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天涯の砦 (ハヤカワ文庫 JA オ 6-9) 文庫 – 2009/1/24
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- 本の長さ426ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2009/1/24
- ISBN-104150309450
- ISBN-13978-4150309459
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商品の説明
メディア掲載レビューほか
“このドアを開ければ真空です" 宇宙旅行の恐怖を描く
『天涯の砦』の序盤、船が轟音とともに揺れた直後、乗客はドアにこんな文字が表示されているのを目にする――“このドアの向こうは真空です"。
これほど絶望的で恐ろしい文字列があるだろうか。狭い船室から脱出したくとも、ドアを開ければ一〇〇%の死が待っているのだから。
『天涯の砦』は、事故で破壊された宇宙ステーションに閉じ込められた十人の生存者(子供も二人)が、何とか生きのび、地球に帰還しようとするサスペンスなのである。
つまりSF小説なのだが、現在と大きくかけ離れたものは登場しない。技術の発展によって宇宙旅行が容易になり、地球と月の間に手軽な宇宙リゾートのような施設が誕生、そこで大事故が発生する。映画《ポセイドン・アドベンチャー》や《タワーリング・インフェルノ》のような物語なのだが、苛酷さはSF的設定によって激増している。水や火ならかいくぐれるかもしれないが、真空は違う。船やビルなら外に出さえすればいいが、宇宙では帰るべき地球も月も絶望的に遠いのだ。
生存者たちはあちこちの気密空間に閉じ込められている。彼らをどう集めるか。生存者がいることを外界に伝える方法は。そして何より、どうやって脱出し、帰還するか。生存者たちは己の知恵を絞って、真空の宇宙空間という強大な敵を打ち負かさなければならない。著者・小川一水は膨大な科学的/工学的アイデアを惜しみなく注ぎ込んでいるから、全ページに知的興奮が詰まっていると言っていい。
定番のパニック物が、舞台の更新によって猛烈にスリリングなものになり、史上もっとも苛酷なパニック・スリラーが誕生したのだ。(紺)
評者:徹夜本研究会
(週刊文春 2017.11.16号掲載)登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2009/1/24)
- 発売日 : 2009/1/24
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 426ページ
- ISBN-10 : 4150309450
- ISBN-13 : 978-4150309459
- Amazon 売れ筋ランキング: - 138,233位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
1975年岐阜県生まれ。1996年、『まずは一報ポプラパレスより』で長篇デビュー(河出智紀名義)。
2003年発表の月面開発SF『第六大陸』が第35回星雲賞日本長編部門を受賞して以降、骨太な本格SFの書き手として活躍を続けている。また、2005年の短篇集『老ヴォールの惑星』で「ベストSF2005」国内篇第1位を獲得、収録作の「漂った男」で第37回星雲賞日本短編部門を受賞した。
他の作品に『復活の地』『天涯の砦』『時砂の王』『フリーランチの時代』(以上、ハヤカワ文庫JA)、『導きの星』など。
ホームページは、小川遊水池 http://homepage1.nifty.com/issui
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
人物に関しては生々しい表現が多かったので、この著者の作品では珍しい気がして少し驚きでした。
作者の作風の多彩さに驚きつつ、細部の設定に安心して想像にふけることができて楽しませていただきました。
本作もありがとうございました。
突然真空に暴露された人々(十人十色の…)が、酸素を求めてもがきながら生きたまま物理的に崩壊していく描写がおぞましい。顔までじっくり描写するのは普通気が引けそうだが…。
その他にも、銃創、複雑骨折、性暴力、焼死などなど、この作家は人間そのものに何か恨みでもあるのだろうかと考えさせられる。(もはや、真空・無重量とは関係の無いところでも死人が出る。)(そして、女性登場人物の描写からはコンプレックスを感じる。)
科学考証については、宇宙施設のベアリングの構造まで丁寧に考察されているようだが、とにかく猟奇描写が凄まじいので、そちらに目が行ってしまう。
なにより困るのは、お話として面白いがために、食事中でもついつい読み進めてしまうことだった。
SFとして緻密に考えられた設定の一方、
私のようなザ・文系にも楽しく読み進められる一冊です。
宇宙でおこった事故、ということ、地上で起こるのとはまた違った苦労の中、
連帯や不振やちょっと恋?や
さまざまな人間の感情が交差するパニック小説です。
楽しんで読めます。
その一角がはじけ飛ぶ…
その時点で「もう、終わった。」と思いました。
が、そこからがすごかった!
特にすごい技術ももたない数名の生存者が、
自分にできることをフル稼働して、
なんとか生き延びようとします。
でも、生存者の中には、
犯罪者や、精神的に不安定な人もいる…
みんなで協力して脱出する、という理想とはほど遠く、
自制心や猜疑心がためされる場面が多く表れます。
読み進む手が止まらず、一気に読了しました。
何人かの死もあり、つらいものを感じますが、
一応ハッピーエンドです。
で、感情移入が出来ない。少ない登場人物なのに個々の容姿の描写がないため想像力も働かず、最後まで感情が高まることなく読み終えてしまった。作者は敢えてヒーロー群像ものとせず普通の人々が極限でどう動くかを描きたかったのかも知れないが、こういう冒険ものとしては寂しい限りだった。