ニュートン力学が有効になる領域では、初期の状態が分かっている限り、ある時刻における物体の状態を決定することが出来る。一方、量子力学では、物体の状態は波動関数で表されるのだが、これは、その物体に対する様々な状態が重ね合わさった解になっている。つまり、実際に観測するまでは、どういう状態になっているかを言い切ることが出来ない。
しかし実際に観測してみれば、その物体の状態は一意に定まる。この重ね合わさった状態から、観測して一意に定まった状態までの間に何が起こっているのか?その疑問が量子力学の観測問題と呼ばれる。
観測問題に対する解釈は諸説あって、現在主流なのがコペンハーゲン解釈であり、観測した瞬間に重ね合わさった状態から一つの状態に収束するという考え方だ。可能性はいっぱいあるが実現するのは一つだけ、という考え方と言えよう。
他に有名な解釈としては、重ね合わさった状態にはそれぞれ対応する観測者がおり、それぞれの状態が実現しているけれど、ある観測者が認識できるのは一つの状態だけなので一つに定まると考える、エヴェレット解釈がある。
この解釈に則れば、ある観測者がずっと生き続けるような状態が続く世界も矛盾なく存在することになる。この作品で登場する南部観一郎は、そんな観測者の一人だ。
彼は、塾講師をしながら自分と同じような立場の仲間を探し求め、相棒の延長体ペンダンと共に、今日も街をさまよい歩く。
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さよならペンギン (ハヤカワ文庫 JA オ 9-1) 文庫 – 2010/5/10
塾講師の南部観一郎は、今日も好意を寄せる谷一恵の誘いを断り、ペンダンと共に自分たちの同類を捜しに夜の街を彷徨った。ペンギン姿の似合うペンダンは口の減らない奴だが、頼りになる相棒でもある。その日、ふとした隙にペンダンを襲った黒い闇の男こそは、長い間探していた彼らの同類に違いなかった。そう、この世界の観測者(オブザーバー)である南部は、延長体(エクステンション)であるペンダンと共に1500年以上生きる存在だったのだ――。哀愁の量子ペンギンSF。
- 本の長さ313ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2010/5/10
- ISBN-104150309973
- ISBN-13978-4150309978
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2010/5/10)
- 発売日 : 2010/5/10
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 313ページ
- ISBN-10 : 4150309973
- ISBN-13 : 978-4150309978
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,276,316位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,535位ハヤカワ文庫 JA
- カスタマーレビュー:
著者について
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水彩画、挿絵、漫画等
TVアニメ「さらざんまい」キャラクター原案/コミカライズ作画
画集「果ての天 青より遠く」ワニマガジン社
画集「てのひらの青」徳間書店
挿画/挿絵
「フェンネル大陸」シリーズ「トムソーヤの冒険」「朗読 宮沢賢治名作選集」シリーズ「甘栗と金貨とエルム」「甘栗と戦車とシロノワール」「カラクリ荘の異人たち」「ウィズ・ドラゴン」「さよならペンギン」「水彩画を描くきほん」「ナンシー・ドルー・ミステリ」シリーズ「リリーと海賊の身代金」「正しい魔女のつくりかた」「スパイ少女 ドーン・バックル」「星をさがして」毎日新聞童話「レンタルパパがやってきた!」「なかったことにするまほう」ほか
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年5月30日に日本でレビュー済み
帯には「哀愁の量子ペンギンSF」という訳の分からないキャッチコピーがあって、並行世界ものがSF好きな私は中身も見ずに買ってしまった。
作者はライトノベルの作家(『ジョン平とぼくと』っていう作品があるらしい)とのことだが、残念ながら知らず、初めて読んだ。
ストーリーは、世界の観測者として永遠に生きる主人公の塾講師が、自分と同類の観測者を、相棒のペンギン(名前はペンダン。最後に名前の由来が明らかにされる。延長体(エクステンション)というもの)とともに、探しまわるというもの。
内容的には、凝った展開もなく、淡々と進んで行くので盛り上がりに欠けるが、どこか醒めたような文体と、余韻の残る結末のせいで、不思議な味わいのある小説になっている。まさに「哀愁」が漂う感じ。
表紙のペンギンの画も、素敵で、なかなかいい本だった。
作者はライトノベルの作家(『ジョン平とぼくと』っていう作品があるらしい)とのことだが、残念ながら知らず、初めて読んだ。
ストーリーは、世界の観測者として永遠に生きる主人公の塾講師が、自分と同類の観測者を、相棒のペンギン(名前はペンダン。最後に名前の由来が明らかにされる。延長体(エクステンション)というもの)とともに、探しまわるというもの。
内容的には、凝った展開もなく、淡々と進んで行くので盛り上がりに欠けるが、どこか醒めたような文体と、余韻の残る結末のせいで、不思議な味わいのある小説になっている。まさに「哀愁」が漂う感じ。
表紙のペンギンの画も、素敵で、なかなかいい本だった。
2012年11月30日に日本でレビュー済み
表紙とタイトル。
そしてあらすじの「哀愁の量子ペンギンSF」という言葉にほだされて購入。
まぁまぁ面白い。
平行世界や不死について面白い概念で登場させているとおもった。
同じ状況に置かれても人によって捕らえ方がかなり違うものだなぁともおもう。
その考え方の違いによる対立もしてしまう。
主人公である南部の考え方が先入観としてあったが
確かに説明もなしに放り込まれたら彼女のような考えになってしまうのだろう
(何を言ってもネタバレそうなので、曖昧ですが・・・)。
そしてあらすじの「哀愁の量子ペンギンSF」という言葉にほだされて購入。
まぁまぁ面白い。
平行世界や不死について面白い概念で登場させているとおもった。
同じ状況に置かれても人によって捕らえ方がかなり違うものだなぁともおもう。
その考え方の違いによる対立もしてしまう。
主人公である南部の考え方が先入観としてあったが
確かに説明もなしに放り込まれたら彼女のような考えになってしまうのだろう
(何を言ってもネタバレそうなので、曖昧ですが・・・)。