ライトノベル作家ということだけど、早川書房から出たシステムエンジニアSF(?)を初めて読んでみた。
途中、シンギュラリティなんかも出てきて、経歴も似てるし、なんだかチャールズ・ストロスを思わす。ちょうど今、偶然にもストロスの『アッチェランド』を読んでいるせいかもしれないが。
自分は、こういうコンピュータ・ネットワークが出てくるSF小説が大好きだ。最近の日本では、コンピュータ・ネットワークが当たり前の存在で、あまりこういうタイプの小説がないのが残念だったけど、近未来(もしかしたら現在と言ってもいいぐらい近い未来)のネットワーク社会の在り様がイキイキと描かれていて、とても面白かった。
作者自身がUNIXのエンジニアということもあり、システム・エンジニアリング、そしてそれに携わるエンジニアへの愛が感じられる作品。自分もシステムエンジニアではないけど、システムに関わる仕事をしているので、かなり共感できた。
登場人物たち(エージェントも含めて)も愛すべき人たちで、読後感も非常にいい小説だった。
今後も読みたい作家。是非、ライトノベルだけでなく、こういう大人向けのSFも書き続けて欲しいものだ。
とりあえず、今年のベストSFの一つに挙げておこう。
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星の舞台からみてる (ハヤカワ文庫 JA キ 7-1) (ハヤカワ文庫JA) 文庫 – 2010/5/10
香南は、顧客の死後にweb上の死亡告知やサービスの解約処理を代行するHCC社勤務の25歳。伝説の創業メンバー・野上の死後処理を任された彼女は、謎のメールに導かれ彼の人生を追う。一方、香南のネット上の代理人(エージェント)である〈カナ〉も、野上の代理人(エージェント)である〈ボク〉と出会う。香南とカナの進む先には、野上の遺した世界を揺るがす秘密が……恋に仕事にひたむきな女子がwebとこの惑星(ほし)の未来を拓く。愛と勇気のシステムエンジニアSF!
- 本の長さ428ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2010/5/10
- ISBN-104150309981
- ISBN-13978-4150309985
登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2010/5/10)
- 発売日 : 2010/5/10
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 428ページ
- ISBN-10 : 4150309981
- ISBN-13 : 978-4150309985
- Amazon 売れ筋ランキング: - 767,852位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,057位ハヤカワ文庫 JA
- カスタマーレビュー:
著者について
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1972年静岡県生まれ。博士(理学)。
ライトノベル/SF作家。
BSD屋、UNIX屋、インターネット屋の技術者。
2006年、『声で魅せてよベイビー』で第8回エンターブレインえんため大賞佳作を受賞し、翌年同作にてデビュー。
他の著書に『クロノレイヤーに僕らはいた』(トクマノベルスEdge)、『くあっどぴゅあ』(ファミ通文庫)、『星の舞台からみてる』(ハヤカワ文庫JA)、『人生リセットボタン』(PHP研究所)などがある。
IT技術系のネタを、呼吸をするかのように使うので、えてして読者がおいてけぼりになりがち。
2014年には、技術書である『はじめてUNIXで仕事をする人が読む本』を執筆。
カスタマーレビュー
星5つ中4.7つ
5つのうち4.7つ
4グローバルレーティング
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年7月4日に日本でレビュー済み
大きな印象としては、
(ジュブナイル + ネットワーク + タチコマ)/3
といった感じでした。
おじさんにはちょっとむず痒くなってしまうような、甘酸っぱさを楽しむもよし。
ちょっとだけ未来のネットワーク技術の世界を楽しむもよし。
エージェントと呼ばれるAI同士のやりとりを楽しむもよし。
サイバーコミュニケーションと身体性的なことを考えてもよし。
10代あるいは20代前半の若い人たちにぜひ読んで欲しいと思える作品でした。
(ジュブナイル + ネットワーク + タチコマ)/3
といった感じでした。
おじさんにはちょっとむず痒くなってしまうような、甘酸っぱさを楽しむもよし。
ちょっとだけ未来のネットワーク技術の世界を楽しむもよし。
エージェントと呼ばれるAI同士のやりとりを楽しむもよし。
サイバーコミュニケーションと身体性的なことを考えてもよし。
10代あるいは20代前半の若い人たちにぜひ読んで欲しいと思える作品でした。
2010年7月16日に日本でレビュー済み
ネットワークの革新的技術者である野上の死後に送られてきた彼からのメールに導かれ、彼の事績を追いかけて行くうちに、国家間の陰謀にまで話が広がっていく。
この作品では、グループ企業の組織体制とルート証明書に至るツリーを、恋愛などの個人間のつながりとWoT(Web of Trust)の概念を、それぞれ対比させている印象を受けた。
そして、それぞれを代表する人間として辻河原と広野天見を登場させ、その間に荒井香南を置いて物語を展開させているのだと思う。
過去の歴史をたどって行く過程は面白いのだけれど、物語の行きつく先はかなり唐突に現れる。視してこの終盤での大転換にボクは慣れられない。
この作品では、グループ企業の組織体制とルート証明書に至るツリーを、恋愛などの個人間のつながりとWoT(Web of Trust)の概念を、それぞれ対比させている印象を受けた。
そして、それぞれを代表する人間として辻河原と広野天見を登場させ、その間に荒井香南を置いて物語を展開させているのだと思う。
過去の歴史をたどって行く過程は面白いのだけれど、物語の行きつく先はかなり唐突に現れる。視してこの終盤での大転換にボクは慣れられない。