訳文も大変読みやすく、ファンタジー世界に入り込むことを妨げない達意の訳だと思います。しかし、随所で重大な誤訳が目立つことも確かです。たとえば、シリーズを通じて重要な場面でたびたび引用されるエルーア様の教え「汝の欲するがままに愛せよ Love As Thou Wilt」があろうことか「萎れるまで愛を尽くせ」と誤訳されてしまっています。このモットーは「汝の欲することを為せ Do What Thou Wilt」「愛こそが、意志の下の愛こそが法である Love is the law, love under will」という魔術師アレイスター・クロウリーの有名なモットーへのオマージュなのですが、そうした蘊蓄はともかく、本書の誤訳のようではテールダンジュが性的に自由の極みにある理由が見えなくなってしまいます。 他にも「夜咲く花々の庭 Court of Night-Blooming Flowers」の略称である「夜の庭(夜の宮廷) Night Court」が「夜の法廷」と訳されてしまっているなど、世界観に関わる箇所での――なぜそんな間違いをしてしまうのかやや訝しんでしまうような――誤訳が多々見られ、それが後続の巻にも引継がれてしまっているので、残念ながら星ひとつだけ減点としました。
追記(2010/11):上記の指摘に対し『クシエルの啓示 3:遙かなる道』のあとがきで訳者が弁明を試みておられます。しかし、評者としては上記の「誤訳」であるという評価を取り下げることはできないと考えます(繰り返しますが、こうした幾つかの点を除けば基本的には優れた訳業だと思います)。訳者が指摘するとおり、エルーア様の教え「Love As Thou Wilt」について「wilt」はwillの二人称単数現在形であると同時に動詞「萎れる wilt」が重ね合わされている掛詞であることは確かです。しかし、それを「萎れるまで」と訳すには「Love as Thou Wiltest」となっていなければなりません(-estは二人称単数現在語尾です)。英語テクスト自体の訳出として「萎れるまで」は明らかに誤訳であり、それがかりに掛詞として重ね合わされているとしても、掛詞の方をメインの意味にして訳出することが適当でないことはいうまでもありません(しかもクロウリーのパロディに込められた意図を見えなくしてしまいますから却って有害です)。そもそも「as thou wilt」は「みこころのままに・あなたの望むように」という殆ど定型句のようなものです(たとえば KJV Matt. 26:39という極めて有名な箇所を通じて)。評者としてはイムリール三部作を訳出される際には勇気を持って訳を改めていただきたいと考えています。
訳文も大変読みやすく、ファンタジー世界に入り込むことを妨げない達意の訳だと思います。しかし、随所で重大な誤訳が目立つことも確かです。たとえば、シリーズを通じて重要な場面でたびたび引用されるエルーア様の教え「汝の欲するがままに愛せよ Love As Thou Wilt」があろうことか「萎れるまで愛を尽くせ」と誤訳されてしまっています。このモットーは「汝の欲することを為せ Do What Thou Wilt」「愛こそが、意志の下の愛こそが法である Love is the law, love under will」という魔術師アレイスター・クロウリーの有名なモットーへのオマージュなのですが、そうした蘊蓄はともかく、本書の誤訳のようではテールダンジュが性的に自由の極みにある理由が見えなくなってしまいます。 他にも「夜咲く花々の庭 Court of Night-Blooming Flowers」の略称である「夜の庭(夜の宮廷) Night Court」が「夜の法廷」と訳されてしまっているなど、世界観に関わる箇所での――なぜそんな間違いをしてしまうのかやや訝しんでしまうような――誤訳が多々見られ、それが後続の巻にも引継がれてしまっているので、残念ながら星ひとつだけ減点としました。
追記(2010/11):上記の指摘に対し『クシエルの啓示 3:遙かなる道』のあとがきで訳者が弁明を試みておられます。しかし、評者としては上記の「誤訳」であるという評価を取り下げることはできないと考えます(繰り返しますが、こうした幾つかの点を除けば基本的には優れた訳業だと思います)。訳者が指摘するとおり、エルーア様の教え「Love As Thou Wilt」について「wilt」はwillの二人称単数現在形であると同時に動詞「萎れる wilt」が重ね合わされている掛詞であることは確かです。しかし、それを「萎れるまで」と訳すには「Love as Thou Wiltest」となっていなければなりません(-estは二人称単数現在語尾です)。英語テクスト自体の訳出として「萎れるまで」は明らかに誤訳であり、それがかりに掛詞として重ね合わされているとしても、掛詞の方をメインの意味にして訳出することが適当でないことはいうまでもありません(しかもクロウリーのパロディに込められた意図を見えなくしてしまいますから却って有害です)。そもそも「as thou wilt」は「みこころのままに・あなたの望むように」という殆ど定型句のようなものです(たとえば KJV Matt. 26:39という極めて有名な箇所を通じて)。評者としてはイムリール三部作を訳出される際には勇気を持って訳を改めていただきたいと考えています。
2009年7月26日に日本でレビュー済み
いい意味で倫理に縛られない人間の根源的な欲望をオープンにした世界構築。
異世界ファンタジーということになるんだろうが,
やはり人物描写が良ければ,ジャンルは関係ない。
翻訳次第では駄作にもなるが,訳者の和爾桃子さんいいです。
本書もかなりのシリーズものみたいなのでがんばってください。
異世界ファンタジーということになるんだろうが,
やはり人物描写が良ければ,ジャンルは関係ない。
翻訳次第では駄作にもなるが,訳者の和爾桃子さんいいです。
本書もかなりのシリーズものみたいなのでがんばってください。
2021年4月7日に日本でレビュー済み
以前購入していたものを、本棚のキャパと
引越しを機に片付けてしまっていたので
また再読したくなりポチろうかな、
と考えてる所です
今回はもう、ああいう世界観だと
分かった上での再読予定なので
道徳の教科書基準人の初読のときみたいな戸惑いはないでしょう
テレビドラマ化もされた「ゲームオブスローン」とか、大聖堂とか中世ヨーロッパの暗黒時代あるある、のエグい話に慣れてしまえば?!どうと言うことはない
そこへさらに、性的な話な大っぴらな描写が加わっただけの話
慣れも必要かもしれないかな
引越しを機に片付けてしまっていたので
また再読したくなりポチろうかな、
と考えてる所です
今回はもう、ああいう世界観だと
分かった上での再読予定なので
道徳の教科書基準人の初読のときみたいな戸惑いはないでしょう
テレビドラマ化もされた「ゲームオブスローン」とか、大聖堂とか中世ヨーロッパの暗黒時代あるある、のエグい話に慣れてしまえば?!どうと言うことはない
そこへさらに、性的な話な大っぴらな描写が加わっただけの話
慣れも必要かもしれないかな