小説として工夫しているのはわかるが、傑作になるにはそうとう遠いといわざるをえない。
この作者は未熟すぎる。軍事に関しても、東西文化比較に関しても、未熟すぎる。
共和制アメリカを出し、「ぼくは日本人です」というだけで文化人類学者として
文化の多様性を主張できるなどというのは軽薄だ。
自己相というSFに関しても、非常に稚拙で、この人は情報科学者じゃない、文化人類学者なんだと
なんども言い聞かせて読みつづけた。伊藤計劃の「ハーモニー」のネタの発展も、
失敗しているとしか思えない。少なくても「ユートロニカのこちら側」以下であろう。
この小説のオチは、四章に四つのオチがあるが、全体としては文化人類学者の知識の披露というオチを
迎える。それはネタバレする。アンデスに三万年前の現生人類の骨が見つかったという事実である。
ただし、なぜか物語は、アンデスにネアンデルタール人の娘が生きているというトンデモ科学によって
できている。ので、B級すぎるとしかいいようがない。自己相についてのSFの考察はあまい。ぬるい。
人類の意識を一つの自己相に集結させた時、その意識がどれだけとてつもない化け物になるのか想像できていない。
柴田勝家がプラトンの「国家」と村上春樹の「風の歌を聴け」を読んだのはわかった。
上部構造、下部構造などというのはマルクスの影響か?
どちらにせよ、レナルズ君の無政府主義者の軍隊というテーマは扱われていなかった。
柴田勝家は気づいていない。
自己相なんてものがあったら、その人類の共通意識は、それを構成する人類を殺せないんだよ。
自分たちを殺すことになるからね。
だから、自己相をもつことは、自己相をもち、殺人を行うということ、
まして、戦争を行うということは柴田勝家にはまったく想像できていないとしか思えない。
最初から文庫で発売するところが若者の気持ちをわかっていると、さすがの柴田勝家さんに星五つです。
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クロニスタ 戦争人類学者 (ハヤカワ文庫 JA シ 10-1) 文庫 – 2016/3/24
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生体通信によって個々人の認知や感情を人類全体で共有できる技術“自己相"が普及した未来社会。共和制アメリカ軍は、その管理を逃れる者を“難民"と呼んで弾圧していた。軍と難民の間で揺れる軍属の人類学者シズマ・サイモンは、訪れたアンデスで謎の少女と巡り合う。黄金郷から来たという彼女の出自に隠された、人類史を鮮血に染める自己相の真実とは? クラウド時代の民族学が想像力を更新する、2010年代SFの最前線。
新世代が『虐殺器官』の問いとビジョンを継承する
第2回ハヤカワSFコンテスト 受賞後第1作
新世代が『虐殺器官』の問いとビジョンを継承する
第2回ハヤカワSFコンテスト 受賞後第1作
- 本の長さ416ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2016/3/24
- 寸法10.6 x 1.6 x 15.7 cm
- ISBN-104150312222
- ISBN-13978-4150312220
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商品の説明
著者について
1987年東京都生まれ。成城大学大学院文学研究科日本常民文化専攻所属。外来の民間信仰の伝播と信仰の変容を研究している。戦国武将の柴田勝家を敬愛する。東京都在住。2014年、『ニルヤの島』で第2回ハヤカワSFコンテスト大賞を受賞し、デビュー。本作が受賞後第1作となる。
登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2016/3/24)
- 発売日 : 2016/3/24
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 416ページ
- ISBN-10 : 4150312222
- ISBN-13 : 978-4150312220
- 寸法 : 10.6 x 1.6 x 15.7 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 825,582位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,100位ハヤカワ文庫 JA
- - 3,929位SF・ホラー・ファンタジー (本)
- - 68,097位文芸作品
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年3月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
