主人公のグインが辿っている道筋であるのに、何故外伝なのか? しかも今までの外伝と異なり、一冊一話ではなく、四冊も続く立派な「長篇」であるにもかかわらず。作者はあとがきで、たとえ主人公がグインであろうとも、自分が描きたい中原での国家群の駆け引きや争いから離れていれば外伝となるのだ、と述べている。ならば《グイン・サーガ》というシリーズ・タイトルとは乖離していると言うしかあるまい……。
ともあれ、ようやくグインは恋人でもあり、主君の息女でもある王女を救い出す事ができた。尤も、シルヴィアのていたらくをみれば、いみじくもザザが言った通り、冴えない結末ではある。無論そのかわりに、キタイの少年達との交流があったり、その他のキタイ人とのやりとりへのオチがついていたりするわけであるから、それはそれでいいのだろうが、四冊続いたこの物語のヒロインたるべきシルヴィアは、あまりにも可哀相な扱いではないか、と思える。さて、ようやくグインは中原への帰途についたわけだが、果たして本編への即復帰は可能なのだろうか?
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ホータン最後の戦い―グイン・サーガ外伝(15) (ハヤカワ文庫JA) 文庫 – 1998/9/1
栗本 薫
(著)
- 本の長さ299ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日1998/9/1
- ISBN-104150306044
- ISBN-13978-4150306045
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (1998/9/1)
- 発売日 : 1998/9/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 299ページ
- ISBN-10 : 4150306044
- ISBN-13 : 978-4150306045
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,320,441位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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別名に中島梓。東京生まれ。
早稲田大学文学部卒。1977年中島梓名義の「文学の輪郭」で群像新人賞評論部門を受賞。
1978年『ぼくらの時代』で江戸川乱歩賞受賞。以後、作家・栗本薫、評論家・中島梓を使い分けて多彩な文筆活動を展開する。
小説作品は、ミステリ、SF、時代小説、耽美小説と多岐にわたる。1979年よりスタートした、ライフワークともいうべき一大長篇ロマン「グイン・サーガ」は、2005年に100巻を達成したが、2009年著者病没により130巻が最終巻となった。著書は『弦の聖域』、『魔界水滸伝』、『真夜中の天使』など、400冊を超える。
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