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天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈上〉 (ハヤカワ文庫JA) 文庫 – 2009/9/30
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- 本の長さ341ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2009/9/30
- ISBN-10415030968X
- ISBN-13978-4150309688
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2009/9/30)
- 発売日 : 2009/9/30
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 341ページ
- ISBN-10 : 415030968X
- ISBN-13 : 978-4150309688
- Amazon 売れ筋ランキング: - 52,150位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
1975年岐阜県生まれ。1996年、『まずは一報ポプラパレスより』で長篇デビュー(河出智紀名義)。
2003年発表の月面開発SF『第六大陸』が第35回星雲賞日本長編部門を受賞して以降、骨太な本格SFの書き手として活躍を続けている。また、2005年の短篇集『老ヴォールの惑星』で「ベストSF2005」国内篇第1位を獲得、収録作の「漂った男」で第37回星雲賞日本短編部門を受賞した。
他の作品に『復活の地』『天涯の砦』『時砂の王』『フリーランチの時代』(以上、ハヤカワ文庫JA)、『導きの星』など。
ホームページは、小川遊水池 http://homepage1.nifty.com/issui
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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「Ⅰ」の〈上下〉巻が2800年頃の作中『現在』を舞台にし、「Ⅱ」からはそこに至るまでに何が起こったのかを、現実の時代とほぼ同時期を起点とする2000年代頃まで遡り、そこから時間経過通りに未来に向かって描いていく。
一巻当たりでほぼ一つのまとまった物語になっているので連作長編と言っても良さそうだが、そのそれぞれで異なったSFガジェットや趣向が用意されており、さらに全体の物語を貫く謎や伏線を巻き取っては新たにばら撒き、次巻が読みたくなるサプライズがラストに仕掛けられている。
有名作品のガジェットをほぼそのままトレースしているようなものもあるが、宇宙規模の大河ドラマの一部として取り込まれているのでまぁ良しと思える。
刊行開始発表時点で全十巻(「Ⅰ」からして〈上下〉と分冊されていることから明らかなように、複数冊にまたがるものも多い)と宣言していたので、その時点でほぼ全体の構想が出来ていたわけで、だからこそ一巻毎に計算された物語として展開することに成功している。
「今出来ることを全てやる」と編集と話し合ったらしいので、たしかにSFガジェットてんこ盛りで、スペースオペラあり、身体改造あり、クリーチャーあり、異星人あり、政治あり、謎あり、そしてパンデミックありで、さらに追加でその他諸々、それでいて文体はライトで読み易く、ライトなハードSFでもある。
「Ⅰ」の〈上〉の時点ではそれほどではないのだが、「Ⅰ」の〈下〉の終盤でこれから語られるであろう伏線回収の怒涛の奔流が噴き出し、比較的穏やかだったそこまでの物語世界が押し流される。それで一気に引き込まれた。
なので初っ端から分冊にしたのは明らかな失敗だと思うので、読みだすなら「Ⅰ」の〈下〉までは読んでみてほしい。
しかし、次巻〜結末迄に至る各巻エピソードでは、次々と主人公が入れ替わり、ある意味人で無く、組織(システム)の歴史やその道程を読み進んでいる気持ちになり、自分の様な記憶や想像力の弱い者には無味乾燥な味わいを感じた。