戦国武将が現代に蘇った注目の新人SF作家柴田勝家の第二作。思弁哲学的で難解な内容だった「ニルヤの島」とは一変して、次々にアクションシーンが連続して息も付かせぬ面白さ。エンタテイメントとして一級の内容だった。情報を共有するクラウド通信の発展形として、人類全体で個人の認知や感情まで共有出来る「自己相」と言うアイデアが抜群に面白い。手術を受けて「自己相」を生体に組み入れれば、その人間そのものがコンピュータのような頭脳と身体能力を備えたスーパーマン「正しい人」になってしまうのだ。さらに「正しい人」は全人類と等価になるので民族や国家、あるいは文化などが無意味となり、それを普及させれば結果的に戦争も根絶させるわけだ。が、それに抵抗する人々もおり「難民」だとして迫害されている未来世界が舞台。主人公は軍属のクロニスタと呼ばれる、難民たちに「自己相」を手に入れ「正しい人」となる事の素晴らしさを説得する役職。そんな彼の前に現れた謎の少女。「自己相」で強化された軍人をもしのぐ身体能力で瞬殺してしまう少女は、現人類と異なるネアンデルタール人の生き残りだと言うのだが、少女を保護した主人公は彼女の故郷らしい「黄金郷」を目指して逃避行を続ける・・・
メインテーマの一つは「正しい人」となって自分の民族や文化を捨てることの可否だろう。それによって戦争が根絶され理想的な世界が訪れるのだろうか? 文化人類学が専門の作者はそれに強い疑問を呈している。主人公は「自己相」を全人類に普及させて理想的な世界を作ろうとする軍に反逆して、多くの軍人を殺害した少女を伴う逃避行中に、「難民」たちを煽動して反乱を起こさせるような行動を取る。当然軍に命を狙われるが、そこでかつての同僚、上司、親友、恋人とも対決し殺し合いを演じる・・・
この作品はハードSFに分類されるのだろうが、「自己相」のアイデイアに伴う科学的な正確さや文化人類学的知見などは相当怪しく、いわゆる「B級」エンタテイメントだと思う。読んでも退屈なものより「B級」でも面白ければオッケーなので、私は本作を支持する。デビュー以来対照的な作品傾向の2作を発表した柴田勝家、今後も目が離せそうにない。
http://blog.livedoor.jp/nattolove-002/archives/12576443.html
メインテーマの一つは「正しい人」となって自分の民族や文化を捨てることの可否だろう。それによって戦争が根絶され理想的な世界が訪れるのだろうか? 文化人類学が専門の作者はそれに強い疑問を呈している。主人公は「自己相」を全人類に普及させて理想的な世界を作ろうとする軍に反逆して、多くの軍人を殺害した少女を伴う逃避行中に、「難民」たちを煽動して反乱を起こさせるような行動を取る。当然軍に命を狙われるが、そこでかつての同僚、上司、親友、恋人とも対決し殺し合いを演じる・・・
この作品はハードSFに分類されるのだろうが、「自己相」のアイデイアに伴う科学的な正確さや文化人類学的知見などは相当怪しく、いわゆる「B級」エンタテイメントだと思う。読んでも退屈なものより「B級」でも面白ければオッケーなので、私は本作を支持する。デビュー以来対照的な作品傾向の2作を発表した柴田勝家、今後も目が離せそうにない。
http://blog.livedoor.jp/nattolove-002/archives/12576443.html
2016年5月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
1章は「伊藤計劃トリビュート」で読んでいたので金髪の少女が何物なのか
読み進むうちに驚きの正体が判明する。
「継ぐのは誰か?」、「屍者の帝国」、「虐殺器官」、「ハーモニー」を想起して楽しかった。
自己相世界を作る可塑神経網作成ナノマシンの作用が凄いな、
ハーゲンベック准将が死後に兵士を乗っ取る方法を考えると可塑神経網の概念とか、
時間制限在りの戦闘技能を読込んで走らせるのは「攻殻」「紅殻」的か。
准将が兵士の個を上書きして乗っ取る事から「正しい人」の概念が怖いな。
電脳化の次は義体化かな。
読み進むうちに驚きの正体が判明する。
「継ぐのは誰か?」、「屍者の帝国」、「虐殺器官」、「ハーモニー」を想起して楽しかった。
自己相世界を作る可塑神経網作成ナノマシンの作用が凄いな、
ハーゲンベック准将が死後に兵士を乗っ取る方法を考えると可塑神経網の概念とか、
時間制限在りの戦闘技能を読込んで走らせるのは「攻殻」「紅殻」的か。
准将が兵士の個を上書きして乗っ取る事から「正しい人」の概念が怖いな。
電脳化の次は義体化かな。
2016年11月27日に日本でレビュー済み
舞台は自己相という人類の意思や感覚を統一し共有する社会。
