ダンテ「神曲」をSF的に再構築した作品と読んだ。全編を通じての過剰なエログロ描写はこの作者らしいが、それも閉ざされた世界での混乱と狂気を表すもので、この世の地獄をよくこれだけ執拗に書けたものと感心。真面目に読み込むと気分が悪くなるので、適当に飛ばし読む方が無難。
この大作の最後が駄洒落オチと見る人もいるだろうが、まるで本格ミステリのような見事な結末だと思う。駄洒落は温めていたSF的アイディアを遂に世に出す作者の照れ隠しのようなものに感じた。グイグイ読ませる本格SFの傑作と評しておく。
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忘却の船に流れは光 (ハヤカワ文庫 JA タ 6-5) 文庫 – 2007/5/1
田中 啓文
(著)
- 本の長さ556ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2007/5/1
- ISBN-104150308888
- ISBN-13978-4150308889
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2007/5/1)
- 発売日 : 2007/5/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 556ページ
- ISBN-10 : 4150308888
- ISBN-13 : 978-4150308889
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,250,046位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2017年10月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2011年1月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
最後のページを読んで、その場に崩れ落ちた。
田中啓文…あんたがそんな人だったなんて…昔からわかってました。
最初はあまりに異様な世界観になんか入りにくいのですが、気がついたらいつのまにかすっかり読み進めてしまいます。
中盤まで世界の中だけで話が進んでいきますが、後半怒濤の勢いでその世界の秘密が明かされていく展開は圧巻。
想像をかなり超越する話自体も十分期待以上の出来だったのですが、それをある意味台無しにする相変わらずのお約束もそのままでした。
オチだけのためにこんな話をでっち上げてしまうとはやはりただ者ではないぜ。
ちょっといくつか気になったことが。
グラン・ジョーはヘーゲルに味方してもらったとか言っていたがなぜ気がつかないんだ?
あと、溶かされた彼は結局誰だったんだ?
そこらへんよくわからんかった。
田中啓文…あんたがそんな人だったなんて…昔からわかってました。
最初はあまりに異様な世界観になんか入りにくいのですが、気がついたらいつのまにかすっかり読み進めてしまいます。
中盤まで世界の中だけで話が進んでいきますが、後半怒濤の勢いでその世界の秘密が明かされていく展開は圧巻。
想像をかなり超越する話自体も十分期待以上の出来だったのですが、それをある意味台無しにする相変わらずのお約束もそのままでした。
オチだけのためにこんな話をでっち上げてしまうとはやはりただ者ではないぜ。
ちょっといくつか気になったことが。
グラン・ジョーはヘーゲルに味方してもらったとか言っていたがなぜ気がつかないんだ?
あと、溶かされた彼は結局誰だったんだ?
そこらへんよくわからんかった。
2014年6月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この著者は不快な描写を嬉々として書いてる感じが好き。
田中さんの本、色々読みましたがこの作品が一番完成度が高いと思う。
ちゃんとSFしてるのに、オチがあれっていうのもなんかもうバカバカしいを通り越して凄みを感じる。
ところで、彼の長編・短編にかかわらず多くの作品に見られる歌(詩?)はよく分からない、というか
なんか恥ずかしくなるのは私だけでしょうか…
田中さんの本、色々読みましたがこの作品が一番完成度が高いと思う。
ちゃんとSFしてるのに、オチがあれっていうのもなんかもうバカバカしいを通り越して凄みを感じる。