だが、この長大な歴史エピソードがあってこそ、ストーリーの結末に震えが来るほどの感動を呼べるのだとも。
特に最終巻1/2/3はどんでん返しと壮大なスペクタクルに彩られ、読了後は読んでよかったと、何度も思い返した。
本巻を含む全ての巻にて、様々な形の「愛」が描かれた大作だと思う。
全体的に描写は詳細過ぎず簡潔なほどだが、要点や要旨、機微などの大事なところはきちんと描写され、読みやすい。
SFや文化の歴史的考証についてはけっこうトンデモな所があって、ファンタジーに片足突っ込んでる部分もあるが、かといってリアリティを失っているわけではない。
SF小説ではあるが、SFはテーマを語るための土台にすぎず、むしろ、生存と社会といった側面から人間を覗いた部分については、確かに人間はこういうことをするかもしれない、と思わせるリアルな怖さすらある。
生きて、次に繋ぎ、紡いでいく、そういった命への愛おしさがこの小説には語られている。
単に巻数が多いだけではなく、ストーリー、設定の説得力、作品内で紡がれていく歴史など、抜群に面白いです。
巻ごとに時代や雰囲気が大きく変わりますが(特にⅠとⅡ)、一つの歴史が語られていることに気づいたとき
本作の魅力に取り込まれていることにも気づくと思います。
ライトノベル的に読める作品ではありませんが、だからこそじっくりと腰を据えてこの作品に取り掛かってほしい、
そう強く思わせる素晴らしい小説です。
布石が効いてるというよりも、ミエミエのどんでん返しがあなたを待っています。
巻末のイキり気味な後書きも含めて1巻の印象は悪い人が多いでしょう。
そこで続刊を買うのはやめようかなと思わないでください。2巻以降がこの作品のいいところなんです。
2巻以降は作品世界は過去の時間へと移り、
パンデミックモノやら、官能小説やら、ボーイミーツガールやら、15少年漂流記やら
様々なネタを使いながら1巻に至るまでの歴史の積み重ねと世界背景を描いていきます。
この積み重ねが非常に面白く、作品世界がうねうねと広がっていく様は楽しめること請け合いです。
1巻における大きな弱点は登場キャラや世界観の描写の薄っぺらさなのですが、
次巻以降での展開のためのやむを得ない犠牲だったのでしょう。2巻以降は別物だと断言できます。
ただ、惜しむらくはこの1巻のつまらなさがまた作品終盤に復活してしまうのです…
8巻で1巻時点までの背景を語り終え、1巻のキャラ達が表舞台に戻り作品は終幕へと向かいます。
が、ここからがひどい。
広がりきった作品世界に対して1巻のペラいキャラたちでは応えることができず、
ご都合主義で話をまとめていきます。
特に最終10巻は1巻以上にひどいもので、1巻の主要キャラを持ち上げるために、
作品世界内では神にも等しい存在たちが無能になり、非合理な行動を取り続けます。
その様はラノベどころか、なろう小説かのようです。
7巻までは一気通貫で読めたものが、10巻は読むのが苦痛で10日もかかりました。
と、読後感のあまりの悪さにけなす方にばかり力が入ってしまいましたが
本当に2-7巻は面白いのでそのためだけでも読む価値はあります。是非どうぞ。
このよろびがあるので、読書はやめられない!!
やった!!
大河長編の1巻なので、キャラ紹介や舞台の解説が逐次入り、スロースターター気味な内容ではありますが、そのぶん私の頭の中に世界観がしっかりと構築されつつあるので、逆にウェルカムでした。
また、これは個人的な好みですが、過去の科学技術が完全に失われているわけではなく、メニーメニーシープのそこかしこに科学技術の片鱗が残されている点も、今後のSF的展開を期待できて、ゾクゾクしました。もしメニーメニーシープが過去の科学技術を完全に忘却したという設定で、中世のような世界になっていたり、あまつさえ剣と魔法系の世界になっていたら、恐らく私は1巻の読了時点で放り出していたと思います。
これが2巻の後書きにあるように全10巻に及ぶ超大作になり、このテンションを維持できるのであれば、本作は並み居る海外のSF大作群に堂々と肩を並べる、一大SF叙事詩になる可能性を秘めていると思います。翻訳物と異なり、著者の高い日本語表現力のおかげで、日本人との親和性も抜群ですし。
今後の展開に大いなる期待を込めて、星満点で。
これから、思わず「ぬぉー!」と叫んでしまうような、度肝を抜く逸脱と爆発を期待しています。
よろしくお願いいたします。