主人公は独自の文化や自我を保ちたいが為に逃げ惑う人々までに自己相を植え込む権利があるのだろうか、と軍属でありながらも政府や軍が執る強行に違和感を沸々と抱いている。
そんな中で一人の少女と出会うのだが、、、
物語の中で何故、自己相というSF的なギミックにおいて、人類全体に殺意が芽生えはじめると危惧されたのか。
それは、あらゆる感情・意識を自己相を処置している人類とならば共有、平均化出来ることに起因している。
逆説的にいえば他者への憎しみや殺意といった負の感情でさえも人類へ分配して散らすことが可能ということにもなる<再修復>
何千、何億という自己相の持った人類が再修復して消えていったはずの負の感情は澱のように積もり続け、やがては負の感情、ひいては他者への殺意がさも当然であるかのように自己相上で共有認識されることになる。
ここで、キーマンとなるのが主人公と逃避行をすることになるヒユラミールという少女で、新人類とされる彼女が有する0.3秒以前を認識する能力だ。これは脳の容量が現生人類より多いことに依っている。
人は何かしらの動作を起こす際に0.3秒以前のことは認識することが出来ない。デネットの本にも件の実験は紹介されていたかな。
時に他者との交流においてこの0.3秒というラグは致命的なものであり、この間隙がある限り、人はあらゆるものを予測、想像し続けなければいけない。
戦闘において防衛という本能が働くのは、他者が繰り出す次の手が予測し切れないからだ。
しかし、ことヒユラミールにおいては常人には不可能な0.3秒以前の動きを難なく認識し、まるで未来が見えているかのように行動をこなしてしまう。
翻っては彼女のような同等の能力を持つもの同士を対峙させたとしても、互いに繰り出す動作を予め予測できてしまうから勝負のつきようがなく、結果、殺意から生じた争いは無意味となる。
だからこそ、彼女の意識を人類に流用する必要があった。
彼女の出生の秘密は物語の中で曖昧にされずにしっかりと提示されていることだったので爪が甘いなとは思わなかった。
自己相というギミックに考古学やら民俗学を絡めての構成は個人的に好きです。
ストーリー展開としては王道だと思う。けれど、しっかりと緩急があって良かったと思う。
素直に、この人の本をもっと読みたいと思えた。
時代物は岡本綺堂ぐらいしか読まないんで、出来ればSFを沢山書いてって欲しいな...笑
主人公は独自の文化や自我を保ちたいが為に逃げ惑う人々までに自己相を植え込む権利があるのだろうか、と軍属でありながらも政府や軍が執る強行に違和感を沸々と抱いている。
そんな中で一人の少女と出会うのだが、、、
物語の中で何故、自己相というSF的なギミックにおいて、人類全体に殺意が芽生えはじめると危惧されたのか。
それは、あらゆる感情・意識を自己相を処置している人類とならば共有、平均化出来ることに起因している。
逆説的にいえば他者への憎しみや殺意といった負の感情でさえも人類へ分配して散らすことが可能ということにもなる<再修復>
何千、何億という自己相の持った人類が再修復して消えていったはずの負の感情は澱のように積もり続け、やがては負の感情、ひいては他者への殺意がさも当然であるかのように自己相上で共有認識されることになる。
ここで、キーマンとなるのが主人公と逃避行をすることになるヒユラミールという少女で、新人類とされる彼女が有する0.3秒以前を認識する能力だ。これは脳の容量が現生人類より多いことに依っている。
人は何かしらの動作を起こす際に0.3秒以前のことは認識することが出来ない。デネットの本にも件の実験は紹介されていたかな。
時に他者との交流においてこの0.3秒というラグは致命的なものであり、この間隙がある限り、人はあらゆるものを予測、想像し続けなければいけない。
戦闘において防衛という本能が働くのは、他者が繰り出す次の手が予測し切れないからだ。
しかし、ことヒユラミールにおいては常人には不可能な0.3秒以前の動きを難なく認識し、まるで未来が見えているかのように行動をこなしてしまう。
翻っては彼女のような同等の能力を持つもの同士を対峙させたとしても、互いに繰り出す動作を予め予測できてしまうから勝負のつきようがなく、結果、殺意から生じた争いは無意味となる。
だからこそ、彼女の意識を人類に流用する必要があった。
彼女の出生の秘密は物語の中で曖昧にされずにしっかりと提示されていることだったので爪が甘いなとは思わなかった。
自己相というギミックに考古学やら民俗学を絡めての構成は個人的に好きです。
ストーリー展開としては王道だと思う。けれど、しっかりと緩急があって良かったと思う。
素直に、この人の本をもっと読みたいと思えた。
時代物は岡本綺堂ぐらいしか読まないんで、出来ればSFを沢山書いてって欲しいな...笑