ところで、彼の長編・短編にかかわらず多くの作品に見られる歌(詩?)はよく分からない、というか
なんか恥ずかしくなるのは私だけでしょうか…
2019年2月26日に日本でレビュー済み
宮脇俊三さんの『最長片道切符の旅』から引用させていただきます。
『阿保らしさ極まって襟を正させるような趣さえある。』
どこか相通ずるところがあるような気がするのは、わたしだけでしょうか。
やっぱりわたしだけかな。
『阿保らしさ極まって襟を正させるような趣さえある。』
どこか相通ずるところがあるような気がするのは、わたしだけでしょうか。
やっぱりわたしだけかな。
2007年5月19日に日本でレビュー済み
八つの階位に分かれた世界。その頂点に立つのは《聖職者》である。主人公のブルーは聖職者の一人で、《修学者》ヘーゲルと出会うことで、真実を得ていくのですが……。
最初はただのファンタジーだと思ったのに、違うんですよ。これ、結果的にはSFなんです。まさか思いませんでしたよ、そんなこと。この世界が大きな宇宙船でだったなんて。そしてこの宇宙船の人々は、チキュウに到着し、先住民たちから悪魔――ヴェルフェゴールと呼ばれるようになる、なんて。今まで信じていた"世界の常識"が、一枚一枚そのヴェールを剥がされていく様がおもしろかったです。
ブルーとヘーゲルの最後も……ね。
最初はただのファンタジーだと思ったのに、違うんですよ。これ、結果的にはSFなんです。まさか思いませんでしたよ、そんなこと。この世界が大きな宇宙船でだったなんて。そしてこの宇宙船の人々は、チキュウに到着し、先住民たちから悪魔――ヴェルフェゴールと呼ばれるようになる、なんて。今まで信じていた"世界の常識"が、一枚一枚そのヴェールを剥がされていく様がおもしろかったです。
ブルーとヘーゲルの最後も……ね。
2008年6月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
あまりSFは詳しくないので、ほかにも例があるかもしれないが、私の知る限りでは、石田衣良の「ブルータワー」の設定に近い。あれに宗教色を加えた感じ。ただ、「ブルータワー」が石田衣良らしく品よくまとまっているのに対し、こちらは描写が過激だ。あえて下品と言ってもいい。だが、実際にこういう状態になったら人間て多分こうだよね、という説得力があり、最後まで一気に読ませる。きっと書いた本人が楽しかったからだろうね。
2009年11月5日に日本でレビュー済み
2003年に出た単行本の文庫化。
長編SF小説である。アイデアが凄い。最後はビックリする。
また、田中作品らしく、どろどろぐちゃぐちゃとした描写が、これでもかとばかりにてんこもり。主人公が肉体的・精神的に痛めつけられまくるところも、読み慣れた人には楽しいところ。
それでも、そうしたグロテスク、サディスティック、エロティックなシーンが、さらりと読み流せるところも田中作品の不思議な点だ。
わりあいと読みやすい一冊だと思うし、盛り込まれているアイデアも凄いので、田中作品世界への入口としても使える本と思う。
長編SF小説である。アイデアが凄い。最後はビックリする。
また、田中作品らしく、どろどろぐちゃぐちゃとした描写が、これでもかとばかりにてんこもり。主人公が肉体的・精神的に痛めつけられまくるところも、読み慣れた人には楽しいところ。
それでも、そうしたグロテスク、サディスティック、エロティックなシーンが、さらりと読み流せるところも田中作品の不思議な点だ。
わりあいと読みやすい一冊だと思うし、盛り込まれているアイデアも凄いので、田中作品世界への入口としても使える本と思う。
2004年3月2日に日本でレビュー済み
早川のSFシリーズで、しかもこの表紙。普段の作者とは違う、がちがちのハードSFをついにものしたか?と意気込んで読んだ。
やられたよ。良くも悪くも作者らしい、作品だ。
気持ちの良い脱力が、感想だ。
一冊かかって最後の最後か、これか!
良くもまあ、このために大作を書ききった。
褒めるしかない。最初の期待は裏切られるが、まさかこの一言のダジャレでまとめるなんて。
ここまでくれば、あっぱれだ。
楽しんで読んで欲しい。
やられたよ。良くも悪くも作者らしい、作品だ。
気持ちの良い脱力が、感想だ。
一冊かかって最後の最後か、これか!
良くもまあ、このために大作を書ききった。
褒めるしかない。最初の期待は裏切られるが、まさかこの一言のダジャレでまとめるなんて。
ここまでくれば、あっぱれだ。
楽しんで読んで欲しい。