SFマガジン1966年9月号から3回に分けて連載。2か月後の67年1月に「日本SFシリーズ」の1冊として刊行され、71年5月には「世界SF全集」に収録。この迅速さから、早川の編集長(福島正実)の力の入れようがわかろうというもの。
人間そっくりの火星人。見かけが人間と同じだというのに、火星人であることをどう証明するのか、あるいは人間でないことをどう証明するのか。火星人を名乗るセールスマンと放送作家の問答が、団地の1室で繰り広げられる。堂々めぐりの会話がみごと。そしてどんでん返し、そのどんでん返しもまたひっくり返される。巧いとしか言いようがない。
新潮文庫版の解説は福島正実。作品を解説せずに、安部公房がSFをどう見ていたかを述べている。福島はこれを書いて2カ月後に亡くなった。
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人間そっくり (ハヤカワ文庫JA) 文庫 – 1974/1/1
安部 公房
(著)
- 本の長さ199ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日1974/1/1
- ISBN-104150300402
- ISBN-13978-4150300401
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (1974/1/1)
- 発売日 : 1974/1/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 199ページ
- ISBN-10 : 4150300402
- ISBN-13 : 978-4150300401
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,637,877位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,759位ハヤカワ文庫 JA
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2023年5月11日に日本でレビュー済み
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ありがとうございました
2020年10月18日に日本でレビュー済み
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新潮文庫で出版されているものの中でも、安部公房の数学者チックな一面がこの小説ではみられるのではないだろうか。新潮文庫『笑う月』にこの小説のことが言及されているが、そちらも是非。
2016年3月10日に日本でレビュー済み
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いやあ素晴らしい。しかし、「さっさと警察呼べよ‼」って感じです。
安部公房の書く女性はみな艶やかで艶かしくかつ聡明で、したたか。それでいて言葉の返しがツボにくる。
安部公房の書く女性はみな艶やかで艶かしくかつ聡明で、したたか。それでいて言葉の返しがツボにくる。
2019年10月20日に日本でレビュー済み
数学には明るくないので正確かどうかはわかりませんが、現実と寓話の境界線などあってないようなもので、
連続性を保っているから詭弁良弁でどっちの世界にも行き来できてしまう。
それこそトポロジー的なのかもしれません。
甲田申由なんて名前、まさしくトポロジックじゃありませんか。
現実的な立場で読み進めれば、主人公は最終的には精神病院に強制的に入院させられているようですから、
最初から訪問者とその妻は医師と看護師であり、すべて主人公の妄想であったと考えることができます。
しかし、訪問者の話は意外と理路整然としており、そこから結論付けられるのはやはり主人公は地球病に罹った火星人ということになります。
現実と寓話の境界なんてないのかもしれません。
連続性を保っているから詭弁良弁でどっちの世界にも行き来できてしまう。
それこそトポロジー的なのかもしれません。
甲田申由なんて名前、まさしくトポロジックじゃありませんか。
現実的な立場で読み進めれば、主人公は最終的には精神病院に強制的に入院させられているようですから、
最初から訪問者とその妻は医師と看護師であり、すべて主人公の妄想であったと考えることができます。
しかし、訪問者の話は意外と理路整然としており、そこから結論付けられるのはやはり主人公は地球病に罹った火星人ということになります。
現実と寓話の境界なんてないのかもしれません。
2006年10月1日に日本でレビュー済み
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相対性の意味のなさを、明確に、わかりやすく、かつコミカルに描いている名作と思う。
そのテーマの奥深さにもかかわらず、安部公房の物語になるととってもわかりやすく、すっと入ってくるので不思議だ。
ものすごく難しい話を、たとえ話でわからせてくれるような印象を覚える。
そのテーマの奥深さにもかかわらず、安部公房の物語になるととってもわかりやすく、すっと入ってくるので不思議だ。
ものすごく難しい話を、たとえ話でわからせてくれるような印象を覚える。
2009年6月14日に日本でレビュー済み
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随分、前に「壁」を読んだことは、あるが、彼の作品は初心者です。
「人間そっくり」は、1966年の9−11月にSFマガジンに掲載され、1967年に早川書房から出版されている。
私は火星人であるというセールスマン(地球人?)が、主人公で火星のネタでラジオ番組を作っている先生の家にやってくる。同時に、電話がなり、その訪問者の妻だと名乗る人から「凶暴性があるので、30分以内に行くからうまく応対してください」頼まれる。最初は先生の奥さんが対応するが、そのうちに先生が応対し、火星人論議となっていく。人間そっくりなのが火星人なのか?地球人なのか?だれが証明できるのでしょうか?という問いかけです。いったい何が本当でなにが嘘なのか。何が本物で何が偽物なのか。あなたは証明できますか?
「そう、ぼくは、なんとしてでも知りたいのだ。いったい、この現実は、寓話が実話に負けたせいなのか。それとも、実話が寓話に負けたせいないのか。法廷の外にいるあなたに、お尋ねしたいのです。いまあなたが立っている、その場所は、はたして実話の世界なのでしょうか、それとも、寓話の世界なのでしょうか・・・・・」(本文から)
著者が、1924年(大正13年)東京生まれ、満洲育ち。1992年没(平成4年)。
代表作品
デンドロカカリヤ、壁、闖入者、東欧を行く、砂の女、他人の顔、燃えつきた地図、箱男、密会、方舟さくら丸、カンガルー・ノート、飛ぶ男。終りし道の標に、けものたちは故郷をめざす、終りし道の標に(改)
お勧めはどれでしょう?
「人間そっくり」は、1966年の9−11月にSFマガジンに掲載され、1967年に早川書房から出版されている。
私は火星人であるというセールスマン(地球人?)が、主人公で火星のネタでラジオ番組を作っている先生の家にやってくる。同時に、電話がなり、その訪問者の妻だと名乗る人から「凶暴性があるので、30分以内に行くからうまく応対してください」頼まれる。最初は先生の奥さんが対応するが、そのうちに先生が応対し、火星人論議となっていく。人間そっくりなのが火星人なのか?地球人なのか?だれが証明できるのでしょうか?という問いかけです。いったい何が本当でなにが嘘なのか。何が本物で何が偽物なのか。あなたは証明できますか?
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著者が、1924年(大正13年)東京生まれ、満洲育ち。1992年没(平成4年)。
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デンドロカカリヤ、壁、闖入者、東欧を行く、砂の女、他人の顔、燃えつきた地図、箱男、密会、方舟さくら丸、カンガルー・ノート、飛ぶ男。終りし道の標に、けものたちは故郷をめざす、終りし道の標に(改)
お勧めはどれでしょう?
2020年5月25日に日本でレビュー済み
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その辺のレビューを見たら「ミイラ取りがミイラになる話」という概要は掴めているでしょう。
後半の畳みかけるような火星人とのやり取りと、
それに伴う主人公の狂気に陥る描写はなんともリニアで、真に迫るものがあります。
一概にサイコホラーとも言えないユーモラスさが感じられて、そこまで怖い物語ではないと思いますが、
狂気と正気の綱渡りをしているような心地になるようなスリリングさのある作品でした。
後半の畳みかけるような火星人とのやり取りと、
それに伴う主人公の狂気に陥る描写はなんともリニアで、真に迫るものがあります。
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